サニア・ミルザSania Mirza, ثانیہ مرزا, ヒンディー語: सानिया मिर्ज़ा, 1986年11月15日 - )は、インドムンバイ出身の女子プロテニス選手。2009年全豪オープン2012年全仏オープン2014年全米オープンの混合ダブルス優勝者。これまでにWTAツアーでシングルス1勝、ダブルス41勝を挙げる。自己最高ランキングはシングルス27位、ダブルス1位。右利きだが、バックハンド・ストロークは両手打ち。

サニア・ミルザ
Sania Mirza
サニア・ミルザ
基本情報
フルネーム Sania Mirza
国籍 インドの旗 インド
出身地 同・ムンバイ
生年月日 (1986-11-15) 1986年11月15日(38歳)
身長 173cm
体重 57kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2003年
ツアー通算 42勝
シングルス 1勝
ダブルス 41勝
生涯獲得賞金 7,265,246 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 3回戦(2005・08)
全仏 2回戦(2007・11)
全英 2回戦(2005・07-09)
全米 4回戦(2005)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 優勝(2016)
全仏 準優勝(2011)
全英 優勝(2015)
全米 優勝(2015)
優勝回数 3(豪1・英1・米1)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 優勝(2009)
全仏 優勝(2012)
全英 ベスト8(2011・13・15)
全米 優勝(2014)
優勝回数 3(豪1・仏1・米1)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 27位(2007年8月27日)
ダブルス 1位(2015年4月13日)
2017年9月10日現在

日本語では、英語表記を単純にカタカナ読みした「サニア・ミルザ」という呼び方が最も普及しているが、現地語表記での長短母音の区別などを考慮した場合“サーニヤー・ミルザー”の読みが近くなる。

来歴

編集

ミルザはインドのイスラム教徒(ムスリム)の家に生まれ、6歳からテニスを始めた。2003年にプロ転向。2004年末の時点で、彼女のシングルス世界ランキングは206位であった。2005年2月、故国インド・ハイデラバード大会の決勝でアリョーナ・ボンダレンコを 6-4, 5-7, 6-3 で破り、インド人女性として最初のWTAツアー大会シングルス優勝を達成する。半年後の全米オープンで、ミルザはマリア・シャラポワとの4回戦まで進出した。現時点では、これが彼女の4大大会シングルス自己最高記録である。その後来日し、ジャパン・オープンでベスト4に入った。

その後の彼女は、シングルスよりもダブルスの分野で多くの好成績を出してきた。4大大会女子ダブルスの分野ではベサニー・マテックと組んで、2007年全米オープン2008年ウィンブルドンの女子ダブルス準々決勝に進出した。2008年北京五輪でオリンピックのインド代表選手に選ばれたが、シングルス1回戦・ダブルス2回戦敗退に終わる。2009年全豪オープン混合ダブルス部門で、サニア・ミルザはマヘシュ・ブパシとペアを組み、2007年全仏オープン混合ダブルスの優勝経験を持つアンディ・ラム&ナタリー・ドシー組を 6-3, 6-1 で破って初優勝を決めた。これはインド人女性による最初のグランドスラム・タイトルである。ミルザとブパシは前年の全豪オープン混合ダブルスで、ネナド・ジモニッチ&孫甜甜組に敗れて準優勝になったが、2年連続の全豪混合ダブルス決勝でついにタイトルを手中に収めた。

2011年全仏オープンでミルザはエレーナ・ベスニナと組み初の4大大会女子ダブルスの決勝に進出した。決勝ではアンドレア・フラバーチコバ&ルーシー・ハラデツカ組に 4–6, 3–6 で敗れ準優勝となった。2012年全仏オープンでは混合ダブルスでマヘシュ・ブパシと組み決勝に進出。決勝ではサンティアゴ・ゴンサレス&クラウディア・ヤンス=イグナシク組を 7–6(3), 6–1 で破り2度目の4大大会混合ダブルスタイトルを獲得した。

2013年からミルザはダブルスに専念している。2014年全米オープンではブルーノ・ソアレスとの混合ダブルスで決勝に進出し、アビゲイル・スピアーズ&サンティアゴ・ゴンサレス組を 6–1, 2–6, [11–9] で破り4大大会混合ダブルス3勝目を挙げている。

2015年はマルチナ・ヒンギスとのペアでウィンブルドン全米オープンなど10勝を挙げダブルス世界ランキング1位になった。

ミルザはそのルックスと実力から、インドの国民的なアイドルとなり、そのファンはマスコミから“サニア・マニア”と呼ばれている。そのファッションや発言も人気があり、アクセサリーの鼻輪がチャームポイントで、メッセージを表現したTシャツを着ることでも知られている。彼女は2005年度のタイム誌の「アジアのヒーローベスト50」に選ばれた。しかし、地元インドのイスラム法学者が、彼女のテニスウェア姿を「イスラム教徒らしくない、はしたない格好」だと非難し、それに関するファトワーを出したことで一時期騒がれた。2010年、ミルザはパキスタンのクリケット選手ショアイブ・マリク英語版と結婚した[1]

WTAツアー決勝進出結果

編集

シングルス: 4回 (1勝3敗)

編集
大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–0)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (0–0) プレミア・マンダトリー (0-0)
プレミア5 (0-0)
ティア II (0–1) プレミア (0–0)
ティア III (0–0) インターナショナル (0–1)
ティア IV & V (1–1)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2005年2月12日   ハイデラバード ハード   アリョーナ・ボンダレンコ 6–4, 5–7, 6–3
準優勝 1. 2005年8月20日   フォレストヒルズ ハード   ルーシー・サファロバ 6–3, 5–7, 4–6
準優勝 2. 2007年7月29日   スタンフォード ハード   アンナ・チャクベタゼ 3–6, 2–6
準優勝 3. 2009年2月15日   パタヤ ハード   ベラ・ズボナレワ 5–7, 1–6

ダブルス: 61回 (41勝20敗)

編集
大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (3-1)
WTAファイナルズ (2–0)
ティア I (0–0) プレミア・マンダトリー (5-6)
プレミア5 (4-3)
ティア II (2-1) プレミア (14-6)
ティア III (3-3) インターナショナル (6–0)
ティア IV & V (2–0)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2004年2月22日   ハイデラバード ハード   リーゼル・フーバー   李婷
  孫甜甜
7–6, 6–4
優勝 2. 2006年2月19日   バンガロール ハード   リーゼル・フーバー   アナスタシア・ロディオノワ
  エレーナ・ベスニナ
6–3, 6–3
準優勝 1. 2006年4月9日   アメリアアイランド クレー   リーゼル・フーバー   浅越しのぶ
  カタリナ・スレボトニク
2–6, 4–6
準優勝 2. 2006年5月27日   イスタンブール クレー   アリシア・モリク   アナスタシア・ヤキモワ
  アリョーナ・ボンダレンコ
2–6, 4–6
準優勝 3. 2006年7月23日   シンシナティ ハード   マルタ・ドマホフスカ   ヒセラ・ドゥルコ
  マリア・エレナ・カメリン
4–6, 6–3, 2–6
優勝 3. 2006年9月24日   コルカタ ハード
(室内)
  リーゼル・フーバー   ユリア・ベイゲルジマー
  ユリアナ・フェダク
6–4, 6–0
優勝 4. 2007年5月14日   フェズ クレー   バニア・キング   アンドレア・エリット=ヴァンク
  アナスタシア・ロディオノワ
6–1, 6–2
準優勝 4. 2007年5月21日   イスタンブール クレー   詹詠然   アグニエシュカ・ラドワンスカ
  ウルシュラ・ラドワンスカ
1–6, 3–6
優勝 5. 2007年7月22日   シンシナティ ハード   ベサニー・マテック   アリーナ・イドコワ
  タチアナ・ポウチェク
7–6(4), 7–5
優勝 6. 2007年7月29日   スタンフォード ハード   シャハー・ピアー   ビクトリア・アザレンカ
  アンナ・チャクベタゼ
6–4, 7–6(5)
優勝 7. 2007年8月25日   ニューヘイブン ハード   マラ・サンタンジェロ   カーラ・ブラック
  リーゼル・フーバー
6–1, 6–2
優勝 8. 2009年4月12日   ポンテベドラビーチ クレー   荘佳容   クベタ・ペシュケ
  リサ・レイモンド
6–3, 4–6, [10–7]
優勝 9. 2010年9月19日   広州 ハード   エディナ・ガロビッツ   韓馨蘊
  劉婉婷
7–5, 6–3
優勝 10. 2011年3月19日   インディアンウェルズ ハード   エレーナ・ベスニナ   ベサニー・マテック=サンズ
  メガン・ショーネシー
6–0, 7–5
優勝 11. 2011年4月9日   チャールストン クレー   エレーナ・ベスニナ   ベサニー・マテック=サンズ
  メガン・ショーネシー
6–4, 6–4
準優勝 5. 2011年6月3日   全仏オープン クレー   エレーナ・ベスニナ   アンドレア・フラバーチコバ
  ルーシー・ハラデツカ
4–6, 3–6
優勝 12. 2011年7月31日   ワシントンD.C. ハード   ヤロスラワ・シュウェドワ   オリガ・ゴボツォワ
  アーラ・クドゥリャフツェワ
6–3, 6–3
優勝 13. 2012年2月12日   パタヤ ハード   アナスタシア・ロディオノワ   詹詠然
  詹皓晴
3–6, 6–1, [10–8]
準優勝 6. 2012年2月25日   ドバイ ハード   エレーナ・ベスニナ   リーゼル・フーバー
  リサ・レイモンド
2–6, 1–6
準優勝 7. 2012年3月17日   インディアンウェルズ ハード   エレーナ・ベスニナ   リーゼル・フーバー
  リサ・レイモンド
2–6, 3–6
優勝 14. 2012年5月26日   ブリュッセル クレー   ベサニー・マテック=サンズ   アリシア・ロソルスカ
  鄭潔
6–3, 6–2
準優勝 8. 2012年10月6日   北京 ハード   ヌリア・リャゴステラ・ビベス   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
5–7, 5–7
優勝 15. 2013年1月5日   ブリスベン ハード   ベサニー・マテック=サンズ   アンナ=レナ・グローネフェルト
  クベタ・ペシュケ
4–6, 6–4, [10–7]
優勝 16. 2013年2月23日   ドバイ ハード   ベサニー・マテック=サンズ   ナディア・ペトロワ
  カタリナ・スレボトニク
6–4, 2–6, [10–7]
準優勝 9. 2013年4月28日   シュトゥットガルト クレー   ベサニー・マテック=サンズ   モナ・バルテル
  ザビーネ・リシキ
4–6, 5–7
優勝 17. 2013年8月24日   ニューヘイブン ハード   鄭潔   アナベル・メディナ・ガリゲス
  カタリナ・スレボトニク
6–3, 6–4
優勝 18. 2013年9月28日   東京 ハード   カーラ・ブラック   詹皓晴
  リーゼル・フーバー
4-6, 6-0, [11-9]
優勝 19. 2013年10月5日   北京 ハード   カーラ・ブラック   ベラ・ドゥシェビナ
  アランチャ・パラ・サントンハ
6–2, 6–2
準優勝 10. 2014年3月15日   インディアンウェルズ ハード   カーラ・ブラック   彭帥
  謝淑薇
6–7(5), 2–6
準優勝 11. 2014年4月27日   シュトゥットガルト クレー   カーラ・ブラック   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
2–6, 3–6
優勝 20. 2014年5月3日   オエイラス クレー   カーラ・ブラック   エバ・ハルディノバ
  バレリア・ソロビエワ
6–4, 6–3
準優勝 12. 2014年8月10日   モントリオール ハード   カーラ・ブラック   サラ・エラニ
  ロベルタ・ビンチ
6–7(4), 3–6
優勝 21. 2014年9月20日   東京 ハード   カーラ・ブラック   ガルビネ・ムグルサ
  カルラ・スアレス・ナバロ
6–2, 7–5
準優勝 13. 2014年10月4日   北京 ハード   カーラ・ブラック   アンドレア・フラバーチコバ
  彭帥
4–6, 4–6
優勝 22. 2014年10月26日   シンガポール ハード (室内)   カーラ・ブラック   謝淑薇
  彭帥
6–1, 6–0
優勝 23. 2015年1月16日   シドニー ハード   ベサニー・マテック=サンズ   ラケル・コップス=ジョーンズ
  アビゲイル・スピアーズ
6–3, 6–3
準優勝 14. 2015年2月28日   ドーハ ハード   謝淑薇   ラケル・コップス=ジョーンズ
  アビゲイル・スピアーズ
4–6, 4–6
優勝 24. 2015年3月21日   インディアンウェルズ ハード   マルチナ・ヒンギス   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
6-3, 6-4
優勝 25. 2015年4月5日   マイアミ ハード   マルチナ・ヒンギス   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
7–5, 6–1
優勝 26. 2015年4月12日   チャールストン クレー   マルチナ・ヒンギス   ケーシー・デラクア
  ダリア・ユラク
6–0, 6–4
準優勝 15. 2015年5月17日   ローマ クレー   マルチナ・ヒンギス   ティメア・バボシュ
  クリスティナ・ムラデノビッチ
4–6, 3–6
優勝 27. 2015年7月12日   ウィンブルドン   マルチナ・ヒンギス   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
5–7, 7–6(4), 7–5
優勝 28. 2015年9月13日   全米オープン ハード   マルチナ・ヒンギス   ケーシー・デラクア
  ヤロスラワ・シュウェドワ
6–3, 6–3
優勝 29. 2015年9月26日   広州 ハード   マルチナ・ヒンギス   徐詩霖
  尤暁迪
6–3, 6–1
優勝 30. 2015年10月3日   武漢 ハード   マルチナ・ヒンギス   イリーナ=カメリア・ベグ
  モニカ・ニクレスク
6–2, 6–3
優勝 31. 2015年10月10日   北京 ハード   マルチナ・ヒンギス   詹詠然
  詹皓晴
6–7(9), 6–1, [10–8]
優勝 32. 2015年11月1日   シンガポール ハード (室内)   マルチナ・ヒンギス   ガルビネ・ムグルサ
  カルラ・スアレス・ナバロ
6–0, 6–3
優勝 33. 2016年1月9日   ブリスベン ハード   マルチナ・ヒンギス   アンゲリク・ケルバー
  アンドレア・ペトコビッチ
7–5, 6–1
優勝 34. 2016年1月15日   シドニー ハード   マルチナ・ヒンギス   キャロリン・ガルシア
  クリスティナ・ムラデノビッチ
1–6, 7–5, [10–5]
優勝 35. 2016年1月29日   全豪オープン ハード   マルチナ・ヒンギス   アンドレア・フラバーチコバ
  ルーシー・ハラデツカ
7–6(1), 6–3
優勝 36. 2016年2月14日   サンクトペテルブルク ハード (室内)   マルチナ・ヒンギス   ベラ・ドゥシェビナ
  バルボラ・クレシコバ
6-3, 6-1
準優勝 16. 2016年4月24日   シュトゥットガルト クレー   マルチナ・ヒンギス   キャロリン・ガルシア
  クリスティナ・ムラデノビッチ
6–2, 1–6, [6–10]
準優勝 17. 2016年5月6日   マドリード クレー   マルチナ・ヒンギス   キャロリン・ガルシア
  クリスティナ・ムラデノビッチ
4–6, 4–6
優勝 37. 2016年5月15日   ローマ クレー   マルチナ・ヒンギス   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
6–1, 6–7(5), [10–3]
優勝 38. 2016年8月21日   シンシナティ ハード   バルボラ・ストリコバ   マルチナ・ヒンギス
  ココ・バンダウェイ
7–5, 6–4
優勝 39. 2016年8月27日   ニューヘイブン ハード   モニカ・ニクレスク   カテリナ・ボンダレンコ
  荘佳容
7–5, 6–4
優勝 40. 2016年9月24日   東京 ハード   バルボラ・ストリコバ   梁晨
  楊釗煊
6–1, 6–1
準優勝 18. 2016年10月1日   武漢 ハード   バルボラ・ストリコバ   ベサニー・マテック=サンズ
  ルーシー・サファロバ
1–6, 4–6
優勝 41. 2017年1月7日   ブリスベン ハード   ベサニー・マテック=サンズ   エカテリーナ・マカロワ
  エレーナ・ベスニナ
6–2, 6–3
準優勝 19. 2017年1月13日   シドニー ハード   バルボラ・ストリコバ   ティメア・バボシュ
  アナスタシア・パブリュチェンコワ
4–6, 4–6
準優勝 20. 2017年4月2日   マイアミ ハード   バルボラ・ストリコバ   ガブリエラ・ダブロスキー
  徐一幡
4–6, 3–6

4大大会シングルス成績

編集
略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 通算成績
全豪オープン 3R 2R 2R 3R 2R 1R 1R 1R 9–8
全仏オープン 1R 1R 2R A 1R A 2R A 3–5
ウィンブルドン 2R 1R 2R 2R 2R 1R 1R A 4–6
全米オープン 4R 2R 3R A 2R 2R 1R A 11–6

脚注

編集

外部リンク

編集