中村元東方学術賞(なかむらはじめ とうほうがくじゅつしょう)は、東方学(東洋学)の優れた学術研究および文化活動に対して公益財団法人中村元東方研究所が授与する学術賞

インド哲学の大家である中村元を記念しており、インド学仏教学の中では権威のある賞とされる。

授賞式は、インド大使館と共催で行われ、そこを会場とする(東京都千代田区[1]

沿革

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第1回は、昭和54年に「東方学術賞」の名称で行った[1]

部門として、学術賞のほか、追悼顕彰・特別顕彰・推進顕彰・奨励賞がある。また平成元年(第5回)より、学術と関係の深い文化領域における功労者に対し、その業績を讃える「東方文化賞」を設けた[2]

平成11年の中村元の逝去後、しばらく途絶えていたが、3回忌にあたる平成13年10月10日(第11回)より「中村元東方学術賞」と名称を改め、毎年10月に表彰を行っている[3]

平成24年(第22回)には、中村元東方研究所の事業推進貢献者に対し「東方特別賞」を初授与した 。

平成27年(第25回)、東方学術奨励賞を「中村元東方学術奨励賞」と改め、同年10月10日を第1回とし、以後毎年選考を行い授与している[4]。これは45歳以下の若手研究者[5]への奨励が目的であり、堅実な研究が結実した著作を受賞の対象としている。

これまでの受賞者

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  • 年数は〈授賞年度〉:回(授賞日)[6]

第1回 - 第10回

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第1回(1979年9月5日
第2回(1980年11月21日
第3回(1981年1月21日[9]
第4回(1985年12月5日
第5回(1989年10月19日
第6回(1990年11月1日
第7回(1991年11月18日
第8回(1992年12月7日
第9回(1993年11月18日)
第10回(1997年3月24日[17]

第11回 - 第20回

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第11回(2001年10月10日
第12回(2002年10月10日)
第13回(2003年10月10日)
第14回(2004年10月11日
第15回(2005年10月10日)
第16回(2006年10月10日)
第17回(2007年10月10日)
第18回(2008年10月10日)
第19回(2009年10月10日)
第20回(2010年10月11日)

第21回 - 第30回

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第21回(2011年10月10日
第22回(2012年10月10日):島根県松江市にて[19]
第23回(2013年10月10日)
第24回(2014年10月10日)
第25回(2015年10月10日)
  • 新規 第1回中村元東方学術奨励賞:手島崇裕・韓国 慶熙大学校助教授 - 日本史、受賞作『平安時代の対外関係と仏教』ISBN 978-4751745502
第26回(2016年10月10日)
第27回(2017年10月10日)
  • (第3回)該当者なし
第28回(2018年10月10日)
  • (第4回)猪瀬千尋・名古屋大学大学院附属人類文化遺産テクスト学研究センター研究員 - 日本文学、受賞作『中世王権の音楽と儀礼』ISBN 978-4305708939
第29回(2019年10月10日)
第30回(2020年10月8日):授賞式開催中止 [22]
  • (第6回)芹口真結子・岐阜大学地域科学部・助教 - 日本近世仏教史、受賞作『近世仏教の教説と教化』ISBN 978-4831860446

第31回 - 第40回

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第31回(2021年10月8日):オンライン形式(ZOOM)での授賞式開催[23]
  • (第7回)松川雅信・日本学術振興会特別研究員PD - 日本思想史・日本史・宗教学、受賞作『儒教儀礼と近世日本社会―闇斎学派の『家礼』実践』ISBN 978-4585210566
第32回(2022年10月07日)
  • 佐久間留理子・大阪観光大学観光学部 教授 - インド密教文化史
  • 中村元東方学術特別顕彰:吉田宏晢・大正大学名誉教授 - 日本仏教・真言密教・空海研究
第33回(2023年10月10日)
  • 保坂俊司・中央大学教授 - 仏教学、比較思想学

脚注

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  1. ^ 「東方学術賞」受賞の初めての外国人研究者として[14]
  2. ^ 1982年度よりアジア諸国への留学生派遣を援助[16]

出典

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  1. ^ a b "東方学術賞の創設と第1回(1979年)授賞式"(PDF 71.1KB). 財団法人 東方研究会. 2023年10月04日閲覧。
  2. ^ "第5回(1989年)東方学術賞"(PDF 181KB). 東方研究会. p.3. 2023年10月04日閲覧。
  3. ^ 東方だより, 第4号 "平成14(2002)年1月1日発行 p.1" (PDF 1741KB).
  4. ^ 東方だより, 第27号 "平成28(2016)年2月22日発行 p.12" (PDF 976KB).
  5. ^ 東方学術奨励賞とは 中村元東方研究所
  6. ^ 受賞者一覧. 中村元東方研究所. 2023年10月04日閲覧。
  7. ^ 奥田慈応『聖徳太子十七条憲法訳註』大阪:勝鬘院、1936年(昭11年)、全国書誌番号:46057211doi:10.11501/1271400
  8. ^ 静谷正雄『インド仏教碑銘目録 : グプタ時代以前の仏教碑銘』京都:平安学園教育研究会、1965年。全国書誌番号:66005178doi:10.11501/3000502
  9. ^ "顕彰式/第3回(1981年)東方学術賞"(PDF 144KB). 中村元東方研究所. 2023年10月04日閲覧。
  10. ^ 原實教授略年譜・著作目録」『国際仏教学大学院大学研究紀要』第10号、国際仏教学大学院大学、2006年3月、巻末1-3、CRID 1520009408087864704ISSN 13434128NAID 110006602658 
  11. ^ a b 越智淳仁『酒井真典先生を偲ぶ』(PDF 369KB)35号、日本西蔵学会、1989年3月31日、30頁http://echo-lab.ddo.jp/Libraries/日本西蔵学会々報/日本西蔵学会々報%20%20(35)%20(19890331)/日本西蔵学会々報%20(35)%20004越智%20淳仁「酒井真典先生を偲ぶ」.pdf2021年10月25日閲覧 
  12. ^ 土井久彌『総合研究関係文献目録』昭和42年度、東京外国語大学インド・パーキスターン研究室。NDLJP:1673643doi:10.11501/1673643。第一次大戦後のインド文学とその社会的背景 - プレーム・チャンドの作品を中心として。
  13. ^ Pandeya, Ram Chandra”. CiNii Books 著者. 国立情報学研究所. 2023年5月31日閲覧。
  14. ^ "授賞理由 pp.37-38"(PDF 721KB). 公益財団法人 中村元東方研究所. 2023年10月04日閲覧。
  15. ^ ラム・チャンドラ・パンデーア「東洋と西洋-二つの伝統の統合」サイマル・インターナショナル 編『末来のための思索:国際的著名人による万国博記念講演集』吹田:日本万国博覧会協会、1971年。
  16. ^ アジア諸国海外研究・調査助成”. 中村元東方研究所. 2024年9月24日閲覧。
  17. ^ "東方学術賞顕彰式"(PDF 1088KB). 中村元東方研究所. 2023年10月04日閲覧。
  18. ^ 渡邊寶陽名誉教授に立正大学特別栄誉教授称号を授与”. 立正大学公式サイト. 立正大学. 2021年10月25日閲覧。
  19. ^ 東方だより, 第21号 "平成25(2013)年4月1日発行 p.2" (PDF 3.9MB).
  20. ^ "感謝状"(PDF 211KB). 中村元東方研究所. 2023年10月04日閲覧。
  21. ^ 中村元 東方学術奨励賞受賞報告”. 花園大学国際禅学研究所. 2023年6月1日閲覧。
  22. ^ 東方だより, 第36号 "令和2(2020)年10月9日発行 pp.8-9" (PDF 3.1MB).
  23. ^ 東方だより, 第38号 "令和3(2021)年10月1日発行 p.8-9" (PDF 2.9MB).
  24. ^ 下田正弘教授(インド哲学仏教学)「第31回中村元東方学術賞」を受賞”. 東京大学文学部. 東京大学文学部・大学院人文社会系研究科. 2021年10月25日閲覧。
  25. ^ 中村元東方学術賞に、下田正弘・東京大大学院教授 / 中外日報 - ウェイバックマシン(2021年10月25日アーカイブ分)
  26. ^ "本センター西田彰一プロジェクト研究員が第八回中村元東方学術奨励賞を受賞しました" 国際日本文化研究センター (2022年10月20日). 2023年6月6日閲覧。
  27. ^ 亀山光明 - researchmap

参考資料・文献

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外部リンク

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