上村勝彦
上村 勝彦(かみむら かつひこ、1944年3月5日[1] - 2003年1月24日)は、日本の古代インド文学研究者、東京大学東洋文化研究所教授を務めた。文学博士。
来歴・人物
編集東京都浅草寺支院に生まれる。サンスクリット文学、インド哲学・思想を研究し、もっとも難解な言語と評されるインド古典語サンスクリット語(梵語)による文学作品を非常に分かり易く、親しみやすい日本語で考察した著作は、高い評価を受けている。初の『マハーバーラタ』(全11巻予定)の原典全訳を行っていたが、8巻目の中途で、急逝し未完となった。遺稿となった第8巻は、2005年5月に刊行された(師原實が、追悼あとがきを行った)。
経歴
編集学歴
編集- 1959年3月 台東区立浅草小学校卒業
- 1959年4月 開成中学校入学
- 1962年3月 開成高等学校卒業
- 1962年4月 東京大学文科III類入学
- 1967年3月 東京大学文学部フランス語フランス文学専修課程卒業
- 1970年4月 東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専門課程修士課程修了
- 1970年4月 東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専門課程博士課程進学
- 1971年3月 東京大学大学院人文科学研究科印度哲学専門課程博士課程中退(助手就任のため)
- 1988年12月 学位請求論文「インド古典演劇論における美的経験」により文学博士学位取得(東京大学)
留学
編集職歴
編集- 1971年4月 東京大学文学部(印度哲学)助手
- 1973年10月 財団法人東方研究会専任研究員
- 1978年4月 國學院大學専任講師
- 1980年4月 國學院大學助教授
- 1986年4月 東京大学東洋文化研究所助教授
- 1988年4月 東京大学東洋文化研究所教授(2003年1月24日死去まで)
講師歴(非常勤)
編集- 早稲田大学(1975年11月~1976年3月)、東京外国語大学(1975年11月~1976年3月)、筑波大学(1976年4月~1978年3月)、大正大学(1978年4月~1980年3月)、東京大学(1978年4月~1982年3月)東京都立大学 (1949-2011)(1979年4月~1979年9月)、津田塾大学(1980年4月~1982年3月)、東洋大学(1998年4月~2003年1月)、川村学園女子大学(1998年4月~2003年1月)
海外活動・出張
編集受賞歴
編集- (『インド古典演劇論における美的経験-Abhinavaguptaのrasa論-』)
主な学会活動歴
編集日本印度学仏教学会(評議員) 、仏教思想学会(評議員) 、東方学会(評議員:1997年~1999年)、インド思想史学会理事(1993年) 、南アジア学会(理事:1998年~1999年) 、東京大学仏教青年会(理事:1992年、2002年)、 国際仏教交流センター(理事:2002年7月21日-2003年1月24日)
著書
編集単著
編集- 『インド神話』(東京書籍, 1981年/筑摩書房〈ちくま学芸文庫〉, 2003年)
- 『インドの詩人――バルトリハリとビルハナ』(春秋社, 1982年)
- 『夢幻の愛――インド詩集』(春秋社, 1998年)
- 『ダンマパダの教え――初期仏教の「反社会」主義』(筑摩書房, 1987年)
- 『バガヴァッド・ギーターの世界――ヒンドゥー教の救済』(日本放送出版協会〈NHKライブラリー〉, 1998年/ちくま学芸文庫, 2007年)
- 『仏教を生きる(5) 真理の言葉――法句経』(中央公論新社, 2000年)
- 『始まりはインドから』(筑摩書房, 2004年)。※遺著・夫人があとがき担当。
学術論考
編集- 『インド古典演劇論における美的経験――Abhinavaguptaのrasa論』(東京大学出版会, 1990年)
- 『インド古典詩論研究――アーナンダヴァルダナのdhvani理論』(東京大学出版会, 1999年)
共編著
編集- 『アジアの民話(12) パンチャタントラ』 田中於菟弥共訳(大日本絵画巧芸美術, 1980年)
- 『インドの夢・インドの愛 サンスクリット・アンソロジー』 宮元啓一共訳編(春秋社, 1994年)
- 『サンスクリット語・その形と心』 風間喜代三共著(三省堂, 2010年)
訳書
編集脚注
編集- ^ 『現代物故者事典2003~2005』(日外アソシエーツ、2006年)p.173
参考資料
編集- 『インド古典演劇論における美的経験』(東京大学出版会, 1990年)
- 『インド古典詩論研究』(東京大学出版会, 1999年)- 各あとがき
関連項目
編集- 東京大学東洋文化研究所
- 仏教学者-中村元に師事した
- インド思想史学会
- 日本印度学仏教学会