兵庫県庁内部告発文書問題
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兵庫県庁内部告発文書問題(ひょうごけんちょうないぶこくはつぶんしょもんだい)は、2024年3月に、当時の西播磨県民局長が、当時兵庫県知事の斎藤元彦や県幹部らを告発する内部告発文書を、兵庫県警、国会議員、県会議員、報道各社の計10箇所に匿名で送付したことを端に発する[1]、兵庫県における内部告発文書の取り扱いと処分を巡る問題である。斎藤知事批判文書問題(さいとうちじひはんぶんしょもんだい)とも呼ばれる[2]。
概要
編集5期20年に及ぶ井戸敏三前知事の井戸県政の継承か刷新かが争点となり[3]、67年ぶりの保守分裂選挙となった2021年兵庫県知事選挙で、斎藤元彦は維新の会および自民党の一部兵庫県議会議員と、両党の県選出衆参全議員からの推薦を受け、井戸県政時代の元副知事である金沢和夫を破り、第53代兵庫県知事に当選した。それまで59年にわたり、兵庫県知事は副知事の経験者が務めてきたが途絶えた[4]。
2021年8月に兵庫県知事に就任した斎藤は、旧井戸県政時代からの政策の大多数を否定し、地域整備事業と分収造林事業における約1500億円(いわゆる旧井戸県政時代の隠れ負債)の返済と行政改革に着手[5]。約1000億円の予算削減し返済にあてるとして、竣工から半世紀余りを経て建て替えが予定されていた県庁舎の整備計画を白紙撤回し見直しを行った[6][5]。また外郭団体役員に対する定年規定を厳正に適用をし始めた(旧井戸県政では、県の内規では65歳定年のところ、「なし崩し的」に70歳以上まで延長されていた慣行があった)[7][5]。この外郭団体役員は当時県庁幹部の天下りポストであり、多くの役員が前職の井戸敏三の後援会「新生兵庫をつくる会」の幹部を兼任していた[5]。
また、当時の兵庫県議会において、最大会派の自民党議員団は、前回の知事選で、斎藤県政派(自民党兵庫)と、旧井戸県政派(自民党県議団)に、約2年間に渡り分裂し続けた末に、2024年4月に合流した経緯があり、しこりを残していた[8][9][10]。斎藤が、「県立大学授業料の無償化」や、性的少数者らのカップルを公的に認める「パートナーシップ制度」導入などを急速に進める中で、自民会派には、根回し不足や、「議会軽視」について、不満を持つ者も存在していた[11]。
知事である斎藤は、この過程で、過去に斎藤が東日本大震災の復興関連で宮城県に出向していた際に知り合った、4人(副知事である片山保孝、若者・Z世代支援事業などを担当していた理事、総務部長、産業労働部長)を重用し、斎藤派閥を形成[12]。県関係者(県職員、県議、報道関係者)は、斎藤と4人を宮城県(仙台市)に関連として「牛タン倶楽部」、重用された4人のことを「4人組」「ナンバー4」などと呼んでいた[12][13]。
そうした政治的背景があり、斎藤および斎藤県政に関わる県幹部は、前井戸県政派や改革反対派の県職員や県職員OBや外郭団体役員や県議、そして自身を推薦した一部自民党県議からも反感や不満を持たれている状態だった[5][11]。
そのような当時の兵庫県庁内の状況下において、兵庫県庁が設置する支庁の西播磨県民局(赤穂郡上郡町)の、当時の西播磨県民局長(渡瀬康英)は、斎藤を告発する内部告発文書を作成し、2024年3月12日に兵庫県警、国会議員、県会議員、報道各社の計10箇所に匿名で送付した[14]。
知事の斎藤は、3月下旬にこの告発文書を一般の民間人からの情報提供により把握[15][16]。斎藤は、副知事の片山や県幹部に相談し、県(人事課)の内部調査が始まった[17]。人事課は、元西播磨県民局長が文書作成者の疑いが高いと特定。片山らは元西播磨県民局長の職場にアポなしで訪れ、公用パソコンを押収し、元西播磨県民局長に聴取を行った[18]。この押収された元西播磨県民局長の公用パソコンからは、告発文書とともに、メール記録に『クーデター』『革命』『逃げ切る』という言葉が確認され、局長本人もこれを認めた[19]。またこの公用パソコンからは、業務と関係のない私的文書や、人事課の管理職時代に私的に持ち出した特定の職員の顔写真データや、2022年5月に匿名で送付された部下職員の人格を否定する文書や、個人のプライベートな情報等が記録されていたことが、その後の県の内部調査で判明した[20][21]。
3月末、県は不正行為が確認されたとして、懲戒処分を見越して元西播磨県民局長の3月末の定年退職を取りやめ保留することを発表[22][23]。斎藤は記者会見で、「事実無根の内容が多々含まれおり、職員の信用失墜や名誉毀損など法的課題がある」として、「業務時間中なのに嘘八百含めて文書を作って流す行為は、公務員としては失格。被害届や告訴などを含めて法的手段を進めている」と発言した(原文ママ)[24]。
4月1日、元西播磨県民局長は、斎藤の記者会見に対する反論文を報道機関に送付[25][26]。
同日、県人事課は、県特別弁護士である藤原正広弁護士(兵庫県弁護士会)の事務所へ、法的見解を聞くため複数回訪れた[27]。
4月4日、元西播磨県民局長は、実名で改めて、県庁内の公益通報窓口に告発文書を提出[28][29]。
4月16日、読売新聞は、斎藤が前年8月に加西市の企業を視察中に、企業が贈答品を渡そうとした際、斎藤は断ったが、その後企業から贈答品を産業労働部長が贈答品などを受領し、3月下旬に企業側へ返却していたと報じた[30]。産業労働部長は事実を認めた[30][31]。
5月7日、県は内部調査の結果、記載された事案で核心的な部分が事実ではなく知事や職員に対する誹謗中傷であり不正行為であると判断、その他にも複数の不正行為が確認されたとして[20][21]、元西播磨県民局長を停職3ヵ月の懲戒処分とした[29][21][32]。
同月、県議会は、報道で告発文書の内容に一部事実関係が認められたことを受け[30][31][33]、県の内部調査には疑念が残るとして、第三者委員会の設置による調査を全会派で県に要請[34]。斎藤は第三者機関設置による再調査に否定的な従来方針を転換し、第三者委員会の設置による再調査を行うことを表明した[35]。
一連の流れの中で、丸尾牧県議(無所属、緑の党グリーンズジャパン[注 1])は、4月下旬から6月3日上旬にかけ、独自でパワハラの有無を調べる県職員に対するアンケート調査を実施[36]。斎藤は6月6日の定例記者会見で、アンケート回答の指摘内容ついて、一部部事実関係を認め謝罪した[37][38]。
以降、百条委員会設置の動きが強まり[39]、副知事である片山は、自民党県議団に対し自身の辞職と引き換えに百条委員会設置を見送るよう働きかけたが拒否され[40]、県議会は6月中旬に、百条委員会の設置議案を賛成多数で可決し[41]、百条委員会が設置され、調査が開始された[42]。
7月7日夜、19日の第3回百条委員会で証言予定であった元西播磨県民局長が死亡しているのが発見された[43]。自殺とみられる[43]。このことが報じられて以降、県庁に1600件以上の抗議電話が殺到し、多くの業務に支障が発生した[44]。
7月10日、兵庫県職員労働組合は「問題の発生以来、現場の業務遂行には大きな支障が生じており、県政が停滞し、もはや県民の信頼回復が望めない状況になっている」として、斎藤に辞職を求める申し入れを行った[45]。同日、斎藤は記者会見で「生まれ変わって信頼関係再構築したい」と述べ、辞職を否定した[46]。
また斎藤と共に告発文書で名前を挙げられた副知事の片山が7月31日付で辞職し、斎藤に近い幹部職員らが相次いで病休や自主降格を申し出るなど、県政運営に支障をきたす事態が生じた[47]。
9月9日に維新が斎藤に辞職と出直し選挙を求める申し入れを行い、9月19日には県議会の全会派と無所属の全議員が斎藤への不信任決議案を共同提出し、全会一致で可決した[48][49]。
これを受け斎藤は、不信任決議可決から10日経過後の同月30日付で兵庫県知事を失職し、出直し選挙に立候補することを正式表明し[50]、2024年兵庫県知事選挙に出馬した。
NHKから国民を守る党党首の立花孝志は、一連の県議や県議会やメディアの動きに疑問を覚え、『メディアぐるみでの斎藤イジメ』を指摘し[51]、2024年兵庫県知事選挙への立候補を表明[52]。立花は「知事が辞めなければいけないほどの違法行為は見つかっていない。なのに県議会が全会一致で知事を辞めさせた」「自分の当選は考えていない」と述べ、斎藤を選挙運動により合法的に支援することが出馬理由であると説明[52]。立花は、県議らから情報提供を受けたという、10月25日に秘密会として開催された百条委員会から流出した音声データを、街頭演説で紹介し、SNSへ投稿し拡散するなどの選挙活動を行った[53]。
告発文書について
編集前提として、告発文書は2つ存在する[28][29]。一つは2024年3月12日に元西播磨県民局長が、国会議員、県会議員、報道各社の計10箇所に匿名で送付した告発文書であり[14]、もう一つは同年4月4日に元西播磨県民局長が、兵庫県庁内の公益通報窓口に実名で改めて提出した告発文書である[54][28]。
3月12日に匿名で送付された告発文書
編集県(斎藤)の内部調査と見解
編集2024年3月12日の匿名の告発文書については、県(斎藤)は3月20日に、(元県民局長本人ではない)民間の一般人からの情報提供により入手しており、藤原正広弁護士(県特別弁護士、兵庫県弁護士会)に確認のうえ、この文書を内部通報(公益通報者保護法第3条第1号の『事業者内部または事業者が定めた内部通報窓口への内部通報』、1号通報)として扱っていない[55][27]。
県は、同年3月中旬から5月初旬にかけて、この告発文書に関して調査を行い[17]、藤原弁護士に確認のうえ[27]、県は内部調査結果を、同年5月7日に公表し、「記載された事案で核心的な部分が事実ではなく知事や職員に対する誹謗中傷であり不正行為である」と判断したと発表した[55][56][27]。
兵庫県警の見解
編集兵庫県警は、2024年8月20日の県議会警察常任委員会において、3月12日の匿名告発文書を受領しているとしたで、「記載内容や匿名の文書であることなどを総合的に考慮した結果、現状においては、公益通報(公益通報者保護法第3条第2号の『権限を有する行政機関等への通報』、2号通報)としての受理には至っていない」と答えた[57]。
第三者委員会・百条委員会による調査
編集県議会は、2024年5月下旬に全会派による第三者委員会の設置を県に要請し[34]、同年9月中旬から弁護士6人で構成される第三者委員会にが設置され[58]、報告書を2025年3月をめどに取りまとめる方向で、現在調査が行われている[58]。
また県議会は、2024年6月中旬に百条委員会設置案を賛成多数で可決し[41]、百条委員会が設置された[42]。現在、百条委員会による調査が行われている。
4月4日に実名で改めて提出された告発文書
編集4月4日の告発文書の内容(全文)は公開されていないが、同日に元西播磨県民局長が、報道各社に配布した資料の中で、「本日、①(片山安孝元副知事が、ひょうご震災記念21世紀研究機構の人事を報告した翌日に、同機構の理事長である五百旗頭真氏が病死した旨の内容)を除き、その事実の解明と是正措置の検討を公益通報しました」と、3月12日の告発文書の内容と一部異なることが説明されている[59]。
公益通報委員会による調査
編集4月4日の告発文書については、兵庫県職員公益通報制度[60]を所管する、県財務部県政改革課が事実関係を調査を行うこととなった[28]。日本経済新聞の7月20日付記事によると、県財務部が調査結果としてハラスメント研修の充実や贈答品受領基準の明確化などの是正措置を講じるよう県側に求める方向であることが明らかとなった[61]。調査結果の公表内容については県財務部から百条委員会の奥谷委員長と岸口委員長に説明はあったものの、ある議員からの強い意見により県からの発表は突如延期され、正式な発表はいまだ出ていない[62]。
告発文書の内容
編集3月27日の定例記者会見が行われた時点では、告発文書の内容は公にされていなかったが、地方政治や警察不祥事を重点的に扱うことで知られる「ニュースサイトHUNTER」の4月2日付記事で全文(一部個人・企業名は黒塗り)が公開された[1]。後に文書問題調査特別委員会(百条委員会)が設置され、第3回目(7月19日)の百条委員会の資料で全文(個人・役職・企業名は黒塗り)公開された[63]。
ここでは第3回目の百条委員会(7月19日)の資料[63]から、原文ママで引用したものを紹介する。文中の役職はいずれも告発文書が送付された2024年3月12日付時点のものである。
①五百旗頭真先生ご逝去に至る経緯
編集『令和6年3月6日に五百旗頭真先生が急逝されました。その死に至る経緯が次のと おりです。先生は現在、ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長をされています。井戸敏 三兵庫県前知事から懇願され、兵庫県立大学理事長をはじめ兵庫県行政に深く関わっ てこられました。 令和3年8月に知事が反井戸の齋藤元彦氏に交代してからは知事はじめ県幹部と の関係に溝が出来ていたようです。とにかく齋藤氏は井戸嫌い、年長者嫌い、文化学 術系嫌いで有名です。 お亡くなりになられた日の前日ですが、齋藤知事の命を受けた片山安孝副知事が五 百旗頭先生を訪問。要件は機構の●●●●をされている●●●●●、●●●●●●の お二人の解任についての通告です。相談ではなく、通告です。 来年1月は阪神淡路大震災から30年の区切りの時を迎えます。機構の役割・使命 を果たす事実上最後の大きな契機であると言っても過言ではないと思います。●●、 ●●●●●●はまさにこの分野における第1人者であり、井戸前知事が要請し、兵庫 県政に関わってこられました。五百旗頭理事長もお二人には全幅の信頼を寄せておら れているにも関わらず、このタイミングでの副理事長解任はハッキリ言って、五百旗 頭先生と井戸前知事に対する嫌がらせ以外の何ものでもありません。 あまりに突然の県からの通告に、先生はその時点では聞き置くに止め、片山氏には お引き取り願ったそうです。その日、帰宅されてからも、齋藤知事のあまりの理不尽 な仕打ちに憤慨され、夜も眠れなかったそうです。翌日、機構に出勤されてからも、 周囲の職員に同様の胸の内を明かされたそうです。そして、その日の午後に機構の理 事長室で倒れられ、急性大動脈解離で急逝されました。 急性大動脈解離は激昂などの情動的ストレスがトリガーになることもあるといい ます。齋藤知事、その命を受けた片山副知事が何の配慮もなく行った五百旗頭先生へ の仕打ちが日本学術界の至宝である先生の命を縮めたことは明白です。』(原文ママ)[63]
この指摘項目に関しては、県と元西播磨県民局長の双方が憶測だと認めた[64][65][66]。
県側の見解
編集斎藤は6月21日の定例会見で「片山副知事の報告を随時受けながら、適切に人事の対応をしてきたものと考えている」「五百旗頭先生の命を縮めたことは明白とあるのは、科学的根拠もないままある種の誹謗中傷にもなる」とした[64]。また、片山が解任を通告したのは告発文書に在る逝去の「前日」ではなく「6日前」とされる[65]。
その後の経過
編集7月12日付で遺族から百条委員会に提出された陳述書の中で、元西播磨県民局長は、『その後の確認で、日にちについては聞き間違いと記載に誤りがあり、「齋藤知事、その命を受けた片山副知事が何の配慮もなく行った五百旗頭先生への仕打ちが日本学術界の至宝である先生の命を縮めたことは明白です。」の部分は憶測です。』(全文ママ)と供述し、この項目に関しては憶測だと認めた[66]。
7月27日、知事の斎藤は、神戸大学で行われた「五百籏頭眞さんをしのぶ会」に参列した。参列後の記者団の取材対し、斎藤は「しのぶ会なので、文書に関するコメントは差し控える」、「兵庫県へのお力添えと、私自身への指導に感謝している」「阪神・淡路大震災から来年で30年となるのを前に亡くなられたのは大変残念」と答えた[67]。
②知事選挙に際しての違法行為
編集『令和3年7月18日執行の兵庫県知事選挙に際して、兵庫県職員である●●●●●、 ●●●●、●●●●、●●●●は、選挙期間以前から齋藤元彦立候補予定者について、 知人等に対する投票依頼などの事前運動を行った。●●●は自分の居住地である●● ●●●幹部等に対して「自分は選挙前から齋藤のブレーンだった。お前ら言うこと聞 けよ」と恫喝している。 ○公職選挙法違反、地方公務員法違反 また、選挙公約の作成、選挙期間中の運動支援など、多岐にわたり選挙運動を手伝 った。 ○地方公務員法違反 その時の論功行賞で、この4人はそれまでの人事のルール無視でトントン拍子に昇 任。結果的に彼らが行ったことを裏付けすることとなっている。』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集斎藤は「指摘されている数名の職員は私が宮城県庁勤務、そして大阪府庁勤務していた頃からの知人」としたが「私から投票依頼などをしたことはない」と否定[64]。
③選挙投票依頼行脚
編集『令和5年下半期から齋藤元彦兵庫県知事は、次回知事選挙時の自分への投票依頼を 始めている。産業界については●●●●●●●●●●が随行。 具体的には、令和6年2月13日に但馬地域の商工会、2月16日に●●●●●● ●へ出向き、投票依頼したことを確認している。その他の市町の商工会議所、商工会 へも働きかけを行っている様子。 ○公職選挙法違反、地方公務員法違反』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集2024年度予算案の説明で訪問したことは事実としながらも「選挙に関する投票依頼は一切していない」と否定[64]。
④贈答品の山
編集『齋藤知事のおねだり体質は県庁内でも有名。知事の自宅には贈答品が山のように積 まれている。 (例1) 令和5年8月8日、兵庫型奨学金返済支援制度利用企業の視察として訪れた●●● の●●●●●●(●●●●のトースターで有名)における出来事。周囲にマスコミが いるため、●●の幹部から贈呈された高級コーヒーメーカーをその場では「そんな品 物は頂けません」と辞退。一方、随行者の●●●●●●●●●●に向かって「みんな が見ている場所で受け取れるはずないやろ。失礼な。ちゃんと秘書課に送るように言 っておけ!」と指示。後日、無事にコーヒーメーカーをゲットしている。●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 (例2) 令和5年7月に●●●●●●●●●●●●●と兵庫県はスポーツ連携協定を結ん だ。そして、ヘルメット着用のキャンペーンを展開している。そのPR用の写真は● ●●●のロードバイク(約50万円)に跨がる知事。そのバイクは撮影の後、知事へ 贈呈された模様(偽装的に無償貸与の形をとる、ほとぼりが冷めるまで県庁で保管す るなどの小細工がなされているかも知れません)。特定の営利企業との包括協定は、 企業にとっては絶好のPRとなり、その見返りとしてのロードバイクの贈呈となると 完全な贈収賄である。 これらは全て●●●●●●●●●のアレンジ。 (例3) ●●●●●●からは、特産品のゴルフのアイアンセット(約20万円)が贈呈され ている。しかも、使いにくいからと再度、別モデルをおねだりしたという情報もある。 特別交付税(市町振興課所管)の算定などに見返りを行った可能性がある。 ●●●●●●●●●●●●は知事と同じ総務省からの出向にも関わらず、知事から 考えられないくらい冷遇されているが、その辺りを忖度しなかったことへの面当てか も知れない。 (例4) 知事は驚異の衣装持ち。特にスポーツウエア。メーカーにすれば知事は動く広告塔。 これも貸与だと言えるのかどうか。特定企業(例えば●●●●●)との癒着には呆れ るばかりである。 そもそも、視察先やカウンターパートの企業を選定する際には、“何が貰えるか”が 判断材料だとか。企業リストには備考欄があって、“役得”が列記されているとか。 3 そして、とにかく貰い物は全て独り占め。特産品の農産物や食品関係も全て。あま りの強欲、周囲への気配りのなさに、秘書課員ですら呆れているという噂。もちろん、 出張先での飲食は原則ゴチのタカリ体質、お土産必須。そのため、出張先では地元の 首長や利害関係人を陪席させて支払いをつけ回す。出張大好きな理由はこれ。現場主 義が聞いて呆れる。 』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集斎藤は6月の定例記者会見で「私から贈答品を要求した事実はない」と否定[64]。その後、元西播磨県民局長が生前に百条委員会へ提出した録音データにより上郡町を視察した際に同町産のワインについて「折を見てお願いします」と要求していた音声が公開されたが「県産品のPR目的」としつつ、ワインは自宅で飲んだがSNSを通じたPRなどは特に行っていないとした[68]。
その後の経過
編集元西播磨県民局長の遺族から百条委員会に提出された陳述書によると、おねだりが特別交付税の算定の見返りである根拠について、" 「可能性がある」というだけで根拠はない"と告発の一部を修正している[66]。
4月16日、読売新聞が、斎藤が前年8月に加西市の企業を視察した後、産業労働部長が計約6万円相当のコーヒーメーカーとトースターを受領し、3月下旬に企業側へ返却していた事実を報じた[33][30]。 企業は、斎藤が訪問した際にコーヒーメーカーなどを贈ろうとしたが、高価なもの貰えないと断られた。翌日に産業労働部長から自分宛てに送ってほしいと依頼があり送ったという[33][30]。 産業労働部長はこれを認め、企業への依頼の際に『知事が商品を送るよう指示した』などと記述したが、「知事が受け取るかもしれないと思い、自分の判断で依頼した。受け取りは秘書課を通じて再度断られた」「直ちに返すべきだったが、失念していた」と説明した[33][30]。 受領したコーヒーメーカーなどは、秘書課を通じてを再度斎藤に拒否され、返却するまで開封せず部長室前の倉庫で保管したという[33][30]。
⑤政治資金パーティ関係
編集『令和5年7月30日の齋藤知事の政治資金パーティ実施に際して、県下の商工会議 所、商工会に対して経営指導員の定数削減(県からの補助金カット)を仄めかせて圧 力をかけ、パー券を大量購入させた。実質的な実行者は片山副知事、実行者は●●● ●●●●●●●●●●●●●。 また、●●●●●●●●●●●●●●、●●●●●による保証業務を背景とした、 企業へのパー券購入依頼も実行された。●●●●●は片山副知事から県職員OBによ る齋藤知事後援活動の責任者を依頼され、交換条件として厚遇の●●●●●●●●● に異例の抜擢をされていた。 この件は準公的な機関である●●●●を舞台にした政治活動なのでさすがに危険 を感じたのか、●●●●●は1年で退任し、●●●●●の監査役へ行くようである。 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●。 今後、県から●●●●●へなにがしかの利益供与があるものと思われる。』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集2024年5月7日、県は内部調査結果を公表し「核心的な部分において事実無根(真実相当性がなく)であり誹謗中傷である」と結論付けた[69][20][21]。
その後の経過
編集2024年5月20日、県の内部調査に協力した藤原正廣弁護士が兵庫県信用保証協会の顧問弁護士であることが読売新聞により報じられ、中立性に疑義が呈された[70]。取材に対し、藤原正廣弁護士は「兵庫県信用保証協会の顧問弁護士であることを当初、県側は認識していなかったと思うが、途中で伝えた」「顧問弁護士の立場が調査に結びつくことはなく、客観的に調査はできている。問題があると思っていない」と答えた[70]。
2024年5月20日、県職員局は藤原正廣弁護士の適格性(中立性)について、日本弁護士連合会の弁護士倫理委員会委員[71]の高橋司弁護士の「法的な問題はない」「弁護士の受任は利益相反があれば制限されるが、利害関係だけでは制限されない」という見解を公表した[72][73]。
⑥優勝パレードの陰で
編集『令和5年 11 月 23 日実施のプロ野球阪神・オリックスの優勝パレードは県費をかけ ないという方針の下で実施することとなり、必要経費についてクラウドファンディン グや企業から寄附を募ったが、結果は必要額を大きく下回った。 そこで、信用金庫への県補助金を増額し、それを募金としてキックバックさせるこ とで補った。幹事社は●●●●●●。具体の司令塔は片山副知事、実行者は産業労働 部地域経済課。その他、●●●●などからも便宜供与の見返りとしての寄附集めをし た。パレードを担当した課長はこの一連の不正行為と大阪府との難しい調整に精神が 持たず、うつ病を発症し、現在、病気休暇中。しかし、上司の●●●は何処吹く風の マイペースで知事の機嫌取りに勤しんでいる。 ○公金横領、公費の違法支出』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集補助金の増額を行ったことは「前年までの補助からの大幅な減額を避け、事業をソフトランディングさせるため」として、パレード補助金へのキックバックの意図を否定している[74]。
その後の経過
編集5月27日、元県民生活部総務課課長(元パレード担当課長)が4月20日に死亡していたことを、FRYDAYが報じた[75]。
7月23日、県は、県職員向けのサイトに元県民生活部総務課課長(元パレード担当課長)の訃報を掲載した。県は翌日の記者会見で「遺族の意向で公表していなかった」と説明した[76]。元総務課長は1月から休職し、4月付で県の外郭団体に出向していたという[77]。
8月6日、サンテレビが告発文書に記載された「補助金の増額を片山の指示で実施したことを裏付ける県公文書」の存在を報じた[78]。元県民生活部総務課課長(元パレード担当課長)について、複数の関係者が、「警備やコスト削減、大阪府などとの調整に苦労していたが、補助金の増額には関与していなかった」と、証言している[78]。
11月8日、10月24日に秘密会として行われた百条委員会に出席し証言を行った、但陽信用金庫の桑田純一郎理事長の、実名独占インタビューを週刊現代が報じた[79]。インタビューの中で桑田理事長は、「キックバックの幹事役を引き受けたかのように書かれたことは、事実無根で、名誉毀損も甚だしい」[79]、「片山元副知事からキックバックの計画を持ちかけられたことも、具体的な金額の提示を受けたこともない」[79]、「金額について触れたのは私が先で、片山元副知事からではない」[79]、「協賛金は、地域貢献を行う信金の役割として拠出し、何らかの見返りを求めたものではない」[79]、「一連の報道は、協賛金と補助金という別の話を無理やり関連付けて、齋藤派を陥れようとする思惑が働いているように見える」[80]と疑惑を否定した[79][80]。同時に、自身が秘密会で証言した当日に、「片山元副知事の方から金額が提示された」かのような、一部報道が行われた件[81][82]について、秘密会に出席した県議からのリークの可能性を示し、「私はこの時も含めて何度も明確に否定していますし、秘密会で行われたやりとりを普通に聞けば、そうでないことがわかるはずです」と話し否定した[80]。
⑦パワーハラスメント
編集『知事のパワハラは職員の限界を超え、あちこちから悲鳴が聞こえてくる。 執務室、出張先に関係なく、自分の気に入らないことがあれば関係職員を怒鳴りつけ る。例えば、出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20m程手前で 公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし、その後は 一言も口を利かなかったという。自分が知らないことがテレビで取り上げられ評判に なったら、「聞いていない」と担当者を呼びつけて執拗に責めたてる。知事レクの際に 気に入らないことがあると机を叩いて激怒するなど、枚挙にいとまがない。 また、幹部に対するチャットによる夜中、休日など時間おかまいなしの指示が矢の ようにやってくる。日頃から気に入らない職員の場合、対応が遅れると「やる気がないのか」と非難され、一方では、すぐにレスすると「こんなことで僕の貴重な休み時 間を邪魔するのか」と文句を言う。人事異動も生意気だとか気に入らないというだけ で左遷された職員が大勢いる。 これから、ますます病む職員が出てくると思われる。 ○(職員からの訴えがあれば)暴行罪、傷害罪』(原文ママ)[63]
県側の見解
編集斎藤は6月5日の定例会見で「時間が限られてる中で、移動する中で、私からすると適切ではない段取りがあったので注意をさせていただいたということはあります。それなりに厳しい口調で注意をさせていただいたということはあります」と、叱責の事実については認めている[83]。
その後の経過
編集丸尾議員のアンケートにより、告発文書で挙げられた出来事は兵庫県立考古博物館(加古郡播磨町)で実際に起きていたことが複数の職員から証言されている[83]。このアンケートでは、他に「エレベーターに乗り込む際に自動ドアが閉まりそうになったことに激怒し職員を叱責」「浴衣祭りの着替え場所が気に入らず苦言」「同じ浴衣祭りで自分だけプロの着付けを求める」等の行動についても情報が寄せられている[84]。
告発文書の提出と県側の調査
編集告発文書作成とその背景
編集元西播磨県民局長は、京都大学法学部を卒業し、1987年に兵庫県庁へ入庁、人事課長や教育次長、管理局長を経て、旧井戸県政末期の2021年4月に西播磨県民局長へ就任[85]。旧井戸県政においては、井戸敏三前知事の出身地を管轄するため、県民局長の中でも西播磨県民局長のポストは非常に重要であり、格が上だとされていた[5][85]。2024年3月31日付で依願退職し、新年度からは学校の校長に就任する予定となっていた[86]。
西播磨県民局のサイトでは、毎月「局長メッセージ」と題するコラムを連載していたが、2023年後半から県庁の体制批判と取れる内容が綴られるようになっており、告発文書を作成する前月の2024年2月には「これからの兵庫県は、志ある次世代の若者達に選ばれ続けることが出来るでしょうか。職員達が働いていたいと思う組織であり続けられるでしょうか」「組織の劣化はひとえに権力者の取り巻きの劣化が原因である。自分より優秀な者をさん言により権力者から遠ざけ、真実に蓋をし、判断を誤らせる。その組織はどんどんと腐敗し落ちぶれていく」と、強く組織批判するものとなっていた[87][注 2]。
元西播磨県民局長は、知事の斎藤や副知事の片山、その他の幹部職員らを告発する7項目にわたる内部告発文書を作成し、2024年3月12日に兵庫県警、国会議員、県会議員、報道各社の計10箇所に匿名で送付した[88]。
- 兵庫県警捜査2課
- 産経新聞
- 神戸新聞
- 日本放送協会(NHK)
- 朝日新聞
- 竹内英明(ひょうご県民連合、県議、姫路市)[90]
- 山口晋平(自民党、県議、たつの市及び揖保郡)[91]
- 黒川治(自民党、県議、尼崎市)[92]
- 原哲明(自民党、県議、淡路市)[93]
- 末松信介(自民党、参議院議員、元兵庫県議、元県議会副議長)[94]
県の内部調査と元西播磨県民局長の懲戒処分
編集県の内部調査、公用パソコンの押収と事情聴取
編集2024年3月20日、知事の斎藤元彦は、民間の一般人からの情報提供により、3月12日の匿名の告発文書が出回り始めていることを把握し、文書を入手した[89][95]。
3月21日、斎藤は知事室に、副知事の片山安孝(当時の県の最高人事責任者)と、総務部長(県の内部調査責任者)と、県民生活部長と、産業労働部長を集め、告発文書を見せ事実関係を確認した上で、誰がどういう目的で出したのか、徹底的に調べるようと指示を行った[89][96]。調査指示を受けた片山は、総務部長や、産業労働部長や、調査を実行する人事課担当者と協議[96]。その協議で、告発文書に多くの項目が存在するため、複数人でやってるのではないかという疑いが浮かび、公用メールの調査を行うことを決定し、県(総務部職員局人事課、人事局とも呼ばれる)による内部調査が始まった[96][95][19]。
3月23日、メール調査を行った人事課が「文書の格子となるもの」発見し、元西播磨県民局長が、3月12日の匿名の告発文書の作成者である疑いが強いと、総務部長(県の内部調査責任者)へ報告。同日、斎藤と、片山と、理事と、前総務部長と、県産業労働部長は、この件について協議し、3月25日に3班による3ヵ所同時調査(公用パソコンの押収と事情聴取)を行うことを決定した[96][96][19]。
3月25日、片山と人事課長は、西播磨県民局をアポなしで訪れ、元西播磨県民局長の公用パソコンを押収し、元県民局長に対し事情聴取を行った[19]。当時、押収された元県民局長の公用パソコンから、告発文書とともに、メール記録からは『クーデター』『革命』『逃げ切る』という言葉が確認された[19]。また、この公用パソコンからは、業務と関係のない私的文書や、人事課の管理職時代に私的に持ち出した特定の職員の顔写真データや、2022年5月に匿名で送付された部下職員の人格を否定する文書や、個人のプライベートな情報等が記録されていたことが、その後の県の内部調査で判明した[20][21]。
元西播磨県民局長の定年退職取りやめ発表
編集3月27日、県は、3月31日付で退職予定の元西播磨県民局長を、27日付で総務部に異動させ退職を保留し、4月1日付で役職定年とする異例の人事を発表した[22][23][97]。
県(斎藤)は、同日の記者会見で、この元西播磨県民局長の異例の人事に関する、記者からの質問に対し、現在は人事当局を中心に内部調査中と説明したうえで、「この文書の内容には、事実無根の内容が多々含まれており、職員等の信用失墜、名誉毀損など、法的な課題があると考いる。現在、被害届や告訴なども含めて、法的手続きの検討を進めている」、「不満があるからといって、業務時間中に、嘘八百含めて、文書を作って流す行為は公務員としては失格」と発言し説明した[24]。この斎藤の「事実無根」「嘘八百」という強い言葉を使った件については、のちに県議やマスコミから批難された[23]。
元西播磨県民局長の公益通報(4月4日)
編集4月1日、元西播磨県民局長は、斎藤の記者会見に対する反論文を報道機関に送付[25][26]。県民局長は、反論文の中で、「先日の知事記者会見の場で欠席裁判のような形で私の行為をほとんど何の根拠もなく事実無根と公言し、また私の言動を事実とは異なる内容で公にされました」[26]、「ありもしないことを縷々並べた内容を作ったことを本人も認めているという知事の発言がありました」[26]、「私自身がそのことを認めた事実は一切ありません」[26]、「私への事情聴取も内部告発の内容の調査も十分なされていない時点で、知事の記者会見で告発文書を『誹謗中傷』、『事実無根』と一方的に決めつけ、『嘘八百含めて』は意味不明ですが、『すべて事実無根』と聞き取れます。本当でしょうか」[98]、「本来なら保護権益が働く公益通報制度を活用すればよかったのですが、自浄作用が期待できない今の兵庫県では当局内部にある機関は信用出来ません」[26]と主張し、この反論文は後に報じられた[25][26][98][99]。
同日以降、県人事課が、県特別弁護士である藤原正広弁護士(兵庫県弁護士会)の事務所へ、3月12日の匿名の告発文書の件と、元西播磨県民局長の処分について、法的見解を聞くため、複数回訪れた[27]。
4月2日、ニュースサイトHUNTERが同日付の記事で、それまで公には公開されていなかった、3月12日の匿名の告発文書の全文を公開した[1]。
4月4日、元西播磨県民局長は「調査方法があまりに非常識・不適切で、真相究明を期待することは到底できない」として、県庁内の公益通報窓口へ改めて実名で告発文書を提出した[100][54][88]。
県の内部調査結果と元西播磨県民局長の懲戒処分の発表
編集4月16日、斎藤が前年8月に加西市の企業を視察した後、産業労働部長が計約6万円相当のコーヒーメーカーとトースターを受領し、3月下旬に企業側へ返却していた事実を、読売新聞が報じた[33][30]。
5月7日、県は内部調査の結果とともに、元西播磨県民局長を停職3カ月の懲戒処分と、産業労働部長の訓告処分を発表した[101]。県の内部調査では、人事当局が3月12日の告発文書で名前が挙げられた斎藤を含む職員や関係者全員に対してヒアリングを実施がされ、その結果、3月12日の告発文書が、全ての事案で核心的な部分が事実ではなく、知事や職員に対する誹謗中傷であり、元西播磨県民局長の不正行為であると判断した[101]。また元西播磨県民局長が、公用パソコンで2011年から計200時間ほど掛けて業務と関係のない私的文書を多数作成していたこと[21]、当時西播磨県民局長であった2022年5月に、部下の職員に対して匿名で人格を否定する文書を送付するハラスメント行為を行ったこと[21]、人事課の管理職時代に私的に特定の職員の顔写真データを持ち出していたことも[20]、懲戒処分の理由だと説明した。県の発表に同席した、藤原正広弁護士(県特別弁護士)は、第三者委員会を設置しなかった理由について、「調査が行われる前からいきなり第三者委員会の設置とはならない。今回人事課が行った調査で、事実の解明ができないと考えられる事情は認められない」と説明した[101]。
5月8日、斎藤は記者会見で、県は内部調査の結果と処分について、記者の質問に答えた。
元西播磨県民局長から公益通報窓口へ告発文書の提出がなされている現段階で処分した理由については、「通報以前に行われた本人の非違行為に対して懲戒処分を行うことを、人事当局と協議しながら判断した。藤原正広弁護士(県特別弁護士)からも問題がないと見解を聞いているので、それに沿って判断した」と答えた[102][103]。
元西播磨県民局長は停職3カ月の懲戒処分、産業労働部長は訓告処分となった件について、処分の軽重の見解については、「処分の量定については、それぞれの非違行為について県の懲戒処分指針や過去の処分事例を踏まえて決定しているので、適切だったと思う」と答えた[102][103]。
7月20日、県財務部(県政改革課)は、元西播磨県民局長が4月4日に行った公益通報を受け、ハラスメント研修の充実や贈答品受領基準の明確化などの、是正措置を講じるよう県側に求める方針であることが報じられた[104]。公益通報の調査は、兵庫県職員公益通報制度[60]を所管する、県財務部(県政改革課)が、弁護士で構成される公益通報委員会からの意見を受けた上で判断が行われる。委員である副知事の片山は、当事者であるため、本件では外れていた[104]。パワハラ疑惑については、一部で強く叱責されたという職員もいたが、認定には至らなかった。ただし、知事のコミュニケーション不足などを重く見て対応が必要と判断した[104]。副知事の片山が、政治資金パーティー券の販売に関わったとされる件については、違法性を否定した。今後は慎重に対応すべきだとする方針だという[104]。
県人事課の内部調査の問題点
編集神戸新聞に対する告発者探し
編集4月17日、県人事課の職員が、神戸新聞社を訪れ、記者に対し告発文書の入手の有無を質問。記者は取材源の秘匿の原則を理由に回答を拒否した。日本新聞労働組合連合は、同月26日付で「情報源の秘匿に踏み込む不当な『聴取』だ」「記者から経緯を聴取し、情報源の開示を迫る人事課の高圧的な対応は、報道の自由や市民の知る権利を侵害するものだ」とする抗議声明を発表した[105]。
4月26日、斎藤は、定例記者会見で、「人事課が、行う調査方法は、私自身も把握をしていない」、「懲戒処分の可能性があり、事実確認などを行うことは、処分や調査の信頼性を確保するためにも大事」、「一方で、事実確認をする際には、報道の自由を侵害しない範囲で適切に対応していくことは必要」、「(当事者であるため)私が直接指示をすることはできない」と述べた[106][107]。
内部調査に協力した弁護士の適格性
編集5月20日、県人事課の内部調査に協力した、藤原正広弁護士(県特別弁護士)が、告発文書内で政治資金関係の疑惑を指摘された、県信用保証協会の顧問弁護士であることが、報道により明らかとなった[108]。
5月29日、県人事課は、日本弁護士連合会弁護士倫理委員会の高橋司弁護士に、藤原弁護士の適格性と中立性について見解を求め、「(藤原弁護士が)調査に関与したことには、弁護士法等の問題はない」、「外部調査委員の場合などの例外を除き、中立性は求められていない」とする、同弁護士の見解を公表した[109]。
県職員の私物スマートフォンの調査
編集8月7日、県人事課が、県の内部調査で、県職員の私物のスマートフォンを調査していたことが判明した[110]。
同日、斎藤は、記者会見で、「しっかりと調査するよう指示したが、具体的な調査内容までは指示はしていない」、「一般的に任意での開示依頼に対して、相手方が協力的に調査に応じた場合は、調査手法として法的に問題がないと考えている。藤原正広弁護士(県特別弁護士)にも確認をしている」と説明した[110][111]。
第三者委員会の設置と調査
編集4月24日、丸尾牧県議(無所属、緑の党グリーンズジャパン)は、知事の斎藤元彦に対し、告発文書の内容を有識者が調査する第三者委員会の設置や、パワハラの有無を調べるための職員アンケートの実施などを求める申し入れを行った[112]。丸尾県議は、斎藤が申し入れに応じない場合、県議会で特別委員会を設置するべく、他会派に協力を呼びかける考えを示していた[112]。
当時の斎藤は、県(人事課)が内部調査を進めている最中であるため、第三者委員会には否定的だった[112]。
4月26日、斎藤は記者会見で、丸尾県議の申し入れについて「人事課が弁護士と相談しながら詳細な調査をしている」として否定的な考えを表明した[113]。同日より、丸尾県議は、後述の独自アンケート調査を開始した[36]。
5月9日、立憲民主党の県議らで構成される「ひょうご県民連合」は、県に対し、県(人事課)による内部調査は、客観的ではないとして、第三者委員会の設置を申し入れた[114]。
5月14日、斎藤は記者会見で、第三者委員会の設置を検討していると述べ、第三者委員会による再調査に否定的な従来方針を転換した[115]。
5月15日、県議会の最大会派である自民党(自民党県議団)は総会を開き、第三者委員会の設置や、百条委員会の設置について協議した。百条委員会の設置については意見が割れ、結論は出なかった[116]。
5月16日、県議会各会派の代表者会議で一部会派を除き、自民党と公明党が第三者委員会の設置を県に要請する方向で合意した[117][116]。同日、会派の代表者会議に参加していない共産党も、県に対し、第三者委員会の設置を申し入れを行った[117][116]。
5月21日、県議会(内藤兵衛議長)は、県に対し、全会派合意による第三者委員会の設置を要請した[118]。同日、県は、第三者委員会の設置を正式表明し、設置準備業務から知事部局が離れることが望ましいとし、設置準備を県代表監査委員に委任する方針を示した[118]。
9月18日、弁護士で構成される第三者委員会が設置され、初会合が開かれた。県弁護士会の弁護士6人を委員とし、2025年3月をめどに報告書を取りまとめる予定と発表された[58][119]。
丸尾牧県議の独自アンケート
編集丸尾牧県議(無所属、緑の党グリーンズジャパン[注 1])は、告発文書問題を受け、4月下旬から6月上旬にかけて、知事の斎藤元彦のパワハラの有無を調べるため、独自アンケートの集計を行った[36]。
5月15日、丸尾県議は記者会見で、匿名であり、事実関係は不明と説明した上で、5月14日時点の独自アンケートの集計結果を公表した[120]。その後丸尾県議と報道各社はこれを追及した[37][38]。
後に、この独自アンケートは、第2回百条委員会(6月27日)で、採用を巡り意見が分かれたが、維新以外の会派の賛成多数で採決され、百条委員会の参考資料として採用配布された[121]。
丸尾県議の独自アンケート集計方法と実施
編集丸尾牧県議は、4月26日に兵庫県庁、5月31日に阪神北県民局、6月3日に阪神南県民センターの、3カ所で「県職員ですか?」と声掛け確認を行い、アンケート用紙と返信用封筒を配布した[36][122]。
1回目アンケート用紙配布:4月26日(金)7時40分~9時、兵庫県庁前、配布枚数300枚[122]
2回目アンケート用紙配布:5月31日(金)7時40分~9時、 阪神北県民局、80枚配布[122]
3回目アンケート用紙配布:6月3日(月)7時40分~9時、阪神南県民センター、28枚配布[122]
5月14日時点:回答数21人(元職員1人)[122]
6月20日現在:回答数24人(+3人、再度提出した人が1人)[122]
6月24日時点:回答数3人[122]
パワハラ記載:3人(1回目2人、2回目1人)から7件の記載あり[122]
物品授受記載:1人(1回目1人)から1件の記載あり[122]
独自アンケート集計結果の公表(5月14日時点)と報道
編集5月15日、丸尾県議は記者会見の場で、独自アンケートの集計結果(5月14日時点)を公表した[120][122]。丸尾県議は、記者会見で「匿名であり、事実関係は不明」[120]と説明した上で、斎藤のパワハラに関する指摘が7件、告発文書に記載された以外の贈答品やその管理状況に関する回答が寄せられたと話した[123][120]。パワハラについて、「庁外での公務イベント時には、目的地に15分前に着かないと激怒。随行の秘書が罵倒される」[124]「県立考古博物館で駐車位置が気に入らないと激怒」[124]「イベント時にマスコミの取材がないと、担当課を怒鳴り散らしていた」[125]「チラシに自分の写真がないと怒る」[125]などの回答が寄せられたと話した。
5月22日、斎藤は記者会見で、「丸尾議員のアンケートの件は、私自身は詳細を見ていないので、現時点では個別の回答は控えておいたほうが良いかと思っています。」(原文ママ)と前置きした上で、以下の記者の質問に答えた[126]。この内容は後に報道各社で報じられた[37][38]。
『庁外公務イベントでは、いかなる場所でも、個室を用意せねば、同じく罵倒される。罵倒されるのは秘 書課の随行者や側近の部長など。罵倒された彼らは、イベント担当者にきつく注意する。』(原文ママ)[122]
- (斎藤の回答)斎藤氏は、既に5月5日に行われていた定例会見で、「イベントや行事でケース・バイ・ケース。車中で着替えていったりすることもある。秘書室と担当部局でよく調整してもらっていると思う」と説明した[38]。
『(伝聞情報)R5 年度末、尼崎の森公園でのイベント時にあったできごと。知事の意を受けた秘書課 の強い要求により、一般人用の授乳室をクローズドにして、知事専用の個室に一時的に切り替えざるを 得なかった。実際、授乳室を利用したいママさんが、クローズドな状況で困っていた。イベント時、い かなる場所でも個室の確保を強く強要する姿勢及び一般県民にもご迷惑をおかけしている事態は許され ない。』(原文ママ)[122]
- (斎藤の回答)斎藤は5月22日の記者会見で、「私は当日、公務がいろいろあったので、確かスーツで行き、そこで着替える必要があったので、担当部局が着替えるスペースを用意してくれたのだと思います。施設のスペースを一時使用したことは事実です。ただ、着替える部屋が用意されることは伺っていましたが、その部屋が授乳室であることは、私は正直認識していなくて、到着もかなりぎりぎりになって、バタバタと着替えて、外に行ったので、今回の取材等の指摘の中でそこが授乳室だったことを初めて認識したのが正直なところです。ただ、私が着替えた授乳室の代替場所も用意していたと担当からも伺っていますが、結果的に県民の皆さんに、ご迷惑、ご不便をかけたことはお詫び申し上げたいと思っています。」(原文ママ)[122]と説明し謝罪した[37][38]。
はばタンPay+に斎藤の顔写真がないことに激怒したという指摘
編集『はばタンペイ、顔写真事件 今やすっかり定着した知事の顔写真入りポスター・チラシ。これははばタンペイの時にチラシを作っ たが、写真がないことに激怒。慌てて担当課長が知事室に行ったが、「お前?君?ではない、上の者を 呼べ」と知事に言われ、D 部長が知事室に行った模様。その情報が全庁にかけめぐり、知事の顔写真入 りのチラシ・ポスターが入ることになった。これは選挙対策である。県民に顔を売るためだけ。はばタ ンペイ、第 2 弾以降の県のチラシを見て欲しい。』(原文ママ)[122]
『はばタン Pay+広報うちわ 昨年 7 月、はばタン Pay+告知イベントの知事協議の際、知事 が突然怒り始め、周りの職員は怒りの理由がわからず慌てたとのこと。怒りの理由は、広報用に配布す るうちわに、知事の顔写真が入っていなかったことから、結局、うちわやちらしは作り直しとなり、写 真入りのものに差し替えられたとのことです。今では、チラシやポスターには、知事の写真を入れるの が標準になっています。 』(原文ママ)[122]
『知事の顔が‘はばたん Pay‘はじめ各種ポスター・広報物に登場することに対し県民からの苦情が多数 入っている。(来年度の知事選時はポスター撤去するのか?そのコストはいかほどか?) 』(原文ママ)[122]
- (斎藤の回答)斎藤は5月22日の記者会見で、「「はばタンPay+」のポスターやチラシの作成は、産業労働部がしっかり議論をして、効果的に事業効果を発信するために、どうすれば良いかということを考えて、その中で、おそらく知事の写真を使うという提案をされたと認識しているので、それが現時点の事実です。」(原文ママ)と回答した[126]。
百条委員会の設置と調査
編集百条委員会設置までの流れ
編集6月上旬、一連の告発文書問題を巡る県の対応と、報道や丸尾県議の独自アンケート調査で[37]、知事で斎藤のパワハラ疑惑に、一部事実が認められたことなどを受け[37]、最大会派の自民と、第4会派のひょうご県民連合、複数の無所属県議は、百条委員会の設置に動きを強めた[39]。
最大会派の自民党(自民党議員団)は、前回の知事選で、自民と維新が推薦した斎藤県政派と、旧井戸県政派に、約2年間に渡り分裂し続け2024年4月に合流した経緯があり[8][9][10]、斎藤が大胆に改革を進める中での不満や、水面下で新たな知事候補者を探す動きもあった[11]。
片山安孝元副知事は、3月から5月に行われた県の内部調査に関わり、同時に当時の人事責任者であり、元西播磨県民局長の公用パソコンの中にあった「倫理上問題のある文書」の存在を知っていた[127]。そのため、片山元副知事は、百条委員会にまで発展すると、元県民局長を含む県職員の負担が非常に大きくなると考え、まず弁護士からなる第三者委員会の調査を待つべきと主張し、自身の辞職と引き換えに百条委員会の設置を見送るよう、議院運営委員長の藤本百男(加東市、自民)に働きかけたが拒否された[40][127]。
6月13日、県議会本会議で百条委員会の設置議案の採決が行われ、自民党(35人)、ひょうご県民連合(9人)、共産党、無所属の計50人が賛成、維新(21人)と公明党(13人)の計34名が反対し、賛成多数で、百条委員会の設置が可決された[41][128][129]。その際、自民党は党議拘束を掛けていたが、石川憲幸県議(丹波市)が造反し、反対票を投じた[130][129]。
兵庫県議会においては、1973年にPCB汚染対策協議のために設置されてから、51年ぶりとなる百条委員会の設置が決定した[41][131]。
第1回百条委員会(6月14日)
編集6月14日、文書問題調査特別委員会(百条委員会)が設置され、第1回目の百条委員会の会合が開催された[42]。
百条委員会は、自民、維新、公明、県民連合、共産、無所属の6つの会派からなる計15人で構成され[42][132][133]、委員長には、兵庫県弁護士会所属の弁護士でもある奥谷謙一(神戸市北区、自民)、副委員長には、増山誠(西宮市、維新)が選出された。
会派(人数) | 氏名 |
---|---|
自民党(6人) | 奥谷謙一(委員長) |
松本裕一 | |
富山恵二 | |
長岡壯壽 | |
黒川治 | |
藤田孝夫 | |
維新(3人) | 佐藤良憲(副委員長) |
増山誠 | |
岸口実 | |
公明党(2人) | 越田浩矢 |
伊藤勝正 | |
ひょうご県民連合(2人) | 竹内英明 |
上野英一 | |
共産党(1人) | 庄本えつこ |
無所属(1人) | 丸尾牧 |
同時にこの会合では、今後の運営について、以下の項目が確認され、委員からは、県庁職員を対象にしたアンケートの実施や、審議過程で得られた全ての資料を開示すべき、との意見が出された[133][42][134]。
- 原則公開とし、インターネットによるライブ中継及び録画を行う。ただし個人のプライバシーに関わるとき等は、委員会の議決により秘密会とする[133]
- 委員は、秘密会で知り得た情報は他に漏らしてはならない[133]
- 委員会の調査は、基本的人権に最大限配慮して行う[133]
- 傍聴人の定員[133]
- 資料の配布については委員長が決定する[133]
- 県議員は秘密会も傍聴できる。ただし、秘密会で知り得た情 報は他に漏らしてはならない[133]
- 撮影・録音は報道機関のみとする[133]
- 委員会の円滑な運営を図り連絡調整などを行うため、正副委員長及び理事5人で構成される、理事会を置く[133](この理事会は、非公開で行われている[135])
- 委員長は、理事とは別に指名した委員に、オブザーバー(参考人)として理事会への出席を求めることができる[133]
第2回百条委員会(6月27日)
編集6月27日、県議会は百条委員会の2回目の会合を開催[122][136][137][138]。
今後のスケジュール案が確認され、11月までに月1、2回程度開き、11~12月に調査報告書をまとめる予定で合意した[122][137][138]。
証人尋問の実施にあたり、知事や県職員や関係者などへの尋問時間を1日2時間以内とすることや、会派ごとの質問の持ち時間などが決められた[122][137][138]。
7月19日予定の第3回目の会合に、元西播磨県民局長に証人出頭を求めることなどが確認された[137][138][121]。
委員会は県へ、県(人事課)の内部調査の結果、内部調査に係る根拠資料(押収された公用パソコン)の資料提出を求めた[122]。同時に、委員会は元西播磨県民局長へ、3月12日の告発文書などの資料提出を求めた[122]。
委員の丸尾牧県議が実施した独自アンケートを、参考資料として採用するかを巡り、意見が割れたが、当初から百条委設置に反対していた維新以外の会派の賛成多数で採決され、独自アンケートは参考資料として採用されることが決定した[121]。県職員を対象にしたアンケートの実施については、匿名回答の是非や回答の取り扱い方などについて、引き続き協議されることになった[121]。
独自アンケートの採用に反対した維新の増山県議は、「我々が行うかどうか決めようとしてるアンケートで十分だと思うんですけど、なぜわざわざ丸尾さんがされた私的なアンケートをここで提出して、ここに提出された時点である公の文章的な感じで受け止められる。特にですね、マスコミの皆さんはこれまでですね、例えば松本サリン事件とか厚生労働元局長の村木さんの事件とかでですね、報道被害出してきたというのもありますけれど、これがですね、1人歩きして今は現状があるわけですよ」(原文ママ)[136]と述べ、丸尾県議が実施した独自アンケートが公の扱いをされることによる、報道被害の懸念を示した[136]。
一方で、元西播磨県民局長は、停職3カ月の懲戒処分を受け、現時点で不服申し立てをしていない理由を説明する文書を百条委員会に提出し[122]、「後輩たちを訴えることがどんなにつらいか。申し立てをしなくても済む可能性が少しでも残っているのなら、ギリギリまで待ちたい」として申立期限である8月7日まで、人事委員会への不服申し立て保留する考えを示した[122][138]。奥谷謙一委員長は「(百条委員会は)文書内容が事実か解明するのが目的。県民局長がなぜこういう行動をしたのか、意見を聞く場ではない。文書内容をどこで見聞きしたのかを聞くことに尽きる」とした[138]。
プライバシー配慮の申し入れ
編集公の場で行われる百条委員会の第3回目の会合(6月27日)で、証人尋問と、県の内部調査資料(押収された公用パソコンの内容)が提出されることとなった、元西播磨県民局長は、代理人(弁護士)を通し、県人事課に、百条委員会に開示する県の内部調査資料について、個人のプライバシーに関して十分に配慮するよう、申し入れを行った[139][140]。
県人事課は元県民局長の代理人に、開示に支障があるなら百条委員会に申し入れるよう伝えた[139][140]。
元県民局長の代理人は改めて、県人事課に提出を求める、県の内部調査資料(押収された公用パソコンの内容)に関して、個人のプライバシーに関して十分に配慮するよう」に求める申し入れ書を[141]、百条委員会の奥谷謙一委員長宛に、7月2日付の内容証明郵便で送付し、7月4日に受領された[142][143][139][140]。この文書は同時に、竹内英明県議(ひょうご県民連合、姫路市)にも送付され、後に竹内県議により公開された[141][142]。
このような経緯の中で、元県民局長はかなりナーバスになっていたという[143]。
元西播磨県民局長の死去
編集7月7日午前10時頃、元西播磨県民局長は、県議会事務局宛てに、百条委員会が提出を求めた書類を添付した、百条委員会への出頭に前向きな内容のメールを送っていた[144]。
同日夜、元県民局長の家族から県警に行方不明届が出され、県警が捜索した結果、姫路市内で亡くなっているのが発見された[43]。自殺とみられる[43]。
「一死をもって抗議する」[63]、「19日の委員会には出頭できないが自ら作成した陳述書及び参考の音声データの提出をもって替えさせてほしい」[63]、「百条委員会は最後までやり通してほしい」[63]というメッセージとともに、陳述書と音声データが遺された。これらは遺族により、後の同月12日に百条委員会へ提出された[63]。
元県民局長は、亡くなる直前、ある県議(斎藤ではない)と電話で、長時間(45分程[145])通話しており、この県議からなんらかの圧力を掛けられた可能性があるとされる[146][145]。門隆志県議(維新、宝塚市)は、維新の県議でないと、自身のX(旧Twitter)に投稿し否定した[147]。
同日夜22時頃、斎藤は、元県民局長の死を、片山からの連絡で知ったという[144]。
7月8日13時頃、神戸新聞が元県民局長の死亡を報じた[148]。同日夜、斎藤とは報道陣の取材に応じ、「ショックを受けており混乱している。心からお悔やみを申し上げる」[149]と弔意を表明し、「さまざまなご批判、指摘があると思うが、県政をしっかり立て直していくことが責務。全力で取り組んでいきたい」と発言した[144]。百条委員会委員長の奥谷県議も取材に応じ、「大きなプレッシャーがかかっていたのかもしれない。私たちもそれを把握していなかった反省点がある。痛恨の極みだ」「文書の真偽を明らかにすることがわれわれの務め」と発言した[144]。
緊急理事会による告発文とは無関係の資料の非開示決定
編集元西播磨県民局長の死去翌日の、7月8日9時半、百条委員会の緊急理事会(非公開)が開かれ、元県民局長の代理人から県民局長の死去前に提出されていた申し入れ書について、「法令を守るべき」、「(県民局長のプライバシーを百条委員会で明かすと)民事上の損害賠償の対象に十分なる」など議論され、告発文とは無関係の資料について開示の要求をしないことが、維新以外の賛成多数で決議された[18]。この緊急理事会の内容は、参加した県議から、週刊誌などに流出し、維新を批判する記事などに利用された[139][143][150][151]。
ニュースサイトHUNTERが入手した会議録[143]の中で、増山誠県議(維新、西宮市)は、「本委員会の主たる目的は、元県民局長の文書に記載の7項目にわたる告発の内容が真実かどうかを調査することである。文書の真偽を議論するにあたり、人事課による調査結果は重要な資料である。また、プライベートな事項に関しても、元県民局長がなぜこの文書を配布するに至ったかの経緯や背景を類推できる資料を広く集める必要があると考える」(原文ママ)[143]、「本文書には、知事の自宅や好き嫌いに関する記述や●●のご子息や学生時代の先輩後輩関係など、プライベートな記述が散見される。一方の当事者としてプライベートなことを取り上げておき、自らの調査結果については、プライベートだから公開しないでほしいとは、あまりにも都合の良い身勝手な論理である。プライバシーに関連しているかどうかについて、元県民局長の代理人が判断するのは不適切だと考える」(原文ママ)[143]、「そもそも公用パソコンに入れていた資料であるので、パソコンの保有者は兵庫県であり、このパソコンに保存されているデータも兵庫県のものである。例えば、一般社会においても、個人に利用を任せている公用・社用パソコンであっても、社員の行動を監視する内部セクションの担当者に関しては、無制限にパソコンを見ること、データを利用する権限を与えているものである」(原文ママ)[143]と述べ、反対している[143][18]。
門隆志県議(維新、宝塚市)は、非公開であるはずの理事会の内容が、参加した議員により週刊誌などに流出した件[143]について、「百条委員会で真相究明を行うには人事課が処分の参考にした資料も必要との理由で資料請求は行いました。 それをパソコンに残っていた告発文とは無関係のプライベートな資料を求めたと恣意的に捻じ曲げ、維新が個人攻撃する為だと事実無根の推測を交えながらの記事にされました」[152]、「議会の総意で第三者機関の設置が決まっていたにも関わらず、議会の権能で百条委員会の設置が必要と言っていたのも、週刊誌と組む一部議員の動きを見ると、ただただ維新や知事(斎藤)を叩きたいがための政争の具。 理事会の内容がダダ洩れしているのは想像以上に深刻です」と、自身のX(旧Twitter)へ投稿した[152]。
県職員労働組合の辞職申し入れと副知事の辞職表明
編集7月10日、兵庫県職員労働組合は「もはや県民の信頼回復が望めない状況になっている」として、知事の斎藤元彦に事実上、辞職を求める申し入れ書を提出した[153]。斎藤は、同日の記者会見で、「私の責務としては、よりよい県政を進めていくために職員の皆さんとの信頼関係の再構築含めて、私自身がやはり生まれ変わって、県職員の皆さん、そして、県民の皆さんと共に、いい県政を進めていく環境づくりを全力で取り組んでいくことが、私に課せられた果たすべき役割だと考えています」(原文ママ)[46]と述べ、辞職を否定した。
7月11日、副知事の片山安孝は「県政が停滞している。自分も責任を取るので、一緒に辞任しませんか」と斎藤に辞職を提案し、斎藤は「辞めるという選択肢はない」と断った[154]。同日、片山は辞職の意向を固めた[154]。
7月12日、片山は記者会見で、県政の混乱と停滞を招いた責任を取るとして、同月末で辞職する意向を表明した[155]。これを受け、斎藤は記者会見で、「さまざまな懸案があるおよそ3年間、片山副知事に、大変厳しい状況下での県政運営を誠心誠意、全力で支えていただいたことに直接、お礼を申し上げた」と感謝を述べた[156]。
第3回目の会合(7月19日)、守秘義務免除申請の議論
編集7月12日、県人事課は、百条委員会で証人尋問を行う県職人に対し、『百条委員会に関する各種服務について』と題する通達文書を出した[157]。その通達文書では、「職務上知り得た秘密が含まれる事項について出頭、出席の請求があった職員は、守秘義務免除の申請手続きを行う」「対象となる内容は、必要最小限のものとする」「各部総務課宛に申請し、これを各部総務課長が承認する」など、証言を制約する内容であった[157]。
7月19日、第3回百条委員会が行われた[63]。冒頭、奥谷謙一委員長が、元県西播磨県民局長を悼む言葉を述べ、黙祷が行われた[158][159]。元西播磨県民局長の遺族から提出された陳述書と音声データ、丸尾県議の独自アンケートが参考資料として配布された[63][160]。法的アドバイザーに元検事の丸山毅氏(兵庫県弁護士会)を選任した[161]。県職員約9700名(嘱託を含み、教員や警察官を除く)を対象に、斎藤らのパワハラ疑惑や物品要求をについて見聞きしたことについて調査する、県職員アンケートを8月上旬まで実施することが決定した[162]。
竹内英明委員(ひょうご県民連合)は、12日付の県人事課の県職員に対する通達について、特に守秘義務免除申請は、証人に招致される職員にとって重い心理的負担となることへの強い懸念が出ていることを指摘し、百条委員会の調査に対する妨害ともいえると批判し、個別申請を撤回し包括承認とすることを求めた[159]。
また、百条委員会は原則公開としているが、証人となる県職員の心理負担を緩和するため、県当局に対しても証人を公表しない「秘密会」での証人尋問が検討された[163]。
7月30日、非公開で行われた百条委員会の理事会は、県職員アンケートを7月31日から8月14日までの期間に実施すること、アンケート実施に際し県職員に対して、県人事課が以前通告した守秘義務免除の事前申請手続きを不要とすることを正式に決定した[164][2]。
百条委員会による県職員アンケートの実施
編集7月31日から8月14日にかけて、百条委員会は、兵庫県庁内で、県職員に対するアンケート調査を実施した[165]。8月14日に回答受付が締め切られ、その後、中間報告(件数と内容)が、8月23日の第5回委員会に報告され[165]、最終報告が、第8回百条委員会(10月11日)に報告された[166]。最終報告は、中間報告と大きな違いはなかったが、「目撃した」という回答が2件増えた[165][166][167]。
この県職員アンケートは、7月30日の理事会(非公開)までに百条委員会が定めた[164]、『県職員対象アンケート調査実施要領』に基づき、実施された[165]。
対象者:兵庫県職員(会計年度任用職員、非常勤職員含む)約9700人 [165]
回答期間:7月31日(水)~8月14日(水)の約2週間
調査方法:県職員アンケートには、Googleフォームが使用され、デフォルトでメールアドレスを収集しないよう設定された[165]。7月31日に、兵庫県議会事務局が、庁内の電子メールで、県職員アンケートの案内(GoogleフォームへのURLおよびQRコードを含む)を職員宛に送付した[165][166]。
回答方法:原則、インターネット(電子メールに添付されたGoogleフォームへのURL、またはQRコードの読み取り)により、記名又は無記名のいずれかで回答を受け付けた。希望した県職員については、郵送による回答も受け付けた[165][166]。
回答者の保護:回答者の保護のため、Webアンケートシステム(Googleフォーム)の運用、回答の回収、データの管理等の作業については、個人情報の管理体制が整った調査機関に委託され、兵庫県議会事務局では庁内電子メールの送付のみを行うこととなっていた[165]。
(中間報告+中間報告以降ネット回答分+郵送分)[166]
回答期間:2024年7月31日~8月14日[166]
回答件数:6,725件(内訳:インターネットによる回答、6,664件、郵送による回答61件)[166]
- 五百旗頭真理事長ご逝去に至る経緯について、90.4%が「知らない」と回答[166]
- 2021年兵庫知事選挙における県職員の事前選挙活動等について、90%が「知らない」と回答[166]
- 次回の知事選に向けた投票依頼について、94.7%が「知らない」と回答[166]
- 斎藤が贈答品を受け取っていることについて、23.5%が「実際に見た」「聞いた」と回答[166]
- 斎藤の政治資金パーティー実施にかかるパーティー券の購入依頼について、95.4%が「知らない」と回答[166]
- 阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックについて、10.1%が「実際に見た」「聞いた」と回答[166]
- 斎藤のパワハラについて、42.4%が「実際に見た」「聞いた」と回答[166]
県職員アンケートの問題点
編集URLを知っていれば誰でも匿名で書き込み可能
編集7月19日の第3回百条委員会の資料内で、県職員アンケート(Googleフォームによるテスト版)が公開され、このテスト版の県職員アンケート(Googleフォーム)のURLも記載された[63]。Googleフォームは、デフォルトでメールアドレスを収集しないよう設定された場合、URLを知っていれば誰でも匿名で書き込みできる。この件について、百条委員会委員の丸尾牧県議(無所属、緑の党グリーンズジャパン)は、「(兵庫県職員アンケートの)テスト版が出回っているようですが、一切結果には反映されません。ご安心ください」とX(旧Twitter)の投稿で説明した[168][169]。後の本番の県職員アンケートでも、デフォルトでメールアドレスを収集しないよう、Googleフォームの設定が行われた[165]。
第5回委員会(8月23日)
編集県議会調査特別委員会(百条委員会)は8月23日、斎藤知事のパワハラ疑惑を調べるため、職員6人に証人尋問を行った。パワハラを受けたと明言する証人はいなかった[170]。
兵庫県議会百条委員会 職員6人が証言した内容
- 職員A
- 元西播磨県民局長に対する懲戒処分について、5月に処分が決まる前に「元局長による公益通報の調査結果を待ってから処分を判断すべき」と上司に進言していた。最終的には知事の政治判断なので従うしかなかった。
- 職員B
- (告発文書について知事が把握した直後の)3月下旬に人事課からシステム関連の部署に、元県民局長や複数の職員のメールデータについて提供の依頼があった。「処分のため確認したい」と説明された。
- 職員C
- デジタル商品券「はばタンPay+」事業の説明の場で、PR用のうちわに知事の顔写真が入っておらず、知事が舌打ちをしてため息をつき、「何が悪いか分かるか」と発言した。疑惑を説明する知事の会見を見て「腹立たしい」と感じた。
- 職員D
- (出張先で公用車から施設まで20メートル歩かされ怒鳴った、という疑惑について) 厳しい叱責はなかったが、進入禁止だったエントランスの車止めを 「なぜどけていないのか」と怒っていた。帰りは職員が車止めを取り、エントランスに車を寄せて乗って帰ってもらった。
百条委員会最中の不信任決議可決、出直し選挙出馬表明
編集9月9日、日本維新の会は、斎藤の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を提出した[171]。同日夕、斎藤は、報道各社の取材で、「3年しかまだ知事はしていない。政治家として力が足りないところもあると思うが、それでも選挙で負託を得て知事になった。自分がどういう道を進んでいくかは、自分が決めていくのが大事だと思う」(原文ママ)と述べ、辞職を否定した[171]。
9月12日、9日の維新の申し入れに続き、自民党、公明党、ひょうご県民連合、共産党、無所属議員4人が、共同で斎藤の辞職の申し入れを行い、全議員86人が辞職を迫る事態となった[172]。同日、斎藤は報道陣の取材で、「(百条委員会での)文書問題の調査の対応、9月議会もある。100億円の補正予算をしっかり成立させていただくことが大事」などと述べ、自身の辞職を否定した[173]。
長瀬猛県議(自民)によると、百条委員会を開いた当初、長瀬たち自民党(自民党議員団)は、本来は12月の報告書を取りまとめた上で、不信任案の提出を検討していたという。しかし、百条委員会が始まって、8月下旬のあたりから、東京のキー局のニュース番組のディレクター達が一気に神戸に乗り込んできて、長瀬は連日取材を受けるようになったという[174]。
マスコミは、百条委員会で「パワハラ」や「おねだり」の調査が進んでいた頃から、9月中旬まで、議員控室の廊下にびっしりと張り付いて、「知事はいつやめるんですか」、「謝るんですか」、「やめるんですか」、「やめさすんですか」、「不信任はいつですか」などと、ひたすらこのことを報道し続け、県議会そのものが「非常に強いマスコミからの圧力」に晒されていたという[174]。
9月18日夜に行われた、自民党(自民党議員団)の議員総会で、長瀬は「百条委員会による調査を終えた上で、報告書作成後に、不信任案を提出をした方が本道ではないのか」と主張したが、「じゃあ他会派から不信任決議の動議が出た時に反対できるのか。反対をした時に、どうやって世間に説明をするのか。自民党が反対したから、不信任案が潰れたと言われるんだぞ」と言われ、それ以上言葉が出なかったと話している[174]。
9月19日、兵庫県議会に提出された斎藤知事不信任決議案が、全会一致により不信任決議が可決された[175][176]。斎藤は、10日以内に県議会解散もしくは辞職、あるいは10日経過による知事失職のいずれかを選ぶこととなった[175]。
9月26日、斎藤は、記者会見で、県議会を解散せず、不信任決議可決から10日経過後の同月30日付で知事を失職した上で、その後行われる出直し選挙へ立候補を正式表明した[177]。
理事会による選挙期間中の百条委員会の非公開化
編集10月3日、百条委員会の理事会(非公開)は、24、25日に予定される証人尋問について、兵庫県知事選挙(10月31日告示、11月17日投票)に影響が出ないよう、両日とも非公開とし[179]、報道各社への説明も実施せず[180]、知事選終了後に部長級以上の職員らの尋問の映像や議事録を公開する方針で合意した[179][180]。理事会後の取材で、奥谷謙一委員長(自民、弁護士)は、「選挙妨害に当たらないのかという声もあった。懸念を一切払拭したいので、非公開とすることで合意した」と説明した[179]。
奥谷委員長のリハック出演と高橋との対談
編集10月4日、奥谷謙一委員長は、Youtubeのビジネストーク番組「リハック(ReHacQ)」に出演。同番組を立ち上げた元テレビ東京の高橋弘樹と対談し、高橋からの百条委員会の論点とされる質問に対し、委員長として当時の認識を答えた[181]。この中で奥谷は、公用パソコンの内容を知らない(直接見ていない)と答え、県人事課から公用パソコンの内容について「プライベートな内容は告発文書と関係ない」という説明を聞いたと話した[181]。そして自身が独断で百条委員会の資料要求を決めているわけではなく、百条委員会(と非公開で行われる理事会)で必要の有無を協議して決めていると説明した[181]。後に、県知事選候補者の立花孝志は、まだ百条委員会での結論が出ていない状態であるにも関わらず、奥谷がリハック(ReHacQ)に出演し、百条委員会委員長で、弁護士でもある自身の見解を県知事選前に公の場で語ったことを問題視した[182][183][184]。
斎藤前知事と片山前副知事の刑事告訴
編集10月9日、市民団体(市民オンブズ尼崎、市民オンブズ西宮など、3団体)が[185]、斎藤前知事と片山前副知事を背任の疑いで、兵庫県警に告発状を提出し、刑事告発した[186][187][185]。市民オンブズ尼崎は、百条委員会委員である丸尾牧県議[133](無所属、緑の党グリーンズジャパン)が世話人を務める団体である[188][189]。
第8回百条委員会(10月11日)、県職員アンケート最終集計結果公開
編集10月11日、第8回百条委員会で、告白文書の優勝パレードの項目について、証人尋問を予定している24、25日の百条委員会を秘密会とすることが正式に決定された[190]。同時に百条委員会は、約9700人を対象に実施した県職員アンケートの最終集計結果(中間報告以降分も含む)を発表した[166]。県知事選前に公開された最後の会となった。
第9回・第10回委員会(10月24、25日)、優勝パレードの証人尋問、非公開
編集第9回(10月24日)と第10回(10月25日)の百条委員会は、兵庫県知事選挙への影響を考慮し、斎藤元知事の出頭を求めず、秘密会(非公開)として行われ、告白文書の優勝パレードの項目について、片山元副知事や信用金庫の関係者などに対し、証人尋問が行われた[81][191]。
ところが、この秘密会の内容や音声データは、斎藤派と反斎藤派の双方の複数の県議から漏洩し、報道各社や[80][81]、県知事選の候補者の立花孝志へ情報提供(外部通報)され[81][192][193]、兵庫県知事選挙の選挙期間中であることもあり、外部通報(内部通報)合戦の事態に発展した。
10月24日、第9回百条委員会(秘密会)に参加した、関係者から情報が流れ、「片山元副知事の方からキックバックの提案や金額が提示された」という内容の一部報道が行われた[81]。後日、週刊現代が、24日に証言を行った但陽信用金庫の桑田純一郎理事長と、25日に証言を行った片山元副知事の実名独占インタビューを報じ、両者はこの一部報道を否定した[79][80]。
10月25日、第10回百条委員会(秘密会)のあと、片山元副知事は弁護士同伴で、報道各社の囲み取材に答えた。片山元副知事は、秘密会で優勝パレードでのキックバック疑惑を否定する証言を行ったと語り、元西播磨県民局長の公用パソコンに入っていた「倫理的に問題のある文書」の中身について言及した。その際、複数の記者から「言うな!個人情報だぞ!」「プライバシーを話すべきではない」「許されないことだ」などと詰め寄られ、発言を撤回させられ、「倫理的に問題がある文書」と表現を改めさせられるという、記者の側から取材対象者の発言を制止し訂正を求めるという事件が発生した[194][195][196][197]。
百条委員会の最中に行われた兵庫県知事選挙
編集選挙の概要は2024年兵庫県知事選挙を参照。ここでは文書問題に関わる兵庫県知事選挙の動きを取り上げる。
10月31日、2024年兵庫県知事選挙(11月17日投票)が告示され、斎藤元彦は出直し選挙に出馬した。同日、立花孝志(NHKから国民を守る党党首)も出馬した。
立花孝志の立候補までの経緯
編集NHKから国民を守る党(NHK党)党首の立花孝志(大阪府出身、幼少期に祖父母の住む兵庫県淡路島で生活)は、当初、一連の告発文書問題にあまり関心を寄せておらず、県知事であった斎藤元彦の説明不足や発信力不足などを理由に、斎藤元彦に対し否定的な見方をしていた[198]。
当時のNHK党の参議院議員である、浜田聡(京都府出身、閉会中は兵庫県の病院に放射線科専門医として勤務)と、齊藤健一郎(兵庫県尼崎市出身)は、一連の告発文書問題で、百条委員会の結果を待たずに県議会が不信任決議を可決し、出直し選挙にまで発展したことを重くと受け止め、調査を開始した[198]。両氏は、国政調査権による総務省や国立国会図書館への資料請求や、県関係者や議員やSNSなどからの情報提供を受け、「県知事であった斎藤元彦が、メディアと県議らにより嵌められた」と結論付けた[198]。
浜田と齊藤健一郎は、立花に共有し相談、NHK党として、何か出来ないか検討を開始。立花とNHK党は経験上、公職選挙法150条により、日本放送協会(NHK)や放送局が、政見放送を止めることはできないと理解していた[198]。そのため、当初は目立った方がいいだろうという理由で、10人の候補者を擁立し、政見放送で斎藤元彦の対立候補に対して、ネガティブキャンペーンを行うことを検討していた[198][199]。その後、立花とNHK党は、同じくこの件について調べ、斎藤元彦が悪くなかったと考える、Youtube番組「令和の虎」主宰の林尚弘から、街頭演説も現行法では止められないという見解と、供託金300万円の支援を受けた[200]。そして検討の結果、当初の10人候補者擁立案は、メディア側に利用され、負の印象操作に利用される可能性があるため撤回し、過去に週刊文春で日本放送協会(NHK)の内部告発を行った経験のある立花本人が[201][202]、県知事選の候補者として、あくまで合法的な選挙活動(政見放送、街頭演説)として、情報発信していく方針を固めた[198]。
立花孝志の出馬と情報公開
編集10月24日、立花孝志(NHKから国民を守る党党首)は、過去に週刊文春で日本放送協会(NHK)の内部告発を行った経験のある人物として[201][202]、『メディアぐるみでの斎藤イジメ』を指摘し[51]、2024年兵庫県知事選挙への立候補を正式表明した[52]。立花は県庁での取材で、一連の内部告発文書問題について、「知事が辞めなければいけないほどの違法行為は見つかっていない。なのに県議会が全会一致で知事を辞めさせた」「自分の当選は考えていない。選挙運動をしながら、合法的に斎藤氏をサポートをしたい」とし、前兵庫県知事である斎藤元彦を、選挙運動により「合法的」に支援することが出馬理由であると説明した[52]。
立候補表明後、立花は複数の県議員や関係者などから外部通報(内部告発)を受けた[203]。
10月30日、立花は、当日の朝日放送テレビ(ABCテレビ)の情報番組「news おかえり」の討論会において、生出演を断られVTR出演となった[204]。立花は朝日放送テレビのニュース部長との電話の内容をYoutubeに投稿[205]。電話の中で、立花は、元西播磨県民局長の不倫の証拠が押収された公用パソコンにあるということを明し、「県民国民には公用パソコンの中身を知る権利がある」「職員個人のプライバシーよりも優越する判例がある」と主張したが、10月27日の日本青年会議所兵庫ブロック協議会が主催した公開討論会での発言や、過去の発信や、個人のプライバシーなどを理由に生出演を断られた[205]。
同日、立花は押収された公用パソコンに、元西播磨県民局長の不倫や、他の県職員や県議の情報が入っているとX(旧Twitter)に投稿した[206]。
10月31日17時、立花はカラオケ店内で県議Aから、10月25日の第10回百条委員会(秘密会)の音声データを渡された[192]。
その後、立花は電車で明石へ移動中に、車内で会った面識者から、「片山が会いたがっている」と伝えられ、片山の代理人Dの連絡先を渡された[192]。
立花は明石へ移動後、同日18時頃から行われた明石駅前の街頭演説の場で、音声データを流し初公開した[192]。
10月31日(2024年兵庫県知事選挙の告示日)、立花は県議から渡された、10月25日の第10回百条委員会(秘密会)の音声データを、街頭演説の場で流し公開した[193]。立花は、後にこの音声データを、X(旧Twitter)やYoutubeに投稿した[193][207]。
同日20時、立花は、朝日新聞の記者から「朝日新聞が、元西播磨県民局長の不倫について、百条委員会委員長である奥谷謙一(自民)から口止めされている」という旨の情報提供(外部通報)を受けた[208]。
立花は片山の代理人Dに連絡し打ち合わせを行った[192]。
11月1日18時頃、立花は宮城そういち(四街道市市議、新党四街道代表)とともに、ホテルオークラに入り、片山の代理人Fに部屋に案内され、片山の代理人として来た県議Bから、告発文書を渡された[192]。
その後、立花は街頭演説の際に、県議Cの電話番号を街頭演説の参加者から教えて貰い、リハック(ReHacQ)の候補者討論会前に、県議Cと電話で情報提供を受けた[192]。
同日21時、立花はリハックの討論会に参加し、元西播磨県民局長の死因が公用パソコンの中にある不倫が明るみに出るのを怖れたからだと言及した[209]。
同日23時頃、立花は県議Aから電話で、リハックの討論会で言及した不倫の件に関して、50代の男性が複数の職員と10年間も不倫ができるわけがなく、権力(協力な人事権)を使ったセクハラであり不同意性交等罪の可能性が高いという旨の補足説明を受けた[192]。
11月5日、片山の弁護士は報道機関に書面で、片山が立花に対し「面談したこと及び話をしたことは一切ありません。誤解を招くことがないよう、ご連絡差し上げる次第です」と説明した[210]。
同日夜、立花はYouTubeに動画を投稿し、動画内で、県議会と百条委員会を告発する告発文書を公開。それまでの音声データやこの告発文書が渡された経緯と、この告発文書に対して片山元副知事が作成に関与したのか確認がとれなかったこと、以前自身が「情報を片山元副知事から渡された」という旨の発言は注目を集めるための嘘であることを説明した[211]。
11月6日朝、兵庫県議会事務局が、流出した音声データについて「そうしたものが存在するのは把握しているが、非公開で開催したため、音声が本物かについてはコメントできない」と答えたことを、神戸経済ニュースが報じた[212]。
同日午後、宮城そういち(四街道市市議、新党四街道代表)は、立花が公開した告発文書を渡された際に同行していたと、立花が公開した告発文書と同じ文書の画像を、自身のX(旧Twitter)に投稿した[213]。
11月7日夜、朝日新聞神戸総局長は、立花に対し、朝日新聞記者の外部告発について言及したX(旧Twitter)の投稿内容[208]が、真実でないと主張し訂正するよう、FAXで申し入れを行った[214]。
11月8日、立花は朝日新聞神戸総局長に電話し、昨日のFAXの申し入れについて、この件が公益通報(外部通報、3号通報)に該当すると指摘し反論[214]。総局長に対し、告発文書問題を報道してきた朝日新聞が、第3者委員会による調査を行わず、本人に直接聞き取り調査を行い、FAXで申し入れを行ったことは、正に兵庫県庁での斎藤前知事の対応と同じであると、矛盾を指摘し、真相究明のため、記者を自身と対談させるよう求めた[214]。
11月10日、立花は、長瀬猛県議(自民)と対談、神戸市議の上畠寛弘(自民)が同席した[182][183][184]。その中で、立花は、奥谷謙一委員長が、まだ百条委員会での結論が出ていない状態にも関わらず、リハック(ReHacQ)に出演し、弁護士で百条委員会委員長である自身の見解を話したことを問題視した[182][183][184]。
11月15日、ニュースサイトSAKISIRUの編集長の新田哲史が、報道関係者から情報提供(外部通報)を受け、10月25日の第10回百条委員会(秘密会)の後の報道陣の囲み取材で、片山安孝元副知事が、記者らにより発言を遮られる場面の音声データを公開した[196][197]。
立花孝志への外部通報の内容
編集10月25日の百条委員会(秘密会)の音声データ
編集立花が、10月31日に県議から渡された、この音声データは、10月25日に秘密会として開催された百条委員会から流出したものであり[212][215]、後に10月25日に秘密会の内容であると片山安孝元副知事も認めた[215]。
この音声データの内容は、片山元副知事が証人尋問で、元西播磨県民局長の公用パソコンに保存されていた内容について説明する場面のものであり、片山が「倫理的に問題のある文書」の説明に入ると、百条委員会の奥谷謙一委員長が、片山元副知事の発言をかき消すように証言を中止するよう求め、一方的に休憩を宣言するものである[212][215]。
この内容は、10月25日の百条委員会終了後の記者団取材で片山が説明した、公用パソコンの中に「『クーデター』などの不正な目的が示された資料、人事の不満が示された動機がわかる資料」や「倫理的に問題のある文書」や「個人的な内容」が存在し、「倫理的に問題のある文書を勤務時間中に作成したことも、元局長を懲戒処分した理由の1つだったため、説明する必要があった」という内容と一致している[212][194][215][196]。
片山元副知事は、この音声データについて、「立花氏との接点はありません。私は秘密会の録音もしていませんし、そのデータを外部に漏らしたことも絶対にありません」と流出への関与を否定してた[215]。
11月1日に県議(片山元副知事の代理人)から渡された告発文書
編集この告発文書では、旧井戸県政派や反斎藤派の複数の県議や、百条委員会の関係者が、百条委員会を恣意的に運用し、マスコミに一方的に情報を流して印象操作し、斎藤の失脚を行ったことが告発された[192]。同時に、亡くなった元西播磨県民局長に強力な人事権を背景にした不同意性交等罪の疑いがあることも告発している[192]。
以下は告発文書の内容である(基本原文ママ引用し、個人名と黒塗り箇所は「○○」と表記)。
- 『百条委員会を主導した井戸派県会議員が、マスコミに一方的な情報のリーク及び根拠の乏しい無記名アンケートによって、元県民局長の自殺を知事の責任に見えるように印象操作』[192]
- 『黒幕(主犯格)は○○、○○、○○。知事失脚が彼らの最終的な狙い。』[192]
- 『元西播磨県民局長は過去10年にわたって複数の職員と不倫。この間、人事課長、教育次長、職員局長など職員の強力な人事権を有する職を歴任していた。(証拠はすべて公用パソコンにあり)』[192]
- この内容について、立花は別の県議から「50代の男性が複数の職員と10年間も不倫ができるわけがなく、権力(協力な人事権)を使ったセクハラであり不同意性交等罪の可能性が高い」という旨の証言を受けた[192]。
- 『○○と○○女性記者の緊密な仲は有名。○○高校で以前から情報交流を実施。』[192]
- 『加えて、○○も斎藤前知事を陥れるために○○と結託。○○と○○は当初から○○擁立を画策』(個人名と黒塗りは○○)[192]
- 『アンケートは○○。虚偽・捏造可能な無記名アンケートを考案』[192]
- 『百条委員会委員による職員への脅し → ○○による職員への脅しのライン。文書の調査項目に関して○○お気に入りの新聞社からの職員の取材対応が気に入らず、「この期に及んで姿勢を誤れば承認尋問に呼ぶことになる」と百条委員会の強制力を背景に職員に圧力をかけるほか、特定の新聞社だけ優先的に資料を出すように職員に指示。』
- この指摘内容について、11月8日、週刊現代は、反齋藤派の県議が、パレード疑惑の事前調査を担当した県職員に対し、「この期に及んで姿勢を誤れば百条委員会に出てもらわないといけなくなります。ちゃんとこちらに協力して真実を述べてください」と、圧力を感じさせるメッセージを送っていたことを報じた[79]。
反応
編集政党の反応
編集2021年の知事選挙で維新と共闘する形で斎藤に党本部推薦を出した自民党は7月14日の県連総会において、会長の末松信介(参議院議員、元文部科学大臣)が「大きな正しい決断をしてほしいと強く願っている」と事実上の辞職勧告を行い、次回知事選での推薦について「同じ形は厳しい」とした[216]。また、知事選当時の県連会長であった谷公一(衆議院議員、元国家公安委員長)は「知事を推薦した議員としてざんきに堪えない」とコメントした[217]。これに対し、元経済産業大臣で政治資金パーティー収入の裏金問題により党員資格停止中の西村康稔は選挙区内の関係者に対して「斎藤知事、あれはいかんね。後任? そうやね、自民党にいたら俺が中心でやるのだが、今は裏でやるしかない」と発言したことが報じられている[218]。
自民党が県政野党へ転じたのに対して斎藤県政の与党に留まり続けている県議会第2会派の維新は百条委員会の設置に反対し、開催後も党所属の委員が不規則発言を繰り返すなど非協力的な態度を取り続けている[219]。特に副委員長の岸口実(明石市)と理事の増山誠(西宮市)は片山らが押収した公用パソコンのハードディスクに含まれていたプライベート情報の全面開示を理事会で強く要求したのを始め[143]、維新の県議が元西播磨県民局長のプライベートに関する情報を基に「元局長をつるし上げてやる」と糾弾する姿勢を見せていたとされる[220]。 この 「つるし上げる」と記事を書いたAERA dotに対しては、門隆志兵庫県議が「つるし上げるは悪質なデマです。正式に抗議します。」と自身のX(旧twitter)に投稿している[221]。
こうした党所属県議の動きに対し、共同代表で大阪府知事の吉村洋文は「一つ言えることがパワハラなどいろいろな疑惑、告発文書に書かれていることについて、真実、事実としてはどうだったのか、これは明らかにすべきだと思う」としたうえで斎藤自身が「進退を判断すべきだと思う」とコメントし、県議に対しては「維新の議員はかばうとかは絶対にダメ」と百条委員会の運営に協力するよう求めた[222]。
2021年の県議選で自主投票とした県議会第3会派の公明党は「今の時点で、辞めないといけない理由はない。告発内容について事実が解明されたことは一つもない」として百条委員会設置に反対したが、斎藤に辞職を求めるかについては「情勢を見て判断する」としている[223]。
9月9日、日本維新の会が斎藤の辞職と出直し選挙を求める申し入れ書を提出した[224]。12日には自民党と公明党、ひょうご県民連合、共産党の4会派と無所属議員4人が共同で辞職の申し入れを行い、全議員86人が辞職を迫る事態となった[172]。
県内市町長の反応
編集小野市の蓬萊務市長は7月23日の定例記者会見で「リーダーとしての資質の問題。百条委の結果を待つまでもなく、すみやかに辞職すべきだ」とした[225]。また、美方郡新温泉町の西村銀三町長は同月25日に県政の混乱を問題視し「辞職して出直し選挙で信を問うべきだ」と斎藤に求めた[226]。
こうした県政への悪影響を懸念する声が県内首長から相次いだことを受け、8月7日に県市長会の臨時会が招集され、会長の酒井隆明(丹波篠山市長)は「知事が前県民局長からなぜ直接話を聞かなかったのか疑問。間違い、ウソだと決めつけたのが原因ではないか」として[227]、出席者からの意見を集約したうえで23日に行われる県と市町の意見交換会の席上で申し入れを行うことになった。
県政への影響
編集告発者の元西播磨県民局長およびパレード担当課長の2名が死亡したことを受けて県庁には「斎藤を出せ。俺が辞めるように言ってやる」「県民は税金を払っている、斎藤の給料を出しているんだ」「斎藤知事がもらったワインを飲ませてくれ」「毎日、2キロ歩いて通勤しているのに、たった20メートルも歩かないのはおかしい」などの抗議が殺到し[44][228]、斎藤が居座ることによって抗議を受ける県職員に対する「形を変えたパワハラ」とも評されている。また、県がイベントの告知用に作成したポスターも斎藤が前面に出ていることを理由に幼稚園から掲示を拒否されたり、知事名義で交付された感謝状を表彰者から突き返される事態となっている[65]。
7月20・21日に神戸新聞社とJX通信社が斎藤の知事就任3年を機に実施した支持率調査では「支持する」が15.2%と都道府県知事としては異例の低評価となり、告発文書問題への県の対応についても「納得できない」とする回答が64.8%にのぼった[229]。JX通信社代表取締役の米重克洋はこの調査結果について「一般に、知事や市長といった、いわゆる首長の支持率は内閣支持率などと比べてかなり高くなる傾向がある」と指摘したうえで「首長の支持率がこれほど低いケースは殆ど見たことがない」とコメントしている[230]。
また、2025年度の職員採用試験(60名採用)で639人の応募者に対して筆記試験の辞退者が約41%の262人と過去5年では異例の高水準となっており、百条委員会の設置直後に試験が行われたため告発文書問題が影を落としたのではないかと指摘されている[231]。
一連の報道の問題点
編集- 2024年10月24日に秘密会として行われた百条委員会の後、「片山元副知事の方からキックバックをの提案や金額が提示された」という内容が報道された[232]。この秘密会に出席した信用金庫の理事長は[232]、秘密会に出席した県議がリークしたのだと思うと話している[79]。
- 2024年10月25日、片山元副知事が、秘密会として行われた百条委員会後に、報道各社の囲み取材の中で、元西播磨県民局長の公用パソコンに入っていた「倫理的に問題のある文書」の中身に触れようとすると、その場にいた複数の記者から「言うな!個人情報だぞ!」[195]「プライバシーを話すべきではない」[194]「許されないことだ」[194]などと詰め寄られ、発言を撤回させられ、「倫理的に問題がある文書」と表現を改めさせられた[194][195][196]。 週刊現代は、生中継でない囲み取材で、記者の側から取材対象者の発言を制止するというのは前代未聞であり、取材対象者の発言という一次情報を、メディア側が遮り制限する行為は、他メディアの取材権の侵害や知る権利の侵害にあたるとして問題視した[233]。この日の囲み取材に参加した記者は、「神戸経済ニュース」を除き、他全てが記者クラブ加盟社の記者であり、事前に何らかの「倫理的に問題のある文書についての中身には触れさせない」という合意があったのではないかとも疑われている[194][233]。
- 2024年10月31日20時、2024年兵庫県知事選挙の候補者の立花孝志は、朝日新聞の記者から、「元西播磨県民局長の不倫について、百条委員会委員長である奥谷謙一から口止めされている」という旨の証言を受けた[208]。
知事記者会見
編集- 知事記者会見(2024年9月11日(水曜日))[234][235] - 知事に辞職申し入れを行うことになった件、不信任決議案提出の件
- 知事記者会見(2024年9月4日(水曜日))[236][237] - 公益通報と贈答品を巡って証人尋問行われる件、俺は知事だと激怒した件
- 知事記者会見(2024年8月27日(火曜日))[238][239] - 元県民局長が4月4日に県の公益通報制度した後、人事課から知事に「公益通報の調査結果を待つべきでは」という助言があったという件
- 知事記者会見(2024年8月20日(火曜日))[240][241] - アンケートの中間報告に関する件、県の情報公開条例第6条の件
- 知事記者会見(2024年8月7日(水曜日))[111][242] - 時系列に経緯を整理して、ご説明をした件、内部調査が6回行われたという件
- 知事記者会見(2024年7月30日(火曜日))[243][244] - 文書問題で県政の停滞がかなり指摘されている件、斎藤知事を支持するかしないかという神戸新聞のアンケート結果の件
- 知事記者会見(2024年7月24日(水曜日))[245][246] - 県職員の退職者で作る団体から辞職も含めてあらゆる措置を求める要請文が出された件、共産党の兵庫県委員会から辞職要求が斎藤知事宛に提出された件、小野市の蓬莱市長が定例会見で、斎藤知事は速やかに辞職すべきだという考えを述べられた件
- 知事記者会見(2024年7月16日(火曜日))[247][248] - 末松信介県連会長が斎藤知事に対して大きな正しい決断をしていただきたいとして辞職も含めた政治判断をと発言があった件、上郡町の特産品のワインの件
- 知事記者会見(2024年7月10日(水曜日))[46][249] - 元西播磨県民局長が亡くなったことを受けて、県職員労働組合から「知事として責任ある対応、そして知事として取り得る最大限の責任を取ってもらいたい」という申し入れがあった件
- 知事記者会見(2024年7月4日(木曜日))[250][251] - 百条委員会の調査に県職員が全面的に協力し職員が不利益を被らないように要望が出された件
- 知事記者会見(2024年6月26日(水曜日))[252][253] - ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長の年齢が73歳だという件、公益通報の調査結果についても、県民に開示すべきだという件
- 知事記者会見(2024年6月20日(木曜日))[254][255] - 百条委員会設置決定で告発文書に関する斎藤前知事の見解を述べた件
- 知事記者会見(2024年6月12日(水曜日))[256][257] - 片山前副知事が百条委員会の設置をしないでほしいと依頼した件
- 知事記者会見(2024年6月5日(水曜日))[258][259] - 百条委員会の設置を6月議会で提案する方針とした件、20m歩かされて怒鳴り散らした件
- 知事記者会見(2024年5月29日(水曜日))[260][261] - 贈答品のリスト化と取り扱いに関するルール整備の進捗の件。
- 知事記者会見(2024年5月22日(水曜日))[126][262] - はばタンPay+のチラシに顔写真がなく激怒したという件。
- 知事記者会見(2024年5月14日(火曜日))[263][264] - ひょうご県民連合が第三者機関の設置を申し入れた件、調査は一定の第三者性が保たれていると発言した件
- 知事記者会見(2024年5月8日(水曜日))[103][265] - 元西播磨県民局長は、公益通報されているのに、人事処分の決定をした件
- 知事記者会見(2024年4月26日(金曜日))[106][266] - 無所属の県議が第三者委員会設置を要望した件、人事当局が調査中とした件
- 知事記者会見(2024年4月18日(木曜日))[267][268] - 6万円相当のコーヒーメーカーを産業労働部長が受け取っていた件
- 知事記者会見(2024年4月10日(水曜日))[269][270] - 県の内部調査の調査方法が余りに非常識不適切で元県民局長が公益通報した件
- 知事記者会見(2024年4月2日(火曜日))[271][272] - 事実無根とは認めず、内部告発早急に調査すべきと元県民局長が反論した件
- 知事記者会見(2024年3月27日(水曜日))[273][274] - 嘘八百含めて文書を作って流す行為は公務員失格と前知事が発言した件
文書問題調査特別委員会(百条委員会)インターネット配信
編集- 【兵庫県議会】令和6年10月11日 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[275]。
- 【兵庫県議会】令和6年9月6日午後 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[89]。
- 【兵庫県議会】令和6年9月6日午前 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[96]。
- 【兵庫県議会】令和6年9月5日午後 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[27]。
- 【兵庫県議会】令和6年9月5日午前 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[276]。
- 【兵庫県議会】令和6年8月30日 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[277]。
- 【兵庫県議会】令和6年8月2日 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[278]。
- 【兵庫県議会】令和6年7月19日 文書問題調査特別委員会(百条委員会)[160]。
文書問題調査特別委員会(百条委員会)記者発表資料
編集- 令和6年10月28日 文書問題調査特別委員会(第12回及び第13回)の開催について(PDF:50KB)
- 令和6年10月11日 文書問題調査特別委員会(第10回及び第11回)の開催について(PDF:95KB)
- 令和6年10月11日
- 文書問題調査特別委員会が実施した「兵庫県職員アンケート調査」集計結果について(PDF:134KB)
- 別紙:集計表(全体)(PDF:91KB)
- 中間報告以降ネット回答分報告(PDF:2,070KB)
- 郵送回答分報告(PDF:1,197KB)
- 令和6年10月3日 文書問題調査特別委員会(第9回)の開催について(PDF:93KB)
- 令和6年9月10日 今後の文書問題調査特別委員会の開催予定について(PDF:46KB)
- 令和6年9月3日 文書問題調査特別委員会(第7、8回)の開催について(PDF:119KB)
- 令和6年8月23日
- 文書問題調査特別委員会が実施した「兵庫県職員アンケート調査」中間報告のとりまとめについて(PDF:70KB)
- 別紙:中間報告(PDF:2,145KB)
- 令和6年8月15日 文書問題調査特別委員会が実施した「兵庫県職員アンケート調査」の回答状況について(PDF:68KB)
- 令和6年8月2日 文書問題調査特別委員会(第5回)の開催について(PDF:98KB)
- 令和6年7月30日
- 文書問題調査特別委員会における兵庫県職員アンケート調査の実施について(PDF:103KB)
- 別紙:アンケート
- 令和6年7月19日 文書問題調査特別委員会(第4回)の開催について(PDF:92KB)
- 令和6年6月27日 文書問題調査特別委員会(第3回)の開催について(PDF:95KB)
- 令和6年6月14日
- 文書問題調査特別委員会の正副委員長の選任等について(PDF:85KB)
- 別紙:文書問題調査特別委員会委員名簿(PDF:96KB)
脚注
編集注釈
編集- ^ a b 緑の党グリーンズジャパン所属だが、兵庫県議会では1人会派を認めていないため無所属で活動。
- ^ Wが執筆した「局長メッセージ」は後任の局長就任に伴い全て削除されたが、国立国会図書館のアーカイブで最終回となる2024年3月分以外が保存されている。 - これまでの局長メッセージ(2024年2月5日アーカイブ) - 国立国会図書館Web Archiving Project
出典
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関連項目
編集- 鹿児島県警内部告発事件 - 兵庫県と同時期に内部告発者保護を巡って大きな問題となった。
外部リンク
編集- 文書問題調査特別委員会 - 兵庫県議会
- 特集>兵庫県知事パワハラ疑惑(産経ニュース)