ロカルノ国際映画祭
ロカルノ国際映画祭 (ロカルノこくさいえいがさい、伊: Festival internazionale del film di Locarno, 英: Locarno International Film Festival)は、スイス南部、イタリア語圏のティチーノ州ロカルノで、1946年から毎年8月に開催されている国際映画製作者連盟 (FIAPF) 公認の映画祭である。
ピアッツァ・グランデ上映会場全景 | |
会場 | スイス・ロカルノ |
---|---|
創設 | 1946 |
最新開催 | 2022 |
主催者 | Associazione Festival del film Locarno |
ウェブサイト |
www |
Current: 75th Locarno Film Festival |
グランプリは1968年より金豹賞と呼ばれている。それ以前は様々な名称で呼ばれていた。準グランプリは審査員特別賞となっている。名誉豹賞は1989年から授与されている[1]。
ロカルノの中央広場「ピアッツァ・グランデ」を野外上映スペースにして、設置されたヨーロッパ最大の屋外スクリーン(26mX14m)では一度に7500人の観客が映画を観賞できる。
金豹賞受賞作品
編集年 | 受賞作 | 監督 | 製作国 |
---|---|---|---|
1946年 | そして誰もいなくなった And Then There Were None |
ルネ・クレール | アメリカ合衆国 |
1947年 | 沈黙は金 Le silence est d'or |
ルネ・クレール | フランス |
1948年 | ドイツ零年 Germania, anno zero |
ロベルト・ロッセリーニ | イタリア |
1949年 | La Ferme des sept péchés | ジャン・ドヴェヴル | フランス |
1950年 | When Willie Comes Marching Home | ジョン・フォード | アメリカ合衆国 |
1951年 | (映画祭の開催なし) | - | - |
1952年 | Hunted | チャールズ・クライトン | イギリス |
1953年 | Julius Caesar | デイヴィッド・ブラッドリー | アメリカ合衆国 |
Kompozitor Glinka | グリゴーリ・アレクサンドロフ | ソビエト連邦 | |
摩天楼の影 The Glass Wall |
マックスウェル・シェーン | アメリカ合衆国 | |
1954年 | 地獄門 | 衣笠貞之助 | 日本 |
バヤヤ Bajaja |
イジー・トルンカ | チェコスロバキア | |
Les Fruits sauvages | エルヴェ・ブロンベルジェ | フランス | |
Rotation | ヴォルフガング・シュタウテ | 東ドイツ | |
Le mouton à cinq pattes | アンリ・ヴェルヌイユ | フランス | |
1955年 | カルメン | オットー・プレミンジャー | アメリカ合衆国 |
Cisaruv slavík | イジー・トルンカ | チェコスロバキア | |
1956年 | (映画祭の開催なし) | - | - |
1957年 | さすらい Il grido |
ミケランジェロ・アントニオーニ | イタリア |
1958年 | 秘めたる情事 Ten North Frederick |
フィリップ・ダン | アメリカ合衆国 |
1959年 | 非情の罠 Killer's Kiss |
スタンリー・キューブリック | アメリカ合衆国 |
1960年 | 汚れなき抱擁 Il bell'Antonio |
マウロ・ボロニーニ | イタリア |
1961年 | 野火 | 市川崑 | 日本 |
1962年 | Un coeur gros comme ça | フランソワ・レシャンバック | フランス |
1963年 | Transport z raje | ズデニェク・ブレネシュ | チェコスロバキア |
1964年 | Cerný Petr | ミロス・フォアマン | チェコスロバキア |
1965年 | Four in the Morning | アンソニー・シモンズ | イギリス |
1966年 | 毎日、勇気を Kazdy den odvahu |
エヴァルト・ショルム | チェコスロバキア |
1967年 | 狂乱の大地 Terra em Transe |
グラウベル・ローシャ | ブラジル |
1968年 | I visionari | マウリツィオ・ポンツィ | イタリア |
1969年 | どうなってもシャルル Charles mort ou vif |
アラン・タネール | スイス |
V ogne broda net | グレブ・パンフィーロフ | ソビエト連邦 | |
Tres tristes tigres | ラウル・ルイス | チリ | |
Szemüvegesek | サンドー・シモ | ハンガリー | |
1970年 | End of the Road | アラム・アヴァキアン | アメリカ合衆国 |
Lilika | ブランコ・プレサ | ユーゴスラビア社会主義連邦共和国 | |
無常 | 実相寺昭雄 | 日本 | |
Soleil O | メド・オンド | モーリタニア | |
1971年 | Les Amis | ジェラール・ブラン | フランス |
Hanno cambiato faccia | コラード・ファリーナ | イタリア | |
In punto di morte | マリオ・ガリバ | イタリア | |
1972年 | Bleak Moment | マイク・リー | イギリス |
1973年 | Iluminacja | クシシュトフ・ザヌーシ | ポーランド |
1974年 | Tüzoltó Utca 25. | イシュトヴァーン・サボー | ハンガリー |
1975年 | Le fils d'Amr est mort | ジャン=ジャック・アンドリュー | ベルギー |
1976年 | Le grand soir | フランシス・ロイセール | スイス |
1977年 | Antonio Gramsci, i giorni di carcere | リノ・デル・フラ | フランス |
1978年 | I tembelides tis eforis kiladas | ニコス・パネオトポロス | ギリシャ |
1979年 | 群れ Sürü |
ユルマズ・ギュネイ ゼキ・ウクテン |
トルコ |
1980年 | Maledetti vi Amerò | マルコ・トゥリオ・ジョルダーナ | イタリア |
1981年 | Chakra | Rabindra Dharmaraj | インド |
1982年 | - | - | - |
1983年 | プリンセス Adj király katonat |
ポール・エルデシュ | ハンガリー |
1984年 | ストレンジャー・ザン・パラダイス Stranger Than Paradise |
ジム・ジャームッシュ | アメリカ合衆国 |
1985年 | 山の焚火 Höhenfeuer |
フレディ・M・ムーラー | スイス |
1986年 | 息子と仲間 Jezioro Bodenskie |
ヤヌシュ・ザオルスキ | ポーランド |
1987年 | O Bobo | ホセ・アルバロ・モライス | ポーランド |
1988年 | Schmetterling | ヴォルフガング・ベッカー | 西ドイツ |
遠い声、静かな暮し Distant Voices, Still Lives |
テレンス・デイヴィス | イギリス | |
1989年 | 達磨はなぜ東へ行ったのか 배용균 |
ペ・ヨンギュン | 韓国 |
1990年 | Sluchainij | ベトラーナ・プロスクリナ | ソビエト連邦 |
1991年 | ジョニー・スエード Johnny Suede |
トム・ディチロ | アメリカ合衆国 |
1992年 | 秋の月 Qiuyue |
クララ・ロー | イギリス領香港 |
1993年 | Azghyin ushtykzyn'azaby | エルメク・シナルバエフ | カザフスタン |
1994年 | Khomreh | イブラヒム・フォルゼシュ | イラン |
1995年 | Raï | トマ・ジルー | フランス |
1996年 | ネネットとボニ Nénette et Boni |
クレール・ドニ | フランス |
1997年 | 鏡 Ayneh |
ジャファール・パナヒ | イラン |
1998年 | 趙先生 赵先生 |
呂楽 | 中国 |
1999年 | 野獣の心を持つ男 Peau d'homme coeur de bête |
エレーヌ・アンジェル | フランス |
2000年 | 父 Baba |
王朔 | 中国 |
2001年 | Alla rivoluzione sulla due cavalli | マウリツィオ・シャッラ | イタリア |
2002年 | Das Verlangen | イアン・ディルタイ | ドイツ |
2003年 | 静かな水 Khamosh Pani |
ザビハ・スマル | パキスタン フランス ドイツ |
2004年 | Private | サヴェーリオ・コスタンツォ | イタリア |
2005年 | 美しい人 Nine Lives |
ロドリゴ・ガルシア | アメリカ合衆国 |
2006年 | クロスロード Das Fräulein |
アンドレア・スタカ | スイス |
2007年 | 愛の予感 | 小林政広 | 日本 |
2008年 | パルケ・ヴィア Parque vía |
エンリケ・リヴェロ | イタリア |
2009年 | She, a Chinese | 郭小櫓 | イギリス フランス ドイツ |
2010年 | 寒假 | 李红旗 | 中国 |
2011年 | Abrir Puertas y Ventanas | ミラグロ・ムーメンタレー | アルゼンチン スイス |
2012年 | La Fille de nulle part | ジャン=クロード・ブリソー | フランス |
2013年 | Història de la meva mort | アルベルト・セラ | スペイン フランス |
2014年 | Mula sa Kung Ano ang Noon | ラヴ・ディアス | フィリピン |
2015年 | 正しい日_間違えた日 Right Now, Wrong Then |
ホン・サンス | 韓国 |
2016年 | ゴットレス Godless |
ラリッツァ・ペトロバ | ブルガリア |
2017年 | ファンさん Mrs Fang |
王兵 | 中国 |
2018年 | 幻土 A Land Imagined |
ヨー・シュウホァ | シンガポール |
2019年 | ヴィタリナ Vitalina Varela |
ペドロ・コスタ | ポルトガル |
2020年 | スイス政府による大規模イベント制限方針を受け中止[2][3] | ||
2021年 | 復讐は私にまかせて Seperti Dendam, Rindu Harus Dibayar Tuntas |
エドウィン | インドネシア シンガポール ドイツ |
名誉豹賞受賞者
編集年 | 受賞者 | 国籍 |
---|---|---|
1989年 | エンニオ・モリコーネ | イタリア |
1990年 | ジャン・マリア・ヴォロンテ | イタリア |
1991年 | ジャック・リヴェット | フランス |
1992年 | マノエル・ド・オリヴェイラ | ポルトガル |
1993年 | サミュエル・フラー | アメリカ合衆国 |
1994年 | キラ・ムラートワ | ウクライナ |
1995年 | ジャン=リュック・ゴダール | フランス/ スイス |
1996年 | ヴェルナー・シュレーター | ドイツ |
1997年 | ベルナルド・ベルトルッチ | イタリア |
1998年 | フレディ・ビュアシュ | スイス |
ジョー・ダンテ | アメリカ合衆国 | |
1999年 | ダニエル・シュミット | スイス |
2000年 | ポール・バーホーベン | オランダ |
パオロ・ヴィラッジョ | イタリア | |
2001年 | サンダンス・インスティテュート[注 1] | アメリカ合衆国 |
2002年 | シドニー・ポラック | アメリカ合衆国 |
2003年 | ケン・ローチ | イギリス |
2004年 | エルマンノ・オルミ | イタリア |
2005年 | テリー・ギリアム | イギリス |
アッバス・キアロスタミ | イラン | |
ヴィム・ヴェンダース | ドイツ | |
2006年 | アレクサンドル・ソクーロフ | ロシア |
2007年 | ホウ・シャオシェン | 台湾 |
2008年 | アモス・ギタイ | イスラエル |
2009年 | ウィリアム・フリードキン | アメリカ合衆国 |
高畑勲 | 日本 | |
富野由悠季 | 日本 | |
2010年 | ジャ・ジャンクー | 中国 |
アラン・タネール | スイス | |
2011年 | アベル・フェラーラ | アメリカ合衆国 |
2012年 | レオス・カラックス | フランス |
2013年 | ヴェルナー・ヘルツォーク | ドイツ |
2014年 | アニエス・ヴァルダ | フランス |
日本に関係する受賞
編集- 1954年 - 衣笠貞之助監督の『地獄門』がグランプリを受賞
- 1961年 - 市川崑監督の『野火』がグランプリを受賞
- 1970年 - 実相寺昭雄監督の『無常』が金豹賞を受賞
- 1987年 - 山本政志監督の『ロビンソンの庭』が審査員特別賞を受賞
- 1996年 - 稲住奈緒監督の『連-REN-』がVIDEO ART 部門入選
- 1997年 - 稲住奈緒監督の『An Age Of DECADENCE』がVIDEO ART 部門でグランプリを受賞
- 2004年 - 市川準監督の『トニー滝谷』が審査員特別賞をはじめとして3つの賞を受賞
- 2005年
- 2007年 - 小林政広監督の『愛の予感』が金豹賞を受賞
- 2008年 - 平林勇監督の『BABIN』がLeopard of Tomorrow 審査員特別賞、ヤングジュリー賞の2賞受賞
- 2009年 - 日本のアニメ作品を特集した「Manga Impact」が開催され、アニメーション演出家の高畑勲と富野由悠季が名誉豹賞を受賞
- 2011年 - 青山真治監督の『東京公園』が審査員特別賞を受賞
- 2015年 - オフィス北野が「ライモンド・レッツォニコ賞」(ベスト・インディペンデント・プロデューサー賞)を受賞[4]
- 同年、 濱口竜介監督の『ハッピーアワー』出演の川村りら、三原麻衣子、菊池葉月、田中幸恵が最優秀女優賞受賞[5]
- 2016年- 塩田明彦監督の『風に濡れた女』が若手審査員賞を受賞
- 2021年 - 細田守監督の『竜とそばかすの姫』がキッズ賞を受賞
脚注
編集- 注釈
- ^ サンダンス・インスティテュートはロバート・レッドフォードが運営する非営利団体。
- 出典
- ^ “Pardo d’onore Swisscom”. 19 July 2014閲覧。
- ^ “スイス・ロカルノ国際映画祭が開催中止、インディペンデント映画の支援立ち上げへ”. 映画ナタリー (2020年4月30日). 2022年7月15日閲覧。
- ^ “スイス・ロカルノ国際映画祭が開催中止、インディペンデント映画の支援立ち上げへ”. ぴあ (2020年4月30日). 2022年7月15日閲覧。
- ^ “オフィス北野、スイスの映画祭で快挙 日本からの受賞者は初”. ORICON (2015年7月22日). 2015年7月22日閲覧。
- ^ ロカルノ映画祭、「ハッピーアワー」で最優秀女優賞朝日新聞、2015年8月16日閲覧。