角川俳句賞
角川俳句賞(かどかわはいくしょう)は、俳句総合誌『俳句』(角川文化振興財団)が主催している公募の俳句新人賞。1955年、角川短歌賞とともに創設。未発表50句が選考対象。俳人の登竜門として知られており、「俳句界の芥川賞」とも呼ばれる[1]。2021年度の選考委員は正木ゆう子、仁平勝、小澤實、岸本尚毅の4名。
受賞一覧
編集- 第1回(1955年)- 鬼頭文子(後、小池文子に改称) 「つばな野」
- 第2回(1956年)- 沖田佐久子 「冬の虹」
- 第3回(1957年)- 岸田稚魚 「佐渡行」
- 第4回(1958年)- 村越化石 「山間」
- 第5回(1959年)- 安立恭彦 「東京ぐらし」、村上しゆら 「北辺有情」
- 第6回(1960年)- 磯貝碧蹄館 「与へられたる現在に」
- 第7回(1961年)- 川辺きぬ子 「しこづま抄」、柴崎左田男 「窯守の唄」
- 第8回(1962年)- 鈴木正治 「奢る雹」、松林朝蒼 「紙漉く谿」
- 第9回(1963年)- 大内登志子 「聖狂院抄」
- 第10回(1964年)- 江見渉 「一重帯」、山口英二 「古書守り」
- 第11回(1965年)- 該当者なし[2]
- 第12回(1966年)- 木附沢麦青 「陸奥の冬」
- 第13回(1967年)- 秋山卓三 「旱天」
- 第14回(1968年)- 山田みづえ 「梶の花」
- 第15回(1969年)- 辺見京子(現、邊見京子) 「壺屋の唄」
- 第16回(1970年)- 佐藤南山寺 「虹仰ぐ」
- 第17回(1971年)- 横溝養三 「杣の部落」
- 第18回(1972年)- 鈴木栄子(現、鈴木榮子) 「鳥獣戯画」
- 第19回(1973年)- 山崎和賀流 「奥羽山系」
- 第20回(1974年)- 米田一穂 「酸か湯」、民井とおる 「大和れんぞ」
- 第21回(1975年)- 黒木野雨 「北陲羈旅」、宮田正和 「伊賀雑唱」
- 第22回(1976年)- 伊藤通明 「白桃」
- 第23回(1977年)- 小熊一人 「海漂林」、児玉輝代 「段戸山村」
- 第24回(1978年)- 加藤憲曠 「鮫角燈台」
- 第25回(1979年)- 金子のぼる 「佐渡の冬」
- 第26回(1980年)- 摂津よしこ 「夏鴨」、後藤綾子 「片々」
- 第27回(1981年)- 該当者なし
- 第28回(1982年)- 稲富義明 「かささぎ」、田中裕明 「童子の夢」
- 第29回(1983年)- 秋篠光広 「鳥影」、菅原鬨也 「立春」
- 第30回(1984年)- 木内彰志 「春の雁」、大石悦子 「遊ぶ子の」
- 第31回(1985年)- 千田一路 「海女の島」、浅野如水 「津軽雪譜」
- 第32回(1986年)- 淵脇護 「火山地帯」、駒走鷹志 「青い蝦夷」、河村静香 「海鳴り」
- 第33回(1987年)- 林佑子 「昆布刈村」、辻恵美子 「鵜の唄」
- 第34回(1988年)- 鶴田玲子 「鶴居村」
- 第35回(1989年)- 岩田由美 「怪我の子」
- 第36回(1990年)- 北村保 「寒鯉」
- 第37回(1991年)- 柚木紀子 「嘆きの壁」
- 第38回(1992年)- 寺島ただし 「浦里」、 藤野武 「山峡」、奥名春江 「寒木」
- 第39回(1993年)- 松本ヤチヨ 「手」
- 第40回(1994年)- 阿部静雄 「雪曼陀羅」、早野和子 「運河」、黛まどか 「B面の夏」(奨励賞)
- 第41回(1995年)- 市堀玉宗 「雪安居」
- 第42回(1996年)- 山本一歩 「指」
- 第43回(1997年)- 若井新一 「早苗饗」、高千夏子 「真中」
- 第44回(1998年)- 依光陽子 「朗朗」
- 第45回(1999年)- 須藤常央 「富士遠近」
- 第46回(2000年)- 高畑浩平 「父の故郷」
- 第47回(2001年)- 桑原立生 「寒の水」
- 第48回(2002年)- 加藤静夫 「百人力」
- 第49回(2003年)- 馬場龍吉 「色鳥」
- 第50回(2004年)- 仲寒蝉 「小海線」
- 第51回(2005年)- 原雅子 「夏が来る」
- 第52回(2006年)- 千々和恵美子 「鯛の笛」
- 第53回(2007年)- 津川絵理子 「春の猫」
- 第54回(2008年)- 安倍真理子「波」
- 第55回(2009年)- 相子智恵 「萵苣」
- 第56回(2010年)- 望月周 「春雷」、 山口優夢 「投函」
- 第57回(2011年)- 永瀬十悟 「ふくしま」
- 第58回(2012年)- 広渡敬雄 「間取図」
- 第59回(2013年)- 清水良郎 「風のにほひ」
- 第60回(2014年)- 柘植史子 「エンドロール」
- 第61回(2015年)- 遠藤由樹子 「単純なひかり」
- 第62回(2016年)- 松野苑子 「遠き船」
- 第63回(2017年)- 月野ぽぽな「人のかたち」
- 第64回(2018年)- 鈴木牛後「牛の朱夏」
- 第65回(2019年)- 西村麒麟 「玉虫」、抜井諒一 「鷲に朝日」
- 第66回(2020年)- 岩田奎「赤い夢」[3]
- 第67回(2021年)- 岡田由季「優しき腹」
- 第68回(2022年)西生ゆかり「胡瓜サンド」
歴代選考委員
編集- 石田波郷(第1回 - 第8回)
- 加藤楸邨(第1回 - 第6回、第8回 - 第11回、第13回 - 第17回)
- 中村草田男(第1回 - 第10回、第12回 - 第17回)
- 松本たかし(第1回)
- 山口誓子(第1回 - 第6回)
- 大野林火(第3回 - 第7回、第9回 - 第14回、第16回 - 第17回)
- 西東三鬼(第7回)
- 秋元不死男(第11回 - 第17回)
- 角川源義(第9回 - 第21回)
- 平畑静塔(第9回 - 第13回、第15回 - 第17回)
- 石川桂郎(第18回 - 第25回)
- 草間時彦(第18回 - 第25回)
- 香西照雄(第18回 - 第25回)
- 沢木欣一(第18回 - 第25回)
- 森澄雄(第18回 - 第25回)
- 安住敦(第22回 - 第25回)
- 飯田龍太(第26回 - 第28回)
- 大岡信(第26回)
- 桂信子(第26回 - 第28回)
- 岸田稚魚(第26回 - 第28回)
- 清崎敏郎(第26回 - 第28回)
- 角川春樹(第27回 - 第39回)第39回欠席
- 石原八束(第29回 - 第39回)
- 金子兜太(第29回 - 第39回)
- 能村登四郎(第29回 - 第39回)
- 細見綾子(第29回 - 第35回)
- 飯島耕一(第40回)
- 加藤郁乎(第40回)
- 川崎展宏(第40回 - 第46回)
- 玉城徹(第40回)
- 平井照敏(第40回、第48回 - 第49回)
- 三橋敏雄(第41回 - 第47回)
- 稲畑汀子(第41回 - 第46回)
- 福田甲子雄(第41回 - 第43回)
- 大峯あきら(第44回 - 第49回)
- 山田みづえ(第44回 - 第49回)第48回欠席
- 宇多喜代子(第47回 - 第53回)
- 矢島渚男(第50回 - 第56回)
- 長谷川櫂(第50回 - 第58回)
- 正木ゆう子(第50回 - )
- 池田澄子(第54回 - 第60回)
- 小澤實(第57回 - )
- 高野ムツオ(第59回 - 第61回)
- 仁平勝(第61回 - )
- 岸本尚毅(第62回 - )
参考文献
編集- 日外アソシエーツ 『最新文学賞事典』 各年度版
- 角川学芸出版 『俳句』 2014年11月号「大特集・角川俳句賞の60年」
脚注
編集- ^ 「角川俳句賞の受賞が決まった大学教員 清水良郎さん」 中日新聞、2013年12月10日朝刊第15面。ただし芥川賞は公募の賞ではなく、実際には賞の性質は異なる。関悦史は、「句集にまとめられていない作品群を、年齢を問わずに評価する、公募部門での最高賞」と考えるのが適当だろうとしている(関悦史「現代俳句時評① 心象俳句の時代?」『俳句』2015年1月号、KADOKAWA、192-193頁)。
- ^ 選考委員全員の票が入った木附沢麦青(当時名前は伏せられ、翌年公表された)に受賞が決定したが、作品の半数以上が既発表作であったことがわかり、発表前に取り消しとなった。この件以降、未発表作に対する規定がより厳しくなった(『俳句』2014年11月号付録冊子「角川俳句賞のすべて」より)。麦青は翌年に未発表作を揃えて改めて応募し受賞した。
- ^ 岩田は歴代最年少受賞者(受賞時21歳)。以降田中裕明(受賞時22歳)、山口優夢(受賞時24歳)、柴崎左田男(受賞時27歳)、岩田由美(受賞時28歳)が続く。現在まで20代の受賞者はこの5人のみ。(筑紫磐井「角川俳句賞の60年」『俳句』2014年11月号より)
外部リンク
編集- 角川俳句賞(角川文化振興財団 公式サイト)