西部方面特科連隊
西部方面特科連隊(せいぶほうめんとっかれんたい、JGSDF Western Army Field Artillery Regiment)は、熊本県熊本市北区の北熊本駐屯地に連隊本部が駐屯する第2特科団隷下の野戦特科部隊である[1]。
西部方面特科連隊 | |
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訓練展示で空砲射撃するFH-70 | |
創設 | 2018年(平成30年)3月27日 |
所属政体 | 日本 |
所属組織 | 陸上自衛隊 |
部隊編制単位 | 連隊 |
兵科 | 野戦特科 |
所在地 | 福岡県久留米市 |
編成地 | 北熊本・えびの |
通称号/略称 | 西特連 |
愛称 | 4特、ヨントク(第4大隊) |
上級単位 | 第2特科団 |
最終上級単位 | 西部方面隊 |
担当地域 |
九州全域 |
概要
編集26中期防では、火砲定数の削減、島嶼防衛力の向上、第4師団の地域配備師団、第8師団の機動師団化が盛り込まれた。このため、北部方面隊を除く各方面隊では野戦特科火力は方面隊直轄部隊に集約する方針となった。当部隊(以後西特連と略記する)は重装備の方面隊直轄化に伴い、第8特科連隊の一部を西部方面隊直轄として再編成し[2]、第4特科連隊の一部を編合した、西部方面隊唯一の榴弾砲装備部隊である。部隊マークは九州に部隊略称のWAFARを表記したものであり、隷下部隊のある駐屯地(北熊本・玖珠・えびの・久留米)に印が打たれている[2][3]。
上級部隊として、第2特科団(旧:第3特科群→西部方面特科隊。以後、特科団と略記する)が編成され[4]、西特連は特科団隷下部隊として統制を受ける[4]。ただし、西特連が編成された2018年(平成30年)度に限り、西特連は平時第8師団隷属、有事の際に西部方面隊直轄となる特殊な運用がされていた。2019年(平成31年)3月の西部方面特科隊隷下への編入により[5]、西部方面隊管区では、水陸機動団特科大隊および第42即応機動連隊火力支援中隊を除き、野戦特科部隊は特科隊隷下に集約された。2024年(令和6年)3月21日の改編で上級部隊が第2特科団となった[6]。
新編時は旧第8特科連隊所在地の北熊本駐屯地に連隊本部および本部中隊、情報中隊、第1特科大隊を、えびの駐屯地に第3特科大隊が編成。翌年の旧第4特科連隊編入時に、連隊所在地だった久留米駐屯地[7][8]に第4特科大隊を新編するとともに[9]、旧第4特科連隊の要員を受け入れる形で、玖珠駐屯地に第2特科大隊を新編した[9][10][1]。このため、本部および本部中隊、情報中隊、奇数の特科大隊は旧第8特科連隊、偶数番号の特科大隊は旧第4特科連隊に由来する。第1-第3特科大隊は普通科戦闘団へ配属され火力支援を行う直協任務大隊、第4特科大隊は西部方面隊全般の火力支援等を行う全般支援大隊として運用される[6]。
警備隊区は第2特科大隊を除き指定され、旧第8特科連隊の全域である熊本県南部と、旧第4特科連隊の佐賀県部分を継承し、第4高射特科大隊(佐賀県の一部)から警備隊区の移管を受け、熊本県南部の5市8町5村[11]および佐賀県(佐賀地区の2市、三神地区の2市3町除く)の6市6町を担当している[注 1]。
旧第8特科連隊では「熊本八特太鼓」と呼ばれる和太鼓演奏グループがあり、「自衛太鼓」の一つとして自衛隊音楽まつりや部外での演奏を行っていた。2018年(平成30年)3月の部隊新編をもって「熊本西特連太鼓」と改称したという[2](えびの駐屯地では「えびの自衛隊おじか太鼓」、久留米駐屯地では「久留米一心太鼓」が別途編成されている)。
各大隊は前身部隊等の愛称等を引き継いでいる。第2特科大隊はかつて駐屯していた第8戦車大隊の部隊マークであった白虎を部隊マークに引き継ぎ[10]、第4特科大隊は旧第4特科連隊の後身として引き続き久留米駐屯地に駐屯することから「4特(ヨントク)」の愛称を引き継いでいる[3]
沿革
編集- 2019年(平成31年 / 令和元年)
- 2021年(令和 3年):天草地方の災害派遣担任を第5地対艦ミサイル連隊に移管[14]。
- 2023年(令和 5年)
- 3月16日:廃止された第302観測中隊の人員、装備をもって情報中隊を増強改編[6]。
- 8月4日:第1特科大隊に19式装輪自走155mmりゅう弾砲が配備され、入魂式を挙行[15]。
- 2024年(令和 6年)
- 3月21日:部隊改編。
- 9月13日:第2特科大隊に19式装輪自走155mmりゅう弾砲が配備され、入魂式を挙行[17][18]。
編成
編集特記ない限り北熊本駐屯地所在。
- 西部方面特科連隊本部
- 西部方面特科連隊本部中隊「西特-本」 - 82式指揮通信車
- 情報中隊「西特-情」
- 第1特科大隊
- 第1特科大隊本部
- 本部管理中隊「西特-1-本」
- 第1射撃中隊「西特-1-1」 - 19式装輪自走155mmりゅう弾砲
- 第2射撃中隊「西特-1-2」 - 19式装輪自走155mmりゅう弾砲
- 第2特科大隊(玖珠駐屯地)
- 第2特科大隊本部
- 本部管理中隊「西特-2-本」
- 第3射撃中隊「西特-2-3」 - 155mmりゅう弾砲FH-70・19式装輪自走155mmりゅう弾砲
- 第4射撃中隊「西特-2-4」 - 155mmりゅう弾砲FH-70・19式装輪自走155mmりゅう弾砲
- 第3特科大隊(えびの駐屯地)
- 第3特科大隊本部
- 本部管理中隊「西特-3-本」
- 第5射撃中隊「西特-3-5」 - 155mmりゅう弾砲FH-70
- 第6射撃中隊「西特-3-6」 - 155mmりゅう弾砲FH-70
- 第4特科大隊(久留米駐屯地)
- 第4特科大隊本部
- 本部管理中隊「西特-4-本」
- 第7射撃中隊「西特-4-7」 - 155mmりゅう弾砲FH-70
- 第8射撃中隊「西特-4-8」 - 155mmりゅう弾砲FH-70
- 第9射撃中隊「西特-4-9」 - 155mmりゅう弾砲FH-70
整備支援部隊
編集- 西部方面後方支援隊第304特科直接支援中隊「304特直支」(北熊本駐屯地):2018年(平成30年)3月27日から2019年(平成31年)3月25日の間。
- 西部方面後方支援隊第101特科直接支援隊第1直接支援中隊「101特直支-1」(北熊本駐屯地):2019年(平成31年)3月26日から2024年(令和6年)3月20日まで。 専属で各種装備品等の整備および回収支援を実施する。各小隊の担当は、以下の通り。
- 西部方面後方支援隊第102特科直接支援大隊第1直接支援中隊「102特直支-1」:2024年(令和6年)3月21日から 専属で各種装備品等の整備および回収収支援を実施する。各小隊の担当は、以下の通り。
西部方面特科連隊長
編集官職名 | 階級 | 氏名 | 補職発令日 | 前職 |
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西部方面特科連隊長 | 1等陸佐 | 廣田佳仁 | 2024年12月20日 | 陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部 情報課総合情報班長 |
代 | 氏名 | 在職期間 | 前職 | 後職 |
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1 | 井上亙 | 2018年 | 3月27日 - 2018年 7月31日第8特科連隊長 | 陸上幕僚監部防衛部防衛課勤務 |
2 | 栗木幹雄 | 2018年 | 8月 1日 - 2020年 7月31日第6師団司令部第3部長 | 陸上自衛隊富士学校特科部教育課長 |
3 | 上原正一 | 2020年 | 8月 1日 - 2023年 3月29日陸上総隊司令部運用部運用課長 | 陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課 教育室長 |
4 | 福島政則 | 2023年 | 3月30日 - 2024年12月19日陸上幕僚監部防衛部防衛課防衛班長 | 陸上幕僚監部人事教育部人事教育計画課 教育室長 |
5 | 廣田佳仁 | 2024年12月20日 - | 陸上幕僚監部指揮通信システム・情報部 情報課総合情報班長 |
主要装備
編集- 19式装輪自走155mmりゅう弾砲(第1特科大隊・第2特科大隊)
- 155mmりゅう弾砲 FH70(そのほかの大隊・中隊)
- 中砲けん引車
- 対砲レーダ装置 JTPS-P16
- 対迫レーダ装置 JMPQ-P13
- 82式指揮通信車
- 1/2tトラック / 73式小型トラック
- 1 1/2tトラック / 73式中型トラック
- 3 1/2tトラック / 73式大型トラック
- 89式5.56mm小銃
警備隊区
編集脚注
編集注釈
編集- ^ 佐賀地区は第4高射特科大隊、三神地区は九州補給処が担当。また、第4特科連隊の福岡県部分は第4高射特科大隊に移管。
- ^ 災害派遣にあたっては、指定部隊の長(駐屯地司令)である西部方面混成団長の指揮を受ける。
出典
編集- ^ a b “湯布院駐屯地twitterアカウント(@yufuinpr)掲載”. 陸上自衛隊湯布院駐屯地. 2019年1月2日閲覧。
- ^ a b c “西部方面特科連隊”. 第8師団 西部方面特科連隊. 2018年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月3日閲覧。
- ^ a b “駐屯地所在部隊”. 陸上自衛隊久留米駐屯地. 2019年3月29日閲覧。
- ^ a b c 陸上自衛隊湯布院駐屯地 [@yufuinpr]. "【西部方面特科隊 改編】". X(旧Twitter)より2019年3月26日閲覧。
- ^ 陸上自衛隊湯布院駐屯地 [@yufuinpr]. "駐屯地広報誌「湯布院」第65号". X(旧Twitter)より2019年1月2日閲覧。
- ^ a b c 竹田純一『軍事研究 2024年7月号』700号、ジャパン・ミリタリー・レビュー、2024年7月1日、32-33頁。
- ^ 久留米駐屯地創立65周年記念式典スピーチ - YouTube
- ^ “駐屯地所在部隊”. www.mod.go.jp. 陸上自衛隊 久留米駐屯地. 2018年11月11日閲覧。
- ^ a b c “久留米駐屯地広報誌「くるめ」平成31年1月号”. 陸上自衛隊久留米駐屯地. p. 2. 2020年1月24日閲覧。
- ^ a b 陸上自衛隊 玖珠駐屯地 公式 [@kusutyutonti] (2020年4月14日). "玖珠駐屯地所在部隊の紹介をします。 本日は31年3月に新編、移駐して来た西部方面特科連隊第2大隊の紹介です。装備については、155㎜榴弾砲(FH70)を保有しおり、FH70 の愛称は『サンダーストーン』と呼ばれています。 #防衛省 #陸上自衛隊 #西部方面隊 #玖珠駐屯地 #特科大隊 #FH70". X(旧Twitter)より2020年4月14日閲覧。
- ^ a b “西部方面特科連隊”. 第8師団 西部方面特科連隊. 2018年4月3日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月3日閲覧。
- ^ “所在駐(分)屯地・部隊” (PDF). 陸上自衛隊 第8師団. 2018年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月1日閲覧。
- ^ “令和元年8月の前線に伴う大雨に係る災害派遣について”. 防衛省・自衛隊. 2019年8月31日閲覧。
- ^ “令和3年度版 熊本県地域防災計画(資料編) ”. 熊本県. 2022年6月20日閲覧。
- ^ 陸上自衛隊 湯布院駐屯地@公式 [@yufuinpr] (2023年8月8日). "8月4日に西部方面特科連隊第1大隊(北熊本)で、19式装輪自走155mmりゅう弾砲の入魂式が行われました。". X(旧Twitter)より2023年8月8日閲覧。
- ^ 令和6年度歳出概算要求書 - 防衛省(2023年8月31日、同日閲覧。355ページ)
- ^ 陸上自衛隊 湯布院駐屯地 [@yufuinpr] (2024年9月24日). "令和6年9月13日(金)に第2特科団の隷下部隊である、西部方面特科連隊第2大隊(玖珠)に19式装輪自走155mmりゅう弾砲が導入されたグワ★". X(旧Twitter)より2024年9月24日閲覧。
- ^ 自衛隊大分地方協力本部@公式 [@oita_pco] (2024年9月20日). "新装備お披露目式". X(旧Twitter)より2024年9月21日閲覧。
- ^ a b c “防衛省防災業務計画(令和6年3月28日)”. pp. 73-77. 2024年12月20日閲覧。
- ^ a b “平成30年度版 熊本県地域防災計画(資料編)”. 熊本県. p. 24. 2019年1月20日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 西部方面特科連隊(第8師団隷属時のホームページ)
- 陸上自衛隊 久留米駐屯地
- 陸上自衛隊 湯布院駐屯地 (@yufuinpr) - Twitter(第2特科団隷下部隊として、連隊の広報を実施)
- 陸上自衛隊 玖珠駐屯地(@kusutyutonti) - Twitter(第2大隊の広報)
- 陸上自衛隊 えびの駐屯地 (@jgsdf_ebino) - Twitter(第3大隊の広報)
- 陸上自衛隊 久留米駐屯地(@jgsdf_kurume) - Twitter(第4大隊の広報)