秋田臨海鉄道
秋田臨海鉄道株式会社(あきたりんかいてつどう)は、秋田県秋田市の秋田港駅から臨海地区に伸びる貨物鉄道を運営していた臨海鉄道会社である。日本貨物鉄道(JR貨物)や秋田県、三菱マテリアルなどが出資していた。
秋田臨海鉄道本社 | |
種類 | 株式会社 |
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本社所在地 |
日本 〒011-0945 秋田県秋田市土崎港西一丁目12番6号 北緯39度45分21.18秒 東経140度3分42.31秒 / 北緯39.7558833度 東経140.0617528度座標: 北緯39度45分21.18秒 東経140度3分42.31秒 / 北緯39.7558833度 東経140.0617528度 |
設立 | 1970年(昭和45年)4月21日[1] |
業種 | 陸運業 |
法人番号 | 7410001000595 |
事業内容 |
貨物鉄道事業 日本貨物鉄道に係る業務受託 鉄道利用運送事業 |
代表者 | 代表取締役社長 佐渡 嗣 |
資本金 |
5億円 (2019年3月31日現在)[2] |
発行済株式総数 |
99万4000株 (2019年3月31日現在)[2] |
売上高 | 2億1285万8618円(2019年3月期)[2] |
営業利益 | 664万1399円(2019年3月期)[2] |
純利益 | 352万5895円(2019年3月期)[2] |
純資産 | 6億4492万7803円(2019年3月31日現在)[2] |
総資産 | 8億5104万168円(2019年3月31日現在)[2] |
従業員数 |
20人 (2018年3月31日現在[3]) |
決算期 | 3月31日 |
主要株主 |
日本貨物鉄道 38.23% 秋田県 36.22% 三菱マテリアル 19.32% 日本製紙 2.01% DOWAホールディングス 2.01% (2019年3月31日現在[4]) |
外部リンク | http://www.akirin.jp/ |
特記事項:2023年5月22日解散[5]、2024年1月11日清算結了[6] |
概要
編集土崎港にある奥羽本線貨物支線の終点秋田港駅から分かれる、秋田市勝平地区の北部、向浜地区にある向浜駅を結ぶ路線(通称・南線)と、飯島地区の秋田北港駅を結ぶ路線(同・北線)を有していた。
かつては「臨海ツーリスト」という名称で旅行業も営んでいたが、1991年(平成3年)に地元旅行会社に譲渡して旅行業から撤退している。
2020年(令和2年)6月に唯一の荷主企業である日本製紙秋田工場[7]から利用停止の申し入れがあり、秋田臨海鉄道では臨時取締役会と定時株主総会で事業終了を報告[8]。同年9月25日に国土交通大臣に鉄道事業の廃止届を提出し[9]、2021年(令和3年)3月31日限りで鉄道事業を終了した[10]。
鉄道敷地の大半は秋田県から無償貸与を受けており、鉄道事業終了後はレール、枕木、踏切(26カ所)などの設備を撤去して返還する必要がある[8]。しかし、費用の問題から施設撤去の見通しが立っておらず、2021年2月17日時点で会社の解散時期は定まっていないと報じられた[8]が、その後のスクラップ価格の高騰によって撤去費用の捻出が可能になったことから、2022年4月より設備の撤去を行い、翌2023年3月で解散することになった[11](実際の解散は5月にずれ込んだ)。なおこの関係で、たまたま別の会社の意図で秋田港駅まで運ばれた国鉄24系客車が同駅構内で解体された[12]。
2021年5月1日と2日に、残った線路と機関車を使った「最初で最後の国鉄型ディーゼル機関車運転体験会」を実施。県内在住者を対象として抽選で参加者を決定し、機関車はDE10 1251が使用された[13]。
歴史
編集路線
編集車両
編集- ディーゼル機関車
- DD35形:1971年日立製作所製。構内入替用。
- DD56形:DD13形タイプ。開業時に日本車輌で製造。2両在籍。2011年10月に1号機の塗装を国鉄色に変更した[18]。2号機は白波模様。
- DE65形:DE10形タイプ。1両在籍。廃止された新潟臨海鉄道から譲り受けた。塗装は新潟臨海鉄道時代の、白帯と台枠、ステップ、手すりを黄帯に変更した塗色そのままで使用された。2011年11月から仙台臨海鉄道に貸し出され、2017年3月に譲渡。
- DE10形:元JR東日本のDE15で、十勝鉄道で使用された後、秋田へ来たものを含む。1250,1251,1543の3両が在籍[19]。2021年3月1日付で1250を仙台臨海鉄道に譲渡した[20]。2021年5月には1251が西濃鉄道へ譲渡された[21]。
- DB252:1両在籍。
- 203号機:秋田北港駅の秋田製錬専用線と向浜駅の日本製紙専用線の入換作業に使用されていた協三工業製20tディーゼル機関車。2016年に春日井駅の王子製紙専用線に転属した。
機関車の全般検査は、1990年代末頃までは川崎市川崎区(神奈川臨海鉄道塩浜機関区隣接)の森工業に委託しており、車体関係は同社の出張作業により秋田港駅の機関区で、台車・エンジン・変速機等は機関車から取り外して同社工場に移送して、それぞれ検査を施行していた[22][23]。2009年には秋田市に共栄物産が設立され、同社が機関車の全般検査等を施行するようになった[24]。共栄物産も、検査は機関車所在地での作業と主要機器取り外し・移送により行っていた。
受託業務
編集脚注
編集- ^ a b c d “ご挨拶” (PDF). 秋田臨海鉄道. 2021年4月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月1日閲覧。
- ^ a b c d e f g “平成30年度 決算公告”. 秋田臨海鉄道株式会社. 2019年7月25日閲覧。
- ^ 『鉄道統計年報』平成29年度版 - 国土交通省
- ^ 令和元年度鉄道要覧
- ^ a b c “秋田臨海鉄道が解散”. 秋田放送. (2023年5月22日). オリジナルの2023年5月22日時点におけるアーカイブ。 2023年5月22日閲覧。
- ^ a b c 秋田臨海鉄道株式会社の情報 - 国税庁法人番号公表サイト
- ^ a b “秋田臨海鉄道、来年3月で事業終了”. 秋田魁新報 (秋田魁新報社). (2020年6月23日). オリジナルの2020年6月23日時点におけるアーカイブ。 2020年6月23日閲覧。
- ^ a b c “秋田臨海鉄道の解散時期決まらず 施設撤去巡り協議続く”. 秋田魁新報. (2021年2月18日). オリジナルの2021年3月12日時点におけるアーカイブ。 2021年3月12日閲覧。
- ^ a b “鉄道事業廃止について”. 秋田臨海鉄道 (2020年10月1日). 2021年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月7日閲覧。
- ^ a b “秋田臨海鉄道、貨物鉄道事業を終了 清算めど立ったら解散へ”. 秋田魁新報. (2021年4月1日). オリジナルの2021年4月1日時点におけるアーカイブ。 2021年4月1日閲覧。
- ^ “臨海鉄道、来年3月解散 4月にも設備撤去開始”. 秋田魁新報. (2022年3月4日) 2022年4月26日閲覧。
- ^ “ブルートレイン52両、冬の港で解体中…鉄道ファンの保存の願いかなわず”. 読売新聞. (2023年1月14日). オリジナルの2023年1月14日時点におけるアーカイブ。 2023年1月14日閲覧。
- ^ “最初で最後の国鉄型ディーゼル機関車運転体験会” (PDF). 秋田臨海鉄道 (2021年4月13日). 2021年4月30日閲覧。
- ^ “南線 運行終了”. 秋田臨海鉄道 (2021年3月12日). 2021年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月12日閲覧。
- ^ a b 「秋田臨海鉄道 特別清算開始決定 負債総額3億4千万円」『秋田魁新報』2023年7月21日、4面。
- ^ a b 路線図 - 秋田臨海鉄道(2021年2月19日閲覧)
- ^ a b 国土交通省鉄道局監修『鉄道要覧』平成28年度版、電気車研究会・鉄道図書刊行会、p.74
- ^ railmagazine 2013-7
- ^ 機関車諸元 - 秋田臨海鉄道
- ^ “仙台臨海鉄道(株)への機関車譲渡”. 秋田臨海鉄道 (2021年3月1日). 2021年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年4月15日閲覧。
- ^ “DE10形ディーゼル機関車1251号機の譲渡について”. 秋田臨海鉄道 (2021年5月10日). 2021年5月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月10日閲覧。
- ^ 藤岡雄一「臨海鉄道を楽しむ」『鉄道ピクトリアル』1993年3月号(No.572)、電気車研究会、pp.18-23
- ^ 『鉄道ダイヤ情報』1999年3月号(No.179)、弘済出版社、pp.24-25
- ^ 共栄物産株式会社公式サイト(2024年2月26日閲覧)