秋田港駅

秋田県秋田市土崎港西にある日本貨物鉄道・東日本旅客鉄道の駅

秋田港駅(あきたこうえき)は、秋田県秋田市土崎港西一丁目にある日本貨物鉄道(JR貨物)・東日本旅客鉄道(JR東日本)奥羽本線貨物支線(通称:秋田港線)の。かつては秋田臨海鉄道線も乗り入れていた。

秋田港駅
旅客駅舎(2019年8月)
あきたこう
Akita port
土崎 (1.8 km)
地図
所在地 秋田県秋田市土崎港西一丁目12
北緯39度45分22.7秒 東経140度3分44.3秒 / 北緯39.756306度 東経140.062306度 / 39.756306; 140.062306座標: 北緯39度45分22.7秒 東経140度3分44.3秒 / 北緯39.756306度 東経140.062306度 / 39.756306; 140.062306
所属事業者 日本貨物鉄道(JR貨物)
東日本旅客鉄道(JR東日本)*
所属路線 奥羽本線貨物支線
キロ程 1.8 km(土崎起点)
電報略号 アコ
駅構造 地上駅
ホーム 1面1線
開業年月日 1919年大正8年)10月15日[1]
備考 定期貨物列車の発着なし
* 実質的に臨時駅扱いで、路線図等への表記ならびに総駅数への計上はされない。
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秋田港駅
あきたこう
所在地 秋田県秋田市土崎港西一丁目12
所属事業者 秋田臨海鉄道
開業年月日 1971年昭和46年)7月7日
廃止年月日 2021年令和3年)4月1日
乗入路線 2 路線
所属路線 秋田臨海鉄道線(北線)
キロ程 0.0 km(秋田港起点)
(0.5 km) 中島埠頭
所属路線 秋田臨海鉄道線(南線)
キロ程 0.0 km(秋田港起点)
(5.4 km) 向浜
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施設全景(2018年4月)

基本的には貨物専用駅ではあるが、JR東日本が秋田港に寄港するクルーズ船の乗客などを対象とした旅客営業を不定期で行っている(後述)。

概要

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地上駅。秋田臨海鉄道線の各駅を発着する貨車を整理する操車場としての機能が強かった。駅構内には、秋田臨海鉄道の機関区や、コンテナを留置するコンテナヤードが設置されている。なお、駅構内の入換作業は秋田臨海鉄道が行っていた。

1995年(平成7年)ごろまで、駅西側の秋田住友ベーク工場へ続く専用線が存在し、メタノール輸送が行われていた。国鉄時代には、秋田港の埠頭まで広がる複数の専用線が敷かれていた。

当駅では、長らく貨物の取り扱いは行われていなかったが、2011年(平成23年)に発生した東日本大震災の津波により、仙台臨海鉄道が長期間不通となっていた時期に同鉄道の仙台埠頭駅で行われていたJR東日本向けのレールの取り扱いが当駅で実施されていたことがある。なお、仙台埠頭駅同様、レールは、ラフテレーンクレーンを使用し長物車に積み込まれる。

秋田臨海鉄道が2021年3月いっぱいで事業を終了したため、3月13日のダイヤ改正以降当駅への定期貨物列車の発着は無くなり、同年発売の『貨物時刻表』でも秋田港線区間の時刻欄が削除されている。2024年9月時点でJR貨物は鉄道施設の管理を2025年度で終える方針を示している[2]

歴史

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秋田港にある製油所製錬所からの輸送需要の高まりを受けて、昭和前半には多くの貨物列車が通ったが、八橋油田の産出量の低下に伴って貨物列車の本数は減少した。

年表

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  • 1907年明治40年)4月10日国鉄雄物川荷物取扱所(おものがわにもつとりあつかいじょ)として開業[3]
  • 1919年大正8年)10月15日:駅に昇格、雄物川駅となる[4]。貨物駅。
  • 1942年昭和17年)4月1日小荷物の取扱を開始[1]一般駅となる)。
  • 1944年(昭和19年)4月1日:秋田港駅に改称[1]
  • 1954年(昭和29年)9月1日:小荷物の取扱を廃止(貨物駅に戻る)[1]
  • 1971年(昭和46年)7月7日:秋田臨海鉄道線が開業。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、国鉄の駅は日本貨物鉄道(JR貨物)に承継される[1]
  • 2017年平成29年)
    • 7月21日:同日付で秋田港に寄港するクルーズ客船の乗客の輸送のため、JR東日本に対して土崎駅 - 当駅間について期間を限定した第二種鉄道事業を許可[5][6]
    • 8月3日 - 6日:秋田港に寄港するクルーズ客船の乗客専用として、当駅から秋田駅までの旅客列車が4日間で5往復運行された[7]
  • 2018年(平成30年)
  • 2019年(平成31年)3月8日:同日付で土崎駅 - 当駅間において、2019年4月11日から同年11月15日までの第二種鉄道事業の事業を許可[13][14]
  • 2020年令和2年)10月17日 - 18日:秋田臨海鉄道創業50年記念「秋田臨海鉄道特別公開 2020」のため、参加者向けに秋田駅から団体臨時列車を運行[15]。この年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響により、秋田港へのクルーズ船の寄港がすべて中止となったため、事実上これが当年唯一の旅客列車の発着となる(これに伴う第二種鉄道事業許可等の取り扱いは不明)。
  • 2021年(令和3年)
    • 3月12日:当駅を発着する定期貨物列車の運転が終了。
    • 4月1日:秋田臨海鉄道線廃止に伴い、JR貨物の単独駅となる[16]。なお、この年も秋田港へのクルーズ船の寄港はすべて中止となっている。
  • 2022年(令和4年)4月19日:同日付で土崎駅 - 当駅間において、2022年5月13日から同年11月11日まで特定(観光)目的とした第二種鉄道事業を許可[17]

旅客列車の発着

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開業当初より車扱貨物のみの取扱駅であったが、2017年(平成29年)、秋田港に寄港するクルーズ客船の乗客向けに当駅を発着して秋田駅までを結ぶ旅客列車団体専用列車)を運行することが発表された[18][19]。JR東日本は期間を限った第二種鉄道事業許可を取得し[6]、仮設の乗降用タラップを設置したうえで[20]竿燈まつりが行われる8月3 - 6日の期間中に計5往復の列車が試験運行された[7]。乗客はクルーズ客船の乗客に限定され、貨物線を活用してクルーズ船客を輸送するのは全国初の事例とされる。

2018年以降もJR東日本は4月から11月にかけての期間を限った第二種鉄道事業許可を取得し、4両編成に対応したプラットホーム1面を本格整備したうえで、4月18日から専用車両「あきたクルーズ号」を使用し本格運行を開始した[20][9][21]

また、クルーズ客船の乗客以外の利用として、2018年7月最終の土日に開催された、秋田港 海の祭典「マリンフェスティバル」2018へのアクセス列車が、専用車両「あきたクルーズ号」を使用し運行した[注 1]。これは、びゅうによる旅行商品専用の団体列車として運転され、秋田駅から秋田港駅への往復が含まれているが、切符の券面上は「秋田⇒土崎」の記載となった。往路の乗車列車を指定して発売された(着席位置と復路の利用列車選択は自由であった)。2019年の同フェスティバルでも運行された。

2020年度から2022年度までは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行の影響によりクルーズ客船の寄港が中止されたため、この間の旅客列車は駅周辺でのイベント時のみ運行された。

駅周辺

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毎年7月20日・21日に催行される「土崎港曳山まつり」では、秋田港線の踏切を曳山(山車)が横断する光景が見られる[注 2]

隣の駅

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日本貨物鉄道(JR貨物)
奥羽本線 貨物支線
土崎駅 - 秋田港駅

かつて存在した路線

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秋田臨海鉄道
秋田臨海鉄道線(北線)
秋田港駅 - 中島埠頭駅
秋田臨海鉄道線(南線)
秋田港駅 - 向浜駅

脚注

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注釈

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  1. ^ 28日の夜の復路2本は男鹿線用のキハ40系で運転された。
  2. ^ 奥羽本線の一部踏み切りも同様

出典

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  1. ^ a b c d e 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、541頁。ISBN 978-4-533-02980-6 
  2. ^ 「クルーズ列車」継続か廃止か 秋田県が協議始める 鉄道施設の取得・維持に高額費用”. FNNプライムオンライン - 秋田テレビ (2024年9月20日). 2024年10月12日閲覧。
  3. ^ 明治40年逓信省告示第235号(明治40年4月5日付官報第7126号掲載)
  4. ^ 大正8年鉄道院告示第82号(大正8年9月19日付官報第2139号掲載)
  5. ^ JR東日本による秋田港クルーズ列車運行のための第二種鉄道事業の許可書を交付します。』(PDF)(プレスリリース)国土交通省東北運輸局、2017年7月19日。オリジナルの2017年8月1日時点におけるアーカイブhttps://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11256813/wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/puresu/puresu/td170721.pdf2022年4月16日閲覧 
  6. ^ a b クルーズ船のお客さまの列車輸送に関する許可について』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2017年7月21日。オリジナルの2017年9月12日時点におけるアーカイブhttps://web.archive.org/web/20170912114318/https://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20170721-5.pdf2022年4月16日閲覧 
  7. ^ a b “秋田港クルーズ列車 秋田港-秋田 試験運行”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (2017年8月16日) 
  8. ^ 平成30年度の秋田港クルーズ列車運行のための第二種鉄道事業の許可書を交付します。』(PDF)(プレスリリース)国土交通省東北運輸局、2018年1月24日。オリジナルの2018年2月1日時点におけるアーカイブhttps://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11060467/wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/puresu/puresu/td180124-1.pdf2022年4月16日閲覧 
  9. ^ a b 4月から秋田港クルーズ列車を運行します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2018年1月26日http://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20180126-1.pdf2018年1月29日閲覧 
  10. ^ 秋田港クルーズ列車運行に伴い専用車両による運行を開始します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2018年2月23日http://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20180223-2.pdf2018年2月24日閲覧 
  11. ^ JR東日本,秋田港クルーズ列車に専用車両を導入へ”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年2月24日). 2018年2月25日閲覧。
  12. ^ 『あきたクルーズ号』の運転開始”. railf.jp(鉄道ニュース). 交友社 (2018年4月19日). 2018年4月20日閲覧。
  13. ^ 平成31年度の秋田港クルーズ列車運行のための第二種鉄道事業許可を行いました。』(PDF)(プレスリリース)国土交通省東北運輸局、2019年3月8日。オリジナルの2019年4月3日時点におけるアーカイブhttps://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11463405/wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/puresu/puresu/td190308.pdf2022年4月16日閲覧 
  14. ^ 「秋田港クルーズ列車」2019 年の運行を開始します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2019年3月8日https://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20190308.pdf2020年4月4日閲覧 
  15. ^ 創業 50 年記念「秋田臨海鉄道特別公開 2020」を開催します』(PDF)(プレスリリース)東日本旅客鉄道秋田支社、2020年9月11日https://www.jreast.co.jp/akita/press/pdf/20200911.pdf2020年10月6日閲覧 
  16. ^ 鉄道事業廃止について”. 秋田臨海鉄道 (2020年10月1日). 2021年1月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月7日閲覧。
  17. ^ 令和4年度 秋田港クルーズ列車運行のための特定(観光)目的とした鉄道事業許可について』(PDF)(プレスリリース)国土交通省東北運輸局、2022年4月15日https://wwwtb.mlit.go.jp/tohoku/content/000264011.pdf2022年4月15日閲覧 
  18. ^ “竿燈期間にクルーズ客向け列車 秋田港―秋田駅間、計5往復”. 秋田魁新報. 秋田魁新報社. (2017年7月1日). オリジナルの2017年7月12日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170712150913/http://www.sakigake.jp/news/article/20170701AK0012/ 2017年7月2日閲覧。 
  19. ^ “クルーズ船客、貨物線で輸送 JR秋田支社など”. 日本経済新聞. 日本経済新聞社. (2017年7月1日). https://www.nikkei.com/article/DGXLZO18341580Q7A630C1L01000/ 2017年7月2日閲覧。 
  20. ^ a b “秋田港にクルーズ船列車発着駅 本格的に整備、JR方針”. 秋田魁新報. 秋田魁新報社. (2017年7月22日). http://www.sakigake.jp/news/article.jsp?kc=20170722AK0003 2017年8月10日閲覧。 
  21. ^ “<JR秋田支社>秋田港駅発着 クルーズ列車4月本格運行”. 河北新報ONLINE NEWS (河北新報社). (2018年1月27日). オリジナルの2018年4月20日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20180420100913/http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201801/20180127_42024.html 2018年4月20日閲覧。 

関連項目

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