室蘭港
北海道室蘭市にある港湾
室蘭港(むろらんこう)は、北海道室蘭市にある港湾。港湾管理者は室蘭市、港湾法上の「国際拠点港湾」および港則法上の「特定港」に指定されている。
室蘭港 | |
---|---|
所在地 | |
国 | 日本 |
所在地 | 北海道室蘭市 |
座標 | 北緯42度20分58.0秒 東経140度57分50.0秒 / 北緯42.349444度 東経140.963889度座標: 北緯42度20分58.0秒 東経140度57分50.0秒 / 北緯42.349444度 東経140.963889度 |
詳細 | |
開港 | 1872年 |
管理者 | 室蘭市 |
種類 | 国際拠点港湾 |
面積 | 1,598 ha[1] |
埠頭数 |
公共:41バース[1] 民間:58バース[1] |
統計 | |
統計年度 | 令和3年[1] |
発着数 | 4,221隻[1] |
貨物取扱量 | 15,631,000トン[1] |
コンテナ数 | 4,039TEU[1] |
概要
編集室蘭港は内浦湾(噴火湾)東端に位置しており、噴火湾に向かって突き出した絵鞆半島によって太平洋から遮蔽し、天然の入り江を形成する良港になっている[2]。港湾区域は1,598 haあり、北海道内最大となる被覆内水域1,401 ha、北日本最大となる本航路の水深(16.5 m)を有している[2]。1872年(明治5年)の開港以来、石炭積出・製鉄・石油精製などを中心とした臨海工業港及び後背地の流通拠点港として北海道工業地域の発展を支えた。近年は環境事業(静脈物流など)や防災[3][4]、洋上風力発電の拠点港としての機能を推進している[5]。港湾取扱貨物量は北海道内3位(平成28年)となっている[6]。
港湾施設
編集港湾施設は以下の通り。
防波堤
編集- 北防波堤
- 南防波堤
- 北外防波堤
- 南外防波堤
- 南外防波堤(B)
- 南副防波堤
- 内防波堤
- 波除提
- 機帆船船溜防波堤
- 崎守船溜防波堤
- 崎守船溜防波堤(A)
- 崎守船溜防波堤(B)
- 陣屋水面木材流出防止防波堤(B)
- 築港船入澗防波堤
- 絵鞆船溜防波堤
- 絵鞆小型船溜防波堤(A)
- 絵鞆小型船溜防波堤(B)
大型けい船岸壁(公共岸壁)
編集- 崎守埠頭
- 西岸壁
- 中央岸壁
- 6号岸壁
- 物資専門岸壁
- けい船杭
- フェリー埠頭
- 3号岸壁
- 4号岸壁
- 入江耐震岸壁
- 中央埠頭
- 旅客船岸壁
- 乙種
- 丙種
- 西3号埠頭
- 基部
- -5.5 m岸壁
- 東側
- 頭部
- 西側
- スリップ
- 西2号埠頭
- 東側
- 頭部
- 西側
- スリップ
- 西1号埠頭
- 東側
- 西側
- 祝津埠頭
- 1〜2号岸壁
- 内航岸壁
大型けい船岸壁(専用岸壁)
編集- ENEOS埠頭
- J - 0桟橋
- J - 1桟橋
- J - 2桟橋
- J - 3桟橋
- H - 1桟橋
- H - 2桟橋
- H - 3桟橋
- H - 4桟橋
- H - 5桟橋
- 本輪西埠頭
- 西岸壁
- 南岸壁
- 東岸壁
- 中卯埠頭
- モービル岸壁
- 三菱岸壁
- 出光岸壁
- 日本製鉄埠頭
- 北6号岸壁
- 北5号岸壁
- 北4号岸壁
- 北3号岸壁
- 丁種岸壁
- 丙種岸壁
- 乙種岸壁
- 甲種岸壁
- 18号岸壁
- 19号岸壁
- 日鉄セメント埠頭
- 北2号岸壁
- 北1号岸壁
- 丁種岸壁
- 御崎埠頭
- 日通埠頭
- 1号岸壁
- 2号岸壁
- 3〜4号岸壁
- 5号岸壁
- 6号岸壁
- 7号岸壁
- 8号岸壁
- 日鋼埠頭
- 2号岸壁
- 楢崎
- ドルフィン
- 楢崎埠頭
- 函館どつく埠頭
緑地
編集- 崎守臨海公園
- 入江臨海公園
- 入江親水緑地
- 築地地区緑地
- 祝津臨海公園
- 絵鞆臨海公園
厚生施設
編集- 市立船員待合所
- 室蘭海員会館
- 市立室蘭みなと診療所
航路
編集コンテナ航路
- 国際コンテナ航路(毎週寄港。船社:高麗海運ジャパン)
- 国際フィーダーコンテナ航路(室蘭は不定期。船社:横浜コンテナライン)
フェリー航路
フェリー航路(過去)
官公署
編集沿革
編集「室蘭港の歴史」参照[13]
- 1872年(明治 5年) : トキカラモイに木製桟橋設置し、室蘭海関所設置(室蘭港開港)。室蘭—森間の官営噴火湾定期航路(森蘭航路)開設。
- 1883年(明治16年) : 室蘭—森定期航路民間委託。
- 1889年(明治22年) : 栗林吉次により新潟—室蘭間で貨物船による米運輸(1893年まで)。室蘭港における海運業開始。
- 1890年(明治23年) : 海軍省による第5の鎮守府予定地(現在の母恋付近)になる。
- 1891年(明治24年) : 大黒島灯台点灯。
- 1892年(明治25年) : 輪西に初代・室蘭駅開設。エトスケレップ桟橋より石炭船積み。
- 1893年(明治26年) : 日本郵船の青森—函館間の定期航路が室蘭まで延長。室蘭—森間定期航路廃止。「軍港」指定。
- 1894年(明治27年) : 税関所設置。外国貿易の「特別輸出港」指定。
- 1897年(明治30年) : 室蘭駅が市街地近くの仏坂下に移転し、海岸町の埋立整備が進む。
- 1899年(明治32年) : 「関税法」施行による開港。
- 1903年(明治36年) : 軍港指定解除。海岸町の埋立整備が終了し、室蘭駅が再び移転。
- 1906年(明治39年) : 日本郵船が3港連絡定期航路廃止し、青森—室蘭間の青蘭定期航路に変更。
- 1909年(明治42年) : 北海道炭礦汽船輪西製鐵所(現在の日本製鉄室蘭製鉄所)の50 t溶鉱炉火入れ。母恋の室蘭工場(現在の日本製鋼所室蘭製作所)第7工場運転開始。
- 1910年(明治43年) : 日本製鋼所専用埠頭完成。
- 1911年(明治44年) : 室蘭駅構内に石炭積出用海上高架桟橋完成。
- 1915年(大正 4年) : 日本郵船が青蘭定期航路から撤退し、北日本汽船に譲渡[14]。
- 1918年(大正 7年) : 港内防波堤築設起工(1927年完成)。
- 1923年(大正12年) : 頭山満、楢崎、三菱合資会社、開発局、鉄道院などによる西室蘭埋立整備終了。
- 1943年(昭和18年) : 海運統制に伴い、北日本汽船が大阪商船に吸収合併[15]、青蘭定期航路が大阪商船の運用となる。
- 1950年(昭和25年) : 大阪商船が青蘭航路を廃止し、新たに室蘭—東京(京浜)航路及び室蘭—阪神航路開設[15]。
- 1951年(昭和26年) : 「重要港湾」、「出入国港」、「検疫港」指定。
- 1954年(昭和29年) : 昭和天皇、香淳皇后の行幸啓。巡視船てるづきに乗船して港内を視察[16]。
- 1962年(昭和37年) : 「植物防疫輸入指定港」指定。
- 1964年(昭和39年) : 北外防波堤の築設起工(1972年完成)。
- 1965年(昭和40年) : 東北・北海道地方初となる「特定重要港湾」(現在の国際拠点港湾)指定。港内でタンカー「ヘイムバード号」桟橋衝突炎上事故発生[17]。5月23日、原油を積載したヘイムバードが操船ミスにより日本石油精製室蘭製油所(当時)の桟橋に衝突炎上、6月18日に鎮火するまで27日間に渡って燃え続け、10名の犠牲者を出した。付近の住民にも一時避難命令が出された。
- 1967年(昭和42年) : 東日本フェリー室蘭—青森間フェリー航路(青蘭航路)開設 (2008年12月廃止)。
- 1969年(昭和44年)
- 1970年(昭和45年) : 室蘭—大間間フェリー航路開設(1991年11月休止)。
- 1974年(昭和49年) : 北外防波堤灯台新設に伴い、大黒島灯台廃止。
- 1978年(昭和53年) : フェリー埠頭供用開始。
- 1979年(昭和54年) : 室蘭—八戸間フェリー航路開設(2006年3月休止)。
- 1981年(昭和56年) : 祝津コールセンター開設。
- 1985年(昭和60年) : 室蘭駅—西室蘭駅間の室蘭本線貨物支線廃線。室蘭—大洗間フェリー航路開設(2002年6月休止)。
- 1986年(昭和61年) : 東南アジアとコンテナ定期航路開設(1992年2月休止)。
- 1988年(昭和63年) : 「動物等指定検疫物輸入港」指定。
- 1990年(平成 2年) : 室蘭—直江津間フェリー航路開設(1998年9月に博多まで延航、2006年12月休止)。
- 1991年(平成 3年) : 室蘭—大畑間フェリー航路開設(1998年4月休止)。
- 1992年(平成 4年) : エンルムマリーナ開設[19]。
- 1994年(平成 6年) : 新フェリーターミナル(室蘭港フェリーターミナル)竣工。
- 1995年(平成 7年) : 「外国産食糧輸入港」指定。
- 1997年(平成 9年) : 崎守埠頭第6バース(水深14 m)供用開始。横浜港からガントリークレーン譲受し、稼働開始(2017年更新)[20]。
- 1998年(平成10年) : 室蘭港口に白鳥大橋(白鳥新道一期区間)開通。
- 1999年(平成11年) : 中央埠頭旅客船バース供用開始し、旅客船第一船として「飛鳥」接岸。
- 2000年(平成12年) : 大韓民国の釜山港・蔚山港との国際定期コンテナ航路開設(2006年休止、2008年釜山港との航路再開)。
- 2001年(平成13年) : 中央埠頭旅客船バース完成。
- 2002年(平成14年) : 静脈物流のリサイクルポート指定港湾「総合静脈物流拠点港(リサイクルポート)」に苫小牧港とともに一次指定[21]。絵鞆漁船だまり水中荷さばき地供用開始。
- 2003年(平成15年) : 浮体式防災施設(広域防災フロート)供用開始(2010年に国へ売却)。
- 2008年(平成20年) : エンルムマリーナが「海の駅」登録[22][23]。入江地区耐震強化岸壁供用開始[24]。東日本フェリーのフェリー事業撤退に伴う室蘭—青森間の航路廃止により、室蘭港におけるすべてのフェリー航路が一旦なくなる。
- 2010年(平成22年) : 国土交通省のパイロットモデル事業として日本国内初となる自動車専用運搬船の解体実証試験(船舶解体)実施[25]。
- 2011年(平成23年) : 東日本大震災による被災地支援のため、浮体式防災施設(広域防災フロート)を岩手県大船渡港及び福島県相馬港へ派遣[注 1][26][27]。
- 2012年(平成24年):祝津絵鞆地区と入江地区が「みなとオアシス」登録[28]。
- 2014年(平成26年):JX日鉱日石エネルギー(現在のENEOS)が室蘭製油所の原油処理を停止し、室蘭製造所として石化工場に転換(2019年に製造停止し、JXTGエネルギー室蘭事業所となる)[29][30][31][32]。
- 2015年(平成27年):苫小牧沖で火災を起こした商船三井フェリーの「さんふらわあ だいせつ」が火災鎮火後の現場検証のため曳航[33]。
- 2018年(平成30年):フェリーターミナルビル・フェリー埠頭の改修工事完了し[34]、川崎近海汽船による宮古—室蘭間フェリー航路就航[10][35](2020年3月より宮古港寄港を休止し、八戸—室蘭間の運航となる[36]。2022年休止[12]。)。
- 2022年(令和 4年):室蘭港港湾施設群として「土木学会選奨土木遺産」認定[37]。
- 2023年(令和 5年):津軽海峡フェリーによる青森ー室蘭間フェリー航路就航(10月予定)。
脚注
編集注釈
- ^ 北海道太平洋沿岸の港湾設備においても浸水による被害があった中、室蘭港は施設損傷や人的被害がなかった(津波観測値は1 m)。
出典
- ^ a b c d e f g “室蘭港統計年報 令和3年” (PDF). 室蘭市港湾部. 2022年12月22日閲覧。
- ^ a b 国際拠点港湾 室蘭港.
- ^ “むろらんの環境産業”. 室蘭市. 2015年8月5日閲覧。
- ^ “室蘭ものづくり”. 2015年8月5日閲覧。
- ^ “室蘭洋上風力関連事業推進協議会(MOPA)”. 2022年12月22日閲覧。
- ^ “北海道港湾統計について(平成28年速報値)”. 北海道. 2017年9月29日閲覧。
- ^ 『宮古/室蘭航路開設のご案内』(PDF)(プレスリリース)川崎近海汽船、2015年3月10日 。2015年5月8日閲覧。
- ^ “室蘭-宮古フェリー航路開設を川崎近海汽船が検討”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2015年3月10日) 2015年5月8日閲覧。
- ^ “室蘭―宮古間に航路、川崎近海汽船 18年春にも”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2015年3月11日) 2015年5月8日閲覧。
- ^ a b “室蘭―宮古に定期フェリー就航 観光や物流拡大に期待”. 北海道新聞. (2018年6月22日) 2018年6月23日閲覧。
- ^ 『宮古/室蘭航路 八戸寄港に伴うダイヤ改編のご案内』(PDF)(プレスリリース)川崎近海汽船、2018年9月28日 。2018年12月2日閲覧。
- ^ a b 『宮古(八戸)/室蘭航路 休止日決定のご案内』(プレスリリース)川崎近海汽船、2021年12月24日 。2022年2月11日閲覧。
- ^ “室蘭港の歴史”. 室蘭市. 2014年8月1日閲覧。
- ^ 渋沢社史データベース『北日本汽船株式会社二十五年史』年表
- ^ a b 渋沢社史データベース『大阪商船株式会社80年史』年表
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、110頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ “日本の重大海難(機船ヘイムバード桟橋衝突事件)”. 1969年(昭和44年)11月29日裁決言渡(高等海難審判庁). 海難審判庁. 2014年6月23日閲覧。
- ^ 港内を船暴走 岸壁へズドン『朝日新聞』昭和45年(1970年)4月13日朝刊、12版、15面
- ^ “エンルムマリーナ室蘭”. 2017年9月29日閲覧。
- ^ “室蘭港崎守埠頭の新ガントリークレーンが稼働開始”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2017年12月16日) 2017年12月17日閲覧。
- ^ “リサイクルポート(1次指定)概要 〜室蘭港・苫小牧港〜” (PDF). 国土交通省 (2002年5月30日). 2014年6月18日閲覧。
- ^ “エンルムマリーナ室蘭、「海の駅」本道第1号に”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2008年1月29日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “むろらん海の駅”. 海の駅. 2017年9月29日閲覧。
- ^ “室蘭港旧フェリーふ頭、日胆初の耐震強化岸壁完成”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2008年3月22日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “シップリサイクル プロジェクト”. NPO法人シップリサイクル室蘭. 2014年7月31日閲覧。
- ^ “室蘭港の防災フロート、建造以来初めて震災被災地へ”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2011年3月19日) 2017年9月29日閲覧。
- ^ “防災フロートが支援活動を終えきょう室蘭に帰港”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2011年10月8日) 2017年9月29日閲覧。
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- ^ 『組織の改正について』(プレスリリース)JXTGエネルギー、2019年2月26日 。2019年4月2日閲覧。
- ^ “JXTG室蘭事業所が物流拠点として再スタート”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2019年4月2日) 2019年4月2日閲覧。
- ^ “カーフェリー「さんふらわあ だいせつ」 苫小牧沖での火災発生について(その 9)(プレスリリース)” (PDF). 商船三井フェリー (2015年8月11日). 2015年8月12日閲覧。
- ^ “フェリーふ頭 輝き再び 室蘭港施設整備が完了”. 室蘭民報 (室蘭民報社). (2018年3月30日) 2018年5月6日閲覧。
- ^ “【動画】室蘭にフェリー10年ぶり復活、青山剛市長「この街にはフェリーが似合う。最高だ」”. リアルエコノミー (2018年6月23日). 2019年7月15日閲覧。
- ^ 『宮古~室蘭航路 宮古寄港休止の件』(プレスリリース)川崎近海汽船、2019年12月20日 。2020年11月30日閲覧。
- ^ “土木学会 令和4年度度選奨土木遺産 室蘭港港湾施設群”. www.jsce.or.jp. 2022年9月19日閲覧。
参考資料
編集- “国際拠点港湾 室蘭港” (PDF). 室蘭市. 2017年9月29日閲覧。