中心線 (幾何学)
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幾何学において, 中心線[訳語疑問点](ちゅうしんせん、英: Central lines)とは三角形に対して一意に決まる直線の総称である。中心線はほとんどの場合、三線座標によってあらわすことができる。中心線は三角形の中心とも密接にかかわっている。中心線の概要は1994年のクラーク・キンバーリングの論文でまとめられた[1][2]。
定義
編集△ABC に対する三線座標x : y : zを用いて、平面上の直線は以下の様に書ける。 ここで三線座標 は三角形の中心である[3][4]。
三線極線
編集三角形の中心と中心線の幾何的な結び付けの一つに三線極線(trilinear polars)と等角共役がある。
三線座標で とし の表す直線はXの三線極線と呼ばれる[2][5]。 の表す点はXの等角共役点と呼ばれる。
したがって、次の式で与えられる中心線は点 の等角共役点の三線極線である。
中心線の作図
編集△ABCと点Xについて、中心線は以下の様に定義される。
- YをXの等角共役点とする。AY, BY, CYは直線 AX, BX, CX をA, B, Cの角の二等分線で鏡映した線(等角共役線)である。
- △ABCと点Yに対するチェバ線AY, BY, CYとBC, CA, ABの交点A', B', C'でチェバ三角形△A'B'C' を作る。
- △ABCと△A'B'C' はYを中心とし配景 (en:Perspective) なのでデザルグの定理が成り立つ。
- この配景の軸DEFをYの三線極線、Xの中心線と言う。
著名な中心線
編集クラーク・キンバーリングの「Encyclopedia of Triangle Centers」における点Xnに対する中心線はLnと表記される。
内心の中心線:反垂軸
編集内心 X1 = 1 : 1 : 1 (またはI )の中心線は、反垂軸(Antiorthic axis)と呼ばれ、以下の式で表される。
- △ABCの内心の等角共役点は内心自身である。したがって、△ABCとその内心三角形(incentral triangle、内心のチェバ三角形)の配景の軸は反垂軸である。
- 反垂軸は△ABC と傍心三角形△I1I2I3の配景の軸である[6]。
- △ABCの傍接円の△ABCの辺でない共通接線の成す三角形は外接線三角形(extangents triangle)と呼ばれる。 △ABCと外接線三角形の配景の軸は反垂軸である。
重心の中心線:ルモワーヌ軸
編集△ABCの重心X2(またはG)の三線座標は以下の様に与えられる。 重心の中心線は以下の式で表される。 この直線はルモワーヌ軸、ルモワーヌ線(Lemoine axis, Lemoine line)と呼ばれる。
- X2の等角共役点である類似重心X6(またはK)の三線座標はa : b : cである。ルモワーヌ軸は類似重心の三線極線である。
- △ABCの頂点の外接円に対する接線の成す三角形を接線三角形△TATBTCと言う。 △ABC と外接三角形の配景の軸はルモワーヌ軸である。
外心の中心線:垂軸
編集外心X3(またはO)の三線座標は以下の様に与えられる。 外心の中心線は以下の式で表される。 この直線を垂軸(Orthic axis)という[7]。
- 外心X3の等角共役点は垂心X4(またはH)の三線座標はsec A : sec B : sec Cである。垂心の三線極線は垂軸で、これはオイラー線と垂直に交わる[8]。△ABCと垂足三角形△HAHBHCの配景の軸は垂軸である。
垂心の中心線
編集垂心 X4(またはH)の三線座標は以下の様に与えられる。 垂心の中心線は以下の式で表される。
- 外心の三線極線は垂心の中心線である。
九点円の中心の中心線
編集九点円の中心X5(またはN)の三線座標は以下の式で与えられる。 X5の中心線は以下の式で表される。
類似重心の中心線: 無限遠直線
編集類似重心 X6(または K)の三線座標は以下の式で与えられる。 類似重心の中心線は以下の式で表される。
その他の有名な中心線
編集オイラー線
編集△ABCのオイラー線とは重心、外心、垂心、九円点の中心などを通る直線である。オイラー線の三線座標は以下の式で与えられる。 これはX647の中心線である。
ナーゲル線
編集△ABCのナーゲル線(Nagel line)とは内心、重心、シュピーカー中心、ナーゲル点などを通る直線である。ナーゲル線の三線座標は以下の式で与えられる。 これはX649の中心線である。
ブロカール軸
編集△ABCのブロカール軸(Brocard axis)とは外心と類似重心、ブロカール円の中心などを通る直線である。ブロカール軸の三線座標は以下の式で与えられる。 これはX523の中心線である。
出典
編集- ^ Kimberling, Clark (June 1994). “Central Points and Central Lines in the Plane of a Triangle”. Mathematics Magazine 67 (3): 163–187. doi:10.2307/2690608.
- ^ a b Kimberling, Clark (1998). Triangle Centers and Central Triangles. Winnipeg, Canada: Utilitas Mathematica Publishing, Inc.. pp. 285
- ^ Weisstein. “Central Line”. From MathWorld--A Wolfram Web Resource. 24 June 2012閲覧。
- ^ Kimberling. “Glossary : Encyclopedia of Triangle Centers”. 23 April 2012時点のオリジナルよりアーカイブ。24 June 2012閲覧。
- ^ Weisstein. “Trilinear Polar”. From MathWorld--A Wolfram Web Resource.. 28 June 2012閲覧。
- ^ Weisstein. “Antiorthic Axis”. From MathWorld--A Wolfram Web Resource. 26 June 2012閲覧。
- ^ Weisstein, Eric W.. “Orthic Axis” (英語). mathworld.wolfram.com. 2024年3月22日閲覧。
- ^ “垂軸”. kikagaku.at-ninja.jp. 2024年3月22日閲覧。
- ^ Weisstein. “Kosnita Point”. From MathWorld--A Wolfram Web Resource. 29 June 2012閲覧。
- ^ Darij Grinberg (2003). “On the Kosnita Point and the Reflection Triangle”. Forum Geometricorum 3: 105–111 29 June 2012閲覧。.