メルセデス・ベンツ・OM654エンジン
OM654は、メルセデス・ベンツの直列4気筒ディーゼルエンジンの系列であり、OM651系列の後継である。
EURO6d規制や、RDE(実路走行試験)規制に対応したエンジンとなる[1]。先代よりシリンダーピッチが狭くなった(94mm→90mm)ことから、前後方向に短くなり、小型化を実現した。排出ガス浄化システムは、DPFとSCR触媒コンバーターを統合したsDPF(DPF with SCR Coating:選択触媒還元法コーティング付粒子状物質除去フィルター)を 直接エンジン本体に取り付けることで、排出ガス浄化経路を短縮した。さらに、シングルステージターボチャージャーと可変タービンジオメトリを採用し、シリンダーヘッドとクランクケースはアルミニウム製とした。また、メルセデス・ベンツが開発した表面コーティング NANOSLIDE®を導入することで、 シリンダー表面とスチール製ピストンの間の摩擦を低減した。
2016年7月、Eクラス(W213)から、OM654が導入された[2]。
2019年3月、Aクラス(W177)から、横置きエンジンのOM654qが導入された[3]。日本仕様としては、コンパクトモデル群にとって、初のクリーンディーゼルモデルとなる。
同年6月、ボルグワーナーのターボチャージャーが、当エンジンに採用されたと発表された[4]。
2021年6月、Cクラス(W206)から、進化版であるOM654Mが導入された[5]。新しいクランクシャフトの採用により、ストロークが延ばされ、排気量が42cc拡大した[6]。また、コモンレール式直噴システムの最大噴射圧が、20MPaアップしたほか、ターボチャージャーは、新しい可変タービンジオメトリーの水冷式になった。排気後処理として、新たに、エンジン近傍に2つのNOx吸蔵触媒、そしてDPF(ディーゼル・パーティキュレート・フィルター)、尿素SCRシステムを備えるほか、車両下部にはもう1つSCR触媒コンバーターを追加した。同時に、48Vのマイルドハイブリッドシステム「ISG」が搭載されたことで、ガソリンモデルと同様に、電動化がなされた。
バリエーション
編集エンジン型式 | 総排気量 cc |
ボア×ストローク mm |
最高出力 kW(PS)/rpm |
最大トルク Nm(kgm)/rpm |
搭載モデル | 販売期間 |
---|---|---|---|---|---|---|
OM654 | 1,949 | 82.0×92.3 | 180 (245)/ 4,200 |
500 (51.0)/ 1,600〜2,400 |
GLE 300 d 4MATIC (W167) | 2019年6月-2021年12月 |
143 (194)/ 3,800 |
400 (40.8)/ 1,600~2,800 |
E 220 d アバンギャルド (W/S213) | 2016年7月-2020年9月 | |||
E 220 d ローレウスエディション (W/S213) | 2020年3月-2020年9月 | |||||
E 220 d スポーツ (W/S213) | 2020年9月-2024年1月 | |||||
E 350 de アバンギャルド スポーツ (W213) | 2019年10月-2020年9月 | |||||
E 350 de スポーツ (W213) | 2020年9月-2023年2月 | |||||
E 220 d 4MATIC オールテレイン (X213) | 2017年9月-2024年1月 | |||||
E 220 d 4MATIC オールテレイン ローレウスエディション (X213) | 2020年3月-2020年9月 | |||||
CLS 220 d スポーツ (C257) | 2018年6月-2023年8月 | |||||
C 220 d アバンギャルド (W/S205) | 2018年7月-2019年9月 | |||||
C 220 d ローレウスエディション (W/S205) | 2019年9月-2021年6月 | |||||
GLC 220 d 4MATIC (X/C253) | 2019年10月-2023年3月 | |||||
120 (163)/ 3,800~4,400 |
380 (38.7)/ 1,600~2,400 |
V 220 d アバンギャルド (W447) | 2022年2月-2024年10月 | |||
V 220 d マルコポーロ ホライゾン (W447) | 2022年2月-2022年12月 | |||||
V 220 d エクスクルーシブ (W447) | 2022年2月- | |||||
V 220 d (W447) | 2024年10月- | |||||
OM654q | 110 (150)/ 3,400~4,400 |
320 (32.6)/ 1,400~3,200 |
A 200 d (W/V177) | 2019年3月- | ||
B 200 d (W247) | 2019年6月- | |||||
CLA 200 d (C/X118) | 2019年8月- | |||||
GLA 200 d 4MATIC (H247) | 2020年6月- | |||||
GLB 200 d (X247) | 2020年6月-2021年3月 | |||||
GLB 200 d 4MATIC (X247) | 2021年4月- | |||||
OM654M | 1,992 | 82.0×94.3 | 198 (269)/ 4,200 |
550 (56.1)/ 1,800〜2,200 |
GLE 300 d 4MATIC (W167) | 2021年12月- |
147 (200)/ 3,600 |
440 (44.9)/ 1,800~2,800 |
C 220 d アバンギャルド (W/S206) | 2021年6月- | |||
C 220 d 4MATIC オールテレイン (S206) | 2022年1月- | |||||
145 (197)/ 3,600 |
GLC 220 d 4MATIC (X/C254) | 2023年3月- | ||||
E 220 d アバンギャルド (W/S214) | 2024年1月- | |||||
E 220 d 4MATIC オールテレイン (X214) | 2024年3月- |
参考文献
編集- ^ “メルセデス・ベンツ新型Eクラスを発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “メルセデス・ベンツが新型「Eクラス」を日本に導入”. 2019年4月16日閲覧。
- ^ “クリーンディーゼルエンジン搭載の「A 200 d」を発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “メルセデスベンツ、ボルグワーナーの最新2ステージターボ採用…GLE 新型にも搭載”. レスポンス(Response.jp). 2019年6月20日閲覧。
- ^ “新型「Cクラス(セダン/ステーションワゴン)」を発表”. メルセデス・ベンツ日本合同会社. 2024年10月2日閲覧。
- ^ “新型メルセデス・ベンツCクラスのエンジンは見所満載! ガソリン2.0ℓM254型は新開発、2.0ℓ直4ディーゼルOM654型も大幅改良! 新旧比較もしてみる”. Motor-Fan[モーターファン]. 2024年10月2日閲覧。