メルセデス・ベンツ・GLE

メルセデス・ベンツ・GLEMercedes-Benz GLE)は、ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツ・グループが生産し、同社がメルセデス・ベンツブランドで販売している高級SUVである。

Mクラスの後継車であり、アメリカ(アラバマ州タスカルーサ工場)で生産される。初代のみ、プラットフォームをジープ・グランドチェロキーと共有している。

なお、派生車種であるGLEクーペも本稿で述べる。

初代(2015年-2019年)W166/C292型

編集
メルセデス・ベンツ・GLE(初代)
W166/C292型
 
GLE350d 4MATIC スポーツ
 
メルセデスAMG GLE43 4MATIC クーペ
 
メルセデスAMG GLE63 S 4MATIC
概要
販売期間 2015年 - 2019年
ボディ
乗車定員 5-7
ボディタイプ SUV
SUVクーペ
駆動方式 4WD(4MATIC)
パワートレイン
エンジン ガソリン
3.0L V型6気筒
5.5L V型8気筒
ディーゼル
3.0L V型6気筒
最高出力 258 - 585ps
最大トルク 53.0 - 77.5kg・m
変速機 7速AT(7G-TRONIC)
9速AT(9G-TRONIC)
テンプレートを表示

2015年1月、北米国際オートショーにて、新規則による車名変更が適用され、GLEとして発表された。W166自体は、3代目Mクラスとして2011年6月に発表されており、マイナーチェンジにあたる変更となる。

日本市場での歴史

編集

2015年10月28日、マイナーチェンジに伴い、GLEに移行した[1]

2016年4月、派生モデルとしてGLEクーペが発表された。

2017年10月25日、特別仕様車「GLE 350 d 4MATIC Coupé Sports OrangeArt Edition」を100台限定で発売することを発表。同時に「Mercedes-AMG GLE 43 4MATIC」・「Mercedes-AMG GLE 43 4MATIC Coupé」の一部改良も行われ、エンジンの改良により最高出力を23PS向上したほか、「Mercedes-AMG GLE 43 4MATIC Coupé」には右ハンドル仕様も追加された[2]

日本でのグレード (クロスオーバーSUV)
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式
Mercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC 5.5L M157型 DOHC V型8気筒 ツインターボチャージャー付 585ps/77.5kg・m 7速AT 4WD
Mercedes-AMG GLE 43 4MATIC 3.0L M276型 DOHC V型6気筒ツインターボチャージャー付 390ps/53.0kg・m 9速AT
GLE 350 d 4MATIC Sports 3.0L OM642型 DOHC V型6気筒ディーゼルターボ 258ps/63.2kg・m
GLE 350 d 4MATIC
日本でのグレード (クロスオーバーSUVクーペ)
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式
Mercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC Coupé 5.5L M157型 DOHC V型8気筒 ツインターボチャージャー付 585ps/77.5kg・m 7速AT 4WD
Mercedes-AMG GLE 43 4MATIC Coupé 3.0L M276型 DOHC V型6気筒 ツインターボチャージャー付 390ps/53.0kg・m 9速AT
GLE 350 d 4MATIC Coupé Sports 3.0L OM642型 DOHC V型6気筒ディーゼルターボ 258ps/63.2kg・m
GLE 350 d 4MATIC Coupé

2代目 (2019年-) W167/C167型

編集
メルセデス・ベンツ・GLE(2代目)
W167/C167型
 
AMGライン(欧州仕様・後期型)
 
メルセデスAMG GLE63 4MATIC+ クーペ
 
メルセデスAMG GLE53 4MATIC+
概要
販売期間 2019年 -
ボディ
乗車定員 5-7
ボディタイプ SUV
SUVクーペ
駆動方式 4WD
パワートレイン
エンジン ガソリン
3.0L 直列6気筒
4.0L V型8気筒
ディーゼル
2.0L 直列4気筒
3.0L 直列6気筒
最高出力 245ps - 612ps
最大トルク 500N・m - 850N・m
変速機 9速AT(9G-TRONIC)
AIRMATIC サスペンション
AMG RIDE CONTROL+ エアサスペンション
AMG ACTIVE RIDE CONTROL
AIRMATIC サスペンション
AMG RIDE CONTROL+ エアサスペンション
AMG ACTIVE RIDE CONTROL
車両寸法
ホイールベース 2,955mm(SUV)
2,935mm(クーペ)
全長 4,930 - 4,955mm(SUV)
4,955 - 4,960mm(クーペ)
全幅 1,950 - 2,020mm
全高 1,770 - 1,795mm(SUV)
1,715mm(クーペ)
車両重量 2,290 - 2,490kg
その他
最小回転半径 5.5 - 5.8m
テンプレートを表示

2018年9月12日、パリモーターショー2018にて発表された[3]。2019年2月27日、「Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+」が発表され、同年3月5日にジュネーブモーターショー2019にて公開された[4]

 
Mercedes me 東京にて撮影

日本市場での歴史

編集

2019年6月19日、SUVが2代目にフルモデルチェンジされた[5]。キャッチコピーは、SUVが「かつてない豊かな毎日のために。」、クーペが「そこに満ちる、艶やかな躍動。」である。

ホイールベースが80mm拡大され、室内空間を大幅に拡げたことで、3列シート・7人乗り仕様となったほか、パワートレインは全面刷新され、GLE 300 d 4MATICにはGLEでは初となる直列4気筒の2.0L直噴ディーゼルターボ「OM654」型を、GLE 400 d 4MATIC Sportsには2ステージターボチャージャーが採用された直列6気筒3.0L直噴ディーゼルターボ「OM656」型をそれぞれ採用。GLE 450 4MATIC Sportsには直列6気筒の3.0L直噴ターボ「M256」型に、ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と48V電気システムが搭載されている。

全モデルに液晶メーターとナビ画面が繋がったワイドディスプレイが標準装備される。ナビ画面は、タッチパネル式を採用している。

対話型マルチインフォティメントシステム「MBUX (メルセデス・ベンツ・ユーザー・エクスペリエンス)」が搭載され、AIを用いた音声認識を可能にした。「Hey,Mercedes!(ヘイ、メルセデス)」[注釈 1]で起動する音声認識システムを備え、自然な対話で、カーナビの目的地設定やエアコンの温度調節など、車両の機能をコントロールすることができる。

また、周囲の交通状況に応じて、自動加減速とステアリングアシストを行う『アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック&アクティブステアリングアシスト』やドライバーがウインカーを点滅させると、行き先の車線に車両がいないことを確認して自動で車線を変更する『アクティブレーンチェンジングアシスト』、ドアを開ける際、後方から自転車やバイク、人が近づくと警告灯や警告音で危険を知らせる『アクティブブラインドスポットアシスト(降車時警告機能付)』など、Sクラスと同等の安全装置を備えたほか、歩行者や飛び出しに加え、対向車線を横切って右折しようとする時にフロントに搭載されたレーダーセンサーとステレオマルチパーパスカメラが前方の状況を検知し、対向車線を直進してくるクルマと衝突する危険がある場合に、車速10km/h以内であれば自動ブレーキが作動する日本初の機能となる『アクティブブレーキアシスト(右折時対向車検知機能付)』を搭載し、最高峰の安全性能を実現する「レーダーセーフティパッケージ」を全車に標準装備した。

なお、GLE 450 4MATIC Sportsは発表当日より納車を開始し、GLE 400 d 4MATIC Sportsは同年8月以降、GLE 300 d 4MATICは同年11月以降順次納車されることになっており、GLE 300 d 4MATICのメーカー希望小売価格に含まれる消費税率は同年10月1日以降に適用される10%相当となっている。また、ISG搭載モデルのGLE 450 4MATIC Sportsは「平成30年排出ガス基準50%低減レベル(☆☆☆☆)」認定を取得している。

2020年5月28日、Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+が追加された(同日より注文受付開始、6月以降納車開始)。GLE 450 4MATIC Sport同様に直列6気筒の3.0L直噴ターボ「M256」型、ISG、48V電気システムにターボラグを解消するため電動スーパーチャージャーが搭載されるほか、トランスミッションには「AMGスピードシフトTCT(トルク・クラッチ・トランスミッション)」を採用。また、「AMG RIDE CONTROL+ エアサスペンション」をベースとした新システム「AMG ACTIVE RIDE CONTROL」を搭載。前後アクスルにそれぞれ配されたアクチュエーターが独立して動き、レスポンスの速い電気機械式となっているため、コーナリングや車線変更時にロールを効果的に抑制し、走行安定性を向上させる。なお、パノラミックスライディングルーフ仕様は型式取得されており、「平成30年排出ガス基準25%低減レベル(☆☆☆)」認定を取得している。

同年6月11日、クーペが2代目にフルモデルチェンジされた(同日より注文受付開始、6月下旬以降納車)[6]。初代モデルに比べ、全長で65mm、全幅で5mmそれぞれ拡大しているが、全高で15mm低くなった。また、ホイールベースも20mm拡大されたが、2代目GLEに比べて60mm短く設計されている。外観はフロントグリルにメルセデス・ベンツのクーペデザインの特徴であるシングルルーバーのダイヤモンドラジエーターグリルが採用され、リアは後席ドアからテールランプまでショルダーラインが伸び、リアコンビネーションはスリムで細長く、メルセデス・ベンツのSUVデザイン特徴である2分割で丸みを帯びたブロックデザインとしている。

ラインナップはOM656型を搭載したGLE 400 d 4MATIC Coupé Sportsと、M256型にISGと48V電気システムを搭載したMercedes-AMG GLE 53 4MATIC+ Coupéの2モデルが設定される。Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+ Coupéは「平成30年排出ガス基準25%低減レベル(☆☆☆)」認定を取得している。

同年12月15日、トップパフォーマンスモデルのMercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC+及びMercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC+ Coupéが追加発売された。612PSの最高出力と86.7kg・mの最大トルクを発揮するAMG 4.0L V型8気筒直噴ツインターボ「M177型」に電気モーター機能を兼ねるISGと48V電気システムが組み合わされており、縦にルーバーが入ったAMG専用ラジエターグリルを新採用し、AMGレッドブレーキキャリパーやAMGスポーツエグゾーストシステムといったMercedes-AMG 63シリーズ専用のエクステリアも装備される。

2021年12月24日、一部改良並びに仕様変更を実施(GLEは2022年1月、GLEクーペは同年2月より順次納車)。GLE 300 d 4MATICはISGの搭載により電動化。また、全モデルにおいて、Apple CarPlay及びAndroid Autoに対応し、スマートフォンのアプリをメディアディスプレイで使用可能にするスマートフォン連携機能を標準装備し、GLEはさらに、前席左右に加えて後席でも独立した温度調整を可能にするクライメートコントロールも標準装備された。また、ボディカラーはイリジウムシルバーをハイテックシルバーに入れ替え、エナジャイジングパッケージ、エアバランスパッケージ(パフュームアトマイザー付)、ワイヤレスチャージング、E-ACTIVE BODY CONTROLパッケージのオプション及び標準設定が停止され、原材料費の高騰に対応するため、メーカー希望小売価格が見直された。

2023年9月28日、マイナーチェンジモデルが発売された[7]。GLE 400 d 4MATIC SportsとGLE 400 d 4MATIC Coupé SportsはISGと48V電気システムが搭載された上で、GLE 450 d 4MATIC SportsとGLE 450 d 4MATIC Coupé Sportsへ改名され、既存モデルを含めて全車マイルドハイブリッド仕様となった。また、全モデルでフロントバンパー・ヘッドライト・テールライトのデザインが変更され、ホイールを新色に変更。GLE 300 d 4MATICとGLE 450 d 4MATIC Sportsはフロントグリルがスターパターンとなり、Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+はボンネットエンブレムが新デザインとなった。内装はステアリングホイールが最新世代へアップデートされ、ディスタンスアシスト・ディストロニック使用時のハンズオフ検知機能においては、静電容量式センサーを備えたパッドをリムに装着されたことで、ステアリングホイールにかかるトルクがなくともドライバーがステアリングを握っていることが認識できるように改良。Burmesterサラウンドサウンドシステム、MBUX ARナビゲーションが標準装備されたほか、Offroad設定時には360°カメラシステムを用いてメディアディスプレイにクルマのフロント部分下方の路面映像(フロントタイヤとその蛇行方向を含む)を仮想的に映し出すことで、車外に出ることなく進路上にある大きな石や深い窪みなどの障害を確認可能となる「トランスペアレントボンネット」も装備された。

同年11月20日、Mercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC+及びMercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC+ Coupéもマイナーチェンジ[8]。外観はヘッドライト・テールライト・ボンネットエンブレムが新デザインに変更。内装は先にマイナーチェンジされたモデル同様にステアリングホイールが最新世代へアップデート、リムに静電容量式センサーを備えたパッドが装着され、BurmesterサラウンドサウンドシステムやMBUX ARナビゲーションが標準装備された。

日本でのグレード(クロスオーバーSUV)
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式
Mercedes-AMG GLE 63 S 4MATIC+ 4.0L M177型 DOHC V型8気筒 ツインターボチャージャー付 9速AT(9G-TRONIC) 4WD 612ps/86.7kg・m
Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+ 3.0L M256型 DOHC 直列6気筒 ターボチャージャー付 435ps/53.0kg・m
GLE 450 4MATIC Sports 367ps/51.0kg・m
GLE 450 d 4MATIC Sports OM656M型 DOHC 直列6気筒 ディーゼルターボ 367ps/76.5kg・m
GLE 400 d 4MATIC Sports OM656型 DOHC 直列6気筒 ディーゼルターボ 330ps/71.4kg・m
GLE 300 d 4MATIC 2.0L OM654M型 DOHC 直列4気筒 ディーゼルターボ 269ps/56.1kg・m
日本でのグレード(クロスオーバーSUVクーペ)
グレード 排気量 エンジン 最高出力/最大トルク 変速機 駆動方式
Mercedes-AMG GLE 63 4MATIC+ Coupé 4.0L M177型 DOHC V型8気筒 ターボチャージャー付 9速AT(9G-TRONIC) 4WD 612ps/86.7kg・m
Mercedes-AMG GLE 53 4MATIC+ Coupé 3.0L M256型 DOHC 直列6気筒 ターボチャージャー付 435ps/53.0kg・m
GLE 450 d 4MATIC Coupé Sports OM656M型 DOHC 直列6気筒 ディーゼルターボ 367ps/76.5kg・m
GLE 400 d 4MATIC Coupé Sports OM656型 DOHC 直列6気筒 ディーゼルターボ 330ps/71.4kg・m

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ 日本仕様は「Hi,Mercedes!(ハイ、メルセデス)」。

出典

編集
  1. ^ 「GLE」を発売』(PDF)(プレスリリース)メルセデス・ベンツ日本株式会社、2015年10月28日http://www.mercedes-benz.jp/news/release/2015/20151028_1.pdf2015年10月29日閲覧 
  2. ^ 「GLE 350 d 4MATIC Coupé Sports OrangeArt Edition」を発表』(PDF)(プレスリリース)メルセデス・ベンツ日本株式会社、2017年10月25日http://www.mercedes-benz.jp/news/release/2017/20171025_5.pdf2017年10月25日閲覧 
  3. ^ 株式会社インプレス (2018年9月14日). “独ダイムラー、新型「GLE」をパリモーターショー 2018で世界初公開。PHV、3列シート仕様もあり”. Car Watch. 2019年6月19日閲覧。
  4. ^ GLE 新型にメルセデスAMG「53」、高性能48Vマイルドハイブリッド…ジュネーブモーターショー2019で発表予定”. レスポンス(Response.jp). 2019年6月19日閲覧。
  5. ^ メルセデス・ベンツ、3列シート/7名乗車仕様になった新型「GLE」”. Car Watch(インプレス) (2019年6月19日). 2019年6月19日閲覧。
  6. ^ メルセデス・ベンツ、新型「GLE クーペ」発表。ホイールベース20mm拡大など室内スペース拡大”. Car Watch(インプレス) (2020年6月11日). 2020年6月25日閲覧。
  7. ^ "新型「GLE」および「GLE クーペ」を発売" (PDF) (Press release). メルセデス・ベンツ・日本株式会社. 28 September 2023. 2023年9月29日閲覧
  8. ^ "新型「メルセデス AMG GLE 63 S 4MATIC+」および「メルセデス AMG GLE 63 S 4MATIC+クーペ」を追加" (PDF) (Press release). メルセデス・ベンツ・日本株式会社. 20 November 2023. 2023年12月7日閲覧

関連項目

編集

外部リンク

編集