メバル属
メバル科の分類群
メバル属(メバルぞく、眼張属、学名:Sebastes)はメバル科の属である。
メバル属 | |||||||||||||||||||||
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メバル
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Sebastes Cuvier, 1829[1] | |||||||||||||||||||||
タイプ種 | |||||||||||||||||||||
Perca norvegica Ascanius, 1772[1] | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
メバル属 | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Rockfish Sea perch Ocean perch | |||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||
(本文参照) |
これまでフサカサゴ科 Scorpaenidae に含められていたが、21世紀に入っての研究成果により、メバル科 Sebastidae という新しい名称の分類群に含まれることとなった[2][3][4][5]。
海水魚で、沿岸の岩礁域から大陸斜面まで様々な深さに生息し、多くの種類が存在する。食用魚として重要な種類も多い。多くは北太平洋に分布するが、1種は南太平洋と南大西洋に分布し、4種が北大西洋に分布する。多様性の最も高い地域は、56種が確認されている南カリフォルニア湾である。
最古の化石は、アメリカ合衆国のカリフォルニア州から発見された中新世のものであるが、ベルギーから発見された化石がメバル属のものであるなら、漸新世までさかのぼる可能性がある。
浅瀬から深度3000 m(メートル)まで分布し、岩場を含む様々な環境に生息する。魚類の中でも長命な種が含まれ、アラメヌケ Sebastes aleutianus は205歳の個体が報告されている。
主な種
編集- メバル
- 目張。温暖な浅い海に生息する小型種である。黒褐色で、数本のぼんやりとした黒い横縞がある。
- メバルは3種が知られている。
- シロメバル(白眼張) Sebastes cheni Barsukov, 1988[1]
- 釣魚としての日本語俗称は「青(あお)」「青地(あおじ)」。
- アカメバル(赤眼張) Sebastes inermis Cuvier & Valenciennes, 1829[1]
- 釣魚としての日本語俗称は「赤(あか)」「金(きん)」、および、「沖メバル(おきメバル)」。
- クロメバル(黒眼張) Sebastes ventricosus Temminck & Schlegel, 1843[1]
- シロメバル(白眼張) Sebastes cheni Barsukov, 1988[1]
- タケノコメバル Sebastes oblongus Günther, 1877[1]
- 全長40 cm ほどで、メバルより大型になる。体表は黄褐色の地に濃い褐色の斑点が散らばっており、これがタケノコの皮の模様に似ることからこの和名がある。地方名はベッコウゾイ(東北地方)、ボイジョ(石巻市近隣)。また、メバルほど目は大きくない。分布域・生息域ともメバルとほぼ同じだが、生息密度には地域によってむらがある。産卵期は秋から初冬にかけてで、繁茂したホンダワラ類に稚魚を産む。食用にするとメバルよりも身が固く歯ごたえがある。生命力が非常に強く釣りあげられても冷蔵庫等で保存すれば一晩位生きている。
- ウスメバル Sebastes thompsoni (Jordan & Hubbs, 1925)[1]
- 全長30 cm ほど。体はうすい赤褐色で上半分に褐色の大きなまだら模様がある。普段は水深50–150 m ほどの岩礁域に生息するが高水温時の夜間には浅海に出現することもある。体色や生息域から「アカメバル」、「オキメバル」という別名もある。
- 日本での主な分布域は相模湾以北の太平洋沿岸域、北海道、日本海沿岸域の冷水域。[5]
- トゴットメバル Sebastes joyneri Günther, 1878[1]
- 全長20 cm ほど。ウスメバルに似るが、小型でまだら模様も小さい。メバルよりも深い海域に生息する。
- キツネメバル Sebastes vulpes Döderlein, 1884[1]
- 狐目張。通称ソイ・マゾイなど。全長30 cm ほど。北海道南部以南から山口県、房総半島の深い海域に生息する。
- クロソイ Sebastes schlegelii Hilgendorf, 1880[1]
- 体長は50 cm を超える大型種で、和名どおり全身が黒い。目と唇の間に3本の棘があるのでキツネメバルと区別できる。日本と朝鮮半島、中国北部の沿岸域に分布し、浅い海の岩礁域に生息する。東日本では高級魚として扱われる。
- アコウダイ Sebastes matsubarai Hilgendorf, 1880[1]
- 体長は60 cm 以上に達し、全身が鮮やかな赤色をしている。太平洋側の、水深500–1000 m ほどの大陸棚斜面に生息する。釣りなどで漁獲され食用になるが、釣り上げた際は急激な水圧の変化で鰾が膨張し内臓を圧迫するため、目が飛び出た状態で上がってくる。このためアコウダイ、もしくは近縁の種類を指して「メヌケ(目抜け)」という別名がある。
- アラスカメヌケ Sebastes alutus (Gilbert, 1890)[1]
- 英名 Pacific ocean perch。体長50 cm ほど。体色は鮮やかな赤色。アラスカ湾、ベーリング海近辺から宮城県沖、南カリフォルニアまでの北太平洋に分布。
- タイセイヨウアカウオ Sebastes norvegicus (Ascanius, 1772)[1]
- 英名 Atlantic redfish, ocean perch。体長は50–100 cm。カナダからグリーンランド付近の北洋の深海域に生息している。
- ヤナギノマイ Sebastes steindachneri Hilgendorf, 1880[1]
- 柳の舞。体長30 cm ほど。体色は赤みのかかった黄金色。東北地方以北の日本海、オホーツク海に分布。
- キタノメヌケ Sebastes polyspinis (Taranetz & Moiseev, 1933)[1]
- 英名 Northern rockfish。体長40 cm ほど。体色は赤色。アラスカ湾、ベーリング海近辺に分布。
- ヨロイメバル Sebastes hubbsi (Matsubara, 1937)[1]
- 鎧目張。体長20 cm 前後になる。岩手県、新潟県以南、朝鮮半島。浅い岩礁域に棲息。
- コウライヨロイメバル Sebastes longispinis (Matsubara, 1934)[1]
- 15 cm くらいまでの小さなメバル類で沿岸の浅い岩礁や砂底に棲息。本種は尾鰭の前半分に幅の広い白い帯があることで識別できる。北海道および九州南部、土佐湾を周辺を除く日本各地、朝鮮半島、黄海北部周辺[5]。
- ムラソイ Sebastes pachycephalus Temminck & Schlegel, 1843[1]
- ムラソイ、オウゴンムラソイ、ホシナシムラソイ、アカブチムラソイは種Sebastes pachycephalusの亜種とされていたが、遺伝学的な手法を用いて分類学的な整理がなされ、亜種はなくなるとともに、ムラソイ、オウゴンムラソイの2種にまとめられた[6][7][5]。
- ムラソイとオウゴンムラソイはコウライヨロイメバルとは尾鰭の白い帯の有無、ヨロイメバルとは腹鰭の斑紋や背びれの棘数で分けられる。また、ムラソイとオウゴンムラソイの識別点は、ムラソイでは背鰭の棘部の付け根に小さな鱗があるのに対してオウゴンムラソイでは少なくとも第5、6棘付近までそのような鱗は見られない[5]。
- ムラソイは北海道を除く日本各地、朝鮮半島南部、黄海北部周辺に分布[5]。
- オウゴンムラソイ Sebastes nudus Matsubara, 1943
- 分布域はムラソイとほぼ同様であるが、ムラソイより冷水を好むようで、北海道にも分布し、温かい黒潮の影響を受ける九州、四国、和歌山から東海地方にかけての沿岸部には見られない[5]。
- ハツメ(キメバル) Sebastes owstoni (Jordan & Thompson, 1914)[1]
- 鉢目。体長25 cm 前後になる。千葉県、島根県以北。朝鮮半島、沿海州、オホーツク海。水深100–300 m。
- シマメヌケ Sebastes rubrivinctus (Jordan & Gilbert, 1880)[1]
- 英名 Flag rockfish。北太平洋に生息する。体長50 cm 前後になる。
- エゾメバル Sebastes taczanowskii Steindachner, 1880[1]
- 蝦夷眼張。体長25 cm ほど。体色は淡褐色から赤橙色で尾鰭後縁部が白色。北海道から岩手県にかけての岩礁域に棲息する[8][9]。
呼称
編集学名
編集学名(ラテン語)の Sebastes (セバステス)は、ギリシア語の Σεβαστός(sebastos、セバストス、「尊厳」の意)(立派な、尊ぶべき)に由来する合成語で、西欧人名 Sebastian (音訳例:セバスチャン、セバスティアン)と同根である。
3世紀のディオクレティアヌス帝のキリスト教迫害で、柱に身を縛り付けられ、針でいっぱいのハリネズミのように多くの矢を射られ殺害されたセバスティアヌス(Sebastianus)に由来する。
和名
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u “Sebastes Cuvier, 1829”. WoRMS. 2023年8月23日閲覧。
- ^ H. Imanura; M. Yabe (2002). “Demise of the Scorpaeniformes(Actiopterygii: Percomorpha): An alternative phylogenic hypothesis”. Bull. Fish. Sci. Hokkaido Univ. 53 (3): 107-128 .
- ^ H. Imamura (2004). “Phylogenetic relationships and new classification of the superfamily Scorpanoidae (Actiopterygii: Perciformes)”. Species Diversity (The Japanese Society of Systematic Zoology) 9 (1): 1-36. doi:10.12782/specdiv.9.1. NAID 110006794420 .
- ^ 中坊徹次(編). 2013. 日本産魚類検索, 全種の同定, 第三版. 東海大学出版会, 秦野. 2428pp(三分冊).
- ^ a b c d e f g 波戸岡清峰, 2013. 大阪湾メバル図鑑. Nature Study, 59(9): 2–5.
- ^ Y. Kai; K. Nakayama; T. Nakabo (2011). “Genetic and morphological divergence within the Sebastes pachycephalus complex (Scorpaniformes: Scorpanidae)”. Ichtyol. Res. (Springer Japan) 58 (4): 333-343. NAID 10030255382 .
- ^ Y. Kai; T. Nakabo (2013). “Taxonomic review of the Sebastes pachycephalus complex (Scorpaniformes: Scorpanidae)”. Zootaxa (Magnolia Press) 3637 (5): 541-560. NAID 120005296105 .
- ^ “エゾメバル”. JODC Dataset - Biological Information System for Marine Life. 日本海洋データセンター. 2018年6月1日閲覧。
- ^ S.Kamura,. “Scorpaenidae”. 広島大学デジタル自然史博物館 ~魚類~. 広島大学・水圏資源生物学研究室. 2018年6月1日閲覧。