ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ

ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ』(Meaty, Beaty, Big & Bouncy)は、イングランドロックバンドであるザ・フーベスト・アルバムである[1]1971年に発表され、全英9位[2]、全米11位[3]を記録した。

『ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ』
ザ・フーコンピレーション
リリース
録音 1964年-1970年
ジャンル ロック
時間
レーベル
ザ・フー アルバム 年表
  • ミーティ・ビーティ・ビッグ・アンド・バウンシィ
  • (1971年 (1971)
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解説

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ザ・フーの公式編集アルバムとしては、1968年アメリカで米デッカ・レコードから発売された『マジック・バス~ザ・フー・オン・ツアー[注釈 1]、同年にイギリスでトラック・レコードから発売された『ダイレクト・ヒッツ』に続く3作目となる。前作と前々作にはシェル・タルミーのプロデュースで制作されたブランズウィック・レコード時代の楽曲が、当時タルミーが独占していた権利によって収録されなかった。本作はこれらの楽曲のうちの5曲[注釈 2]を収録しており、ザ・フーのそれまでの歴史を俯瞰した初のベスト・アルバムとしてイギリスとアメリカの両方で発表された。

収録曲14曲のうち、ジョン・エントウィッスル作の「ボリスのクモ野郎」[注釈 3]以外はシングルのA面収録曲[注釈 4]で、7曲はオリジナル・アルバムには未収録である。「アイム・ア・ボーイ」と「マジック・バス」は、シングル・ミックスとは異なる未発表バージョンが収録されている。「アイム・ア・ボーイ」は1966年10月3日に再録された別バージョン[4]、「マジック・バス」はオリジナルよりも演奏時間が1分以上長いロング・バージョンを擬似ステレオで収録している。また「ザ・キッズ・アー・オールライト」はアメリカでのシングル・カット[5]で使用された編集版である。

タイトルはドッグフードコマーシャルから採られたものである。当初は「ザ・フー・ルック・バック」になる予定だったというが、ピート・タウンゼント曰く「それじゃまるで俺たちみんな死んじまったみたいだからさ」ということで変更になった[6]。ジャケットの写真はロジャー・ダルトリーの従兄弟に当たる写真家のグレアム・ヒューズ[注釈 5]の作品[1]で、幼少期のメンバーにそっくりな子供たちを探し出して撮影された[7]。マネージャーのキット・ランバートは、自分が最終承認をしないうちにアルバムがプレスされたことに怒り回収しようとしたが、既に多くが出荷されていたため断念した[6]

アメリカでは1985年と1988年にMCAレコードから再発CDが発売された。「マジック・バス」は前者[8]ではLPと同じロング・バージョン、後者[9]ではショート・バージョンのリアル・ステレオ・ミックスが収録された。これらのCD化を最後に本作は廃盤となっていたが、日本では2007年、オリジナルマスターを定本にした紙ジャケット仕様の再発CDが限定発売された[10]

収録曲

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※作詞・作曲の記載がない曲はピート・タウンゼント作。

オリジナルLP

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A面
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.アイ・キャント・エクスプレイン I Can't Explain」 
  • シングル『アイ・キャント・エクスプレイン』A面( 1965年1月5日、 1964年12月)
2.ザ・キッズ・アー・オールライト The Kids Are Alright」(USA single edited version) 
3.ハッピー・ジャック Happy Jack」 
  • シングル『ハッピー・ジャック』A面( 1966年12月6日、 1967年3月18日)
4.恋のマジック・アイ I Can See for Miles」 
  • シングル『恋のマジック・アイ』A面( 1967年10月13日、 1967年9月18日)
  • アルバム『セル・アウト』(( 1967年12月15日、 1968月1月6日)
5.リリーのおもかげ Pictures of Lily」 
  • シングル『リリーのおもかげ』A面( 1967年4月21日、 1967年6月24日)
6.マイ・ジェネレイション My Generation」 
  • シングル『マイ・ジェネレーション』A面( 1965年10月29日、 1965年11月20日)
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』( 1965年12月3日)
  • アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション』( 1966年4月)
7.シーカー The Seeker」 
  • シングル『シーカー』A面( 1970年3月20日、 1970年4月25日)
合計時間:
B面
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.エニウェイ・エニハウ・エニホエア Anyway, Anyhow, Anywhere」Pete Townshend, Roger Daltrey
  • シングル『エニウェイ・エニハウ・エニホエア』A面( 1965年5月21日、 1965年6月5日)
2.ピンボールの魔術師 Pinball Wizard」 
  • シングル『ピンボールの魔術師』A面( 1969年3月7日、 1969年3月11日)
  • アルバム『トミー』( 1969年5月23日、 1969月5月17日)
3.「リーガル・マター A Legal Matter」 
  • シングル『リーガル・マター』A面( 1966年3月7日)
  • シングル『ザ・キッズ・アー・オールライト』B面( 1966年7月1日)
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』( 1965年12月3日)
  • アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション』( 1966年4月)
4.「ボリスのくも野郎 Boris the Spider」John Entwistle
5.マジック・バス Magic Bus」(extended version) 
  • シングル・バージョン『マジック・バス』A面( 1968年10月11日、 1968月7月27日)
6.恋のピンチ・ヒッター Substitute」 
  • シングル『恋のピンチ・ヒッター』A面( 1966年3月5日及び14日、 1966年4月2日)
7.アイム・ア・ボーイ I'm a Boy」(extended version) 
  • シングル・バージョン『アイム・ア・ボーイ』A面( 1966年8月26日、 1966年12月)
合計時間:
  • MCA Records – MCAD-37001
  • Polydor – UICP-93005
#タイトル作詞・作曲オリジナル時間
1.アイ・キャント・エクスプレイン I Can't Explain」 
  • シングル『アイ・キャント・エクスプレイン』A面( 1965年1月5日、 1964年12月)
2.ザ・キッズ・アー・オールライト The Kids Are Alright」(USA single edited version) 
3.ハッピー・ジャック Happy Jack」 
  • シングル『ハッピー・ジャック』A面( 1966年12月6日、 1967年3月18日)
4.恋のマジック・アイ I Can See for Miles」 
  • シングル『恋のマジック・アイ』A面( 1967年10月13日、 1967年9月18日)
  • アルバム『セル・アウト』(( 1967年12月15日、 1968月1月6日)
5.リリーのおもかげ Pictures of Lily」 
  • シングル『リリーのおもかげ』A面( 1967年4月21日、 1967年6月24日)
6.マイ・ジェネレイション My Generation」 
  • シングル『マイ・ジェネレーション』A面( 1965年10月29日、 1965年11月20日)
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』( 1965年12月3日)
  • アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション』( 1966年4月)
7.シーカー The Seeker」 
  • シングル『シーカー』A面( 1970年3月20日、 1970年4月25日)
8.エニウェイ・エニハウ・エニホエア Anyway, Anyhow, Anywhere」Pete Townshend, Roger Daltrey
  • シングル『エニウェイ・エニハウ・エニホエア』A面( 1965年5月21日、 1965年6月5日)
9.ピンボールの魔術師 Pinball Wizard」 
  • シングル『ピンボールの魔術師』A面( 1969年3月7日、 1969年3月11日)
  • アルバム『トミー』( 1969年5月23日、 1969月5月17日)
10.「リーガル・マター A Legal Matter」 
  • シングル『リーガル・マター』A面( 1966年3月7日)
  • シングル『ザ・キッズ・アー・オールライト』B面( 1966年7月1日)
  • アルバム『マイ・ジェネレーション』( 1965年12月3日)
  • アルバム『ザ・フー・シングス・マイ・ジェネレーション』( 1966年4月)
11.「ボリスのくも野郎 Boris the Spider」John Entwistle
12.マジック・バス Magic Bus」 
  • シングル・バージョン『マジック・バス』A面( 1968年10月11日、 1968月7月27日)
13.恋のピンチ・ヒッター Substitute」 
  • シングル『恋のピンチ・ヒッター』A面( 1966年3月5日及び14日、 1966年4月2日)
14.アイム・ア・ボーイ I'm a Boy」 
  • シングル・バージョン『アイム・ア・ボーイ』A面( 1966年8月26日、 1966年12月)
合計時間:

参加ミュージシャン

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脚注

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注釈

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  1. ^ デッカ・レコードがザ・フーのマネージメントに無許可で発売した。
  2. ^ アイ・キャント・エクスプレイン」、「エニウェイ・エニハウ・エニホエア」、「マイ・ジェネレーション」、「ザ・キッズ・アー・オールライト」、「リーガル・マター」。
  3. ^ アルバム『ア・クイック・ワン』(1966年)収録。エントウィッスルの代表曲として、1982年のフェアウェル・ツアーまで頻繁に演奏された。
  4. ^ 「リーガル・マター」はアメリカではシングル『ザ・キッズ・アー・オールライト』のB面収録曲。
  5. ^ 四重人格』(1973年)、『オッズ&ソッズ』(1974年)などのジャケットの製作も担当した。

出典

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  1. ^ a b www.thewho.com”. 2025年3月1日閲覧。
  2. ^ The Who | full Official Chart History | Official Charts Company
  3. ^ The Who - Chart history | Billboard
  4. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、124頁
  5. ^ Discogs”. 2025年3月1日閲覧。
  6. ^ a b 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、236頁
  7. ^ 『エニウェイ・エニハウ・エニウェア』アンディ・ニール、マット・ケント著、佐藤幸恵、白井裕美子訳、シンコーミュージック刊、2008年、235頁
  8. ^ Discogs”. 2025年3月1日閲覧。
  9. ^ Discogs”. 2025年3月1日閲覧。
  10. ^ Discogs”. 2025年3月1日閲覧。