シビル・ウォー アメリカ最後の日
『シビル・ウォー アメリカ最後の日』(シビル・ウォー アメリカさいごのひ、Civil War[注釈 1])は、アレックス・ガーランド脚本・監督による2024年公開のアメリカ合衆国・イギリスのスリラー映画。19の州が合衆国から離脱しテキサス州とカリフォルニア州からなる「西部勢力」と連邦政府による内戦が勃発した近未来のアメリカ合衆国を舞台に、ニューヨークから首都ワシントンD.C.へと向かう4人のジャーナリストを描く[11][12]。本作は、「アメリカは内戦に向かうのか」という著書から着想を得ている。
シビル・ウォー アメリカ最後の日 | |
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Civil War | |
監督 | アレックス・ガーランド[1] |
脚本 | アレックス・ガーランド[1] |
製作 |
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出演者 | [2][3] |
音楽 | [1] |
撮影 | ロブ・ハーディ[1] |
編集 | ジェイク・ロバーツ[1] |
制作会社 | |
製作会社 | A24[2] |
配給 | |
公開 | |
上映時間 | 109分[1] |
製作国 | |
言語 | 英語 |
製作費 | US$50,000,000(推定)[8][9] |
興行収入 |
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あらすじ
編集憲法で禁じられているはずの3期目に突入し、FBIを解散させるなどの暴挙に及んだ大統領に反発し、19の州が分離独立を表明、内戦が勃発した近未来のアメリカ合衆国。テキサス・カリフォルニアが連合する「西部勢力(WF)」と、フロリダ~オクラホマにかけて広がる「フロリダ連合」は政府軍を次々と撃退してワシントンD.C.に迫り、首都陥落は時間の問題となっていた。
ベテラン戦場カメラマンのリーと記者のジョエルは、14か月間メディアの取材に応じていないホワイトハウスの大統領に直撃インタビューを行うべく、リーの師である老記者サミーと、リーに憧れる駆け出し写真家ジェシーを連れ、ニューヨークを出発する。寸断された州道を迂回してピッツバーグへ西進、ウェストバージニア州を通過して前戦のシャーロッツビルを経由する、およそ1400kmの旅である。
無政府状態となっている郊外を移動する間、一行は様々な光景を目撃する。ガソリンスタンドを守る地元民と、私刑を受け晒されている瀕死の略奪者。政府軍の捕虜を処刑する民兵。家を追われた女子供が寄り集まる難民キャンプ。内戦に不干渉を貫いて安穏とした生活を続ける村。敵の正体も判らぬまま睨み合う狙撃兵たち。ジェシーは同道する3人から教えを受け、戦場カメラマンとして成長していく。彼女に駆け出しのころの自分を重ねるリーもまた、ジェシーの師として振舞うようになる。
一行は、リーとジョエルの知り合いのアジア系ジャーナリストコンビ、トニーとボハイと合流するが、直後に通りかかった民家で、明らかに非戦闘員である大量の死体を遺棄している所属不明の兵士達に捕まってしまう。赤いサングラスをかけた兵士はボハイを射殺すると、一同に出身地を尋ねて「アメリカ的な」人物かどうかを確認して回る。「香港」と答えたトニーは「中国人」と断じられて処刑され、残るリー、ジョエル、ジェシーにも危機が及ぶが、離れて待機していたサミーが車で突っ込み、3人を救出する。しかしサミーは兵士の反撃を受け、脇腹に被弾してしまう。
シャーロッツビルのWF前線基地に辿り着き、力尽きたサミーの遺体をWFに引き渡した3人は、従軍記者のアニャから、政府軍の大部分が降伏したことを知らされる。D.C.に立て籠もる残党勢力への総攻撃を行うWF部隊に同行した3人は、リンカーン記念堂の攻防を経て、要塞化されたホワイトハウスに至る。自分たちの無力さに打ちひしがれるリーに対し、ジェシーは人が変わったかのようにカメラのシャッターを切り続ける。
ホワイトハウスからは大統領専用車が逃走を図るが、リーはそれが囮だと看破し、ホワイトハウスへ入る。ホワイトハウス内では後を追ってきたWFの兵士達と、潜んでいたシークレットサービスの間で激しい銃撃戦が展開され、リーはジェシーを庇い銃弾に斃れる。室内が制圧されたあと、机の下から引きずり出された大統領にジョエルはコメントを求めるが、返ってきた言葉は陳腐な命乞いだった。
大統領を射殺した兵士達とジョエルは、鳴り響くシャッター音の方向を振り向く。彼らの視線の先では、リーの死を写真に収めたばかりのジェシーが、無表情のままカメラを構え続けていた。
キャスト
編集- リー・スミス - キルスティン・ダンスト
- ジョエル - ヴァグネル・モウラ
- ジェシー・カレン - ケイリー・スピーニー
- サミー - スティーヴン・ヘンダーソン
- アニャ - ソノヤ・ミズノ
- デイブ - ジェファーソン・ホワイト
- トニー - ネルソン・リー
- ボハイ - エヴァン・ライ
- 大統領 - ニック・オファーマン
- 赤サングラスの兵士 - ジェシー・プレモンス(クレジットなし)
公開
編集A24による製作のもと、DNAフィルムズなどによって制作された。2024サウス・バイ・サウスウェストにて3月14日に初公開され、米国ではA24、英国・アイルランドではエンターテイメント・フィルム・ディストリビューターズによる配給で同年4月12日に公開された。
日本ではハピネットファントム・スタジオによる配給で2024年10月4日に公開された。制作国(アメリカ)での公開から半年近く遅れたことについて、配給会社であるハピネットは、上映する映画館が確保出来なかったことや2024年アメリカ合衆国大統領選挙の開催時期のタイミングを考慮したとコメントしている[13][14]。
評価と反応
編集受賞とノミネート
編集賞 | 部門 | 候補者 | 結果 |
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第27回英国インディペンデント映画賞 | 撮影賞 | ノミネート | |
編集賞 | ノミネート | ||
視覚効果賞 | ノミネート | ||
美術賞 | ノミネート | ||
音響賞 | ノミネート | ||
衣装デザイン賞 | ノミネート |
注釈
編集脚注
編集- ^ a b c d e f g h “Civil War” (英語). SXSW 2024 Schedule. 2024年4月26日閲覧。
- ^ a b c d Civil War (英語). a24films.comより2024年4月26日閲覧。
- ^ a b c “CIVIL WAR(原題)”. Happinet Phantom Studios. 2024年4月26日閲覧。
- ^ “All Future Releases”. Film Distributors Association. November 21, 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。3 January 2024閲覧。
- ^ D'Alessandro, Anthony (January 18, 2024). “A24's Alex Garland Civil War Shifts Earlier In April”. Deadline Hollywood. January 21, 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。January 18, 2024閲覧。
- ^ “A24史上最大規模! アメリカの崩壊を描く、現代の黙示録「CIVIL WAR」10月4日公開”. 映画.com (2024年4月24日). 2024年4月25日閲覧。
- ^ “分断されたアメリカで内戦勃発…A24製作『CIVIL WAR』邦題決定、本予告が公開”. シネマトゥデイ (2024年7月18日). 2024年7月23日閲覧。
- ^ Welk, Brian (December 28, 2023). “Alex Garland's Civil War Is Not 195 Minutes Long Despite Reports”. IndieWire. December 28, 2023時点のオリジナルよりアーカイブ。December 28, 2023閲覧。
- ^ “Civil War Takes Box Office Spoils With $25.7M Opening, Best Ever For A24 – Sunday AM Update”. Deadline Hollywood (April 14, 2024). April 13, 2024時点のオリジナルよりアーカイブ。April 14, 2024閲覧。
- ^ “Civil War”. Box Office Mojo. 2024年4月26日閲覧。
- ^ “分断されたアメリカを描く『Civil War』が北米No. 1発進!A24作品のオープニング興収新記録を達成”. MOVIE WALKER (2024年4月21日). 2024年4月25日閲覧。
- ^ “アレックス・ガーランド「Civil War」日本公開決定、分断が進む近未来のアメリカが舞台”. 映画ナタリー (2024年4月24日). 2024年4月25日閲覧。
- ^ “【日本だけ】世界的ヒット映画が半年以上も公開が遅れる異常事態「ロシアもウクライナも公開済み」配給元も認めた背景とは”. Smart FLASH. 光文社 (2024年10月3日). 2024年10月4日閲覧。
- ^ 斉藤博昭 (2024年10月8日). “洋画離れの日本で、まさかの1位登場「シビル・ウォー」の衝撃。世界から「半年遅れ」の公開に意味が?”. Yahoo!ニュース. 2024年10月8日閲覧。