スタンフォード大学

アメリカ・カリフォルニア州にある私立大学
Stanford Universityから転送)

スタンフォード大学(スタンフォードだいがく、: Stanford University 略称SU)は、カリフォルニア州スタンフォードに本部を置くアメリカ合衆国私立大学。登記上の正式名称はリーランド・スタンフォード・ジュニア大学(英語: Leland Stanford Junior University)。

キャンパス全景
スタンフォード大学
Stanford University
モットー Die Luft der Freiheit weht
(ドイツ語)[1]
モットー (英語) The wind of freedom blows[1]
種別 私立大学 四半期制
設立年 1891年[2][3]
資金 約360億ドル(2024)
学長 Jonathan Levin (2023-)
教員数
2,240[4]
職員数
12,508[5]。附属病院を除く。
学生総数 17,249 (2019年)[6]
学部生 6,996 (2019年)[6]
大学院生 10,253 (2019年)[6]
所在地 アメリカ合衆国
カリフォルニア州スタンフォード
キャンパス 郊外 8,180エーカー (12.8 sq mi; 33.1 km2)[4]
ノーベル賞受賞者数 84
スクールカラー 緋色と白
   
運動競技 NCAAディビジョン1 (FBS) Pac-12
ニックネーム カージナル
マスコット なし[7]
公式サイト stanford.edu ウィキデータを編集
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1891年に創立され、第二次大戦後の数十年間でとくにリモート・センシング技術や地震観測技術、情報工学・コンピューターサイエンスなどの発展で大きな役割を果たし、アメリカを代表する名門校のひとつに成長した[8]

現在の大学ランキングでは、タイムズ・ハイヤー・エデュケーションで世界・米国内ともに第2位(2024年)、USニューズ誌で米国内第3位と(2024年)、研究・教育に秀でた総合大学として高い評価を受ける[9][10]。また学部段階での合格率は 3.68%と、ハーバード大学と並んで全米最難関のグループである[11]

シリコンバレーに近いバロアルト市に隣接、学部生が約6700名・大学院生が約8000人在籍し、教員数は約1700人。教員の4割が医学部に所属しており、3分の1が人文系に属する[12]

大学基金の額は約360億ドル(約5兆6000億円)に達し(2024年)、米国内第3位[13]

理工系分野のほか、ビジネススクールやロースクール、メディカルスクールも各種ランキングで米国内の上位に位置しており、動物学・昆虫学・環境科学でも世界的な研究拠点とみなされている[12]

公共政策シンクタンクのフーヴァー研究所行動科学高等研究センターがキャンパス内に位置しており、これらもアメリカの外交政策・科学技術政策の動向に大きな影響を及ぼす拠点とされる[12]

概要

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当時のカリフォルニア州知事で、大陸横断鉄道の一つセントラルパシフィック鉄道の創立者でもあるリーランド・スタンフォード夫人ジェーン英語版が、腸チフスの病で早逝した彼の一人息子であるリーランド・スタンフォード・ジュニアの名を残すために、1886年に構想。当時のハーバード大学学長のチャールズ・ウィリアム・エリオットに相談するなど、6年間にわたる準備の末、1891年にカリフォルニア州によって設立された。スタンフォード夫妻の存命時(リーランド自身は1893年6月21日、夫人は1905年2月28日に死去)は学費が無料だったが、1920年に有料化されている。

スタンフィード大学の校訓は「Die Luft der Freiheit weht(: 自由の風が吹く)」。

サンフランシスコから約60km南東に位置し、地理上も、歴史的にもAppleGoogleFacebookAdobeなどIT企業の一大拠点であるシリコンバレーの中心に位置している。

スタンフォード大学は特に起業家精神に優れた大学として知られていて、スタートアップ企業への資金提供において世界で最も成功している大学の1つである[14][15][16][17]。卒業生はこれまで多数の企業を設立し、これらを合わせた年間収益は2.7兆ドル(約290兆円)を超え、世界第7位の経済規模(2020年時点)に匹敵している[18][19][20]

2020年10月現在、84人のノーベル賞受賞者、28人のチューリング賞受賞者、8人のフィールズ賞受賞者[21]、1人のアメリカ合衆国大統領ハーバート・フーバー)、74人の存命の億万長者、17人の宇宙飛行士を輩出している[22]

保有資産が3000万ドル(約46億円)を超す富裕層となった卒業生は、2022年の時点で7900人超おり、米国内の大学としては第2位である[23]

大学ランキング

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Stanford University Hoover Tower.

USニュース(2024年)[24]

  • 米国内大学総合 ─ 第3位
  • 電気工学 ─ 第2位
  • 環境科学 ─ 第2位
  • コンピューターサイエンス ─ 第2位
  • 心理学 ─ 第1位
  • 経済学 ─ 第1位

タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(2024年)[25]

  • 世界大学総合 ─ 第2位
  • 米国内大学総合 ─ 第2位
  • 芸術人文 ─ 第1位
  • ライフサイエンス ─ 第4位
  • 社会科学 ─ 第1位

組織

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Arches of the Quad at Stanford.

スクール

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の7つのSchoolがある。このうち学士課程があるのは、サステナビリティ学部、工学部、文理学部で、合計67の専攻がある。その他は大学院のみ。

研究機関

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米国連邦国立研究センターとして次の3つの研究所が設置されている。

  • Center for Advanced Study in the Behavioral Sciences
  • The National Bureau of Economic Research
  • SLAC国立加速器研究所(SLAC National Accelerator Laboratory), Stanford Linear Accelerator Centerから名称変更

そのほかにも多くの研究所、ラボラトリー等を設置。

スタンフォード研究所 (SRI) は、大学本部の管理下にはなく、大学発のインキュベーションやベンチャー企業の支援を目的とした独立した組織として運営されている。

キャンパス

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広さは3310ヘクタール(千代田区の3倍)で全米有数の大規模なキャンパスである。建物はカリフォルニア州の伝統に従いスペインコロニアル様式で統一されている。正門から入ると右半分には主に理科系の学部、左半分には主に文科系の学部が配置されており、学生は、右半分を「Techy(テッキー)」、左半分を「Fuzzy(ファジー)」などと呼んでいる。キャンパス内には学生の大半を収容できる学生寮があり、ゴルフ場乗馬センター、丘陵地のハイキングコースなどもある。また、土地の商業的な賃貸も行っており、ショッピングセンターや企業リサーチパークがキャンパス内に立地している。

現役の学生がキャンパスを案内するキャンパスツアーが、大学のランドマークであるフーバータワーの対面に位置するビジターセンターを起点として、祝日等を除き、毎日午前と午後の2回行われている。大学の成り立ちやキャンパスのさまざまな建物にまつわるエピソードなどを聞きながら周る、約1時間のツアーである。また、大学新聞としてThe Stanford Dailyが発行されている。

キャンパスの大部分は自治政府の無い国勢調査指定地域だが、一部はパロアルト市メンローパーク市に股がっている。国外にもキャンパスがあり、ドイツボイテルスバッハ英語版に城郭を持っている他、イタリア、フランス、イギリス、ロシア、チリ、そして日本にも物件を所有している[26]

批判・不祥事

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  • 2015年、スタンフォード大学の構内にある宿舎で開かれたパーティーで、スタンフォード大学の水泳部のスター選手の男子学生(当時20歳)が、女性を暴行する事件が起きた[27]英語版)。2016年、この男子学生は裁判で酒に酔った者への性的暴行、意識のない者への性的暴行、強制性交未遂の3件の罪で有罪評決を受けた[28]。検察は禁錮6年を求刑したが、判事は禁錮6カ月の刑と3年間の保護観察を言い渡した。軽い量刑となったのは、加害者側が富裕な名門大学の学生だったからだとする強い批判が起こり、大きな社会的注目を集めた[28]。その後、元男子学生は3ヵ月で刑務所を出所[29]。被害を受けた女性は裁判では匿名で証言していたが、のちに実名を公開して性被害の実態を訴え、量刑を決めた判事はカリフォルニア州で市民の弾劾運動が起きて罷免されている[30]
  • 2022年、神経学者だったテシエラビーン学長(英語版)の過去の論文に研究不正があると学内の学生新聞が報道。大学側は調査に乗り出し、2023年に学長の辞任に発展した[31]。調査によると、学長が著作権者に加わった5本の論文のうち少なくとも4本で、研究データの不適切な操作が行われていた[32]。テシエラビーンはアルツハイマー病などの研究に取り組んでいた著名な神経学者で、2000年代から研究不正の噂があったとされており、これを無視して学長就任を許した大学側の姿勢も批判された[33][34]。テシエラビーンは学長辞任後、教授として学内にとどまっている[31]

エピソード

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  • 2018年3月時点で、全米屈指の名門チームとして知られ、これまでの全米大学選手権での優勝数は全米大学チーム中最多の497回に上り、この内、NCAA (全米大学体育協会) 優勝数は全米大学チーム中最多の116回である。しかし、最人気競技のアメリカンフットボールでは、未だに年間全米ランキング1位になったことがない[要出典]

関係者

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スタンフォード大学工学部(Stanford Engineering)

歴代学長

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  1. デイビッド・スター・ジョーダン (1891-1913)
  2. ジョン・キャスパー・ブラナー (1913-1915)
  3. レイ・ライマン・ウィルバー (1916-1943)
  4. ドナルド・トレシダー (1943-1948)
  5. J・E・ウォレス・スターリング (1949-1968)
  6. ケネス・ピッツァー (1968-1970)
  7. リチャード・ライマン (1970-1980)
  8. ドナルド・ケネディ (1980-1992)
  9. ゲルハード・キャスパー (1992-2000)
  10. ジョン・ヘネシー (2000-2016)
  11. マーク・テシエ=ラヴィーン(2016-2023)
  12. リチャード・サラー(2023−2024)
  13. ジョナサン・レヴィン(2024ー)
 
スタンフォード大学医学大学院(Stanford Medicine)

著名な卒業生

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政界

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法曹界

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学界

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財界

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ジェン・スン・フアンNVIDIA】創業者

イーロン・マスクスペースXテスラ、 PayPalボーリング・カンパニーxAI創業者】 

イーロン・マスク氏はスタンフォード大学を2日で中退している。

 
フォード・ドーシー国際政策大学院(MIP):スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所(FSI)管轄

宇宙飛行士

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スタンフォード大学経営大学院(Stanford GSB)

芸能界

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スポーツ選手

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Stanford University Walkway

著名な教員や研究者

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脚注

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注釈

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  1. ^ 各種カーネギー財団を統括する法人

出典

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  1. ^ a b Casper, Gerhard (5 October 1995). Die Luft der Freiheit weht—On and Off (Speech).
  2. ^ History: Stanford University”. Stanford University. December 20, 2013閲覧。
  3. ^ Chapter 1: The University and the Faculty”. Faculty Handbook. Stanford University (September 24, 2013). 2014年1月7日閲覧。
  4. ^ a b Introduction: Stanford University Facts” (英語). Stanford Facts at a Glance. June 13, 2018閲覧。
  5. ^ Stanford Facts: Administration”. Stanford University. 20 December 2013閲覧。
  6. ^ a b c Stanford Common Data Set 2019–2020”. Stanford University. May 10, 2020閲覧。
  7. ^ The en:Stanford Tree is the mascot of the band but not the university.
  8. ^ Stanford university. (2018). In P. Lagasse & Columbia University, The Columbia Encyclopedia (8th ed.). Columbia University Press.
  9. ^ Stanford University” (英語). Times Higher Education (THE) (2024年4月21日). 2024年5月19日閲覧。
  10. ^ Stanford University ranking”. US News. 2024年5月19日閲覧。
  11. ^ Acceptance rate drops to 3.68%, majority enrolled are non-white students” (英語) (2023年2月28日). 2024年5月19日閲覧。
  12. ^ a b c Herrera, F. (2008). Stanford university. In S. G. Philander, Encyclopedia of Global Warming and Climate Change (1st ed.). Sage Publications.
  13. ^ Endowment ranking”. US News. 2024年5月19日閲覧。
  14. ^ Nigel Page. The Making of a Licensing Legend: Stanford University’s Office of Technology Licensing. Chapter 17.13 in Sharing the Art of IP Management. Globe White Page Ltd, London, U.K. 2007
  15. ^ Timothy Lenoir. Inventing the entrepreneurial university: Stanford and the co-evolution of Silicon Valley pp. 88–128 in Building Technology Transfer within Research Universities: An Entrepreneurial Approach Edited by Thomas J. Allen and Rory P. O'Shea. Cambridge University Press, 2014. ISBN 9781139046930
  16. ^ McBride, Sarah (December 12, 2014). "Special Report: At Stanford, venture capital reaches into the dorm". Reuters. Retrieved October 28, 2017.
  17. ^ "The University Entrepreneurship Report – Alumni of Top Universities Rake in $12.6 Billion Across 559 Deals". CB Insights Research. October 29, 2012. Retrieved April 6, 2018.
  18. ^ "Box". stanford.app.box.com. Retrieved April 15, 2018.
  19. ^ Silver, Caleb (March 18, 2020). "The Top 20 Economies in the World". Investopedia. Investopedia. Retrieved March 18, 2020.
  20. ^ "Stanford alumni's companies combined equal 10th largest economy on the planet". The Mercury News. October 24, 2012. Retrieved April 6, 2018.
  21. ^ Carey, Bjorn (August 12, 2014). "Stanford's Maryam Mirzakhani wins Fields Medal". Stanford Report. Stanford University. Retrieved September 17, 2015.
  22. ^ Elkins, Kathleen. "More billionaires went to Harvard than to Stanford, MIT and Yale combined". cnbc.
  23. ^ University Alumni Rankings of the Wealthy and Influential 2022”. Wealth-X. 2024年5月19日閲覧。
  24. ^ Stanford University ranking”. US News. 2024年5月19日閲覧。
  25. ^ Stanford University” (英語). Times Higher Education (THE) (2024年4月21日). 2024年5月19日閲覧。
  26. ^ World Class, Stanford Magazine, November–December 1996
  27. ^ 米スタンフォード大の性的暴行事件、匿名被害者が名乗り出る」『BBCニュース』。2023年9月11日閲覧。
  28. ^ a b Fimrite, By Peter. “Ex-Stanford swimmer to serve 6 months in unconscious woman’s rape” (英語). SFGATE. https://www.sfgate.com/crime/article/Ex-Stanford-swimmer-to-serve-6-months-in-7960806.php 2024年5月19日閲覧。 
  29. ^ スタンフォード大のレイプ加害者が、たった3カ月で出所する”. ハフポスト (2016年8月31日). 2023年9月11日閲覧。
  30. ^ Gersen, Jeannie Suk (2023年3月29日). “Revisiting the Brock Turner Case” (英語). The New Yorker. ISSN 0028-792X. https://www.newyorker.com/news/our-columnists/revisiting-the-brock-turner-case 2024年5月19日閲覧。 
  31. ^ a b スタンフォード大学長が辞任へ 関与論文で研究不正、チーム運営不備:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2023年7月21日). 2024年5月19日閲覧。
  32. ^ Stanford president resigns after fallout from falsified data in his research”. NPR News. 2024年5月19日閲覧。
  33. ^ Saul, Stephanie (2023年7月19日). “Stanford President Will Resign After Report Found Flaws in His Research” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2023/07/19/us/stanford-president-resigns-tessier-lavigne.html 2024年5月19日閲覧。 
  34. ^ Baker, Theo (2023年7月30日). “Opinion | The Research Scandal at Stanford Is More Common Than You Think” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2023/07/30/opinion/stanford-president-student-journalist.html 2024年5月19日閲覧。 
  35. ^ Steve Jobs' 2005 Stanford Commencement Address (with intro by President John Hennessy)
  36. ^ Bill and Melinda Gates' 2014 Stanford Commencement Address
  37. ^ BECERRA, Xavier” (英語). アメリカ合衆国下院. 2020年11月24日時点のオリジナルよりアーカイブ2024年5月28日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯37度25分39秒 西経122度10分12秒 / 北緯37.4275度 西経122.17度 / 37.4275; -122.17