2012年ロンドンオリンピックの聖火リレー
2012年ロンドンオリンピックの聖火リレー(2012ねんロンドンオリンピックのせいかリレー)は、ロンドンオリンピックに向けて行われた聖火リレーである。
2012年5月19日の ランズエンド岬(最西端)から、7月27日の 五輪スタジアム(ロンドンにある開会式場)までの70日間、8000マイル(約1万2800km)[1]。約8000人のランナーがつなぐリレー範囲は、以下の通り。
準備
編集この概要は、リレー開始のほぼ1年前の2011年5月18日に発表された[2] [3][4]。
その後、11月7日にルートの詳細が発表された[5](アイルランドを6月6日に通ることは12月8日に発表[6])。国内の1018の市町村を通過するこのコース設定は、「国民の95%が1時間以内に見に行くことが可能」なことを目指したという[7]。
ちなみに、前回大会・北京オリンピックの聖火リレーの国際ルートにおいて抗議運動などが発生したことを受け、IOC理事会は2009年3月26日、聖火リレーの国際ルート廃止決定を発表していた[8]。
Following a three month tour by w:LOCOG, local authorities submitted ideas to regional government and LOCOG by May 2010, such as Oxfordshire.[9] However some counties such as Somerset declined to enter ideas on grounds of costs such as road closures, citing costs of up to £300,000.[10]
On 26 May 2010 the start date of the Torch Relay was announced, along with three presenting partners – Coca-Cola, Lloyds TSB and Samsung. The torchbearer public nomination campaign, announced on 18 May 2011, called 'Moment to Shine', gave people across the UK the chance to be involved in the countdown to the start of the London 2012 Games.[11]
トーチ
編集トーチ概要
編集- データ
- この高さ800mm、重さ800gの金色のトーチは、2010年12月に開発がスタートされた。燃料はプロパンガスとブタンガスの混合物[12]。ロンドン五輪組織委員会は強風・霧雨対策として、ミュンヘンにあるBMW社のエネルギーおよび環境テストセンター(ETC)にも耐久試験を依頼した[13]。毎時80kmの強風、毎時50mmの雨への耐久を目指した[12]。
- デザインはバーバー&オズガビー(英語: Barber & Osgerby) (Edward Barber and Jay Osgerby)によるもので、聖火リレーが始まる前の2012年4月24日、2012年度のイギリス「最優秀デザイン賞」に選ばれた[14]。
- 特殊アルミ合金製の表面には、聖火リレー走者のおよその人数を表す8000個の丸い穴が、レーザーカットによって[12]開けられているのが特徴。この穴による軽量化や、ランナーの手への熱伝導緩和など、機能性も評価されての受賞だった[14]。
- なお、上部の形状が三角形になっているのは、以下の3にインスパイアされたためという[15]。
- The three Olympic values - 「respect」「excellence」「friendship」
- The Olympic motto - 「faster」「higher」「stronger」(より速く、より高く、より強く)
- The vision of the 2012 Summer Olympics - 「sport」「education」「culture」
- 今回で3度目のロンドン五輪開催
- 予算と売買
- トーチの制作費は1本約500ポンド(約6万2500円)といわれ、五輪公式スポンサーから五輪組織委員会へ、無償で提供された。また、約8000人の聖火ランナーのうち希望者は、1本200ポンド(約2万5000円)で購入が可能だった。中には、購入後にネットオークションに出品する人も聖火リレー開始数日後から発生[16]。その後、ロンドン五輪組織委員会も公式オークションサイトを開設し、トーチの販売に至った[17]。
聖火ランナー
編集組織委員会によると、今回の聖火ランナー8,000人のうち、少なくとも半数は24歳以下であるという[18]。
なお、一般公募枠[19]では、チャリティー活動などの功績が認められた人々も多く選ばれたという[20][21]。
その他、「ロンドン五輪聖火ランナー公式スポンサー」であるロイズ・バンキング・グループ、サムスン電子、コカコーラからの推薦枠もあった[22][23]。
- 著名人ランナーの例
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- マイケル・ジョンソン(7月12日、ストーンヘンジ[24])
- アンディ・マレー→ビーナス・ウィリアムズ(7月23日、ウィンブルドン[25])
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ルートと詳細
編集ルート(ギリシャ)
編集5月10日 (1日目)
5月11日 (2日目)
5月12日 (3日目)
- ピレウス, パトラ, リオン・アンティリオン橋, Antirrio, Amfilochia, Preveza, Parga, イグメニツァ, ヨアニナ
5月13日 (4日目)
5月14日 (5日目)
5月15日 (6日目)
5月16日 (7日目)
- ラミア, ハルキス, アテネ, アテナイのアクロポリス
5月17日 (8日目)
ギリシャからの聖火輸送
編集2012年5月10日、ギリシャのオリンピア(古代オリンピック発祥の地)にあるヘラ神殿跡にて、採火式が行われた。古代ギリシャの白い衣装をまとった巫女役の女優、イノ・メネガキが凹面反射鏡[27]を用いて太陽光を集め、トーチに聖火をともした[28][29]。第1走者は英国生まれのギリシャ人水泳選手、スピロス・ヤニオティス。国内ではアテネまで約3000km[30]のリレーがスタート。
5月16日、イギリス側からは、英ブリティッシュ・エアウェイズのエアバスA319の特別塗装機"The Firefly(蛍)"(公募で1000以上の案から選ばれた[31])BA2012便が代表団を乗せてロンドン・ヒースロー空港からアテネへ、聖火を引き継ぐために向かった[32]。
5月17日、アテネのパナシナイコ・スタジアムで聖火引き渡し式典がおこなわれ、スピロス・カプラロス(ギリシャ五輪委員会会長)からアン王女(英五輪委員会総裁)に聖火が手渡された。イギリス側からは、ボリス・ジョンソン(ロンドン市長)、セバスチャン・コー(ロンドン五輪組織委員会会長)、ヒュー・ロバートソン(英スポーツ大臣)、デビッド・ベッカム(大会親善大使)らも式典に参加した[33][34]。
帰りの機内で聖火は、「儀式の炎」としてCivil Aviation Authorityに許可され、飛行中も4つのDavy lampの中で灯され続けた[35][36][37]。
5月18日夜、イギリスのグレートブリテン島南西部ヘルストンにあるカルドロース英海軍航空基地に、同機が到着。アン王女が聖火の灯ったランタンと共にタラップを降り、デビッド・ベッカムが聖火を特設聖火台に点火した[26][38]。
一夜明けて、771 Naval Air SquadronのメンバーがSea King helicopterというヘリコプターで、同グレートブリテン島西端のランズエンド岬へ、聖火を運んだ。第一走者はBen Ainslie[39]。午前7時15分[40]、約8000人による70日間のリレーがスタートとなった[26]。
ルート(イギリス)
編集
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69 | 同 | 61: ドーバー | |
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70 | Deal | 62: メイドストーン | |
71 | 同 | 63: Guildford | |
72 | グリニッジ | 64: ウォルサム・フォレスト | |
73 | Redbridge | 65: Bexley | |
74 | Lewisham | 66: ワンズワース | |
75 | Kingston | 67: イーリング | |
76 | Harrow | 68: ハーリンゲイ | |
77 | カムデン | 69: ウェストミンスター | |
78 | Hampton Court | 70: 五輪スタジアム | |
発 | 着 |
イギリス上陸
編集北アイルランドのロンドンデリーでIRA(アイルランド共和軍)支持者(約200人)と警官隊の衝突が発生した6月4日(17日目)には、当日にコースが一部変更された[41]。
7月20日(63日目)には、ロンドン近郊のグレーブセンドで女性ランナーが走っている最中、何者かにトーチを奪われそうになったが、警察官の護衛によって事なきを得た[42]。同日午後8時12分、ロンドン塔の上空へ飛んできたヘリコプターから、M・ウィリアムス海兵隊員がランタンを提げて降り、聖火がロンドン市内に入った。聖火はロンドン塔で一晩保管され、翌21日から開会式までの丸7日間、市内でのリレーがおこなわれた[43]。なお、ロンドンでは前回の北京オリンピックでも聖火リレーがおこなわれた。
聖火のゴール
編集2012年7月27日夜、開会式の最中、テムズ川に現存する最古の運河「Limehouse Cut」を[44][要検証 ]、モーターボートで聖火は運ばれた。後方で操縦するのは、元サッカーイングランド代表のデビッド・ベッカム。前方に同乗し聖火を担当したのは、U-17サッカーイングランド女子代表のJade Bailey。
オリンピック・スタジアム近くの船着き場で船ごしに、スティーヴ・レッドグレーヴ(過去五輪の金メダルを5個獲得したイギリスの元ボート選手)に聖火は託された。
- 五輪スタジアム・聖火台
- スタジアム内まで走ってきたレッドグレーヴから、最終ランナーとなる7人の若手選手たち(Callum Airlie, Jordan Duckitt, Desiree Henry, Katie Kirk, Cameron MacRitchie, Aidan Reynolds, Adelle Tracey)へ聖火が引き継がれ、分けられた。7人が地面にある大きな花のような装置に聖火をかざすと、205(今回の参加地域の数)の器へ炎が広がり、それが立ち上がり聖火台となって一つの巨大な炎になった[45][46][47]。聖火台のデザインはトーマス・ ヘザウィックが手がけた。
- なお、日本(約40人全員)など数ヶ国の選手団は、入場行進後に場外に誘導されてしまったため、この点火の瞬間に立ち会えなかった。その後、組織委員会側から謝罪があったという[48]。
- 7月30日までに、聖火台を南側スタンドへ移設する作業[49]が完了した。過去の五輪と異なり、この聖火台は場外からは見えない。8月12日の閉会式で聖火は消え、聖火台も分解され、各選手団がそれぞれの国・地域へ持ち帰る予定になっている[50]。
ギャラリー
編集脚注
編集- ^ ベッカム、ドログバも登場! 聖火リレーで英国が盛り上がる! - トレンド - 日経トレンディネット
- ^ “London 2012 Olympic torch relay route revealed”. BBC News. (18 May 2011). オリジナルの18 May 2011時点におけるアーカイブ。 18 May 2011閲覧。
- ^ ロンドン五輪聖火リレーの概要を発表、国内のみで実施 国際ニュース AFPBB News
- ^ Magnay, Jacquelin (17 May 2011). “London 2012 torch relay should focus on youth”. w:Telegraph 17 May 2011閲覧。
- ^ 11/7 オリンピックの聖火リレー、英国中をくまなく巡る方針 Japan Journals
- ^ “Dublin to host Olympic Torch'”. Irish Times. (8 December 2011)
- ^ 五輪=ロンドン大会の聖火リレー、観光名所を通過する予定 | Reuters
- ^ 聖火リレーは開催国内のみ、北京の混乱受け国際ルート廃止 エトセトラ スポーツ YOMIURI ONLINE(読売新聞) 2009年3月27日
- ^ “Oxfordshire's Torch Relay for London 2012”. 18 May 2011閲覧。
- ^ “Somerset says no to Olympic torch”. The Daily Telegraph (London). (5 April 2010)
- ^ “Search begins for 8,000 inspirational people to carry the Olympic Flame” (18 May 2011). 18 May 2011閲覧。
- ^ a b c 絶対に消えない「五輪聖火」 BMWも開発に参加+(2-2ページ) - MSN産経ニュース
- ^ 絶対に消えない「五輪聖火」 BMWも開発に参加+(1-2ページ) - MSN産経ニュース
- ^ a b ロンドン五輪の聖火トーチ、英国で「最優秀デザイン賞」に 世界のこぼれ話 Reuters 2012年4月25日
- ^ Olympic Torch Relay ... The Torch
- ^ ロンドン五輪の聖火トーチがネット競売に…走者が出品 ― スポニチ Sponichi Annex 五輪、 2012年5月21日
- ^ 五輪組織委ガッポリ!?競売サイト開設 ベッカム聖火88万円 ― スポニチ Sponichi Annex 社会
- ^ 5/21 16台の車の列…仰々しい聖火リレー、裏話アレコレ JAPAN JOURNALS
- ^ ロンドン五輪聖火ランナーに 最高齢100歳女性! ― スポニチ Sponichi Annex 社会
- ^ 五輪の聖火ランナーに選ばれた人とは? | 日テレNEWS24
- ^ 五輪の聖火リレーについて - イギリス生活情報週刊誌 - 英国ニュースダイジェスト
- ^ ロンドン五輪聖火リレー、中国人ランナーお目見え_中国網_日本語
- ^ イ・スンギ、ロンドン五輪の聖火ランナーに | Joongang Ilbo | 中央日報
- ^ 聖火、ストーンヘンジで神々しさMAX - ロンドン五輪2012特集 - SANSPO.COM(サンスポ)
- ^ マレーが聖火リレーに参加、ウィンブルドンでトーチ掲げる 写真4枚 国際ニュース : AFPBB News
- ^ a b c ロンドン五輪の聖火、ベッカムと共に英国到着 日刊スポーツ 2012年5月19日
- ^ 時事ドットコム:ロンドン五輪・聖火リレー 写真特集
- ^ “London 2012 Olympic Flame is lit in Greece”. w:LOCOG. 11 May 2012閲覧。
- ^ CNN.co.jp : ギリシャで聖火リレーの採火式、鏡で太陽光線集めて ロンドン五輪、2012年5月11日
- ^ ベッカム、ドログバも登場! 聖火リレーで英国が盛り上がる! - トレンド - 日経トレンディネット
- ^ THE FIREFLY 金色「蛍」が聖火を運ぶ! ガジェットブログGIGAMEN(ギガメン) 2012年5月29日
- ^ Athens Airport Aviation News 16 May 2012.
- ^ David Beckham to collect Olympic flame, BBC News, 16 May 2012.
- ^ Clapton collects Olympic Flame
- ^ RNAS Culdrose to welcome Olympic Flame into UK, MoD Press Release, 1 February 2012.
- ^ “Olympic Flame for the London 2012 Games is lit in Ancient Olympia”. w:LOCOG. 11 May 2012閲覧。
- ^ “The Olympic Torch Relay”. w:LOCOG. (18 May 2011). オリジナルの8 June 2011時点におけるアーカイブ。 18 May 2011閲覧。
- ^ ロンドン五輪の聖火が英国に到着 写真8枚 国際ニュース : AFPBB News
- ^ Naval fliers to get the Olympic flame going on its epic journey (Navy News)
- ^ ベッカム、ドログバも登場! 聖火リレーで英国が盛り上がる! - トレンド - 日経トレンディネット
- ^ 聖火リレーのルート変更 IRA支持者が警官隊と衝突 ― スポニチ Sponichi Annex 五輪
- ^ 聖火トーチ、何者かに襲われるも無事 - ロンドン五輪2012特集 - SANSPO.COM(サンスポ)
- ^ 64年ぶりに聖火がロンドン市内へ ヘリで到着 ― スポニチ Sponichi Annex 五輪
- ^ Shaken and stirred Sky Sports Olympics 2012 Columnists Richard Moore
- ^ BBC One, 2012 London Summer Olympics Opening Ceremonies, airdate: 2012年7月27日
- ^ NBC, 2012 London Summer Olympics Opening Ceremonies, airdate: 2012年7月27日
- ^ CTV, 2012 London Summer Olympics Opening Ceremonies, airdate: 2012年7月27日
- ^ 誘導の不手際で…日本選手団、聖火台点火に立ち会えず ― スポニチ Sponichi Annex 五輪
- ^ London 2012 Olympic flame 'goes out' as cauldron is moved - Telegraph 2012年7月30日
- ^ 競技場外から聖火見えず 観光客ら「残念」の声 :日本経済新聞