2008年の文学
2008年の文学(2008ねんのぶんがく)では、2008年(平成20年)の文学に関する出来事について記述する。
→「2008年の出版」も参照
できごと
編集- 1月16日 - 第138回芥川龍之介賞・直木三十五賞(2007年下半期)の選考委員会開催。芥川賞に川上未映子の『乳と卵』、直木賞に桜庭一樹の『私の男』が選ばれる [1]。
- 7月15日 - 第139回芥川龍之介賞・直木三十五賞(2008年上半期)の選考委員会開催。芥川賞に中国人作家楊逸の『時が滲む朝』、直木賞に井上荒野の『切羽へ』が選ばれる。中国人作家の芥川賞受賞は史上初めて [2]。
- 7月21日 - 国文学研究資料館の伊井春樹館長、『源氏物語』の幻の写本「大沢本」を発見したと発表。特に「大沢本」54帖中28帖は「別本」と呼ばれる写本で、源氏物語研究に新たな道を開くことが期待されている [3]。
- 7月23日 - 世界的に人気のあるハリー・ポッターシリーズの完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝』日本語版発売。発売を記念して、東京・新宿の伊勢丹で、4億5,000万円相当のハリー・ポッターシリーズ関連本『吟遊詩人ビードルの物語』を展示 [4][5]。
- 10月9日 - ノーベル文学賞に、フランスのジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオが選ばれる [6]。
- 10月14日 - ブッカー賞に、インドのアラヴィンド・アディガ著『ザ・ホワイト・タイガー』が選ばれる [7][8]。
- 11月10日 - ゴンクール賞に、アフガニスタン・フランス(二重国籍)のアティーク・ラヒーミー著『サンゲ・サブール ― 忍耐の石』[9]が選ばれる [10]。
- 12月3日 - 株式会社トーハン、2008年の年間ベストセラー(集計期間:2007年12月 - 2008年11月)を発表。総合部門では、ハリー・ポッターシリーズの完結編『ハリー・ポッターと死の秘宝』が1位を獲得。また、『B型自分の説明書』(3位)などの血液型本がトップ10のうちの4つを占めた [11]。
受賞
編集日本国内
編集- 第138回(2007年下半期)芥川賞・直木賞 (1月)
- 第139回(2008年上半期)芥川賞・直木賞 (7月)
- 谷崎潤一郎賞(第44回) - 桐野夏生『東京島』
- 泉鏡花文学賞(第36回) - 南木佳士『草すべり、その他の短編』、横尾忠則『ぶるうらんど』
- 群像新人文学賞(第51回) - 松尾依子『子守唄しか聞こえない』
- 野間文芸新人賞(第30回) - 津村記久子『ミュージック・ブレス・ユー!!』
- 小林秀雄賞(第7回) - 多田富雄『寡黙なる巨人』
- 本屋大賞(第5回) - 伊坂幸太郎『ゴールデンスランバー』
日本国外
編集- ノーベル文学賞 - ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ
- ブッカー賞 - アラヴィンド・アディガ(Aravind Adiga) 『ザ・ホワイト・タイガー (The White Tiger)』
- ゴンクール賞 - アティク・ライミ (Atiq Rahimi) 『シンゲサブール・忍耐の石 (Syngué Sabour. Pierre de Patience)』
2008年の本
編集小説
編集- 麻見和史 『真夜中のタランテラ』(東京創元社)
- 有川浩 『阪急電車』(幻冬舎)
- 市川森一 『蝶々さん』(講談社)
- 伊藤計劃 『ハーモニー』(早川書房)
- 角田光代 『森に眠る魚』(双葉社)
- 川上未映子 『乳と卵』(文藝春秋)
- 桐野夏生 『東京島』(新潮社)
- 小池真理子 『午後の音楽』(集英社)、『ふたりの季節』(幻冬舎)
- 島本理生 『波打ち際の蛍』(角川書店)
- 高橋源一郎 『いつかソウル・トレインに乗る日まで』(集英社)
- 天童荒太 『悼む人』(文藝春秋)
- 誉田哲也 『ヒトリシズカ』(双葉社)
- 真梨幸子 『殺人鬼フジコの衝動』(徳間書店)
- 三津田信三 『山魔の如き嗤うもの』(原書房)
- 湊かなえ 『告白』(双葉社)
- 本谷有希子 『乱暴と待機』(メディアファクトリー)
- 山崎ナオコーラ 『論理と感性は相反しない』(講談社)
- 楊逸 『時が滲む朝』(文藝春秋)
- よしもとばなな 『サウスポイント』(中央公論新社)
- ティム・オブライエン、レイモンド・カーヴァー、村上春樹 『村上春樹ハイブ・リット』(アルク)
- トルーマン・カポーティ、村上春樹訳 『ティファニーで朝食を』(新潮社)
その他
編集死去
編集1月 - 3月
編集- 1月9日 - 高杉一郎、作家、翻訳家(* 1908年)
- 1月9日 - 月本裕、作家、雑誌編集者(* 1960年)
- 1月17日 - 鳥海尽三、脚本家(* 1929年)
- 1月17日 - エドワード・D・ホック、推理作家(* 1930年)
- 1月18日 - 南里征典、小説家(* 1939年)
- 1月19日 - 河林満、作家(* 1950年)
- 1月27日 - 百瀬博教、詩人、格闘技プロデューサー(* 1940年)
- 1月29日 - マーガレット・トルーマン、作家、ハリー・S・トルーマンの娘(* 1924年)
- 2月7日 - 川村二郎、ドイツ文学者(* 1928年)
- 2月8日 - フィリス・A・ホイットニー、横浜出身のアメリカ合衆国の推理作家(* 1903年)
- 2月16日 - 後藤安彦、翻訳家(* 1929年)
- 2月18日 - アラン・ロブ=グリエ、小説家・映画監督、アカデミー・フランセーズ席次32(* 1922年)
- 2月25日 - 塚越敏、ドイツ文学者、慶應義塾大学名誉教授(* 1917年)
- 2月26日 - 阿部光子、作家(* 1912年)
- 3月3日 - 松永伍一、詩人(* 1930年)
- 3月4日 - 柳原和子、文学者(* 1950年)
- 3月6日 - 丸元淑生、小説家(* 1934年)
- 3月19日 - アーサー・C・クラーク、イギリスのSF作家。『幼年期の終り』、『2001年宇宙の旅』などの作者(* 1917年)
- 3月20日 - 砂田弘、文学者(* 1933年)
- 3月20日 - 草森紳一、評論家(* 1938年)
- 3月30日 - 清水基吉、俳人・作家(* 1918年)
- 3月31日 - ジュールズ・ダッシン、映画監督・脚本家(* 1911年)
4月 - 6月
編集- 4月2日 - 石井桃子、児童文学作家。『ノンちゃん雲に乗る』などの作者(* 1907年)
- 4月5日 - 前登志夫、歌人(* 1926年)
- 4月5日 - 北沢拓也、小説家(* 1940年)
- 4月6日 - 川内康範、作詞家・小説家(* 1920年)
- 4月8日 - 小川国夫、小説家(* 1927年)
- 4月17日 - エメ・セゼール、マルティニーク出身の詩人(* 1913年)
- 4月29日 - 和田茂樹、国文学者(* 1911年)
- 4月29日 - 柏楊、台湾在住の作家(* 1920年)
- 4月29日 - 岡部伊都子、随筆家(* 1923年)
- 5月5日 - 朴景利、大韓民国の小説家(* 1926年)
- 5月6日 - 佐藤静夫、文芸評論家(* 1919年)
- 5月12日 - 今日泊亜蘭、SF作家(* 1910年)
- 5月13日 - 塚田茂、放送作家(* 1926年)
- 5月29日 - 安西徹雄、イギリス文学者・演出家、上智大学名誉教授(* 1933年)
- 6月6日 - 野田昌宏、SF作家(* 1933年)
- 6月6日 - 氷室冴子、小説家(* 1957年)
- 6月9日 - アルジス・バドリス、アメリカ合衆国のSF作家(* 1931年)
- 6月10日 - チンギス・アイトマートフ、キルギスの作家(* 1928年)
- 6月16日 - マーリオ・リゴーニ・ステルン、イタリアの作家(* 1921年)
- 6月19日 - キヨノサチコ、絵本作家(* 1947年)
- 6月28日 - 佐々木久子、エッセイスト(* 1927年)
7月 - 9月
編集- 7月1日 - 佐竹昭広、国文学者(* 1928年)
- 7月4日 - トマス・M・ディッシュ、アメリカ合衆国のSF作家(* 1940年)
- 7月5日 - 工藤幸雄、詩人(* 1925年)
- 7月9日 - 工藤精一郎、ロシア文学者(* 1922年)
- 7月31日 - 李清俊、大韓民国の小説家(* 1939年)
- 8月3日 - アレクサンドル・ソルジェニーツィン、ロシア連邦の小説家。『収容所群島』などの作者(* 1918年)
- 8月9日 - マフムード・ダルウィーシュ、パレスチナの詩人(* 1941年)
- 8月14日 - 内藤高、比較文学者、大阪大学大学院教授(* 1949年)
- 8月24日 - 島村麻里、フリーライター(* 1956年)
- 9月6日 - 寺内大吉、浄土宗増上寺法主、作家(* 1921年)
- 9月12日 - デヴィッド・フォスター・ウォレス、アメリカ合衆国の作家(* 1962年)
- 9月14日 - 小島直記、小説家(* 1919年)
- 9月25日 - 西郷信綱、国文学者(* 1916年)
10月 - 12月
編集- 10月6日 - 山下肇、独文学者(* 1920年)
- 10月10日 - 三浦和義、実業家・タレント・作家(* 1947年)
- 10月14日 - バリントン・J・ベイリー、イギリスのSF作家(* 1937年)
- 10月16日 - 森田誠吾、小説家(* 1925年)
- 10月18日 - 三神真彦、作家・映像作家(* 1932年)
- 10月26日 - 水原一、中世文学者、駒澤大学名誉教授(* 1925年)
- 10月29日 - 青山光二、小説家(* 1913年)
- 11月4日 - マイケル・クライトン、アメリカ合衆国の小説家。『アンドロメダ病原体』、『ジュラシック・パーク』などの作者(* 1942年)
- 11月15日 - アイヴァン・サウスオール、オーストラリアの児童文学作家(* 1921年)
- 11月23日 - 野口悦男、温泉評論家・ジャーナリスト。「源泉かけ流し」、「にごり湯」などの温泉用語を創出した(* 1947年)
- 11月27日 - 俵萠子、エッセイスト・評論家(* 1930年)
- 11月30日 - 天野哲夫、小説家。奇書『家畜人ヤプー』の作者のひとりであると告白した(* 1926年)
- 12月5日 - 加藤周一、文学評論家(* 1919年)
- 12月9日 - 中村保男、翻訳家(* 1931年)
- 12月14日 - 木暮剛平、電通元社長、俳人(* 1924年)
- 12月23日 - 早乙女貢、時代小説家(* 1926年)
- 12月24日 - ハロルド・ピンター、イギリスの劇作家、ノーベル文学賞受賞者(* 1930年)
- 12月31日 - ドナルド・E・ウェストレイク、アメリカ合衆国の小説家。悪党パーカー・シリーズなどの作者(* 1933年)
脚注
編集- ^ 「川上未映子『乳と卵』に芥川賞 直木賞は桜庭一樹『私の男』」 産経新聞2008年1月16日付. 2009年1月4日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「芥川賞に初の中国人作家、楊逸氏 直木賞は井上荒野氏」 産経新聞2008年7月15日付. 2009年1月4日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「大沢家所蔵の『源氏物語』写本が出現 「重文級の新資料」と専門家評価」 産経新聞2008年7月21日付. 2009年1月5日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「ハリポタ完結編、日本でも発売 開店繰上げの書店も」 産経新聞2008年7月23日付. 2009年1月5日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「伊勢丹、4億5000万円のハリポタ本を展示」 産経新聞2008年7月23日付. 2009年1月5日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「ノーベル文学賞はフランスのル・クレジオ氏」 産経新聞2008年10月9日付. 2009年1月4日閲覧.[リンク切れ]
- ^ ブッカー賞公式サイト “Man Booker 2008 winner[リンク切れ]” 2008年10月14日発表。英語。2009年1月4日閲覧.
- ^ Victoria Young “Novel About India Wins the Man Booker Prize” ニューヨーク・タイムズ2008年10月14日付。英語。2009年1月4日閲覧.
- ^ 邦訳:『悲しみを聴く石』関口涼子訳、白水社、2009年。
- ^ 「A・ライミ氏が受賞 仏ゴンクール賞」 西日本新聞2008年11月10日付. 2009年1月5日閲覧.[リンク切れ]
- ^ 「今年のベストセラーは「血液型本」の圧勝 総合1位はハリ・ポタ」 産経新聞2008年12月3日付. 2009年1月5日閲覧.[リンク切れ]