アラン・ロブ=グリエ
アラン・ロブ=グリエ(Alain Robbe-Grillet, 1922年8月18日 - 2008年2月18日)は、フランスの小説家・映画監督。ヌーヴォー・ロマンの代表的作家とされる。
アラン・ロブ=グリエ Alain Robbe-Grillet | |
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ロブ=グリエ、2006年 | |
誕生 |
1922年8月18日 フランス共和国、キルビニヨン |
死没 |
2008年2月18日(85歳没) フランス、パリ |
職業 | 作家、映画監督 |
言語 | フランス語 |
国籍 | フランス |
文学活動 | ヌーヴォー・ロマン |
署名 | |
ウィキポータル 文学 |
経歴
編集ブレスト郊外のキルビニヨンに生まれる。地元で初等・中等教育をうけたのち、パリのリセ・ビュッフォンに転校。1941年に国立農業技術専門学校に入学、在学中にドイツ軍に徴用され、ニュルンベルクの工場で強制労働に従事する。戦後1946年に専門学校を卒業。1949年に植民地果実柑橘類研究所のバナナ農場監督官となり、1951年までの間にギニア、西インド諸島、マルチニック、グアドループを監察してまわる。
1949年、最初の小説『弑逆者』を書き上げるが、これは1978年になるまで発表されなかった。1951年、帰国の船上で『消しゴム』を執筆。同年『クリティック』誌11月号に書評を寄稿。1953年、デビュー作『消しゴム』を深夜叢書(ミニュイ社)から出版、フェネオン賞を受賞するとともにロラン・バルトによって絶賛される(「対物的文学」)。翌年、『覗く人』を刊行し批評家賞を受賞、ミニュイ社の文芸顧問に就任する(1980年まで)。
1957年、文章から感情を極限まで廃し視覚的な客観描写に徹した小説『嫉妬』を発表、一般の読者からは酷評されるが、1959年の『迷路のなかで』はおおむね好評を得る。1960年、アラン・レネ監督の映画『去年マリエンバートで』のシナリオを手がける。同作は翌年にヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞し、自身はアカデミー脚色賞にノミネートされた。1963年には最初の監督映画『不滅の女』が公開された。これらと平行して上記作品の映画原作本(シネロマン)を刊行する。
以後、軽妙な作風に移行した小説『快楽の館』(1965年)などを刊行。
2004年、アカデミー・フランセーズの会員(座席番号32)に選出。2008年、フランス北西部カーンの病院にて死去。85歳没。
著作
編集小説
編集- Un régicide 1949年。1978年に出版
- 平岡篤頼訳『弑逆者』白水社, 1991年
- Les Gommes 1953年
- Le Voyeur 1955年
- 望月芳郎訳『覗くひと』冬樹社, 1966年、講談社、1970年、講談社文芸文庫, 1999年
- La Jalousie 1957年
- 白井浩司訳『嫉妬』新潮社, 1959年
- Dans le labyrinthe 1959年
- 平岡篤頼訳『迷路のなかで』講談社文芸文庫, 1998年。元版は新潮社「現代フランス文学」1965年
- La Maison de rendez-vous 1965年
- 若林真訳『快楽の館』河出書房新社, 1969年、新版1980年、河出文庫, 2009年
- Projet pour une révolution à New York 1970年
- 平岡篤頼訳『ニューヨーク革命計画』新潮社, 1972年
- Topologie d'une cité fantôme 1976年
- 江中直紀訳『幻影都市のトポロジー』新潮社, 1979年
- Souvenirs du Triangle d'Or 1978年
- Djinn 1981年
- 平岡篤頼訳『ジン』集英社, 1990年
- La Reprise 2001年
- 平岡篤頼訳『反復』白水社, 2004年
- Un Roman Sentimental 2007年
- 的場寿光訳『ある感傷的な小説』水声社, 叢書フィクションの楽しみ、2019年
短編
編集- Instantanés 1962年
- 白井浩司・永井旦訳『スナップショット』第三書房, 1966年、改訂版1981年。下記の『新しい小説のために』新潮社にも併せて収録
自伝的小説
編集- Le Miroir qui revient 1985年
- 芳川泰久訳『もどってきた鏡』水声社, 叢書フィクションの楽しみ、2018年
- Angélique ou l'enchantement 1988年
- Les derniers jours de Corinthe 1994年
随筆・評論
編集- Pour un Nouveau Roman 1963年
- 平岡篤頼訳『新しい小説のために』新潮社, 1967年
- Le voyageur, essais et entretiens 2001年
脚本・シナリオ
編集- L'Année dernière à Marienbad 1961年
- 天沢退二郎訳「去年マリエンバートで」、『去年マリエンバートで・不滅の女』所収, 筑摩書房, 1969年
- L'Immortelle 1963年
- 蓮實重彦訳「不滅の女」、同上
- Glissements progressifs du plaisir 1974年
- 平岡篤頼訳『快楽の漸進的横滑り』新潮社, 1977年
映画
編集- 『不滅の女』 ("L'immortelle" 1963年)
- 『ヨーロッパ横断特急』(Trans-Europ-Express 1966年)
- 『嘘をつく男』(L'homme qui ment 1968年)
- 『エデン、その後』(L'Eden et après 1971年)
- 『快楽の漸進的横滑り』("Glissements progressifs du plaisir" 1974年)
- 『危険な戯れ』(Le Jeu avec le feu 1975年)
- 『囚われの美女』(La Belle Captive 1983年)
- 『狂気を呼ぶ音』(Un bruit qui rend fou 1995年)
- 『グラディーヴァ マラケシュの裸婦 』(C'est Gradiva qui vous appelle 2007年)
参考文献
編集脚注
編集外部リンク
編集
前任 モリス・ランス |
アカデミー・フランセーズ 席次32 第20代:2004年 - 2008年 |
後任 フランソワ・ヴェイエルガンス |