鹿児島親局テレビ・FM放送所

鹿児島親局テレビ・FM放送所(かごしまおやきょくテレビ・えふえむほうそうじょ)は、日本の鹿児島県鹿児島市内に2ヶ所ある鹿児島県のテレビ・FM放送の親局の総称。放送局により呼称は様々で、単に「鹿児島」とされる場合や「城山」「紫原」(むらさきばる)とされることもある。
なお、本項では、「紫原」にある南日本放送(MBCラジオ)のFM補完中継局及び「城山」にかつて存在[1]したジャパン・モバイルキャスティングの鹿児島中継局についても、あわせて記述する。

鹿児島親局テレビ・FM放送所
紫原の送信所群。左がNHK総合・教育(Eテレ)、MBC(テレビ・FM補完中継局)、KKB、FM鹿児島。右がKTS、KYT、鹿児島シティFM(2017年11月撮影)
紫原の送信所群。左がNHK総合・教育(Eテレ)、MBC(テレビ・FM補完中継局)、KKB、FM鹿児島。右がKTS、KYT、鹿児島シティFM(2017年11月撮影)
送信所名 城山送信所(NHK-FM・アナログVHF)
紫原送信所(デジタル・FM鹿児島・コミュニティFM・アナログUHF)
局名 鹿児島放送局
送信波 地上デジタルテレビジョン放送
FMラジオ放送
偏波面 水平偏波
送信塔 4塔(1塔は運用終了)
送信放送局 NHK鹿児島放送局(テレビ・FM)
MBC南日本放送(テレビ・FM)
KTS鹿児島テレビ放送
KKB鹿児島放送
KYT鹿児島讀賣テレビ
エフエム鹿児島
鹿児島シティエフエム
空中線電力 デジタル・県域FM:1kW
コミュニティFM:20W
アナログUHF:10kW、アナログVHF:5kW
指向性 KYT・KTSを除くデジタル放送は全局に指向性あり、KKBとコミュニティFMを除くアナログ・FM放送は無指向性
放送区域 鹿児島県鹿児島市鹿屋市指宿市垂水市日置市霧島市南九州市姶良市錦江町及び南大隅町の各一部
受信世帯 308,025世帯
開局 1958年2月22日
設置場所 鹿児島県鹿児島市
特記事項:
MBCのFMは補完中継局。開局日はNHKアナログ総合テレビ。受信世帯は地上デジタル放送の放送区域内世帯数。アナログテレビ放送は2011年7月24日、マルチメディア放送のNOTTVは2016年6月30日終了。
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放送区域

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地上デジタル放送におけるこの送信所の電波法に定める放送区域(1mV/m)は鹿児島県鹿児島市鹿屋市指宿市垂水市日置市霧島市南九州市姶良市錦江町及び南大隅町の各一部、約31万世帯である。

鹿児島湾(錦江湾)沿岸をエリアとし、デジタルは鹿児島県の約半分の世帯をカバーしている。山がちな地形であることから姶良地区向けにNHK-FMを除いて中継局が設置(蒲生中継局[2])されており、テレビ放送は鹿児島市内にも多数のミニサテライト局が設置されている。

歴史

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MBC城山送信所(2009年撮影、2011年解体)
 
FMアンテナ設置前のKKB鹿児島送信所(2009年撮影)

地上デジタル放送への対応

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地上デジタル放送を開始するにあたり1999年8月25日に「地上デジタル放送に関する共同検討委員会」が設立され、親局の設置場所について検討が行われた。候補地は城山、鹿児島本港区北埠頭、紫原(KTS・KKBの既存鉄塔)、紫原(鹿児島南港寄りの場所)、権現ケ丘(鹿児島市下福元町、錦江高原ホテル付近)、須々原(鹿児島市平川町指宿スカイラインの展望台付近)、牟礼ケ岡(蒲生中継局)の7か所で、検討の結果、中継局数が最も少なく、設備投資が少額で済むことなどから「紫原の既存鉄塔を活用する」という結論となった[4]

鹿児島初のデジタル電波は、2006年4月4日の放送終了後に発射された。最初はMBCで2時5分に出力10Wで送信を開始し、2時15分には定格出力の1kWで送出した。続いてKTS、KKB、KYTの順で1局ずつ電波を送出し、その後、4波の同時送出実験も行われた。この時点では一般のテレビでは視聴できない方式で送出されていた。

10月2日の8時からはフィラー番組を放送する試験放送が開始され、この時点で一般のテレビで視聴できるようになった。試験放送は出力630Wで6局同時に開始し、11月5日からは本放送と同様のサイマル放送に移行された[5]。本放送は12月1日に開始された。

施設

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アナログテレビについてはVHFNHK鹿児島放送局総合3ch/教育5ch)と南日本放送(MBC、1ch)は城山に、UHF鹿児島テレビ放送(KTS、38ch)と鹿児島放送(KKB、32ch)、鹿児島読売テレビ(KYT、30ch)は紫原に置いていたが、デジタルテレビは全局がUHFであるため紫原方面に1本化された。

UHFで初めての開局となったKTSも、当初は城山に送信所を設置する予定であったが、用地取得が不可能となったため、紫原の現在地に設置することとなった[6]

鹿児島市周辺において送信場所を他県の多くで採用されている「マウンテン・トップ方式」を採用するとしたときに該当する山は桜島御岳であるが、同山は活火山であるため南岳から半径2キロは立ち入り禁止である上に国立公園でもあるため送信所の設置は不可能であった。そのため他の標高の低い場所から送信せざるをえず、結果親局の電波が飛ぶ範囲が限られ、1放送局あたり100局を超える(特にNHKでは約140局近くもある。100局未満のKKBとKYTは一部世帯で難視聴・受信不可あり)[7]ような多数の中継局が必要となった。また他の標高が高い場所は国立公園などのため設置困難であったり景観上の観点から設置できない。しかし、デジタル放送では電波の性質上、受信障害に強いことや有線によるケーブルでの共同受信の変更もあってか、多くても1局あたり100局程度に抑えられている(2012年3月までに設置されたデジタル中継局の数はNHKが101局、MBCとKTSが89局、KKBとKYTが79局となっている)。

城山

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城山の送信所群。左がNHK、右がMBC(2011年9月撮影)

NHK-FMの送信所が置かれている。かつては、地上アナログ放送のVHF局と県域民放FMおよびマルチメディア放送NOTTVの送信所が置かれていた[1]。城山は鹿児島市中心部にある標高123.4メートルの小高い丘状の山で、南側にNHKの送信所がある。かつては、北側にMBCの送信所があった。

NHK-FM・NOTTV

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NHK-FM・鶴丸放送所(2015年)
  • 所在地:鹿児島県鹿児島市新照院町40番

NHK鹿児島放送局鶴丸テレビFM放送所が置かれ、かつてはアナログテレビ放送とFM放送の両方を送信していたが、2011年7月24日のアナログテレビ放送終了後はFM放送のみ送信している。また、2013年3月25日からはマルチメディア放送のNOTTVも送信していたが2016年6月30日にサービス終了[1]している(後述)。
鉄塔・局舎は旧・アナログテレビ施設と共用で、アンテナはFMのみ共用である。アンテナ配置は上段がNHKアナログ総合・FM共用アンテナ(スーパーターンスタイルアンテナ8段)、下段がNHKアナログ教育(スーパーゲインアンテナ14段4面)である(NOTTVはどちらのアンテナを使用しているかは不明)。鉄塔はアナログ教育が開局した1962年に建替えられている[8]。なお、正式な送信所名は、NHKかごしま鶴丸テレビ・FM放送所。

MBCアナログ・FM鹿児島(旧送信所)

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  • 所在地:鹿児島県鹿児島市長田町32番23号

かつてMBC南日本放送の城山テレビ送信所が置かれ、同局のアナログテレビ放送が送信され、県域FMのエフエム鹿児島もそこに間借りする形で送信を行っていた。この他、1995年以降はデジタルツーカー九州(現在のソフトバンクモバイル)の基地局も設置されていた[8]
送信アンテナはテレビ・FM共用のスーパーターンスタイルアンテナ8段で、局舎・鉄塔もすべて2社共用であった。MBCアナログテレビは2011年7月24日のアナログ放送終了に伴って送信が終了し、エフエム鹿児島も先にアナログテレビで開局したKKB鹿児島放送の送信局舎に2011年8月1日に移転したため、当地での送信設備の運用が完全に終了した。城山送信所の解体は2011年9月より行われ[9]、同年10月19日までに完了した[8][10]

紫原

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KKB鹿児島放送・鹿児島送信所(2015年)
2011年から2014年にかけてFMラジオ用の送信アンテナが増設されている

地上アナログ放送のUHF局とデジタル放送全局及びコミュニティFMの送信所が置かれている。紫原は城山から鹿児島市中心部を挟んで南側にある一帯で、山ではなく住宅が密集する丘陵地である。

KTSデジタル・KYTデジタル・鹿児島シティFM

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  • 所在地:鹿児島県鹿児島市紫原6丁目15番8号

KTSは社屋内にある鉄塔から自局のデジタル波を送信している。KYTデジタルやコミュニティ放送局鹿児島シティエフエムの電波も同様に送信されている。かつてはKTS・KYTのアナログ波も送信していた。

KKBデジタル・NHKデジタル・MBCデジタル・MBCラジオ・FM鹿児島

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  • 所在地:鹿児島県鹿児島市紫原1丁目58番

KKBは紫原団地内に鉄塔・送信局舎を構えている。自局のデジタル波に加え、NHK・MBCのTVデジタル波、2011年8月1日に城山から移転したエフエム鹿児島およびMBCラジオのFM補完放送波も送信されている。かつては自局のアナログ波のみを送信していた。

地上デジタルテレビジョン放送送信設備

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ID 放送局名 コール
サイン
物理
チャンネル
空中線
電力
ERP 放送
対象地域
放送区域
内世帯数
Gガイド
局名表記
(×はマルチ
放送の番号)
ワンセグ
局名表記
1 MBC
南日本放送
JOCF-DTV 40 1kW 8.9kW 鹿児島県 308,025世帯 MBC
南日本
放送×
MBC
南日本
放送
携帯
2 NHK
鹿児島教育
JOHC-DTV 18 8.4kW 全国放送 NHK
Eテレ×
鹿児島
NHK
携帯2
3 NHK
鹿児島総合
JOHG-DTV 34 8.1kW 鹿児島県 NHK
総合×・
鹿児島
NHK
携帯G・
鹿児島
4 KYT
鹿児島
読売テレビ
JOUI-DTV 29 9.1kW 鹿児島
讀賣
テレビ×
鹿児島
讀賣
テレビ
携帯
5 KKB
鹿児島放送
JOTI-DTV 36 8.6kW KKB
鹿児島
放送×
KKB
鹿児島
放送
8 KTS
鹿児島
テレビ放送
JOKH-DTV 42 9.1kW 鹿児島
テレビ
放送×
鹿児島
テレビ
放送
携帯
※全局局名は鹿児島本局
※全局設置場所は紫原
※29ch、42chは無指向性、その他は全局に指向性あり
※この他にMBCは放送波(40ch)を使用し、鹿児島地区のGガイドホスト局として電子番組ガイド(218ch)を放送している
※「NHK携帯2」については2009年9月28日に全国で統一される前は「NHK携帯E・鹿児島」であった

地上アナログテレビジョン放送送信設備

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チャンネル 放送局名 コールサイン 空中線
電力
ERP 放送対象地域 放送区域
内世帯数
設置場所
1 MBC
南日本放送
JOCF-TV 映像5kW
/音声1.25kW
映像31kW
/音声7.7kW
鹿児島県 約300,000世帯 城山
3 NHK
鹿児島総合
JOHG-TV 映像39kW
/音声9.7kW
5- NHK
鹿児島Eテレ
JOHC-TV 映像50kW
/音声12.5kW
全国放送
30 KYT
鹿児島読売テレビ
JOUI-TV 映像10kW
/音声2.5kW
映像91kW
/音声23kW
鹿児島県 不明 紫原
32 KKB
鹿児島放送
JOTI-TV 映像96kW
/音声24kW
38 KTS
鹿児島テレビ放送
JOKH-TV 映像91kW
/音声23kW
※全局局名は鹿児島本局
※32chは指向性あり、その他は全局無指向性
※5chはオフセット-10kHz局
2011年7月24日の地上アナログ放送終了に伴い、地上アナログ放送の送信所は全て廃局(廃止)になった

FMラジオ放送送信設備

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周波数
MHz
放送局名 コールサイン 空中線
電力
ERP 放送対象地域 放送区域
内世帯数
設置場所
76.2 鹿児島シティエフエム JOZZ0AF-FM 20W[11] 68W 鹿児島市 不明[12] 紫原[13]
79.8 エフエム鹿児島
(μFM)
JOOV-FM 1kW 3.8kW 鹿児島県 不明 紫原[14]
85.6 NHK
鹿児島FM
JOHG-FM 5.9kW 約300,000世帯 城山
92.8 南日本放送
(MBCラジオ)
- 3.45kW 328,135世帯 紫原
※全局局名は鹿児島本局
※76.2MHzは指向性あり、その他は全局無指向性
※μFMのERPは、城山に送信所が設置されていた時代は6kWだったが、送信所が紫原へ移転した後は3.8kWとなり、実質的な減力となった
※MBCラジオはFM補完中継局として設置。2014年7月16日予備免許取得[15]、2014年12月22日本免許取得[16]、2015年1月1日本放送開始[3]

マルチメディア放送送信設備

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周波数
(MHz)
放送局名 空中線電力 ERP 放送区域 放送区域内世帯数
214.714286 NOTTV
Jモバ
7.5kW 59kW 大方錦江湾沿岸地域 341,851世帯
  • NOTTVは2016年6月30日にサービス終了した(それ以前に2015年11月にサービス終了と発表)。[20][21]

脚注

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  1. ^ a b c d 「テレビと呼ぶには、面白すぎる」NOTTV、4年超でサービス終了 ITmedia 2016年6月30日 2019年9月14日閲覧
  2. ^ エフエム鹿児島姶良中継局
  3. ^ a b 「MBCFM放送 来月1日に開始」『南日本新聞』2014年12月17日26面。
  4. ^ 『MBC51~60年の軌跡 ~地域メディアとして~』pp.13-14
  5. ^ 『MBC51~60年の軌跡 ~地域メディアとして~』pp.17-19
  6. ^ 『鹿児島テレビ10年史』 鹿児島テレビ放送、1980年5月 pp.13-14, p.17 同書によれば決定は1968年6月7日。これに併せて本社も紫原への設置を決定している。
  7. ^ 1放送局あたり100局を超えるのは、九州地方では他に長崎県がある(アナログ放送のみ。デジタル放送は70局程度)。こちらは長崎市内とその周辺に標高の高い山が無かったために、多くの中継局が必要となった。また離島を多く抱えているということも共通している。九州地方以外で1放送局あたり100局を超える中継局は北海道(アナログ・デジタルとも)、関東広域圏(地上デジタル放送のみ。アナログは100局以下)、近畿広域圏(アナログ・デジタルとも)にもある。
  8. ^ a b c 『MBC51~60年の軌跡 ~地域メディアとして~』pp.98-99
  9. ^ 南日本新聞』2011年9月2日25面。
  10. ^ 『南日本新聞』2011年12月27日17面。記事中に「テレビのアンテナ塔が設置されていた場所」とあり、解体が完了したことがわかる。
  11. ^ 1997年の開局当初は10W。
  12. ^ 1997年の開局当初は約72,200世帯。
  13. ^ 鹿児島テレビ放送(KTS)本社内。
  14. ^ 鹿児島放送(KKB)送信所内。2011年7月31日までは城山の南日本放送(MBC)送信所内に置かれていた。
  15. ^ FM補完中継局に予備免許 - 災害対策用FM補完中継局として、全国初の予備免許 - 九州総合通信局、2014年7月16日。
  16. ^ 災害対策用FM補完中継局に免許を付与 -九州管内で初の免許- 九州総合通信局、2014年12月22日。
  17. ^ 携帯端末向けマルチメディア放送局(長崎中継局・鹿児島中継局)に予備免許 - 総務省九州総合通信局(2013年1月25日プレスリリース)
  18. ^ Jモバ鹿児島中継局の概要 (PDF) - 上記サイトの別図
  19. ^ サービス提供状況 - ジャパンモバイルキャスティング
  20. ^ http://info.nottv.jp/nottv/2015/11/27/1197.html
  21. ^ https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/732597.html

参考文献

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  • 『MBC51~60年の軌跡 ~地域メディアとして~』南日本放送、2014年。

関連項目

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下記以外の中継局については、こちらを参照されたし。