(わし、ドイツ語: Adler)は、を用いた紋章の一つ。

マルクス・ウァレリウス・メッサッラ・コルウィヌスの霊廟にあったとされるローマ帝国の鷲と武具の彫像。マドリードプラド美術館所蔵。

鷲の図案は紋章の中で、チャージサポータークレストなどとして使われている。また頭部、羽、足など鷲の一部が使われる場合もある。

鷲は、強さ、勇気、遠眼、不死などの象徴として使われ、空の王者や最高神の使者とも考えられた。神話では、ギリシャ神話ではゼウスローマ神話ではユーピテルゲルマン部族ではオーディンユダヤ教キリスト教の聖書では、キリスト教芸術では福音記者ヨハネなどに関連して使われた。

古くはローマ帝国国章とされ、ヨーロッパを中心として関連した帝国、王国、貴族、都市、教会などで使用された。現在のドイツアメリカ合衆国ロシア連邦エジプトなどの国章にも使われている。

世界の公式な紋章の中に鷲を使用したものは多数あり、そのバリエーションも多数あるが、それぞれの色々な伝統を反映している。主な例には以下がある。

双頭の鷲

編集

双頭の鷲は、特に東ローマ帝国神聖ローマ帝国に関連して使われた。

アラブ諸国

編集

アラブ諸国はイスラーム化の前から鷲の図案を使用している。

サラディンの鷹

編集

金色の鷹は「サラディンの鷹」とも呼ばれ、12世紀にサラディンによって使用され、20世紀の汎アラブ主義のシンボルとされた。エジプトは1984年に「クライシュ族の鷲」から現在の「サラディンの鷹」に変更した[1]

クライシュ族の鷲

編集

クライシュ族の鷲」は、以下の各国の他、アラビア半島を中心としたクライシュ族で使用されている。

類似の例

編集

以下は、鷲ではない鳥の例である。

脚注

編集
  1. ^ 『国旗と地図』国際地学協会、2005年、32頁。 

関連項目

編集