阿寒湖温泉
阿寒湖温泉(あかんこおんせん)は、北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉の、阿寒湖畔にある温泉である。温泉街が形成されている。
阿寒湖温泉 | |
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温泉情報 | |
所在地 |
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座標 | 北緯43度26分0秒 東経144度5分40秒 / 北緯43.43333度 東経144.09444度座標: 北緯43度26分0秒 東経144度5分40秒 / 北緯43.43333度 東経144.09444度 |
交通 | JR北海道根室本線釧路駅より阿寒バスで約2時間 |
泉質 | 単純温泉、硫黄泉 |
泉温(摂氏) | 50 - 80 °C |
液性の分類 | アルカリ性 |
宿泊施設数 | 22 |
総収容人員数 | 6606 人/日 |
外部リンク | 阿寒湖温泉旅館組合公式ホームページ |
泉質
編集阿寒湖温泉の源泉は14ある[1]。
温泉街
編集阿寒湖の南側、国道240号と阿寒湖に挟まれた区域に温泉街が広がり観光の拠点となっている。 宿泊施設は、団体対応の大型ホテルのほか、比較的低廉な宿から高級旅館まであり、さまざまな客層に対応する。手湯や足湯が設置されている。手湯は阿寒湖温泉が発祥であるとされ、2カ所の手湯が設けられている[2]。なお、1957年から地元のホテル経営者らが出資する阿寒温泉土地が共同浴場「まりも湯」を運営していたが、管理人の不在や建物の老朽化で休業が続き、2019年12月からの休業ののち2021年10月に廃業した[3]。阿寒温泉土地では跡地に新たな足湯施設を整備して2022年4月末から利用を開始することにしている[3]。
温泉街の西端には道内最大のアイヌコタンがあり、土産物店や、飲食店などが並ぶ。アイヌコタンに隣接して「阿寒アイヌシアターイコロ」や「ニタイトー森と湖の芸術館」、「アイヌ生活記念館」も整備されている。ムックリを用いたアイヌの音楽やアイヌ古式舞踊等のショーも開催されている。温泉街の中には、無料巡回バス「まりむ号」が運行されており、各ホテル、ビジターセンター、アイヌコタンなどを結んでいる。温泉街の湖畔には遊歩道が整備されており、遊歩道沿いの埠頭からは遊覧船も運行されている。阿寒湖のチュウルイ島には「マリモ展示観察センター」があり、遊覧船や高速艇でアクセスできる[4]。
阿寒湖で漁獲されたヒメマスやワカサギをはじめとする淡水魚や、ウチダザリガニ(レイクロブスターとも)などを使った料理が名物となっている。
歴史
編集開湯は約140年前とされる。発見当初はアイヌの人々が利用する温泉であった。旅館ができたのは1912年(明治45年)になってからである。その後、1934年(昭和9年)の阿寒摩周国立公園の指定により、観光拠点として発展していった。2009年、北海道を舞台の一部とした中国のラブコメディ映画『狙った恋の落とし方。』のヒットにより、中国人観光客が急増した。
入湯税
編集阿寒湖温泉は2002年(平成14年)の169.5万人をピークとして観光入込客数が減少し、2013年(平成25年)度には96.7万人とピーク時からおよそ4割減少した[5]。そこで同年、阿寒湖温泉旅館組合は臨時総会で入湯税引き上げを決議し、同組合の事務局を務める阿寒観光協会まちづくり推進機構は独自財源研究会を設立して[5]、公益財団法人日本交通公社観光政策研究部と共同で入湯税に関するアンケート調査を、阿寒湖温泉来訪者に対して実施した[6]。その結果、来訪者が(阿寒湖温泉に対し)金銭面で協力することについて、「使途が明確になっていれば、積極的に協力したい」(50.7%)、「これからは地元だけではなく、来訪客も積極的に協力したい」(18.5%)という前向きな回答が寄せられ、入湯税の追加負担額として「151 - 200円」(30.1%)、「101 - 150円」(21.6%)[注 1]が多く挙げられた[8][9]。
この調査結果を踏まえ、阿寒湖温泉は釧路市に対し超過課税を要望し、市は2015年(平成27年)度からの10年間の期限付きで入湯税を250円(100円上乗せ)とする[注 2]ことを議決した[11]。先のアンケートで「使途が明確になっていれば」という回答が過半数を超えたことを踏まえ、上乗せ徴収分は「釧路市観光振興臨時基金」として積み立て、使途を観光振興に限定し、市と地域団体との間で事業をすり合わせた上で、補助金として拠出することになった[10][12]。
入湯税の超過課税による宿泊者数の減少も懸念されたが、超過課税実施前の2014年(平成26年)度と実施後の2016年(平成28年)度を比較すると、宿泊者数は129万人から145万人(1.12倍)、入湯税収入は108百万円から157百万円(1.45倍)[注 3]に増加した[12]。
アクセス
編集国道沿いに「阿寒湖バスセンター(阿寒バス阿寒湖営業所)」が設置され、路線バスと都市間バスが停車する。無料送迎バスなどは施設によっては施設前で停車する。
路線バス
編集都市間バス
編集送迎バス等
編集道東地区地方自治体およびホテルにおいて組織している一般社団法人ひがし北海道自然美への道DMOが、冬季間に限り道東地区温泉地および空港等を結ぶ「ひがし北海道エクスプレスバス」を運行(予約制)[13]。また、鶴雅グループが新千歳空港より「阿寒摩周エクスプレス」を運行している(エルム観光バス運行、予約制)[14]。
自家用車
編集- 道東自動車道・足寄インターチェンジから国道241号を経由。
- 道東自動車道・阿寒インターチェンジから国道240号を経由。
ご当地グルメ
編集2010年4月17日にエゾシカの肉を使用したご当地丼「阿寒やきとり丼」が販売開始された[15]。
観光客の滞在時間(昼食時間)を増やすことで消費拡大につなげることが目的で、頭数が増え続けて食害をもたらしているエゾシカを有効活用する狙いもある[15]。
エゾシカ肉推奨マークを持つ地元施設で処理したエゾシカの肉を使い、「焼く」。「揚げる」、「こねる」の調理法で作った3本のくし刺しを北海道産米の飯の上に乗せるといった17のルールがある[15]。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ p.106『まっぷる温泉&やど北海道 '11』昭文社、2010年
- ^ 釧路・阿寒湖公式観光サイト 阿寒湖発祥の手湯 2017年11月7日閲覧
- ^ a b “まりも湯跡地に足湯新設 阿寒湖温泉、4月末に利用開始予定”. 北海道新聞 (2022年2月22日). 2022年2月25日閲覧。
- ^ 釧路・阿寒湖公式観光サイト マリモ展示観察センター 2017年11月7日閲覧
- ^ a b 高橋 2017, p. 170.
- ^ 梅川・吉澤・福永 2015, p. 91, 97.
- ^ 梅川・吉澤・福永 2015, p. 98.
- ^ 梅川・吉澤・福永 2015, pp. 98–99.
- ^ 高橋 2017, pp. 170–171.
- ^ a b c d 高橋 2017, p. 172.
- ^ 高橋 2017, p. 171.
- ^ a b 池田 2019, p. 268.
- ^ “ひがし北海道エクスプレスバス”. 一般社団法人ひがし北海道自然美への道DMO. 2024年1月8日閲覧。
- ^ “阿寒摩周エクスプレス”. 鶴雅トラベルサービス. 2024年1月8日閲覧。
- ^ a b c 「阿寒湖温泉でエゾシカ肉の丼」『日本経済新聞』2010年4月17日。2024年8月18日閲覧。
参考文献
編集- 池田尚「人口減少社会における入湯税収の役割と今後のあり方―新潟県の方向性―」『税に関する論文入選論文集』第15巻、納税協会連合会、2019年、241-271頁、NAID 40022132542。
- 梅川智也, 吉澤清良, 福永香織「温泉地における安定的なまちづくり財源に関する研究:入湯税を中心として」『観光研究』第27巻第1号、日本観光研究学会、2015年、91-100頁、doi:10.18979/jitr.27.1_91、ISSN 1342-0208、NAID 130005178171。
- 高橋一夫『DMO 観光地経営のイノベーション』学芸出版社、2017年6月5日、214頁。ISBN 978-4-7615-2646-7。