近鉄西信貴鋼索線

近畿日本鉄道の鋼索鉄道線
西信貴鋼索線から転送)

西信貴鋼索線(にししぎこうさくせん)は、大阪府八尾市信貴山口駅から高安山駅までを結ぶ近畿日本鉄道(近鉄)の鋼索鉄道(ケーブルカー)線。西信貴ケーブルとも呼ばれる。

近畿日本鉄道 西信貴鋼索線
Z
信貴山口駅に停車中の客車 (2006年、車体イラストは変更前)
信貴山口駅に停車中の客車
(2006年、車体イラストは変更前)
基本情報
通称 西信貴ケーブル
日本の旗 日本
所在地 大阪府八尾市
種類 鋼索鉄道(単線2両交走式)
起点 信貴山口駅
終点 高安山駅
駅数 2駅
路線記号 Z
開業 1930年12月15日
休止 1944年1月7日
再開 1957年3月21日
所有者 近畿日本鉄道
運営者 近畿日本鉄道
使用車両 使用車両の節を参照
路線諸元
路線距離 1.3 km
軌間 1,067 mm
線路数 単線
電化方式 200 V
最大勾配 480
高低差 354 m
最高速度 3.25 m/s
テンプレートを表示
停車場・施設・接続路線
STR
J 信貴線
0.0 Z14 信貴山口駅 標高 66 m
SKRZ-G1BUE
SKRZ-GDBUE
SPLa
SPLe
TUNNEL1
STR
1.3 Z15 高安山駅 標高 420 m
exSTR
信貴山急行電鉄:鉄道線

概要

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信貴山朝護孫子寺へ大阪府側からのルートの一部。かつては、東信貴鋼索線が東側にあり、信貴山信貴山下駅を結んでいたが、廃止されて奈良交通バスに代替された。

信貴山朝護孫子寺へは、山上の高安山駅からさらに近鉄バスに乗り継ぐが、1944年の一時廃止前まで「山上鉄道線」(信貴山急行電鉄)として平坦線用の電車が走っていた。山上線の跡地は道路に転用されてバスが運行され、現在は信貴生駒スカイラインの一部を構成している。

この路線には2箇所の踏切がある。一般人が横断できる踏切を持つケーブルカーは全国的にも当路線と同じく近鉄の生駒鋼索線の2路線だけである。

なお、運賃は鋼索線特有の特殊運賃が適用され、他線区から乗り継ぐ場合は信貴山口駅で運賃計算を打ち切り、鋼索線と他線区の運賃を合算する。乗車券の磁気化は行われておらず、自動改札機も無い。以前は自動券売機パールカードが使えたが現在は使えない。スルッとKANSAIの導入もされなかった。そのため信貴山口駅のケーブルカー乗り場入口にはスルッとKANSAIなどはこの駅で一旦精算する必要がある旨の掲示がある。なお、スルッとKANSAIの3Day・2Dayチケットは提示で利用が可能であった。なお、2015年8月1日よりPiTaPaICOCAなどの交通系ICカードが利用可能となった[1]

路線データ

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  • 路線距離(営業キロ):1.3 km
  • 路線距離(水平距離):1263m
  • 方式:単線2両交走式
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:2駅(起終点駅含む)
  • 高低差:354m
  • 最大勾配:480(約25°38
  • 最緩勾配:169.5‰(約9°37′)

全線、大阪統括部の管轄である。

運行形態

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2020年3月現在の運行間隔は始発・最終を除き40分毎で、所要時間は7分。運行時間帯は平日・土休日ともに9時台 - 17時台となっている。

2010年3月19日のダイヤ変更以前は日中も30分毎であったが連絡する信貴線の運転間隔変更に伴い間延びする格好となった。さらに2013年3月17日のダイヤ変更により、運行時間帯が平日・土休日ともに7時台 - 18時台と大幅に縮小された[2]

2013年以前の運行時間帯は平日が6時台 - 22時台、土休日が7時台 - 21時台。土休日ダイヤでは平日ダイヤよりも始発が2本分遅く、最終が2本分早く合計で運行本数が4本少ないが、それ以外の部分については平日ダイヤと土休日ダイヤでの差異は無かった。

信貴山朝護孫子寺への西側のルートである故、大晦日から元旦にかけての終夜運転信貴線と共に毎年のように行われており[注 1]、ここ最近では概ね30分間隔で運行、信貴線と連絡するダイヤが組まれている。時刻については近鉄の公式ホームページでも紹介されている。

高安山では近鉄バス信貴山上線に連絡し信貴山(信貴山門)へ行くことができる。かつては全列車に接続していたが、2010年3月のダイヤ変更以降は8時から18時前後の運行に削減され、鋼索線が2013年3月のダイヤ変更で上記のように削減されてからは、朝の1本を除く残り全ての列車にバスが接続するようになった。なお、終夜運転時にはバスも鋼索線と連絡して運行する[注 1]

使用車両

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コ7形「ずいうん」とコニ7形貨車
(2010年4月)

コ7形2両が在籍。1957年の再開時に日立製作所で製造された車両[注 2]で「ずいうん」「しょううん」という愛称がついている。車番は落成当時の生駒鋼索線の続番となっており、「ずいうん」が7で「しょううん」が8である。展望のため天井の下半分が透明になっており、車体には信貴山の守り神であるの絵が描かれている。

なお、コ7形にはコニ7形と称する1トン積の貨車が山上側に連結可能になっている。コニ7形は生駒鋼索線の車両で使われている荷台と異なり、車籍も持っていて、れっきとした車両として扱われている。コニ7形はコニ7とコニ8の2両が在籍しており、車体の色はコニ7は赤、コニ8は青となっている。コニ7形に積まれる荷物は主に水であり、これは高安山駅のトイレ[注 3] などに使われる。コニ7形は通常は2両のうち1両のみが使用され、使用されないもう1両は高安山駅の車庫に収容されている。

2009年11月26日から12月18日の間にかけて、翌2010年の寅年を迎えることから平日を終日運休とした上で車体補修工事が行われ、塗装も変更された[5]。この時に寅のイラストは金田石城が手がけた信貴山のイメージキャラクター「しぎとらくん」に一新された。山下側に「ようこそ信貴山へ」、山上側に「ありがとう」の文字が書かれている。なお、以前は山上で接続する近鉄バスの車両にも寅のイラストが描かれていたこともあった。

2021年には、6月16日から7月16日までと、8月17日から9月16日までの2回に分けて運休して車体補修工事が行われ、1957年から1987年まで纏っていた復刻塗装が施されて9月17日から運行している[6][7]

   
コ7復刻塗装
コ8復刻塗装

踏切

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信貴山口第1号踏切
信貴山口第2号踏切
  • 信貴山口第1号踏切(第1種甲・歩行者専用)
  • 信貴山口第2号踏切(第3種・歩行者専用)

歴史

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駅一覧

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駅番号 駅名 営業キロ 接続路線
Z14 信貴山口駅 0.0 近畿日本鉄道:J 信貴線 (J14)
Z15 高安山駅 1.3 近鉄バス

脚注

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注釈

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  1. ^ a b ただし、2020年大晦日から2021年元旦にかけての終夜運転は近鉄全体で中止となった[3]。バスも終夜運転をとりやめている[4]
  2. ^ 戦前の信貴山急行電鉄時代に使用されていた鋼索線用車両は、1944年の路線休止と同時に戦時中の物資供出も兼ねて廃車・解体されていたため、再開時に車両を新たに製造した。
  3. ^ 高安山駅のトイレは汲み取り式のため、水は手洗い場のみに使用される。

出典

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  1. ^ 新たに志摩線10駅および西信貴ケーブル高安山駅でICカードサービスを導入! (PDF) - 近畿日本鉄道、2015年6月3日
  2. ^ 平成25年のダイヤ変更について (PDF) - 近畿日本鉄道プレスリリース 2013年1月24日
  3. ^ 大晦日から元旦にかけての終夜運転について” (PDF). 近畿日本鉄道 (2020年12月4日). 2021年1月3日閲覧。
  4. ^ 【信貴山上線】大晦日から元旦にかけての終夜運行について(近鉄バス 2020年12月7日) - ウェイバックマシン(2020年12月7日アーカイブ分)
  5. ^ 〜来年は寅年!〜・西信貴ケーブル車両の外装をリニューアル! (PDF) - 近畿日本鉄道、2009年11月26日。
  6. ^ “「近鉄西信貴ケーブル」の車両…1950年代のデザインに”. 読売新聞オンライン (読売新聞社). (2021年9月17日). https://www.yomiuri.co.jp/hobby/railway/20210917-OYT8T50061/ 2021年9月24日閲覧。 
  7. ^ 近鉄、西信貴ケーブル車両リニューアル - 試乗会開催、貨車も連結”. マイナビニュース. マイナビ (2021年9月16日). 2021年9月24日閲覧。
  8. ^ 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、pp.86-87
  9. ^ 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、pp.187-188
  10. ^ 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.187
  11. ^ 鉄道省『鉄道統計資料』昭和6年度 第3編 監督 によると11月2日
  12. ^ a b c 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.188
  13. ^ 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.157
  14. ^ a b 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.275
  15. ^ a b 『近畿日本鉄道100年のあゆみ』2010年、p.256
  16. ^ 「西信貴鋼索線電気設備故障による運転休止」について”. 近畿日本鉄道 (2022年8月22日). 2022年9月13日閲覧。
  17. ^ 「西信貴鋼索線の運転再開」について”. 近畿日本鉄道 (2022年9月9日). 2022年9月12日閲覧。

参考文献

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関連項目

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