信貴生駒スカイライン

生駒山地を南北に通過する有料道路

信貴生駒スカイライン(しぎいこまスカイライン)とは、近畿日本鉄道(近鉄)が所有し、近鉄グループの近鉄生駒レジャー[注釈 1]が管理する一般自動車道で、大阪平野奈良盆地の間に連なる生駒山地を南北に通過する私道有料道路である[3]

一般自動車道
信貴生駒スカイライン
路線延長 20.9km
開通年 1964年(昭和39年)4月28日
主な
経由都市
大東市東大阪市生駒市平群町八尾市
接続する
主な道路
記法
大阪府道・奈良県道8号大阪生駒線
奈良県道236号信貴山線
奈良県道237号生駒停車場宝山寺線
テンプレート(ノート 使い方) PJ道路
信貴生駒スカイライン(暗峠付近)

概要

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大阪府奈良県の府県境となる生駒山(標高642メートル)と信貴山(標高437メートル)の尾根沿いを結ぶ観光有料道路で、桜や紅葉のほか、大阪・奈良の夜景が美しいことで知られる[4][5][6]。山上線・宝山寺線・信貴山線の3つの区間で構成される道路の全長は約21キロメートルであり、南の信貴山から高安山大阪府民の森みずのみ園地なるかわ園地)、生駒山、生駒山上遊園地生駒聖天など観光スポットが多い。

 
当スカイライン運営会社によって生駒山上〜暗峠間に設置されたその場所が金剛生駒紀泉国定公園であることを示す石碑

信貴山側は、奈良県三郷町を通る奈良県道236号信貴山線と信貴山門料金所で連絡し、生駒側は阪奈道路と登山口インターチェンジで接続する。また、ケーブルカー駅と連絡する支線もあり、南は西信貴ケーブル高安山駅前と、北は聖天口料金所から生駒ケーブル宝山寺駅前までつながっており、さらにこの道路の延長で、奈良県道237号生駒停車場宝山寺線を経て、近鉄生駒駅と連絡する。料金所は、前述の料金所のほかに、生駒山上遊園地付近にある生駒山上料金所を合わせ、合計3か所が設けられている。

なお、当道路のうち高安山駅と信貴山門間には西信貴ケーブルに連絡する形で近鉄バスが路線バスを運行している(かつては当道路の全区間に路線バスの運行があった)。この区間は信貴山急行電鉄の線路跡を道路に転用した区間である[7]

路線データ

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  • 山上線
    • 区間:阪奈道路登山口 - 生駒山上駐車場
    • 距離:4.5 km
    • 開業:1958年(昭和33年)8月6日
    • 幅員:7 m
  • 宝山寺線
    • 区間:山上線聖天口 - 生駒聖天駐車場
    • 距離:2.3 km
    • 開業:1960年(昭和35年)12月30日
    • 幅員:6.5 m
  • 信貴山線
    • 区間:生駒山上駐車場 - 信貴山駐車場
    • 距離:14.1 km
    • 開業:1964年(昭和39年)4月28日
    • 幅員:6.5 m

路線状況

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通行できるのは自動車のみで、オートバイや自転車は全面通行禁止である[4][5]。過去には通行することも可能であったが、1980年代に事故が多発したために通行禁止となってしまった[注釈 2]。私道ではあるが、道路運送法に規定された自動車道であることから、道路交通法道路運送車両法が適用され、違反者には罰則が科せられる[3]

営業時間外は原則として閉鎖される。かつては営業時間後も門は開放されており、出入りは自由であった。このため深夜になると、夜景を見ようとする者や、走り屋などが多く進入していた。その結果、騒音等が原因で付近住民が不眠症などになったことから、住民は近鉄と近鉄バスに対し慰謝料を求めて提訴した。2005年4月に大阪地方裁判所は住民の訴えを認め、両社は約215万円の慰謝料を支払いを命じられている[8]

2017年平成29年台風第21号の影響によって土砂崩れが発生したため、2017年10月から生駒山上料金所 - 高安山間(約12キロメートル)が通行止めとなっていたが、2018年7月に生駒山上料金所 - 十三峠駐車場間(約8キロメートル)が再開し、2018年12月22日には全線が開通している[9]

営業時間

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  • 11月〜2月:6時30分〜23時
  • 3月〜10月:6時30分〜24時

通行料金

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区間 乗用車 マイクロバス 大型バス・貨物自動車
登山口 - 宝山寺(片道) 0 370円 0 890円 1,470円
登山口・宝山寺 - 生駒山上(往復) 0 740円 (*1) 1,780円 2,940円
生駒山上 - 高安山 - 信貴山門(往復) 0 990円 2,520円 3,980円
全線片道(登山口・宝山寺 - 信貴山門) 1,360円 3,410円 5,450円
全線往復(登山口・宝山寺 - 信貴山門) 1,950円 4,970円 8,010円

登山口 - 生駒山麓公園間は無料で通行可。料金所は聖天口、生駒山上、信貴山門に設置。ETCカードやクレジットカードは利用不可。
(*1) 登山口・宝山寺→聖天口料金所で往復分740円を払う。

地理

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北側の登山口(山上口)は阪奈道路に接続しており、第二京阪道路寝屋川南インターチェンジ (IC) から約11キロメートル、近畿自動車道門真ICから約12キロメートルの位置にある[4][5]。また、南の信貴山門は西名阪自動車道法隆寺ICから約10キロメートルの位置にある[4][5]

道路はほぼ大阪府と奈良県の境界となる生駒山地の稜線に沿っており、道路の一部は金剛生駒紀泉国定公園内を走る。道路線形は、連続するヘアピンカーブから長いストレートまである多彩な配置で、ドライブが楽しめる峠道である[4][5]。途中にはいくつか駐車場があり、いずれも大阪や奈良を一望でき、この地域有数の夜景スポットとして良く知られる。中でも鐘の鳴る展望台は、大阪と奈良の夜景を同時に眺められることから絶大な人気がある[4][5]。4月はスカイライン全線にわたって桜が咲き、満開時期を過ぎると桜のトンネルは桜吹雪の美しい絶景へと変わる[6]暗峠では日本一勾配が厳しい国道で知られる国道308号と立体で交差する[10](直結はしない)。

 
鐘のなる展望台

通過する自治体

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交差する道路

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沿線

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南京錠を溶かして造ったメモリアルプレート
 
信貴生駒スカイラインから見た十三峠

途中にある「鐘のなる展望台」は、展望台の柵にカップルたちが南京錠を掛けて愛を誓う「愛の南京錠」があるデートスポットで知られる。しかしながら、あまりに多くの南京錠が掛けられたため、その重さで展望台自体が崩落する危険性を孕んでいたが、2008年7月に南京錠を取り付けるためのモニュメント「誓いのリング」が設置された。これまでに掛けられていた南京錠は撤去・溶解されたのち、ベル型の「メモリアルプレート」としてモニュメントのそばに設置された。その後も誓いのリングに取り付けられた南京錠が増える毎に新たなプレートを設置するとしており、最近では2011年4月に撤去が行われた。

脚注

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注釈

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  1. ^ もともと、当道路は近畿日本鉄道自動車局(近鉄直営のバス部門)の管理であり、同局が分社化されたことで近鉄バスへ管理を委託していたが、2005年4月に近鉄レジャーサービスに移管されている[1]。2023年7月より近鉄レジャーサービスが中間持株会社の近鉄レジャークリエイトに社名を変更し、生駒山上遊園地の事業とともにその子会社として設立された株式会社近鉄生駒レジャーが運営する形に変更された[2]
  2. ^ 当道路と接続する阪奈道路大阪府道183号本堂高井田線も時間帯や区間によって二輪車の通行規制がある。それぞれの項目を参照。

出典

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  1. ^ 「近畿日本鉄道100年のあゆみ」p.452 2010年12月 近畿日本鉄道
  2. ^ "伊勢志摩エリアにおける地域活性化の推進について 〜新会社によりレジャー事業を強化し、支援体制としての「伊勢志摩支社」を設置します〜" (PDF) (Press release). 近鉄グループホールディングス. 3 July 2023. 2023年7月7日閲覧
  3. ^ a b 浅井建爾 2015, p. 32.
  4. ^ a b c d e f 小川、栗栖、田宮 2016, p. 98.
  5. ^ a b c d e f 中村純一 編 2017, p. 98.
  6. ^ a b 須藤英一 2013, pp. 126–129.
  7. ^ 「近畿日本鉄道100年のあゆみ」近畿日本鉄道 2010年 p.256、863
  8. ^ 朝日新聞(大阪)2005年4月22日付
  9. ^ “あすから全線開通”. 交通新聞 (交通新聞社): p. 2. (2018年12月21日) 
  10. ^ 佐々木・石野・伊藤 2015, p. 96.

参考文献

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  • 浅井建爾『日本の道路がわかる辞典』(初版)日本実業出版社、2015年10月10日。ISBN 978-4-534-05318-3 
  • 小川秀夫、栗栖国安、田宮徹 著「信貴生駒スカイライン」、中村純一 編 編『ニッポン絶景ロード100』枻出版社〈エイムック〉、2016年4月10日、98頁。ISBN 978-4-7779-3980-0 
  • 中村純一 編 編「信貴生駒スカイライン」『日本の絶景道100選』枻出版社〈エイムック〉、2017年4月10日、98頁。ISBN 978-4-7779-4572-6 
  • 佐々木節、石野哲也、伊藤もずく 著、松井謙介編 編『絶景ドライブ100選[新装版]』学研パブリッシング〈GAKKEN MOOK〉、2015年9月30日。ISBN 978-4-05-610907-8 
  • 須藤英一『新・日本百名道』大泉書店、2013年。ISBN 978-4-278-04113-2 

関連項目

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外部リンク

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