第69回国家映画賞(だい69かいこっかえいがしょう、69th National Film Awards)は、インドの映画賞。2021年のインド映画を対象としており、今回から映画祭事務局の機能を引き継いだインド国立映画開発公社が主催団体となった[1]。授賞式は2022年5月3日に開催される予定だったが、COVID-19パンデミックの影響を受けて延期されていた[2]。その後、2023年8月24日に情報・放送省英語版から受賞者が発表され[3][4]、10月17日にニューデリーヴィギャン・バワン英語版で授賞式が執り行われた[5][6]

第69回国家映画賞
第69回国家映画賞授賞式でインド大統領ドラウパディ・ムルムからダーダーサーヘブ・パールケー賞を受け取るワヒーダー・ラフマーン
受賞対象2021年のインド映画
開催日2023年10月17日
会場ニューデリーヴィギャン・バワン英語版
インドの旗 インド
主催インド国立映画開発公社

選考過程

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2023年3月31日にインド国立映画開発公社がオンライン上でのエントリー募集を開始し、5月10日にエントリーが締め切られた。映画部門のエントリー対象は2021年1月1日から12月31日までの期間に中央映画認証委員会から認証を受けた長編映画と短編映画であり、書籍部門のエントリー対象は同期間中に発行された新聞・雑誌・ジャーナルに掲載された映画記事・評論、及び刊行された書籍となっている。また、映画部門では吹替版・改訂版・複製版、書籍部門では翻訳版・抄訳版・編集版・注釈・再版本は対象外となっている[7]

長編映画部門と非長編映画部門では16ミリフィルム35ミリフィルム及びそれよりもフィルム幅の広いフィルムゲージまたはデジタル・フォーマットで撮影された作品、劇場または家庭で観賞できるOTTサービスで公開されたインドの言語で製作された作品が選考対象となっている。また、エントリー作品は中央映画認証委員会によって長編映画・ドキュメンタリー映画・ニュース映画・ノンフィクション映画として認証を受ける必要がある[7]

受賞結果

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ダーダーサーヘブ・パールケー賞

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最高賞であるダーダーサーヘブ・パールケー賞は、インド映画界の著名人5名で構成される選考委員会によって選出される。

選考委員
 • アシャ・パレク
 • チランジーヴィ
 • パレーシュ・ラーワル
 • シェーカル・カプール
 • プロセンジット・チャテルジー英語版
画像 受賞者 職業 賞金
ダーダーサーヘブ・パールケー賞
 
ワヒーダー・ラフマーン 女優 100万ルピー

長編映画部門

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金蓮賞(長編映画部門)

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作品 言語 受賞者 賞金
長編映画賞英語版 Rocketry: The Nambi Effect タミル語
ヒンディー語
監督:R・マーダヴァン英語版 25万ルピー
監督賞 Godavari マラーティー語 ニキル・マハージャン 25万ルピー
健全な娯楽を提供する大衆映画賞 RRR テルグ語 プロデューサー:D・V・V・ダナイヤー英語版
監督: S・S・ラージャマウリ
20万ルピー
児童映画賞英語版 Gandhi & Co. グジャラート語 プロデューサー:MDメディア・グループ
監督:マニーシュ・サイニ英語版
15万ルピー
インディラ・ガンディー賞 新人監督作品賞英語版 Meppadiyan マラヤーラム語 プロデューサー:ウンニ・ムクンダン英語版
監督:ヴィシュヌ・モーハン
12万5000ルピー

銀蓮賞(長編映画部門)

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作品 言語 受賞者 賞金
ナルギス・ダット賞 国民の融和に関する長編映画賞英語版 カシミール・ファイルズ英語版 ヒンディー語 プロデューサー:アビシェーク・アグルワール・アーツ英語版
監督:ヴィヴェーク・アグニホトリ英語版
各15万ルピー
環境保護に関する映画賞英語版 Aavasavyuham マラヤーラム語 プロデューサー:クリシャーンド・R・K英語版
監督:クリシャーンド・R・K
各15万ルピー
その他の社会問題に関する映画賞英語版 Anunaad - The Resonance アッサム語 プロデューサー:アッサム州映画(金融&開発)公社
監督:リーマー・ボラー
各15万ルピー
主演男優賞 プシュパ 覚醒 テルグ語 アッル・アルジュン 5万ルピー
主演女優賞英語版 ガングバイ・カティヤワディ ヒンディー語 アーリヤー・バット 各5万ルピー
Mimi クリティ・サノン
助演男優賞 Mimi ヒンディー語 パンカジ・トリパーティー 5万ルピー
助演女優賞英語版 カシミール・ファイルズ ヒンディー語 パラヴィ・ジョーシー英語版 5万ルピー
子役賞英語版 エンドロールのつづき英語版 グジャラート語 バヴィン・ラバリ 5万ルピー
男性プレイバックシンガー賞英語版 RRR テルグ語 カーラ・バイラヴァ英語版「Komuram Bheemudo」 5万ルピー
女性プレイバックシンガー賞英語版 Iravin Nizhal タミル語
テルグ語
シュレヤ・ゴシャル「Mayava Chayava」 5万ルピー
撮影賞英語版 Sardar Udham ヒンディー語 アヴィーク・ムコパディヤイ英語版 5万ルピー
脚本賞英語版(オリジナル脚本) Nayattu マラヤーラム語 シャシ・カビール 5万ルピー
脚本賞(脚色) ガングバイ・カティヤワディ ヒンディー語 サンジャイ・リーラー・バンサーリー
ウトカルシニ・ヴァシシュタ英語版
5万ルピー
脚本賞(台詞) ウトカルシニ・ヴァシシュタ
プラカーシュ・カパーディヤー
5万ルピー
音響賞英語版(ロケーション録音技師) Chavittu マラヤーラム語 アルン・アショーク
ソーヌー・K・P
5万ルピー
音響賞(音響技師) Jhilli ベンガル語 アニーシュ・バース 5万ルピー
音響賞(再録音技師) Sardar Udham ヒンディー語 シノイ・ジョゼフ英語版 5万ルピー
音楽監督賞英語版(歌曲) プシュパ 覚醒 テルグ語 デーヴィ・シュリー・プラサード 5万ルピー
音楽監督賞(背景音楽) RRR テルグ語 M・M・キーラヴァーニ 5万ルピー
編集賞英語版 ガングバイ・カティヤワディ ヒンディー語 サンジャイ・リーラー・バンサーリー 5万ルピー
美術賞英語版 Sardar Udham ヒンディー語 ドミドリー・マリッヒ=コンコフ
マンシ・ドルヴ・メーヘター
5万ルピー
衣装デザイン賞英語版 Sardar Udham ヒンディー語 ヴィーラ・カプール・イー 5万ルピー
メイクアップアーティスト賞英語版 ガングバイ・カティヤワディ ヒンディー語 プリーティシュシェール・シン・デソウザ 5万ルピー
作詞賞英語版 Konda Polam テルグ語 チャンドラボース「Dham Dham Dham」 5万ルピー
特殊効果賞 RRR テルグ語 V・スリニヴァス・モハン 5万ルピー
振付賞英語版 RRR テルグ語 プレム・ラクシータ英語版ナートゥ・ナートゥ 5万ルピー
アクション監督賞 RRR テルグ語 キング・ソロモン英語版 5万ルピー
審査員特別賞英語版 シェールシャー英語版 ヒンディー語 プロデューサー:カラン・ジョーハルダルマ・プロダクション英語版
監督: ヴィシュヌヴァルダン
各20万ルピー
特別賞英語版 ラストファーマー英語版 タミル語 ナランディ英語版 賞状のみ
Jhilli ベンガル語 アランヤー&ビーダン
Home マラヤーラム語 インドランス英語版
Anur アッサム語 ジャハーナラ・ベーグム

地域賞

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インド各州で製作された言語映画を表彰する賞。受賞対象はインド憲法の憲法第8附則でインドの公用語とされている言語で製作された地域映画に限定され、指定されていない言語で製作された映画は対象外となっている。

作品 受賞者 賞金
プロデューサー 監督
アッサム語長編映画賞英語版 Anur ゴーペンドラ・モーハン・ダース マンジュル・バールア 各10万ルピー
ベンガル語長編映画賞英語版 Kalkokkho アンジャン・ボース ラージディープ・ポール
サルミシュタ・マイティ
各10万ルピー
グジャラート語長編映画賞 エンドロールのつづき英語版 パン・ナリン英語版
ディール・モーマーヤー
シッダールト・ロイ・カプール英語版
マルク・ドゥアル
パン・ナリン 各10万ルピー
ヒンディー語長編映画賞英語版 Sardar Udham ロニー・ラヒリ、シェール・クマール シュージット・シルカル英語版 各10万ルピー
カンナダ語長編映画賞英語版 チャーリー G・S・グプタ
ラクシット・シェッティ
キランラージ・K 各10万ルピー
マイティリー語長編映画賞 Samanantar ニラージ・クマール・ミシュラー
アトゥル・パーンデー
ニラージ・クマール・ミシュラー 各10万ルピー
マラヤーラム語長編映画賞英語版 Home ヴィジャイ・バーブ英語版 ロージン・トーマス英語版 各10万ルピー
マニプリ語長編映画賞 Eikhoigi Yum ローミー・メイテイ英語版
チングスバム・シェータル
ローミー・メイテイ 各10万ルピー
マラーティー語長編映画賞英語版 Ekda Kaay Zala サリール・クルカルニー英語版
シッダールト・マハーデーヴァン
ソウミル・シュリンガルプル
シッダールト・キンヴァサーラー
ソウメンドゥ・クベル、アルンダティ・ダティ
アヌープ・ニムカル
ニティン・プラカーシュ・ヴァイディヤ
サリール・クルカルニー 各10万ルピー
オリヤー語長編映画賞英語版 Pratikshya アヌパム・パトナーイク アヌパム・パトナーイク 各10万ルピー
タミル語長編映画賞英語版 ラストファーマー英語版 M・マニカンダン英語版 M・マニカンダン 各10万ルピー
テルグ語長編映画賞英語版 Uppena Y・ナヴィーン
Y・ラヴィ・シャンカル
ブッチ・バーブ・サーナー英語版 各10万ルピー

非長編映画部門

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金蓮賞(非長編映画部門)

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作品 言語 受賞者 賞金
非長編映画賞英語版 Ek Tha Gaon ガルワーリー語
ヒンディー語
シュリシュティ・ラーケーラ 15万ルピー
非長編映画監督賞英語版 Smile Please ヒンディー語 バクル・マティヤニ 15万ルピー

銀蓮賞(非長編映画部門)

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作品 言語 受賞者 賞金
非長編映画新人監督賞英語版 Paanchika アンキット・コータリー 7万5000ルピー
伝記映画賞英語版 Rukhu Matir Dukhu Majhi ベンガル語 プロデューサー:ソームナート・モンダル
監督:ソームナート・モンダル
各5万ルピー
文化・芸術映画賞英語版 T.N. Krishnan Bow Strings to Divine 5万ルピー
科学技術映画賞英語版 Ethos of Darkness 監督:アヴィジット・バナルジー 5万ルピー
環境保護映画賞英語版 Munnam Valavu R・S・プラディープ 5万ルピー
広告映画賞英語版 Endangered Heritage‘Warli Art’ 5万ルピー
社会問題に関する映画賞英語版 Mithu Di 英語 アシーム・クマール・シンハー 15万ルピー
Three Two One マラーティー語
ヒンディー語
ヒマーンシュ・プラジャーパティ
教育映画賞英語版 Sirpigalin Sirpangal タミル語 プロデューサー:KKVメディア・ベンチャー
監督:B・レーニン英語版
各5万ルピー
人類学・民族学映画賞英語版 Fire on Edge プラナブ・ジョーティ・デーカー 各5万ルピー
冒険映画賞英語版 Ayushman 英語
カンナダ語
プロデューサー:マシュー・ヴァルゲーゼ、ディネーシュ・ラージクマール・N、ナヴィーン・フランシス
監督:ジェイコブ・ヴァルゲーゼ
各5万ルピー
調査映画賞英語版 Looking for Challan 英語 プロデューサー:IGNCA
監督:バーッピ・レイ
各5万ルピー
非長編アニメ映画賞英語版 Kandittundu マラヤーラム語 プロデューサー:スタジオ・イークサウルス・プロダクション
監督:アディティ・クリシュナダース
各5万ルピー
短編フィクション映画賞英語版 Dal Bhat グジャラート語 プロデューサー:ニミル・シャー
監督:ニミル・シャー
各5万ルピー
家族福祉に関する非長編映画賞英語版 Chand Saanse ヒンディー語 プロデューサー:チャンドラカント・クルカルニー英語版
監督:プラティマ・ジョーシー
各5万ルピー
撮影賞英語版 Pataal-Tee ボーティヤ語 ビットゥ・ラーワト 各5万ルピー
音響賞英語版 Ek Tha Gaon ガルワーリー語
ヒンディー語
再録音技師:クリシュナンニ・N・R 5万ルピー
ロケーション音響技師賞 Meen Raag ラージャスターン語 再録音技師:スルチ・シャルマ 5万ルピー
編集賞英語版 If Memory Serves Me Right 英語 アブロー・バナルジー 5万ルピー
音楽監督賞英語版 Succulent ヒンディー語
英語
マラーティー語
イシャーン・ディーヴァチャ 5万ルピー
ナレーション/ボイスオーバー賞英語版 Hati Bondhu 英語
アッサム語
クラダ・クマール・バッタチャルジー 5万ルピー
審査員特別賞英語版 Rekha マラーティー語 シェーカル・バープ・ランカンベー 10万ルピー
特別賞英語版 Baale Bangara
Karuvarai
The Healing Touch
Ek Duaa
アニルッダー・ジャトカル英語版
シュリカーント・デーヴァ英語版
シュウェタ・クマール・バース
ラーム・クマール・ムカルジー英語版
賞状のみ

映画批評部門

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金蓮賞(映画批評部門)

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書籍 言語 受賞者 賞金
映画書籍賞英語版 Music by Laxmikant Pyarelal: The Incredibly Melodious Journey 英語 ラージーヴ・ヴィジャヤカール 7万5000ルピー
映画批評賞英語版 プルショーッタマ・チャルユル 7万5000ルピー

特別賞(映画批評部門)

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書籍 言語 受賞者 賞金
特別賞 スブラマニヤ・バンドゥール 賞状のみ

出典

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  1. ^ Govt merges Films Division, DFF, NFAI, CFSI with NFDC”. The Economic Times (2022年3月30日). 2024年7月21日閲覧。
  2. ^ Call for entries for 69th National Films Awards 2021”. e-pao.net. 2024年7月21日閲覧。
  3. ^ 69th National Film Awards 2023 complete winners list: Rocketry, Alia Bhatt, Kriti Sanon, Allu Arjun, RRR, Gangubai Kathiawadi win big” (24 August 2023). 2024年7月21日閲覧。
  4. ^ 69th National Film Awards: Here's the complete updated winners' list”. Business Standard (2023年10月18日). 2024年7月22日閲覧。
  5. ^ “Media Advisory for 69th National Film Awards”. (15 October 2023). https://pib.gov.in/NewsDetail.aspx?NewsID=489 15 October 2023閲覧。 
  6. ^ Live: Presentation Ceremony of the "69th National Film Awards" - 17 October 2023. DD National. 13 October 2023. YouTubeより2023年10月13日閲覧
  7. ^ a b 69th National Films Awards 2021”. NFDC. 2024年7月21日閲覧。