第32普通科連隊(だいさんじゅうにふつうかれんたい、JGSDF 32nd Infantry Regiment)は、埼玉県さいたま市北区大宮駐屯地に駐屯する、陸上自衛隊第1師団隷下の普通科連隊である。

第32普通科連隊
偵察訓練を行う第32普通科連隊の隊員
創設 1962年(昭和37年)1月18日
所属政体 日本の旗 日本
所属組織 陸上自衛隊
部隊編制単位 連隊
兵科 普通科
所在地 埼玉県 さいたま市北区
編成地 市ヶ谷
愛称 近衛連隊[1][2]
上級単位 第1師団
担当地域 埼玉県
戦歴 地下鉄サリン事件対処
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概要

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連隊本部、本部管理中隊、5個普通科中隊および重迫撃砲中隊から編成される。連隊長は、1等陸佐(二)をもって充てられる。主に埼玉県の災害派遣・防衛警備を担任している。1999年平成11年)11月に市ヶ谷駐屯地から大宮駐屯地に移駐した。連隊は過去に阪神・淡路大震災三宅島噴火東日本大震災など天災による災害派遣での民生支援や、地下鉄サリン事件では化学科部隊と連携して有毒化学剤の検知・除染作業にあたり、地下鉄構内の安全化を行った。自衛隊記念日観閲式への参加や、国賓の歓迎行事を始めとした国家的行事への参加などで自衛隊の威容を示している。

第32普通科連隊は旧陸軍の近衛歩兵連隊にちなんで『近衛連隊』を自称[1][2]しており、「近衛兵の精神を受け継いだ部隊」であると自負している[3]。かつて同連隊長を務めた福山隆元陸将によれば、任期制隊員の知能レベルは全国の連隊の中で最も高く、全国の連隊平均よりも約10ポイントも高いとされる[1]。また、第32普通科連隊のシンボルマークは、中央のナイトのマークは天皇を護る近衛兵と、その精神を受け継ぐ第32普通科連隊の隊員を表し、下部の紋章は、皇居二重橋を模っている[4]

沿革

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第1普通科連隊第2大隊

  • 1956年(昭和31年)
    • 1月24日:第1普通科連隊の第3、第9中隊を基幹として新たに第2大隊が練馬駐屯地で編成。
    • 2月7日:第2大隊が練馬駐屯地から習志野駐屯地に移駐。

第32普通科連隊

  1. 重迫撃砲中隊を廃止し、第5普通科中隊を新編。
  2. 後方支援体制変換に伴い、整備部門を第1後方支援連隊第2整備大隊第2普通科直接支援中隊へ移管。

警備隊区

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部隊編成

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  • 第32普通科連隊本部
  • 本部管理中隊「32普-本」
  • 第1普通科中隊「32普-1」:高機動車81mm迫撃砲 L1601式軽対戦車誘導弾
  • 第2普通科中隊「32普-2」:高機動車、81mm迫撃砲 L16、01式軽対戦車誘導弾
  • 第3普通科中隊「32普-3」:高機動車、81mm迫撃砲 L16、01式軽対戦車誘導弾
  • 第4普通科中隊「32普-4」:軽装甲機動車、81mm迫撃砲 L16、01式軽対戦車誘導弾
  • 第5普通科中隊「32普-5」:高機動車、81mm迫撃砲 L16、01式軽対戦車誘導弾
  • 重迫撃砲中隊「32普-重」:120mm迫撃砲 RT

整備支援部隊

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  • 第1後方支援連隊第2整備大隊第2普通科直接支援中隊「1後支-2整-2」(大宮駐屯地):2002年(平成14年)3月27日から

主要幹部

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官職名 階級 氏名 補職発令日 前職
第32普通科連隊長 1等陸佐 大倉正義 2024年03月18日 陸上自衛隊教育訓練研究本部主任教官
歴代の第32普通科連隊長
(1等陸佐)
氏名 在職期間 前職 後職
01 森川竹雄 1962年01月18日 - 1964年03月15日 第1普通科連隊 第2教育団副団長
02 副田忠夫 1964年03月16日 - 1965年07月15日 陸上自衛隊業務学校学校教官 普通科教導連隊
03 三好秀男 1965年07月16日 - 1967年07月16日 陸上幕僚監部第2部見積班長 陸上幕僚監部第2部副部長
04 蔵田十紀二 1967年07月17日 - 1969年07月15日 陸上自衛隊幹部学校学校教官 陸上幕僚監部付
05 宮田朋幸 1969年07月16日 - 1971年07月15日 陸上幕僚監部第2部情報第1班長 陸上自衛隊幹部候補生学校教育部長
06 松永力 1971年07月16日 - 1973年03月15日 陸上自衛隊幹部学校学校教官 第1師団司令部勤務
07 中村董正 1973年03月16日 - 1974年07月15日 陸上幕僚監部第1部広報班長 第12師団司令部幕僚長
08 坪井美弘 1974年07月16日 - 1977年03月15日 旭川駐とん地業務隊 朝霞駐とん地業務隊長
09 伊藤三雄 1977年03月16日 - 1978年11月30日 札幌駐とん地業務隊長 北部方面総監部人事部長
10 松川彰 1978年12月01日 - 1980年07月31日 第1陸曹教育隊 檜町駐とん地業務隊長
兼 檜町駐とん地司令
11 前川清 1980年08月01日 - 1982年06月30日 陸上幕僚監部調査部付 陸上幕僚監部教育訓練部教育課長
12 奈良崎元 1982年07月01日 - 1985年03月15日 陸上幕僚監部防衛部運用課
運用第2班長
西部方面総監部調査部長
13 常田頼史 1985年03月16日 - 1987年03月15日 東北方面総監部人事部人事課長 第1混成団本部高級幕僚
14 山本勝 1987年03月16日 - 1989年06月29日 第9師団司令部第3部長 西部方面総監部防衛部長
15 彦坂洋一 1989年06月30日 - 1992年03月31日 東部方面総監部人事部人事課長 防衛研究所所員
16 濱田豊克 1992年04月01日 - 1993年06月30日 東北方面総監部防衛部防衛課長 東部方面総監部人事部長
17 福山隆 1993年07月01日 - 1995年06月29日 陸上幕僚監部調査部付 陸上幕僚監部調査部調査第2課長
18 有村幸嘉 1995年06月30日 - 1997年06月30日 自衛隊山口地方連絡部 防衛大学校訓練部訓練課長
19 柴田幹雄 1997年07月01日 - 2000年03月22日 陸上幕僚監部教育訓練部訓練課
訓練班長
統合幕僚会議事務局第5幕僚室
防衛計画調整官
兼 中期班長
20 市橋映 2000年03月23日 - 2002年03月31日 北部方面総監部人事部人事課長 陸上自衛隊関西補給処総務部長
21 保坂優次 2002年04月01日 - 2003年12月04日 陸上自衛隊幹部学校学校教官 陸上自衛隊研究本部主任研究開発官
22 武藤正美 2003年12月05日 - 2006年03月31日 陸上幕僚監部装備部開発課
開発第1班長
陸上自衛隊研究本部主任研究開発官
23 曽田健史 2006年04月01日 - 2008年03月25日 陸上自衛隊富士学校主任教官 第14旅団司令部幕僚長
24 下東敏郎 2008年03月26日 - 2010年07月31日 陸上自衛隊小平学校情報教育部
第1教育課長
東部方面総監部監察官
25 芝伸彦 2010年08月01日 - 2012年12月03日 陸上自衛隊研究本部研究員 統合幕僚監部総務部総務課
国際人道業務室長
26 渡邉俊明 2012年12月04日 - 2015年03月22日 西部方面総監部人事部人事課長 陸上自衛隊幹部候補生学校学生隊長
27 毛利敏郎 2015年03月23日 - 2017年03月22日 陸上自衛隊富士学校主任教官 朝霞駐屯地業務隊長
28 横山裕之 2017年03月23日 - 2019年12月19日 部隊訓練評価隊副隊長 国際活動教育隊
29 湯下兼太郎 2019年12月20日 - 2020年07月31日 北部方面総監部防衛部訓練課長 陸上自衛隊教育訓練研究本部勤務
30 木場幸一 2020年08月01日 - 2022年03月13日 地理情報隊
東立川駐屯地司令
陸上自衛隊富士学校
諸職種協同センター総合研究課長
31 榧野道彦 2022年03月14日 - 2024年03月17日 第10師団司令部監察官 陸上自衛隊関東補給処総務部長
32 大倉正義 2024年03月18日 - 陸上自衛隊教育訓練研究本部主任教官

主要装備

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廃止(改編)部隊

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  • 第32普通科連隊重迫撃砲中隊「32普-重迫」:2002年(平成14年)3月27日廃止され第5普通科中隊に改編。2011年(平成23年)4月22日に重迫撃砲中隊を再編成。

関連項目

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第1普通科連隊 / 第31普通科連隊 / 第34普通科連隊

出身者

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  • 浅田次郎 - 小説家(市ヶ谷駐屯地時代)
  • トリトン海野 - らっぱ漫談家(東京演芸協会所属)(市ヶ谷駐屯地、大宮駐屯地で勤務)
  • ダイナマイト幸男 - 元AV男優 (市ヶ谷駐屯地、宇都宮駐屯地、朝霞駐屯地等々、)

脚注

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注釈

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出典

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  1. ^ a b c 福山隆 『続 空砲戦記』 イカロス出版 p.189
  2. ^ a b 広報紙「頭号師団」平成30年8月号 第1師団司令部総務課広報班(2018年8月)2022年07月12日閲覧。
  3. ^ 第32普通科連隊. “第32普通科連隊(公式)”. 2023年6月19日閲覧。
  4. ^ 第32普通科連隊 [@32nd_inf_Regt] (2023年3月7日). "第32普通科連隊のシンボルマークについて". X(旧Twitter)より2023年6月19日閲覧
  5. ^ “仏軍事パレード 陸上自衛隊参加 友好160年を記念”. 東京新聞. (2018年7月15日). オリジナルの2018年7月15日時点におけるアーカイブ。. https://archive.fo/RTNjA 2018年7月17日閲覧。 
  6. ^ 静岡県熱海市における令和3年7月1日からの大雨に係る災害派遣について”. 防衛省 (2021年7月19日). 2021年7月21日閲覧。
  7. ^ 防衛省防災業務計画(令和6年3月28日)”. pp. 59. 2024年12月20日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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