田辺裕信
田辺 裕信(たなべ ひろのぶ、1984年2月12日 - )は、日本中央競馬会 (JRA)の騎手。戸籍上の表記は旧字体が含まれた「田邊」だが、JRAでは旧字体での登録が認められていないため、一部の地方競馬を除いて競馬中継や新聞・雑誌では新字体の「田辺」と修正して表記される[4]。
田辺 裕信 | |
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第73回ラジオNIKKEI賞優勝時(2024年6月30日) | |
基本情報 | |
国籍 | 日本 |
出身地 | 福島県二本松市[1] |
生年月日 | 1984年2月12日(40歳)[2] |
身長 | 162cm[2] |
体重 | 46kg[2] |
血液型 | A型[2] |
騎手情報 | |
所属団体 | JRA |
所属厩舎 | 小西一男(美浦)→フリー |
初免許年 | 2002年 |
免許区分 | 平地[3] |
重賞勝利 | 56勝(中央44勝、地方12勝) |
G1級勝利 | 10勝(中央3勝、地方7勝) |
通算勝利 | 12884戦1134勝(中央) |
来歴
編集父親はJAの職員、母親は主婦という一般家庭に生まれる。妹と弟がいる3人兄弟の長男。部活ではソフトテニスをしていた[5]。競馬との接点は、父親が競馬ファンだったことによる[6]。
2002年、2月にJRA競馬学校騎手課程を第18期生[7]として卒業し騎手免許を取得し、小西一男厩舎に所属する[8]。3月2日に初騎乗[2]。中山競馬第2競走で9番人気のアルファジェネラスに騎乗し8着[9]。3月21日に高崎競馬場で地方競馬初騎乗。弥生特別でシアトルドータに騎乗し、11頭立て8番人気で11着だった。8月3日に新潟競馬第12競走で4番人気のヒノデツートンに騎乗し、初勝利を挙げた[2][10]。
2004年4月25日、重賞初騎乗となった福島牝馬ステークスでは、14番人気のトーセンリリーに騎乗して16着だった。
2009年8月30日のキーンランドカップでは、モルトグランデに騎乗し2位入線を果たす。このまま確定すれば重賞初連対であったが、最後の直線で他馬の走行を妨害したとして8着に降着となり、田辺は開催日4日間の騎乗停止処分を受けた。
2010年6月19日、福島競馬第11競走の安達太良ステークスで、栗東・松田博資厩舎所属のアドマイヤマジンに騎乗して勝利。これをきっかけに松田博資調教師の信頼を得ると、他の栗東の有力厩舎からも依頼が増えるようになった[11]。
2011年4月24日のアンタレスステークスでは、栗東・吉田直弘厩舎所属のゴルトブリッツに騎乗して勝利し、デビューから10年目で初重賞勝利を飾った。8月8日、3年前に知り合い、この年から交際していた一般女性と入籍した[12]。同年は88勝を挙げ、全国リーディング7位・関東リーディング3位と躍進し、中央競馬騎手年間ホープ賞を受賞した[13]。
2014年2月23日、フェブラリーステークスを16頭立て16番人気のコパノリッキーで勝ち、25回目の挑戦でGI初勝利を果たした[14]。サマージョッキーズシリーズでは、七夕賞・関屋記念・京成杯オータムハンデキャップの3勝を挙げて優勝、初めてワールドスーパージョッキーズシリーズ(WSJS)の出場権を獲得した[15]。WSJSでは、2戦目のファンタスティックジョッキーズトロフィーで勝利を挙げ、総合成績では戸崎圭太と並ぶ3位タイに入った[16]。厩舎関係者表彰のフェアプレー賞を初受賞。
2016年2月1日、小西厩舎所属からフリーとなった[17]が、バレットはその後も小西の娘である小西由紀が務めている。
2019年1月6日中山競馬第2競走でゴールデンウェルに騎乗して史上38人目となるJRA通算10000回騎乗を達成した[18]。
2021年8月1日新潟競馬第8競走をノーリスで制し、史上40人目となるJRA通算1000勝を達成した[19]。
2022年10月23日の阪神競馬第11競走・菊花賞をアスクビクターモアに騎乗し1着、自身初のクラシック競走制覇を果たした。
フェアプレー賞は2014年、2018年と2020年より4年連続となる2023年まで計6回受賞している。
主な騎乗馬
編集- ゴルトブリッツ(2011年アンタレスステークス)[21]
- エイシンアポロン(2011年富士ステークス)[22]
- エーシンヴァーゴウ(2011年セントウルステークス)[23]
- ヴェルデグリーン(2013年オールカマー、2014年アメリカジョッキークラブカップ)[24]
- マーブルカテドラル(2013年アルテミスステークス)[25]
- カラダレジェンド(2013年京王杯2歳ステークス)[26]
- コパノリッキー(2014年フェブラリーステークス、かしわ記念、JBCクラシック、2016年・2017年マイルチャンピオンシップ南部杯、2017年東京大賞典)[27]
- メイショウナルト(2014年七夕賞)[28]
- ブライトエンブレム(2014年札幌2歳ステークス)[29]
- クラレント(2014年関屋記念、京成杯オータムハンデキャップ)[30]
- クリールカイザー(2015年アメリカジョッキークラブカップ)[31]
- バウンスシャッセ(2015年中山牝馬ステークス、2016年愛知杯)[32]
- ロードクエスト(2015年新潟2歳ステークス)[33]
- フラアンジェリコ(2015年京成杯オータムハンデキャップ)
- デンコウアンジュ (2015年アルテミスステークス)[34]
- ストロングサウザー(2016年佐賀記念、マーキュリーカップ)
- トウショウドラフタ(2016年ファルコンステークス)
- ロゴタイプ(2016年安田記念)[35]
- タマノブリュネット(2016年レディスプレリュード)
- タガノトネール(2016年武蔵野ステークス)
- コマノインパルス(2017年京成杯)[36]
- シャケトラ(2017年日経賞)
- グランシルク(2017年京成杯オータムハンデキャップ)
- ジェネラーレウーノ(2018年京成杯、セントライト記念)[37]
- テトラドラクマ(2018年クイーンカップ)
- グレーターロンドン (2018年中京記念)
- オールブラッシュ(2018年浦和記念)
- ブレイキングドーン (2019年ラジオNIKKEI賞)
- アルクトス(2019年プロキオンステークス、2020年・2021年マイルチャンピオンシップ南部杯、2021年さきたま杯)
- ライオンボス (2019年アイビスサマーダッシュ)[38]
- ハヤヤッコ (2019年レパードステークス)
- マルターズディオサ(2020年チューリップ賞、紫苑ステークス)
- シャインガーネット(2020年ファルコンステークス)
- ロータスランド(2021年関屋記念)
- アサマノイタズラ(2021年セントライト記念)
- ディバインフォース(2021年ステイヤーズステークス)
- イルーシヴパンサー(2022年東京新聞杯)
- アスクビクターモア(2022年弥生賞ディープインパクト記念、菊花賞)
- エリカヴィータ(2022年フローラステークス)
- ブレークアップ(2022年アルゼンチン共和国杯)[39]
- ホウオウエミーズ(2023年福島記念)[40]
- オフトレイル (2024年ラジオNIKKEI賞)
騎乗成績
編集日付 | 競馬場・開催 | 競走名 | 馬名 | 頭数 | 人気 | 着順 | |
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初騎乗 | 2002年3月2日 | 1回中山3日2R | 3歳未勝利 | アルファジェネラス | 16頭 | 9 | 8着 |
初勝利 | 2002年8月3日 | 2回新潟7日12R | 3歳上500万下 | ヒノデツートン | 14頭 | 4 | 1着 |
重賞初騎乗 | 2004年4月25日 | 1回福島8日11R | 福島牝馬S | トーセンリリー | 16頭 | 14 | 16着 |
重賞初勝利 | 2011年4月24日 | 3回京都2日11R | アンタレスS | ゴルトブリッツ | 13頭 | 3 | 1着 |
GI初騎乗 | 2010年12月9日 | 5回中山6日11R | 朝日杯FS | タガノロックオン | 16頭 | 15 | 12着 |
GI初勝利 | 2014年2月23日 | 1回東京8日11R | フェブラリーS | コパノリッキー | 16頭 | 16 | 1着 |
年度 | 1着 | 2着 | 3着 | 騎乗数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 表彰 |
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2002年 | 8 | 4 | 8 | 141 | .057 | .085 | .142 | |
2003年 | 20 | 18 | 19 | 310 | .065 | .123 | .184 | |
2004年 | 15 | 28 | 35 | 477 | .031 | .090 | .164 | |
2005年 | 13 | 13 | 22 | 344 | .038 | .076 | .140 | |
2006年 | 10 | 12 | 25 | 333 | .030 | .066 | .141 | |
2007年 | 13 | 11 | 21 | 365 | .036 | .066 | .123 | |
2008年 | 13 | 15 | 32 | 327 | .040 | .086 | .183 | |
2009年 | 33 | 37 | 31 | 534 | .062 | .131 | .189 | |
2010年 | 37 | 38 | 43 | 674 | .055 | .111 | .175 | |
2011年 | 88 | 76 | 82 | 868 | .101 | .189 | .283 | 中央競馬騎手年間ホープ賞 |
2012年 | 52 | 72 | 66 | 869 | .060 | .143 | .219 | |
2013年 | 88 | 67 | 81 | 879 | .100 | .176 | .268 | |
2014年 | 75 | 73 | 70 | 835 | .090 | .177 | .261 | フェアプレー賞(関東) |
2015年 | 77 | 70 | 81 | 803 | .096 | .183 | .284 | |
2016年 | 86 | 82 | 76 | 775 | .111 | .217 | .315 | |
2017年 | 84 | 84 | 64 | 686 | .122 | .245 | .338 | |
2018年 | 85 | 72 | 80 | 772 | .110 | .203 | .307 | フェアプレー賞(関東) |
2019年 | 87 | 73 | 69 | 652 | .133 | .245 | .351 | |
2020年 | 74 | 87 | 78 | 759 | .097 | .212 | .315 | フェアプレー賞(関東) |
2021年 | 66 | 59 | 49 | 596 | .111 | .210 | .292 | フェアプレー賞(関東) |
2022年 | 72 | 66 | 59 | 557 | .129 | .248 | .354 | |
2023年 | 38 | 38 | 27 | 328 | .116 | .232 | .314 | フェアプレー賞(関東) |
中央 | 1134 | 991 | 1032 | 11999 | .088 | .173 | .260 | |
地方 | 13 | 16 | 10 | 163 | .080 | .178 | .239 |
脚注
編集出典
編集- ^ “祭りが生んだ名騎手田辺/福島県二本松市”. 日刊スポーツ新聞社. 2016年4月14日閲覧。
- ^ a b c d e f “田辺裕信のプロフィール|競馬データベース - netkeiba.com”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “平成28年度 騎手免許試験合格者” (PDF). 日本中央競馬会 (2016年2月11日). 2016年4月7日閲覧。
- ^ 戸籍上の表記で成績を表示する地方競馬情報サイトを参照。
- ^ 『優駿』2011年8月号、78頁。
- ^ 「週刊競馬ブック」2012年1月15日号 p.78
- ^ “騎手課程卒業者名簿”. 日本中央競馬会. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “田辺裕信騎手×高橋摩衣(前編)”. 競馬ラボ. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “3歳未勝利|2002年03月02日”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “3歳上500万下|2002年08月03日”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “【七夕賞】今週も田辺!ジーラインと波乱演出だ”. スポーツニッポン. (2011年7月8日). オリジナルの2011年7月11日時点におけるアーカイブ。 2024年3月16日閲覧。
- ^ 田辺騎手が結婚 28歳一般女性と8日に入籍:競馬:スポーツ報知 2011-09-01閲覧
- ^ 田辺ホープ賞 全国7位!大ブレーク88勝 - 競馬ニュース : nikkansports.com 2011-12-28閲覧
- ^ コパノリッキーの単勝配当27210円は、サンドピアリスが勝った1989年のエリザベス女王杯に次いでJRAのGI史上2位、重賞では史上3位の高配当となった[1]。
- ^ サマージョッキーズシリーズは田辺裕信騎手がV - 予想王TV@SANSPO.COM 2014-11-03閲覧
- ^ JRAホームページ|今週の注目レース-ワールドスーパージョッキーズシリーズ 2014-12-01閲覧
- ^ “田辺裕信騎手がフリーに”. 日経ラジオ社. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “田辺裕信騎手、JRA通算10000回騎乗達成 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年1月5日閲覧。
- ^ “田辺がJRA通算1000勝、5馬身差でメモリアルV 三浦は「縁ある」函館で900勝 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年8月2日閲覧。
- ^ 「競馬最強の法則」2011年12月号 p.19
- ^ “ゴルトブリッツ”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “エイシンアポロン”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “エーシンヴァーゴウ”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “ヴェルデグリーン”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “マーブルカテドラル”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “カラダレジェンド”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “コパノリッキー”. netkeiba.com. 2016年10月16日閲覧。
- ^ “メイショウナルト”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “ブライトエンブレム”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “クラレント”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “クリールカイザー”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “バウンスシャッセ”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “ロードクエスト”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “デンコウアンジュ”. netkeiba.com. 2016年4月14日閲覧。
- ^ “ロゴタイプが3年2か月ぶりのV! 王者モーリス2着に敗れる/安田記念”. netkeiba.com. 2016年6月5日閲覧。
- ^ “コマノインパルス | 競走馬データ”. netkeiba.com. 2019年11月29日閲覧。
- ^ “【京成杯】ジェネラーレウーノ完封 3連勝で皐月賞へ直行”. netkeiba.com. 2018年4月30日閲覧。
- ^ 当初は鮫島克駿騎手が騎乗予定だったが、前日の競走で落馬負傷して騎乗不可能となったため、代打で騎乗した。
- ^ “ブレークアップ”. JBISサーチ. 2022年11月6日閲覧。
- ^ “ホウオウエミーズ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. JBISサーチ. 公益財団法人日本軽種馬協会. 2023年11月12日閲覧。