北九州空港

福岡県北九州市小倉南区・京都郡苅田町にある空港
新北九州空港から転送)

北九州空港(きたきゅうしゅうくうこう、: Kitakyushu AirportIATA: KKJ, ICAO: RJFR)は、福岡県北九州市小倉南区空港北町と京都郡苅田町空港南町に跨る人工島に位置する空港海上空港)である。ターミナルビルや空港事務所は北九州市側に所在する。

北九州空港
Kitakyushu Airport
空港ターミナルビル
地図
ロゴマーク
ロゴマーク
IATA: KKJ - ICAO: RJFR
概要
国・地域 日本の旗 日本
所在地 福岡県の旗 福岡県北九州市小倉南区空港北町
母都市 北九州市
種類 商業
運営者 国土交通大臣
運用時間 24時間
開港 2006年3月16日
標高 6.1 m (20 ft)
座標 北緯33度50分44秒 東経131度02分06秒 / 北緯33.84556度 東経131.03500度 / 33.84556; 131.03500座標: 北緯33度50分44秒 東経131度02分06秒 / 北緯33.84556度 東経131.03500度 / 33.84556; 131.03500
公式サイト 北九州空港
地図
北九州空港の位置
北九州空港の位置
KKJ
北九州空港の位置
北九州空港の位置
KKJ
北九州空港の位置
北九州空港の位置
KKJ
北九州空港の位置
滑走路
方向 ILS 長さ×幅 (m) 表面
18/36 I 2,500×60 舗装
統計(2023年度)
旅客数 1,190,070人
貨物取扱量 12,144t
リスト
空港の一覧
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国際航空輸送網又は国内航空輸送網の拠点となる空港として、空港法第4条第1項第6号に該当する空港として政令で定める空港(国管理空港)に区分されている。

概要

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北九州空港の空中写真。
国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。2009年撮影の20枚を合成作成。

2006年(平成18年)3月16日に開港[1]。開港時の名称は「新北九州空港」で、小倉南区曽根にあった(旧)北九州空港1944年開港)の実質的な移転である(旧空港は開港前日の3月15日に運用終了)が、名実ともに「北九州空港」となるのは2008年の空港法改正時のことである。空港島は北側が北九州市小倉南区、南側が京都郡苅田町に跨るが、空港施設の大半は北九州市側に位置している。本土とは地域高規格道路である新北九州空港道路福岡県道245号新北九州空港線)で結ばれており、苅田町側からアプローチすることになる。

スターフライヤーが本空港をハブ空港(本拠地)と位置づけており[2]、本社を空港敷地内に置いているほか、2006年3月22日からは、北九州5:30発羽田7:00着の早朝便を就航させ、全国の国内定期旅客便でもっとも早い始発便ともっとも遅い最終便が運航される空港となった。また、同年8月22日から、国内で9番目、九州では最初かつ唯一の24時間空港として運用している。

2012年(平成24年)に福岡空港の発着数が滑走路1本で運用可能な限界を超え[3]、航空路線の新規就航や増便が困難となっていることから、福岡県は2014年(平成26年)11月に策定した「福岡県の空港の将来構想」で、福岡空港の発着枠を超える就航希望航空会社(特にLCCと貨物専用便)について北九州空港に誘導するとしている[4]

24時間運用の当空港には国内外の貨物定期便の就航が相次いでおり[5]国土交通省九州地方整備局では欧州や北米などと結ぶ長距離貨物便の離発着を可能とするため、2023年(令和5年)に滑走路延長事業を新規事業採択、同年12月より2500メートルから3000メートルへの延伸工事に着手した[6]。滑走路の南側に位置する人工島内へ500メートル延伸する形で新規埋め立ては発生せず[7]、事業費は約130億円、2027年(令和9年)8月の運用開始を予定している[8]

滑走路長を巡っては、計画段階の1974年(昭和49年)に北九州市は3000メートル滑走路での大型貨物空港を目指していたが、空港建設を推進するにあたり2500メートルへ変更することで1977年(昭和52年)に福岡県と合意した経緯があり[9]、開港後に滑走路長の不足により就航を断念したり関西など他地域の空港を利用せざるを得ない事例が発生し、県市や経済団体など地元側から3000メートルへの延伸が要望されていた[10]

統計

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利用者数

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元のウィキデータクエリを参照してください.

年度別乗降客数[11]
年度 乗降客数(人)
国内線 国際線 合計
2008年度 1,185,049 11,752 1,196,801
2009年度 1,133,327 42,733 1,176,060
2010年度 1,124,680 60,301 1,184,981
2011年度 1,132,092 43,511 1,175,603
2012年度 1,174,440 94,838 1,269,278
2013年度 1,236,119 151,210 1,387,329
2014年度 1,252,314 7,565 1,259,879
2015年度 1,302,546 14,996 1,317,542
2016年度 1,313,394 98,263 1,411,657
2017年度 1,370,656 283,491 1,654,147
2018年度 1,443,152 350,205 1,793,357
2019年度 1,355,636 223,472 1,579,108
2020年度 320,063 322,783
2021年度 480,717 481,505
2022年度 836,661 2,131 838,792
2023年度 1,061,269 114,130 1,175,399

2018年度の年間利用客数は、前年度比8.5%増の178万3432人で3年連続過去最高となった[12][13]。このうち定期便の利用者は国内線が前年度比6.1%増の143万731人、国際線が前年度比36.9%増の33万6535人であった[12]。定期便以外も含めた全ての利用者数の推移は以下の通りである[11]

500,000
1,000,000
1,500,000
2,000,000
2010年度
2015年度
  •   国内線
  •   国際線

北九州空港利用促進連絡会が公表している調査結果によると、北九州空港の利用目的はビジネスが50%、観光が23%、帰省等私用が23%、その他が4%である[14]。また、住所別の東京路線における北九州空港と周辺空港の選択割合は下表の通りである[14]

住所 北九州空港 福岡空港 山口宇部空港 大分空港
北九州市 74% 24% 2% -
中間市 74% 25% 1% -
中津市 68% 12% - 20%
下関市 31% 13% 56% -

需要予測

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需要予測[15]と実際の利用状況(2018年度)[12]
路線 需要予測 実際の利用状況
人数 便数 人数 便数
国内線 東京/羽田 122万6千人 9 134万3138人 16
那覇 37万2千人 4 6万4450人 1
名古屋/中部 30万9千人 4 未就航
鹿児島 23万6千人 4 未就航
大阪/関西 20万5千人 3 未就航
札幌/新千歳 19万7千人 3 未就航
大阪/伊丹 19万6千人 3 未就航
宮崎 9万2千人 2 未就航
名古屋/小牧 予測なし 2万2985人 1
国際線 ソウル/仁川 予測なし 15万7740人 2
釜山 予測なし 8万3701人 1
務安 予測なし 4万763人 週3
台北/桃園 予測なし 2万8021人 1
大連 予測なし 1万8802人 週2
襄陽 予測なし 7568人 週3

開港前の2002年(平成14年)に国土交通省が実施した需要予測では、東京/羽田線に加え新千歳、中部、大阪/伊丹、大阪/関西、宮崎、鹿児島、那覇とを結ぶ路線の就航を前提に、2007年度(平成19年度)の利用者数の予測値を合計で283.3万人としていた[15]。一方、地元自治体などが出資する第三セクターの北九州エアターミナルは設計上の利用客数の上限を150万人と想定してターミナルビルを建設しており、同時間帯に発着できる便数が限られている[16]

国土交通省の需要予測では、東京/羽田線の予測値は122.6万人(1日9往復)であった[15]のに対し、2018年度(平成30年度)の実績値は134万3138人(1日16往復および不定期臨時便)となっている[12]

また、予測では国内線のみを想定していた[15]が、2016年(平成28年)以降複数の国際定期路線が就航した結果、2018年度(平成30年度)の利用者数は合計で33万6535人(内訳はソウル/仁川線15万7740人、釜山線8万3701人、務安線4万763人、台北/桃園線2万8021人、大連線1万8802人、襄陽線7568人)となっている[12]

国土交通省では、2011年(平成23年)4月に予測と実績の乖離要因について路線毎の分析結果を公表した[15]。予測に反し実際には就航しなかった路線について、大阪・鹿児島路線は競合する区間の新幹線の便数が予測より増加し、運賃が低下したこと、宮崎路線は運賃が安い長距離バスが多数運行され、自動車・バスの分担率が上昇したこと、新千歳路線は航空会社が直行便を減らし羽田乗継便に集約する傾向があること等を要因とした[15]。就航後に路線廃止となった中部、那覇路線については、予測に対して実際に就航した便数が少なく、利便性の低さ等により実績が予測を下回ったとした[15]。なお、那覇路線については2017年(平成29年)から季節定期便として再就航し2019年(平成31年)から通年運航している[12][17]

歴史

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建設の経緯

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(旧)北九州空港は、太平洋戦争のさなかに大日本帝国陸軍の飛行場として建設されたという経緯もあり、滑走路が大型ジェット機の離着陸のできない1,600mと短い上、滑走路の延長を行おうにも三方を山に、もう一方を曽根干潟に囲まれていることもあって拡張が困難な状況にあった。また、地形上の発生が多く、欠航率が25%と高かった。このような問題を解消すべく、北九州市が1971年に(旧)北九州空港の代替としての新空港の建設を国に要望。1981年に第4次空港整備において新規事業採択され、1994年に新北九州空港として政令指定を受け、新空港の建設が行われた。

空港整備の事業スキームとしては、運輸省港湾局が周防灘の沖合3kmの位置に関門航路浚渫土砂の処分施設として新門司沖土砂処分場・苅田沖土砂処分場を建設し、同省航空局がこれを流用して全長4,125m、全幅900m、面積373haの空港島を建設し、大型機の離着陸可能な2,500mの滑走路を持つ海上空港を建設することになった。前述の通り空港島の護岸築造や埋め立て土砂投入費用は関門港の港湾整備事業(事業費1500億円)として行われたこともあり、滑走路など空港本体の建設費は1042億円と、関西国際空港(1兆5461億円:第一期事業)、中部国際空港(7680億円)など他の完全埋め立てによる海上空港と比較して割安に建設された[18]

この計画策定において、1990年、防衛庁(当時)が「海上自衛隊小月航空基地の空域と近接し、運用に支障が出るため滑走路方位はその影響が少ない東西方向とすべきである」と主張、南北方向の滑走路建設計画に反対を表明した(空域問題)。このため、北九州市長の末吉興一の仲介の元で当時の運輸省と防衛庁の間で調整が行われ、「完成後の運用空域に制限を設ける」ことが条件として付加されて政治決着が図られ、南北方向の滑走路での建設が決まった[19]

年表

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施設

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旅客ターミナルビル

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北九州エアターミナル株式会社
Kitakyushu Air Terminal Co.,Ltd.
市場情報 非上場
本社所在地   日本
800-0306
北九州市小倉南区空港北町6番
設立 1989年(平成元年)5月1日
法人番号 5290801000669
事業内容 貸室業及び空港利用施設の賃貸業
広告、宣伝並びに広告代理業
代表者 代表取締役社長 西田幸生[47]
資本金 35億2400万円
発行済株式総数 7万0480株
売上高 10億8,900万円
(2024年3月期)[48]
営業利益 1億5,200万円
(2024年3月期)[48]
経常利益 1億7,500万円
(2024年3月期)[48]
純利益 1億5,300万円
(2024年3月期)[48]
純資産 45億4,400万円
(2024年3月期)[48]
総資産 55億2,600万円
(2024年3月期)[48]
従業員数 15名
決算期 3月
会計監査人 公認会計士北部九州監査団
主要株主 福岡県 30.44%
北九州市 30.44%
外部リンク https://www.kitakyu-air.jp/rev-inquiry/rev-profile.html
特記事項:*経営指標は2024年(令和6年)3月期[48]
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井筒屋北九州空港店
 
保安検査場内にあるカードラウンジ「ひまわり」

旅客ターミナルビルは、福岡県や北九州市など地元自治体や民間企業が出資する第三セクター「北九州エアターミナル」が運営している[1]。ビル内の商業施設エリアには井筒屋が北九州空港店を出店している[49]

総合観光案内所には北九州市にゆかりのある松本零士にちなんで、空港カウンター・ロビーなどでメーテルが出迎えている。

2006年4月より、当港を発着する便の航空券に旅客施設使用料として100円が上乗せされている。

その他の施設(空港島内)

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航空関連民間事業所

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  • ANA Cargo(国内貨物ターミナルビル内)
  • エス・ジー・シー佐賀航空北九州営業所・格納庫
  • 共立航空撮影株式会社北九州営業所
  • 北九州エアターミナル
    • 貨物ターミナルビル
    • 航空会社事務所棟(スターフライヤー本社社屋)
    • 国際貨物上屋
  • 空港施設
    • 飛行整備用格納庫 - 三菱重工業北九州飛行整備格納庫として建設されたが、飛行訓練拠点としての使用目的であったMitsubishi SpaceJet(MSJ、旧MRJ)の開発中止に伴い、海上保安庁の格納庫および研修執務室に転用され同庁が随意契約にて賃借している[50][51]
    • 北九州空港トレーニングセンター(SFJトレーニングセンター)
  • 國際航空給油株式会社北九州空港事業所
  • JALカーゴ貨物上屋
  • スターフライヤー格納庫(SFJメンテナンスセンター)
  • タカギ格納庫
  • 毎日新聞西部本社編集局航空部空港事務所

行政機関・公共施設

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その他民間事業所

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拠点・焦点都市としている航空会社

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就航路線

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航空会社が2社以上の場合、最前の航空会社の機材・乗務員で運航する共同運航便(コードシェア便)

国内線

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航空会社就航地
日本航空 (JAL)東京国際空港[2]
スターフライヤー (SFJ)全日本空輸 (ANA)(東京国際空港便の一部便[52]を除く)東京国際空港、那覇空港(季節運航)[2]

航空会社が撤退または運休中の定期就航路線[53]

(北九州空港発)2023年度就航路線別旅客数/順位 [54]
行き先 旅客数 国内線順位
東京国際空港 約104万人 上位24位

国際線

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航空会社就航地
 スターフライヤー (7G) 務安(定期チャーター便)
 ジンエアー (LJ) ソウル/仁川[55][56]

運休中の定期就航路線

就航都市

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就航実績のある航空会社

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貨物便

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大韓航空が2019年11月30日からソウル/仁川行きの国際貨物定期便を就航する予定[61]福岡空港発着の旅客便の機材小型化で不足している貨物スペースの代替や九州から韓国への半導体輸出など新たな需要を見込むもので、ロサンゼルス国際空港からソウル/仁川へ運航する定期便の一部を北九州経由とする[61]

このほか、生体馬や大型貨物の輸出入のためチャーター便、臨時寄港便などによる大型貨物機が就航している。

かつてはギャラクシーエアラインズによる東京/羽田線・大阪/関西線、揚子江快運航空による上海線、日本貨物航空による東京/成田線、全日本空輸による成田もしくは関西/北九州/那覇線などが定期便として就航していたが、廃止・運休に至っている。

貨物定期便を就航している航空会社

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貨物便の就航実績のある航空会社

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北九州空港に駐機している日本貨物航空B747-400F

空港の利活用動向

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Sea & Air 輸送

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2013年11月24日NASAJAXAが共同開発した人工衛星(GPM主衛星)の輸送に北九州空港が利用された[64]。この輸送が北九州空港と空港島の護岸を使った初のSea & Air輸送となった。

輸送経路はアンドルーズ空軍基地からアメリカ空軍の大型輸送機C-5 ギャラクシーによる空輸で北九州空港へ、空港島の護岸から内航船で種子島まで海上輸送、打ち上げが行われる種子島宇宙センターまで陸送[65]というものであった。なお、北九州空港での空港ランプから護岸までは、特殊車両で陸上輸送された。

飛行試験

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三菱航空機が開発中のMitsubishi SpaceJetの量産にあたり、飛行試験および駐機場所のサブ拠点として本空港を活用する計画があった[66]。北九州空港での飛行試験は当初2016年度後半以降の開始を見込んでいた[67]が、2018年時点では2022年に開始予定とされ[66]、2020年までに空港敷地内に飛行試験用の格納庫ならびにエプロンが竣工した[50]

しかしSpaceJetの開発計画自体が凍結されたため飛行試験の実施は白紙となり、建設された施設は海上保安庁の格納庫および研修執務室に転用され同庁が随意契約にて賃借している[50][51]

福岡空港の門限による代替利用

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福岡市にある福岡空港は空港周辺が市街地化しており騒音問題・周辺環境への配慮等から、緊急時の海上保安庁自衛隊機等の使用やダイバートを除き、滑走路の利用時間帯は7時から22時と制限されている上に滑走路1本あたりの年間離着陸回数は日本一であり、2023年には半年間の羽田発福岡行きだけで航空機が福岡空港付近まで到達したのにもかかわらず引き返す事例が1月19日スカイマークBC27便(ボーイング737-800、JA73NG、中部国際空港で給油後羽田着)、1月24日全日本空輸NH273便(ボーイング777-200ER、JA744A)、2月19日日本航空JL331便(エアバスA350-900、JA07XJ、関西国際空港で給油後羽田着)合わせて3件発生している[68]

このような状況を受けて北九州市福岡県は24時間運用が可能な北九州空港に着陸できるよう調整を進め、乗客の輸送などで協力を得られるバス会社やタクシー会社などあわせて125社をリスト化し、航空会社に提供するといった体制を整えた。実際にこの体制は2023年6月11日日本航空羽田発福岡行きJL331便(エアバスA350-900、JA06XJ)が出発時刻を3時間遅れ、当空港に着陸した際に初めて運用された。この便の乗客およそ280人のうち180人が、手配したバス5台に分乗し、福岡市へ向かった[69]

本空港への定期便が就航していない全日本空輸についても、到着後の機体誘導や乗客の移動などへの協力態勢が確保できた場合などの条件付きではあるが、2023年12月23日にダイバートに関する態勢を整備[70]。2024年3月19日に福岡空港の門限により欠航となった269便で初めて適用され、全日本空輸が北九州空港までの臨時便を運航した上で同空港からは同社が手配したバスにより、福岡市へと向かった[71]

しかし、2023年9月4日にはフィリピンセブパシフィック航空マニラ発福岡行き5J922便(エアバスA321-200、RP-C4116)が福岡空港で着陸復航を実施したものの、燃料切れの恐れがあり当空港に代替着陸した。しかし、当空港では夜間の入国手続きができず、乗客の降機は不可能であり、その後給油をし、福岡空港へ再度向かったが門限に間に合わずフィリピン・マニラへ引き返す事態が発生[72]。2024年5月19日も同航空が福岡空港での滑走路閉鎖の影響で一旦当空港に代替着陸したが、福岡空港の門限の影響により、関西国際空港に向かう事態となった[73]

北九州空港で撮影された作品

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北九州フィルム・コミッションの誘致・協力により、当空港で以下のドラマ・映画など映像作品の撮影が行われた。韓国の映画監督であるチェ・チャンファンは、空港を舞台とした映画を製作する上で当空港の24時間運用を利点として挙げている[74]

交通機関

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道路

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新北九州空港道路

空港の開港にあわせて、2006年2月26日から東九州自動車道の一部区間(北九州JCT - 苅田北九州空港IC)が供用開始。新北九州空港道路も同年3月5日から供用開始となった。本土と空港を結ぶ新北九州空港連絡橋は、通行料無料の橋としては、2015年1月31日に宮古島市に3,540mの伊良部大橋が開通[75]するまで日本一の距離(2,100m)であった[76]

バス

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北九州市、福岡市とを結ぶ以下のバスが運行されている。

かつては以下のバス路線が運行されていた。

乗合タクシー

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早朝・深夜の時間帯に運航される便に接続するバスが小倉駅方面・福岡市内方面に限られるため(2016年8月現在)、これらの便に合わせて北九州市内各地・下関市内向けの乗合タクシー(要予約)が運行されている。(北九州空港のホームページ等参照)

鉄道

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最寄駅はJR日豊本線朽網駅だが、普通列車しか停車しない。特急列車ソニックにちりん、にちりんシーガイア)利用の場合は、上りは行橋駅、下りは小倉駅(一部下曽根駅)で普通列車乗換となる。朽網駅や小倉駅から空港までは連絡バスが利用できる。

連絡鉄道構想

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海上空港である北九州空港には既存の鉄道が乗り入れていないため、北九州市では2001年(平成13年)からアクセス鉄道の事業化に向けた検討に着手した[82]。2003年(平成15年)から同市を中心とした「新北九州空港アクセス鉄道整備検討委員会」が空港島と小倉駅を結ぶ空港連絡鉄道の建設可能性について検討を行ない、小倉駅から在来線を小倉駅付近の鹿児島本線から分岐し新門司経由で新設する案、新幹線を小倉駅付近の山陽新幹線から分岐し新門司経由で新設する案、在来線を日豊本線の下曽根駅から分岐させる案の3案を示した[83][84]

これらの案は2010年(平成22年)に検討結果が取りまとめられ、事業採算性の確保には最も採算性の良い在来線を小倉駅から新門司経由で新設する案でも年間約300万人、新幹線案では約810万人の空港利用者が必要とされ実際の利用状況(同年度は約118万人)と乖離があることから、空港利用者数が200万人を超えるまでアクセス鉄道の検討は一旦休止することとされた[82]。この間、市の動きとは別に福岡県も「新北九州空港軌道系アクセス検討委員会」を立ち上げ、空港利用者が450万人以上になれば事業採算性が確保されるとの検討結果を2006年(平成18年)に公表している[85]

その後、国際線の路線拡大などにより2018年度(平成30年度)には180万人近くまで空港利用者が増加し、同年12月の北九州市長選挙で「利用者数200万人達成を視野に、軌道系アクセスの実現可能性について改めて調査を開始」との公約[86]を掲げた北橋健治が再選したこともあり、同市は2019年度(平成31/令和元年度)から以前の検討ルートの現地調査など環境変化の確認に着手[82]。同年11月には鉄道事業者のJR九州や需要予測などを担うアジア成長研究所とアクセス鉄道に関する意見交換を行い、今後継続して協議するとしている[82]。その後、2023年2月の北九州市長選挙で初当選した武内和久は「航空旅客数200万人達成を目途に鉄道の空港乗り入れを検討」という方針を維持しつつも、小倉駅から北九州空港を経由して別府大分方面へ繋ぐ新幹線ルートの整備に関心を示している[87]

航路

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下関市唐戸地区、北九州市門司区門司港地区と当空港を結ぶ連絡船を2025年3月から試験的に運航する[88]

航空管制

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北九州空港の航空交通業務を担当する機関は次のとおり。

開港当初の北九州空港は、進入管制業務を福岡航空交通管制部(福岡市)が受け持ち、北九州空港事務所航空管制運航情報官が飛行場対空援助業務を行うレディオ空港(飛行場管制業務は行われない)であった。また、計器出発・進入経路が山口宇部空港や海上自衛隊小月航空基地(下関市)と重複しており、当空港やこれらの空港や基地に到着機や出発機がある場合は離着陸(計器進入や計器出発)ができなかった。さらに、空港建設決定時の制限事項として「空港のすぐ南側にある航空自衛隊築城飛行場の管制圏に立ち入ることが出来ない」ことが定められていたため、南側からの計器進入方式が設定出来ず、これらの理由から悪天候時には運航ダイヤに頻繁な遅延が生じていた。

このような状況を改善すべく、北九州空港事務所に航空管制官が配置され、2007年10月1日より24時間の飛行場管制業務が開始された[21]。さらに、2008年3月13日より航空自衛隊築城基地が担当する管制空域(築城進入管制区)が拡大され、当空港と山口宇部空港においてターミナルレーダー管制が導入された[22][23]。このため開港直後に多発した運航遅延は、2009年以降程度の運航状況では殆ど見られない程度に解消されている。

2014年4月1日0000(JST)からは、北九州空港の飛行場管制の運用時間が縮小され、交通量が少ない深夜・早朝は福岡FSCによる他飛行場援助業務が行われるリモート空港となっている。それぞれの担当時間は以下の通り。

  • 7時45分 - 22時15分までは、北九州TWR
  • 22時15分 - 7時45分までは、北九州リモート

このほか、無線航行陸上局として、北九州ILS、周防VOR/DME(SUE)を設置している。

関連項目

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  • 山口宇部空港 - 北九州空港から最も近い空港
  • 特定利用空港 - 有事に備えて平時から自衛隊が利用可能で、同空港は特定利用空港の中で最北。

脚注

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注釈

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  1. ^ 当初は2019年度(令和元年度)末までの移転を予定していた[40]が、入札不調などから着工がずれ込んだ[41]。海上保安庁は、2019年(令和元年)8月時点で西日本新聞の取材に対し2020年(令和2年)2月頃の完成を目指すと回答していた[41]が、2020年(令和2年)1月に同庁が公表した令和2年度予算概要においては、北九州航空基地について「令和2年度中設置予定」とされている[42]
  2. ^ ヤマト運輸から受託運航

出典

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外部リンク

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