宇都井駅
宇都井駅(うづいえき)は、島根県邑智郡邑南町宇都井下郷にあった、西日本旅客鉄道(JR西日本)三江線の駅(廃駅)である。三江線の廃止に伴い、2018年(平成30年)4月1日に廃駅となった。
宇都井駅 | |
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うづい Uzui | |
◄石見都賀 (6.4 km) (3.4 km) 伊賀和志► | |
所在地 | 島根県邑智郡邑南町宇都井下郷1044 |
所属事業者 | 西日本旅客鉄道(JR西日本) |
所属路線 | ■三江線 |
キロ程 | 74.8 km(江津起点) |
電報略号 | ウイ |
駅構造 | 高架駅 |
ホーム | 1面1線 |
乗車人員 -統計年度- |
4人/日(降車客含まず) -2017年- |
開業年月日 | 1975年(昭和50年)8月31日[1] |
廃止年月日 | 2018年(平成30年)4月1日 |
備考 |
歴史
編集年表
編集- 1975年(昭和50年)8月31日:三江線の浜原駅 - 口羽駅間延伸により開業[1]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により西日本旅客鉄道が継承[1]。
- 2009年(平成21年) 10月3日:同年11月29日までの土曜・休日に限り、普通列車(449D:当駅17時32発三次行き)を15分停車とした。
- 当駅と伊賀和志駅の発車時刻、口羽駅の到着時刻をそれぞれ15分繰り下げ。
- 2018年(平成30年)
- 2019年(平成31年)
- 2021年(令和3年)4月1日:邑南町が町内の口羽駅・宇都井駅を「邑南町三江線鉄道公園」として整備[4][5]。
地名の由来
編集「宇都井」は「宇津井」と同語源と思われる。浜田市、下関市王喜地区に「宇津井」が見られ、「内居」の意味で、「山中のふところ」の地をいう[6]。
駅構造
編集三次方面に向かって左側に単式ホーム1面1線を持つ高架駅(停留所)で、浜田鉄道部管理の無人駅であった。ホーム及び待合室は地上20メートルの高さにあり、地上からの高さとしては日本一であった[7]。しかし、エレベーターやエスカレーター等の昇降機設備はおろかスロープすら設置されておらず、ホームに上がるには116段の階段を上らなければならない[7]。この特異な構造から「天空の駅」と呼ばれることもあり[8]、テレビ番組でもたびたび取り上げられていた。そのため、鉄道ファンには人気の駅であった。
このような駅構造になった理由は、この場所に駅を建設することが決定したものの、山間を縫って走る線路の線形上当該部分では高架にするしかなく、地上に線路を敷設して地上駅を設置することができなかったためである[7]。
階段を上りきったところに待合室があった。廃止されるまで地元住民が定期的に掃除していたため室内は大変きれいで、ベンチには座布団も置かれていた。ただし自動券売機等の設備はない。階段下、地上部に男女共用の汲み取り式トイレが設置されていた(2022年に建て替えられ、男女共用の水洗式バリアフリートイレに置き換わっている。)[9]。
当駅の廃駅により、日本一高い高架駅の座は埼京線北戸田駅(埼玉県戸田市)に譲った[10]。階段の段数は当駅を上回る126段である[10]。なお、北戸田駅にはエレベーター、エスカレーターが設置されている[10]。しかし、2024年の北陸新幹線敦賀駅(福井県敦賀市)延伸に伴い、現在は敦賀駅の北陸新幹線ホームが日本で一番高い位置(地上高約21メートル)にある[11]。但し、在来線に限れば北戸田駅が日本一高い高架駅となる。
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構内(2008年7月)
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待合室(2011年1月)
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夜の階段棟(2011年1月)
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階段棟を真下から(2017年9月)
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駅全景(廃止後)
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駅入口(廃止後)
利用状況
編集近年の1日平均乗車人員は以下の通りである。なお、1994年度は9人、1984年度は8人だった。
乗車人員推移 | |
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年度 | 1日平均人数 |
1999 | 5 |
2000 | 2 |
2001 | 2 |
2002 | 3 |
2003 | 4 |
2004 | 4 |
2005 | 3 |
2006 | 1 |
2007 | 2 |
2008 | 0 |
2009 | 0 |
2010 | 0 |
2011 | 1 |
2012 | 0 |
2013 | 0 |
2014 | 0 |
2015 | 1 |
2016 | 1 |
2017 | 0 |
駅周辺
編集山の谷間に民家が点在する。三江線と交差する形で島根県道292号線が通っている。
以前は駅前に「宇都井駅」停留所があり、おおなんバス(邑南町営バス)の宇都井線が経由していたが、2020年3月31日をもって廃止した[12]。廃止後は「はすみデマンド」(会員制、要予約[13])を運行している[14]。
その他
編集- 2010年から「INAKAイルミ」というイベントが行われるようになり、その際にはLED照明を使ってライトアップされる[15][16]。2018年には、最後の年越しを迎えた当駅のイルミネーションが、NHKの番組「ゆく年くる年」で放送された。廃止当日もライトアップされ、三次行き最終列車が到着した際には、惜別の花火が打ち上げられた。
- 三江線活性化協議会により、石見神楽の演目名にちなんだ「塵倫」の愛称が付けられていた。「天空の駅」と称される駅構造が、翼を生やして天空を飛びまわる鬼「塵倫」を連想させることに由来する[17]。
- トミーテックより、宇都井駅を基にしたNゲージサイズのコレクションモデルが2018年8月に発売された[18]。
隣の駅
編集脚注
編集- ^ a b c 石野哲(編)『停車場変遷大事典 国鉄・JR編 Ⅱ』(初版)JTB、1998年10月1日、333頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ “江の川鐵道新聞 第2号” (PDF). NPO法人江の川鐵道 (2019年3月12日). 2019年4月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月3日閲覧。
- ^ “邑南町 三江線資産取得へ トロッコ実験集客を評価”. 山陰中央新報 (山陰中央新報社). (2019年3月5日). オリジナルの2019年3月5日時点におけるアーカイブ。 2019年4月1日閲覧。
- ^ “三江線鉄道公園が開園 旧口羽・宇都井両駅を活用”. 山陰中央新報. (2021年4月2日). オリジナルの2021年4月13日時点におけるアーカイブ。 2021年4月13日閲覧。
- ^ “廃線2駅舎 鉄道公園に”. 読売新聞. (2020年12月18日). オリジナルの2021年4月13日時点におけるアーカイブ。 2021年4月13日閲覧。
- ^ 『コンパクト版日本地名事典』、吉田茂樹著、新人物往来社、1991年
- ^ a b c 鉄道ものしり王国(編)『メッチャおもしろくて、タメになる!最強の鉄道雑学王』河出書房、2013年、182-183頁。ISBN 978-4-309-02175-1。
- ^ 特集しまね発見鉄道旅 - 島根県広聴広報課、2015年5月4日閲覧。
- ^ 『宇都井駅下のトイレが新しくなります』(プレスリリース)江の川鐵道、2021年12月25日 。2023年8月19日閲覧。
- ^ a b c “なぜこんな高さに? 「高すぎる」線路と駅の謎 上野東京ラインや五反田駅、それぞれに理由”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. p. 3 (2020年7月22日). 2020年7月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年7月22日閲覧。
- ^ 鉄道チャンネル. “日本一の高さ 巨大な敦賀駅! 北陸新幹線と在来線乗換の重要拠点に 敦賀には多くの観光・グルメスポットが | 鉄道ニュース”. 鉄道チャンネル. 2024年3月17日閲覧。
- ^ “アクセス”. NPO法人江の川鐵道. 2024年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月30日閲覧。
- ^ “はすみデマンド”. NPO法人はすみ振興会. 2024年2月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年7月30日閲覧。
- ^ 「採算取れずJR在来線廃止、代替バスも赤字に…「地域の足」どう守る」『読売新聞オンライン』2022年6月12日。オリジナルの2022年6月23日時点におけるアーカイブ。2024年7月30日閲覧。
- ^ INAKAイルミ@おおなん2012(邑南町雇用創造推進協議会)
- ^ INAKAでイルミネーション=島根県邑南町(時事通信 2013年4月20日閲覧)
- ^ 三江線神楽愛称駅名・大型愛称駅名板・神楽演目解説 (PDF) - 三江線活性化協議会。
- ^ “駅コレクション 三江線 宇都井駅”. ジオコレ. トミーテック. 2020年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月12日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- JR西日本(宇都井駅) - ウェイバックマシン(2016年3月4日アーカイブ分)
- ぶらり三江線WEB:宇都井 - 三江線改良利用促進期成同盟会・三江線活性化協議会 - ウェイバックマシン(2017年7月3日アーカイブ分)