古河志』(こがし)は、江戸時代古河藩小出重固が著した古河藩領内の地誌である。『古河誌』とも称す。

現在も茨城県古河市の歴史解説において、たびたび参照されている。

経緯

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古河藩家老鷹見泉石が書いた序文によれば、本書は文政13年(1830年)作成である。文化5年(1808年)、幕府役人の原念斎が古河藩士からの聞き取りと史書により、地誌『許我志』を著していたが、これをもとにして、小出重固は実地調査結果を反映させた『古河志』を完成させた。のちの天保8年(1837年)に、藩主土井利位に献上された際、前藩主利厚のときに加増された新領地についても補足するよう命じられ、天保12年に附録・後編を追加し再献上した。

『古河志』に引用された寺社縁起や伝来の古文書のなかには、原本が失われたものも多いため、現在、古河地域の歴史を調べる際には貴重な資料となっている。底本『古河志』は古河市の指定文化財(典籍)である。

目録

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本書の内容は下記の通り。

  • 附録目録
    • 下野国安蘇郡佐野庄 植野村 東照宮 赤城社 東光寺薬師什物 地頭
  • 後編巻之上
    • 武蔵国埼玉郡 上崎村 龍興寺 足利持氏像并墳 春安二王児墳附文書
    • 上高柳村 地蔵院
    • 上中条村 雷電宮
    • 上川上村 熊野社 用水 社倉穀 医王寺并鍔口
    • 同国入間郡 石井村 白山社 熊野社 鬼ヶ橋
    • 沢木村 故主
    • 長岡村 水門
    • 市場村
    • 萱方村 古城蹟
    • 武蔵国横見郡 中曽根村 横見神社
    • 上沙村 阿弥陀堂
    • 古名村 古碑
    • 同国高麗郡
    • 三ッ木村 慈眼寺
    • 高倉村 古碑
    • 同国大里郡 古八ッ林村 春日社 矢代稲荷社
  • 同巻之下
    • 下野国都賀郡 鍋山村 古城跡 阿弥陀堂・釜ヶ沢湧泉・三峯山天岩門・安養寺熊野社鍔口・百姓八右衛門賞賜
    • 正雲寺村 箱石祠并箱石 小舟越弁才天 八竜権現社 八腰天満宮 佐野源左衛門屋敷跡 保呂羽社 奇特者故名主茂八
    • 西新井村 用水
    • 西木村 故名主弥助
    • 箱森新田村 弦巻大明神 悪五郎 巾着山(錦着山)
    • 同国安蘇郡 下多田村 古文書
    • 同国梁田郡 神明村 田中太神宮
    • 足利郡 下川崎村 古城跡 故名主源右衛門願書
    • 上川崎村威徳天満宮 阿弥陀堂 貞滝坊古文書 小野寺家并家臣系図 百姓逸八後家賞賜

参考文献

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  • 古河市史編さん委員会 編 『古河市史 資料 別巻』 古河市、1973年(『古河志』所収)
  • 古河市文化財保護審議会 編 『古河市の文化財』 古河市、1993年
  • 古河歴史博物館 編 『歴史の散歩』、古河市、1996年、12頁(「小出重固の「古河志」で旧藩領を行く」)