北区歴史と文化の八十八選
日本の北海道札幌市の史跡
北区歴史と文化の八十八選(きたく れきしとぶんかのはちじゅうはちせん)は、北海道札幌市北区に残る歴史的建造物や文化遺産を、北区役所が88か所にわたり選定したもの。案内板の設置やガイドブックの配布によって啓蒙が図られている。
概要
編集1990年(平成2年)、郷土史家や文化人などの北区民代表6名で構成された選定委員会によって選び出された[1]。
88か所の文化遺産は地区ごとに5つのコースに分けられている[2]。案内板には1文字ずつキーワードが書かれており、順番どおりに並べるとコースごとに1つの文章になる[2]。キーワードを正しく集めてガイドブックに記入し、北区役所地域振興課やまちづくりセンターに持参することで、オリジナル賞品が授与される[2]。
2023年(令和5年)には10年ぶりにガイドブックが大幅に改定され、さらに現地の案内板も更新されてモバイルガイド用のQRコードが付加された[2]。現存しない史跡でもモバイルガイドを利用すれば、復元3D画像を見ることができる[2]。
文学と学問の道
編集〈鉄西・幌北コース〉
番号 | 画像 | 名称 | 所在地 | 説明 |
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No.1 | 有島武郎邸跡 | 北12西3 | 建物は札幌芸術の森に移築されている。 | |
No.2 | 札幌中学校「発祥の地」碑 | 北11西3 | 北海道札幌南高等学校の前身である「庁立札幌第一中学校」跡地。 | |
No.3 | 石川啄木の下宿跡 | 北7西4 札幌クレストビル1階 | 啄木の下宿先跡地。JR 札幌駅西口のほど近くに、胸像がひっそりと置かれている[3]。 | |
No.4 | 朔風 | 北6西7 自治労会館横 | ブロンズ女性像。北風に向かうイメージ。 | |
No.5 | 偕楽園跡 | 北7西7 | 日本最初の都市公園跡。 | |
No.6 | 清華亭 | 偕楽園内の貴賓接待所。札幌市指定有形文化財。 | ||
No.7 | 新選組隊士永倉新八来訪の地 | 北9西5 北海道大学正門前 | 永倉が学生たちに剣術を教えた道場跡。 | |
No.8 | 佐藤昌介像 | 北9西5 北海道大学構内 | 札幌農学校第1期生にして北海道大学初代総長の胸像。 | |
No.9 | 北海道大学百年記念会館 | 北9西6 北海道大学構内 | 北海道大学の歴史を展示している。 | |
No.10 | サクシュコトニ川 | 北8-9西6 北海道大学構内 | かつての湧き水からの流れを再生した小川。 | |
No.11 | ウィリアム・S・クラーク像 | 北9西7 北海道大学構内 | ウィリアム・スミス・クラークの胸像。 | |
No.12 | 古河記念講堂 | 古河虎之助の寄付で建てられた講堂。 | ||
No.13 | 旧札幌農学校校舎 | 北9西8 北海道大学構内 | 日本国の登録有形文化財。 | |
No.14 | 小麦研究記念碑 | 北10西10 北海道大学構内 | 坂村徹と木原均の功績をたたえて建立された。 | |
No.15 | 北大ポプラ並木 | 北11-12西10 北海道大学構内 | ||
No.16 | 「人工雪誕生の地」碑 | 北12西8 北海道大学構内 | 中谷宇吉郎の功績をたたえて建立された。 | |
No.17 | 北大イチョウ並木 | 北13西5-7 北海道大学構内 | ||
No.18 | 母子像 | 北14西5 北海道大学構内 | 財団法人協済会の創立65年を記念して建立された。 | |
No.19 | 恵迪寮歌「都ぞ弥生」歌碑 | 北16西9 北海道大学構内 | ||
No.20 | 北大遺跡保存庭園 | 北17-18西11 北海道大学構内 | ||
No.21 | 北海道大学農学部第二農場 | 北18西8 北海道大学構内 | 日本国の指定重要文化財。 | |
No.22 | 旧藤高等女学校校舎(キノルド記念館)跡 | 北16西2 藤学園内 | マックス・ヒンデルの設計。 |
水辺と開墾の道
編集番号 | 画像 | 名称 | 所在地 | 説明 |
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No.23 | 北27条公園通り | 北26西5-8 | 旧札幌飛行場の防風緑地帯を公園通りにした。 | |
No.24 | いのち | 北25西7 若草公園内 | 坂坦道による、交通安全祈念の母子像。 | |
No.25 | 札幌飛行場正門跡と「風雪」碑 | 北24西8 | 飛行場の門柱と、坂坦道による碑 | |
No.26 | 力士若勇碑 | 北24西19 新川橋のたもと | 草相撲の大関・若勇(前谷省三)を称えて建立された碑。 | |
No.27 | 馬頭大神 | 新川3条13丁目 新川皇大神社境内 | ||
No.28 | 新川さくら並木・新川緑地 | 新川3条17丁目 天狗橋 | ||
No.29 | 新川「開基百年記念」碑 | 新川4条14丁目 新川中央公園内 | 1989年(平成元年)、新川開基100年を記念して建立された。 | |
No.30 | 近藤牧場 | 新川694番地 | 木造と石造の2種類のサイロが併用されている。 | |
No.31 | 安春川の水辺と散策路 | 新琴似5条1 - 10丁目付近 | 屯田兵の生活をイメージしたタイル絵が施されている。 | |
No.32 | 新琴似屯田兵屋 | 新琴似1条6丁目 | すでに解体されており、現存しない[2]。 | |
No.33 | 屯田兵もやい井戸跡 | 新琴似5条4丁目 | 共同井戸の跡地。 | |
No.34 | 東繁造君学勲碑 | 新琴似8条3丁目 新琴似神社境内 | 人間と動物の血液の鑑別法を確立した、東繁造の功績をたたえて建立された。 | |
No.35 | 新琴似兵村記念碑 | 1936年(昭和11年)、屯田兵入植50年を記念して建立された。 | ||
No.36 | 新琴似の馬魂碑 | |||
No.37 | 吹田晋平歌碑 | 歌人・吹田晋平(市議会議員・菅進)の功績をたたえて建立された。 | ||
No.38 | 新琴似「百年碑」 | 1986年(昭和61年)建立。 | ||
No.39 | 新琴似屯田兵中隊本部 | 札幌市指定有形文化財。 | ||
No.40 | 新琴似「拓魂」碑 | 歴代の農業協同組合長を顕彰して建立された。 | ||
No.41 | 新琴似「開村記念碑」 | 1892年(明治25年)建立。 | ||
No.42 | 歌人・若山牧水来訪の地 | 新琴似7条3丁目 | 1926年(大正15年)、牧水・喜志子夫妻が新琴似村を来訪した地。 | |
No.43 | 新琴似歌舞伎の跡地 | 新琴似7条1丁目 | ||
No.44 | 帝国製麻琴似製線工場跡 | 麻生町3丁目 | 工場長宅のアカマツが残る。 |
森と歴史の道
編集〈屯田コース〉
番号 | 画像 | 名称 | 所在地 | 説明 |
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No.45 | 屯田防風林 | 屯田1条2丁目 - 5条12丁目 | ||
No.46 | 植樹碑 | 屯田4条10丁目 屯田西公園内 | 札幌すずらんライオンズクラブによる1000本のサクラの植樹記念。 | |
No.47 | はたちのつどい記念塔 | タイムカプセル入りの記念塔。 | ||
No.48 | 屯田みずほ通り | 屯田5条1 - 12丁目 | かつての用水路跡を整備した遊歩道。 | |
No.49 | 屯田の太陽 | 屯田5条6丁目 屯田地区センター | 屯田開基100年記念モニュメント。 | |
No.50 | 屯田郷土資料館 | 館内には屯田兵屋が復元されている。 | ||
No.51 | 「屯田兵第一大隊第四中隊本部跡」の碑 | 屯田7条7丁目 屯田開拓顕彰広場 | 1988年(昭和63年)建立。 | |
No.52 | 篠路兵村「開拓碑」 | 1928年(昭和3年)建立。 | ||
No.53 | 水田開発記念碑 | 1958年(昭和33年)建立。 | ||
No.54 | 屯田兵顕彰之像 | 屯田開基100年を記念して建立。 | ||
No.55 | 馬魂之像 | 屯田開基100年を記念して建立。 | ||
No.56 | 篠路兵村「移住記念碑」 | 屯田7条6丁目 江南神社境内 | 1896年(明治29年)に建立。 | |
No.57 | 屯田開基九十周年記念顕彰碑 | 吹田晋平の歌が刻まれている。 | ||
No.58 | 望郷のアカマツ | 1894年(明治27年)に屯田兵中隊本部が配布したアカマツのうちの1本。 | ||
No.59 | 馬霊神蕾驊号の碑 | 屯田7条2丁目 服部邸内 | 蕾驊号(らいかごう)は農林省種畜場から貸し下げになった馬。 | |
No.60 | 馬霊第七王驊号之碑 | 屯田7条1丁目 石川邸内 | 第七王驊号(おうかごう)は全道共進会で最優秀賞を獲得したペルシュロン種の牝馬。 | |
No.61 | 創成川通りのポプラ並木 | 太平7条1丁目 北三番橋 |
農村文化発祥の道
編集〈太平・篠路コース〉
番号 | 画像 | 名称 | 所在地 | 説明 |
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No.62 | 太平の馬頭観世音 | 太平6条1丁目 松岡邸内 | 農耕馬の疾病の防止を願って建立された。 | |
No.63 | 太平会館資料室 | 太平8条2丁目 | 農具や生活資料を展示している。 | |
No.64 | 太平開基百年碑 | 太平12条3丁目 太平公園内 | 1988年(昭和63年)建立。 | |
No.65 | '86さっぽろ花と緑の博覧会モニュメント | 百合が原210番地 百合が原公園内 | 自然を題材にした4つのモニュメント。 | |
No.66 | ハルニレの森づくり発祥の地 | |||
No.67 | 「篠路烈々布開基百年」碑 | 百合が原11丁目 篠路烈々布会館 | 1982年(昭和57年)建立。 | |
No.68 | 篠路烈々布郷土資料館 | 開拓当時の日用品や篠路獅子舞の資料などを展示している。 | ||
No.69 | 篠路歌舞伎発祥の地 | 百合が原9丁目 | ||
No.70 | 篠路コミュニティセンターの藍と篠路歌舞伎の展示 | 篠路3条8丁目 | ||
No.71 | 篠路駅周辺の倉庫群 | 篠路3条7丁目 | ||
No.72 | 篠路獅子舞 | 篠路4条7丁目 篠路神社境内 | ||
No.73 | 力士・小松山之碑 | 草相撲の力士・小松山(下山松太郎)の功績を称えて建立された。 | ||
No.74 | 篠路神社の馬魂碑 | 名馬5頭を合祀した碑。 | ||
No.75 | 早山家のアカマツ | 篠路7条7丁目 早山邸 | 1859年(安政6年)ころ入植した早山清太郎が植えた。現存しない[2]。 | |
No.76 | 龍雲寺の馬頭観世音 | 篠路5条10丁目 龍雲寺境内 | ||
No.77 | 荒井金助と早山清太郎ゆかりの地 | 石狩初の農村づくりに尽力した両名の墓所。 | ||
No.78 | 龍雲寺のイチョウ | 鋤柄松太郎が開拓記念に植えた。 |
藍の道
編集〈篠路・拓北・あいの里コース〉
番号 | 画像 | 名称 | 所在地 | 説明 |
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No.79 | 水野波陣洞句碑 | 東茨戸 ガトーキングダム・サッポロ内 | 1960年(昭和35年)建立。 | |
No.80 | 川端麟太句碑 | |||
No.81 | 藍栽培ゆかりの地 | 篠路町篠路419番地 | ||
No.82 | 宮西頼母歌碑 | 1968年(昭和43年)の歌会始めの入選歌。 | ||
No.83 | 興産社の馬頭観世音 | 篠路町拓北87番2 | ||
No.84 | 仙人庚申塚 | あいの里4条2丁目 | ||
No.85 | 篠路の馬魂碑・馬頭観音 | 篠路町拓北255-7 柳沢農場内 | ||
No.86 | トンネウス沼 | あいの里4条8丁目 あいの里公園内 | 希少なアジアイトトンボの生息地。 | |
No.87 | あいの里開発記念之碑 | あいの里4条6丁目 拓北会館前 | 1982年(昭和57年)建立。 | |
No.88 | 「あいの里」竣工記念碑 | あいの里1条5丁目 JRあいの里教育大駅前 | 1990年(平成2年)建立。 |
脚注
編集参考文献
編集- 青木由直 編『札幌秘境100選』マップショップ、2006年10月30日。ISBN 4-9903282-0-5。
- 鳴海鼓大「28 篠路駅周辺の倉庫群(北区篠路)」『札幌秘境100選』。
- 伊多波雅樹 (2023年3月31日). “北区の史跡八十八選 ガイド大改訂”. 北海道新聞: 「どうしん生活情報版 さっぽろ10区」第616号、2面
関連項目
編集- さっぽろ・ふるさと文化百選 - 札幌市により選定された文化遺産群。北区八十八選との重複もある。