八代神社

日本の熊本県八代市妙見町の神社

八代神社(やつしろじんじゃ)は、熊本県八代市妙見町にある神社である。妙見宮(みょうけんぐう)、妙見さん。旧社格は県社。上宮、中宮、下宮の三宮からなるが、現在は下宮が本宮である。福島県の相馬妙見、大阪府の能勢妙見と並んで、日本三大妙見の一つといわれる。

八代神社

地図
所在地 熊本県八代市妙見町405
位置 北緯32度29分59秒 東経130度38分28秒 / 北緯32.49984度 東経130.64100度 / 32.49984; 130.64100座標: 北緯32度29分59秒 東経130度38分28秒 / 北緯32.49984度 東経130.64100度 / 32.49984; 130.64100
主祭神 天之御中主神
国常立尊
社格 県社
創建 795年(延暦14年)
別名 妙見宮
妙見さん
例祭 妙見祭
テンプレートを表示

由緒

編集

1730年(享保15年)に書かれた『妙見宮実紀』によれば[1]795年延暦14年)、横岳頂上に上宮を創祀。1160年永暦元年)、中宮を建立。1186年文治2年)に、後鳥羽天皇の勅願で、検校散位(けんぎょうさんみ)大江朝臣隆房により下宮が創建された[2]

1870年明治3年)までは妙見宮と呼ばれた。妙見神とは、北極星・北斗七星の象徴である。神道と仏教の両部の宮寺で、広く崇敬を受け、八代、下益城、芦北三郡の一の宮として栄えた。1871年明治4年)、神仏分離令により、天之御中主神国常立尊を祭神とし、社名を八代神社と改められ、県社となった[3]

11月22日23日妙見祭は、九州三大祭りの一つで「八代妙見祭の御幸行事」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている[4]

御祭神

編集

八代妙見祭

編集

重要無形民俗文化財(国指定)

編集

八代妙見祭(やつしろ みょうけんさい)は、八代神社の秋の例大祭であり、九州三大祭の一つである[5]。「八代妙見祭の御幸行事」として、国の重要無形民俗文化財に指定されている。2011年(平成23年)3月9日指定。「山・鉾・屋台行事」の1つとして国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている。2016年(平成28年)11月30日に登録が決定した。

八代妙見祭は八代地方において最大の祭礼行事で、もっとも古い祭礼の記録は相良氏が支配していた時代の記録である『八代日記』の1515年永正12年)に記述がある[1]。当時は下宮と中宮のあいだで神輿の神幸が行われていた。安土桃山時代に妙見宮が衰退し祭礼が途絶えた時期があったが、加藤氏支配の時代に復興が図られた。1632年寛永9年)に八代に入った細川三斎より神輿など祭礼道具の寄進を受け、その後の領主松井氏に妙見宮の保護が引き継がれた[6]

御旅所である塩屋八幡宮まで「お下り」され、一泊される。翌日、八代神社まで「お上り」の神幸で、神輿、神主、社僧、鉄砲、神馬や、八代独自の山車である笠鉾、長崎くんち風の獅子、妙見伝説にちなんだ亀蛇(玄武)など、江戸時代後期よりほぼ変わらないさまざまな風流物が行列をともにする[1][7]

氷室祭

編集

氷室祭(ひむろまつり、ひむろさい)とは、八代神社で毎年5月31日から6月1日(氷朔日)にかけて執り行われるお祭りのこと。江戸時代初期、八代城主細川忠興が、八代神社に参拝した際、無病息災を祈念して八代の三室山の氷室に貯蔵してあった雪を奉納した事に由来すると伝わる[8]

雪の塊を模した雪餅(米粉を水で練り、蒸籠で蒸した餅菓子)を、お供えしたり食べたりする。無病息災を祈願して、特に還暦、厄入り・厄明けなど人生の節目に当たる人々が大勢参拝する[9]

主な例祭日

編集
  • 御田植神事
1月3日。お田植え祭り。
  • 十七夜祭
7月17日

境内社

編集
祭神 - 日本武尊
祭神 - 保食神

境内

編集
  • 妙見宮の六地蔵幢

境外末社

編集
霊符神社
所在地 熊本県八代市妙見町
主祭神 北辰星霊符尊星
社格 鎮宅霊符神の総本社
創建 (伝)推古天皇年間
テンプレートを表示

霊符神社

編集
  • 祭神 - 北辰星・霊符尊星
  • 由緒 - 霊符神社(れいふじんじゃ)は八代神社の末社、鎮宅霊符神の総本社。推古天皇のころ、百済国聖明王の第3王子琳聖太子が八代に日本最初の霊符神を伝え、白木山神宮寺(妙見宮の神宮寺)に鎮座した。信仰すれば、除災興栄、富貴反映を得るという。明治維新後廃仏毀釈で荒廃したが、大正年代に再興[10]
  • 所在地 - 八代神社東方約200メートル

出典・脚注

編集
  1. ^ a b c 早瀬 2014, pp. 139–141.
  2. ^ 鈴木喬編『熊本の神社と寺院』熊本日日新聞社、1980、90頁
  3. ^ 熊本日日新聞編纂『熊本県大百科事典』熊本日日新聞社、1982、456頁
  4. ^ 八代神社由緒書より
  5. ^ 九州三大祭とは、長崎諏訪神社おくんち福岡筥崎宮放生会、八代神社妙見祭。なお、福岡筥崎宮放生会ではなく、博多祇園山笠の場合もある。
  6. ^ 八代妙見祭の神幸行事とは?(八代市HP)”. 2016年4月22日閲覧。
  7. ^ 妙見宮祭礼神幸行列関係資料(八代市HP)”. 2016年4月22日閲覧。
  8. ^ 妙見さんの氷室祭り(熊本県HP)”. 2014年2月12日閲覧。
  9. ^ 氷室祭の名物 雪餅(熊本県HP)”. 2014年2月12日閲覧。
  10. ^ 熊本県教育会・石川愛郷編纂『八代郡誌』1927年(1973年再発行、臨川書店)、396-407頁

参考文献

編集
  • 熊本県教育会・石川愛郷編纂『八代郡誌』1927年、(1973年再刊、臨川書店
  • 白井永二・土岐昌訓編集『神社辞典』東京堂出版、1979年、340頁
  • 角川日本地名大辞典編纂委員会編『角川日本地名大辞典43 熊本県』角川書店、1987年、1096-1097頁
  • 上山春平他『日本神社総覧』新人物往来社、1992年
  • 八代市教育委員会編纂・発行『八代妙見祭(八代市文化財調査報告書 第43集)』、2010年
  • 早瀬輝美「囃されない笠鉾:八代妙見祭の笠鉾について」『造り物の文化史』、勉誠出版、2014年、ISBN 9784585230281 

関連項目

編集

外部リンク

編集