九条の会
九条の会(きゅうじょうのかい、英: Article 9 Association)とは、日本が戦争を永久に放棄し戦力を保持しないと定めた第9条を含む日本国憲法の改正阻止を目的として、作家9人により結成された社会運動団体である。
設立 | 2004年(平成16年) |
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設立者 | #呼びかけ人(構成員)・世話人会・主な賛同者 |
種類 | 市民団体 |
目的 | 日本国憲法第9条の改正阻止 |
本部 | 日本 |
所在地 | 東京都千代田区西神田2-5-7-303 |
重要人物 |
井上ひさし、梅原猛、大江健三郎、 奥平康弘、小田実、加藤周一、 澤地久枝、鶴見俊輔、三木睦子 |
ウェブサイト | 「九条の会」オフィシャルサイト |
概要
編集第9条の会(Article 9 Society)は、湾岸戦争をきっかけに1991年、B-29の元パイロットでオハイオ大学名誉教授のチャールズ・オーバービー(Charles M. Overby)がアメリカ合衆国で創設した。
彼は1981年に、広島平和記念資料館を訪れ原子爆弾の悲惨さに衝撃を受け、日本国憲法第9条の理念に感銘を受けたという。彼に触発され、日本でも中部大学元副学長の勝守寛らを中心に全国に会ができた。1993年設立の「なごや」が最初の地方組織で勝守が会長に就いた[2]。
九条の会には様々な考えの人が集まっており、これらの人々の主張が細部まで一致しているわけではない。たとえば、国際連合憲章第7章の第51条で規定されている[3]集団的自衛権については、批判する場合[4]もあれば、言及していない場合[5][6]もある。
呼びかけ人(構成員)・世話人会・主な賛同者
編集- 呼びかけ人は以下の9人。( は故人)
世話人会
編集- 世話人は以下の12人。
- 愛敬浩二(早稲田大学教授、元名古屋大学教授、憲法学)
- 浅倉むつ子(早稲田大学名誉教授、労働法)
- 池内了(総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授、宇宙物理学)
- 池田香代子(ドイツ文学翻訳家)
- 伊藤千尋(ジャーナリスト 元・朝日新聞記者)
- 伊藤真(弁護士、日本弁護士連合会憲法問題委員会・副委員長、資格試験予備校伊藤塾・塾長、法学館憲法研究所・所長)
- 内橋克人(経済評論家)(故人)
- 清水雅彦(日本体育大学教授、憲法学)
- 高遠菜穂子(ボランティア活動家)
- 高良鉄美(琉球大学大学院法務研究科名誉教授、憲法学、参議院議員)
- 田中優子(前法政大学総長、江戸文化研究家)
- 山内敏弘(一橋大学名誉教授、法学博士、憲法学)
構成・関連団体
編集2004年(平成16年)6月の九条の会の呼びかけ[7]に対して、科学、スポーツ、宗教、医療など各分野、趣味人の集まり、また地域で、「XX九条の会」や「九条の会XX」など、九条の会のアピールに賛同する人々の会が結成されている。このような団体の数は、九条の会事務所によると2011年時点で7,500ほどとされる[8]。
- 映画人九条の会
2004年11月24日には、「映画人九条の会」が結成された。呼びかけ人は、映画監督の羽田澄子、降旗康男(故人)、山田洋次、大林宣彦(故人)、映画スクリプターの堀北昌子、脚本家の小山内美江子などが賛同者に名を連ねたとされる。
九条の碑
編集エピソード
編集2014年11月開催予定の「国分寺まつり」にてブースを出し、パネル展示やシール投票を行っていたが「内容が政治的な意味合いを持つため」として出展を拒否された。九条の会はこの措置に対して、「表現の自由の蹂躙で、基本的人権の乱暴な侵害」と国分寺市市長および実行委員会に抗議している[9]。
参考文献
編集- チャールズ・M・オーバビー『地球憲法第九条 対訳』國弘正雄訳、講談社インターナショナル、1997年8月。ISBN 4-7700-2062-7。
- チャールズ・M・オーバビー『地球憲法第九条 対訳』國弘正雄訳(普及版)、講談社インターナショナル、2001年7月。ISBN 4-7700-2880-6。
- チャールズ・M・オーバビー『地球憲法第九条 対訳』國弘正雄訳(増補版)、たちばな出版、2005年7月。ISBN 4-8133-1885-1。
- 井上ひさし、梅原猛・大江健三郎・奥平康弘・小田実・加藤周一・澤地久枝・鶴見俊輔・三木睦子『憲法九条、いまこそ旬』岩波書店〈岩波ブックレット no.639〉、2004年11月。ISBN 4-00-009339-8。 - 呼びかけ人9名の講演録。
- 『九条と「戦争する国」 自民党改憲案の検討 九条の会憲法学習会講演記録』九条の会、2005年2月。
- 渡辺治述『自民党・新憲法案を読む 改憲派のねらいと困難 「九条の会憲法学習会」講演記録』九条の会、2005年9月。 - 2005年7月9日の憲法学習会の講演録。
- 井上ひさし、梅原猛・大江健三郎・奥平康弘・小田実・加藤周一・澤地久枝・鶴見俊輔・三木睦子『憲法九条、未来をひらく』岩波書店〈岩波ブックレット no.664〉、2005年11月。ISBN 4-00-009364-9。 - 同じく9名の講演録。
- 『改憲論が描く日本の未来像 自民党「新憲法草案」批判』九条の会、2006年2月。
- 小田実、小森陽一 著、九条の会・千葉地方議員ネット 編『憲法九条を語る 日本国憲法九条は体をはって世界平和を護っている』五月書房、2006年7月。ISBN 4-7727-0447-7。
- 『アジアの平和を九条の心で』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー〉、2007年2月。
- 『国際紛争の解決は9条の心で』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー 2〉、2007年6月。
- 『いま語る九条の心』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー 3〉、2007年8月。
- 『戦争をする国にさせない』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー 4〉、2007年11月。
- 井上ひさし、梅原猛・大江健三郎・奥平康弘・加藤周一・澤地久枝・鶴見俊輔・三木睦子・玄順恵『憲法九条、あしたを変える 小田実の志を受けついで』岩波書店〈岩波ブックレット no.731〉、2008年7月。ISBN 978-4-00-009431-3。
- 『九条で平和をつくる メディア報道と憲法問題』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー 5〉、2008年9月。
- 『人間らしく生きる 憲法第9条と25条』九条の会〈「九条の会」憲法セミナー 6〉、2008年10月。
脚注
編集- ^ https://ci-en.dlsite.com/creator/639 (DLsite ci-en内ページ、成人向けコンテンツが含まれるという確認ページが表示されることがあります)
- ^ 「第9条の会なごや、運動に壁 設立20年、会員高齢化」(朝日新聞デジタル 2013年7月6日)
- ^ “国際連合安全保障理事会が必要な措置を取るまでの間”と留保されており、無条件容認ではない
- ^ “東久留米「9条の会」 小森陽一氏講演”. 東久留米「九条の会」 (2005年2月20日). 2006年5月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年1月15日閲覧。
- ^ “九条科学者の会 発足一周年記念の集い”. 「九条の会」愛知・大学人の会 (2006年3月12日). 2019年3月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年6月22日閲覧。
- ^ “世界の宝「憲法九条」”. みやざき九条の会 (2007年8月27日). 2011年1月15日閲覧。
- ^ 「九条の会」アピール
- ^ “「九条の会」と共鳴ダメ 調布市が後援拒否”. 東京新聞. (2014年10月4日). オリジナルの2014年10月4日時点におけるアーカイブ。 2014年10月4日閲覧。
- ^ 鈴木沓子「「9条の会」が「政治的」?――国分寺市でも「出店」拒否」、週刊金曜日、2014年10月31日。
関連項目
編集- 憲法9条にノーベル平和賞を
- 文化芸術懇話会 - 自民党国会議員のカウンター団体
外部リンク
編集- 「九条の会」オフィシャルサイト
- 各分野の「九条の会」のアピールに賛同する会
- マガジン9
- 憲法改悪反対共同センター