リン酸三カルシウム
リン酸三カルシウム(英語: Tricalcium phosphate、略称: TCP)とは、化学式: Ca3(PO4)2 で表されるリン酸とカルシウムの塩である。リン灰石として天然に産出し、また土壌中に広く分布して含まれ、植物の生長に必須の成分である[2]。骨を燃焼させた際に得られる物質でもある(骨灰・骨炭など)[3]。
リン酸三カルシウム | |
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Tricalcium bis(phosphate) | |
別称 Tribasic calcium phosphate、 tribasic calcium phosphate、bone phosphate of lime (BPL)、第三リン酸カルシウム | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 7758-87-4 |
PubChem | 516943 |
ChemSpider | 22864 |
UNII | K4C08XP666 |
KEGG | C08136 D00938 |
ChEBI | |
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特性 | |
化学式 | Ca3O8P2 |
モル質量 | 310.18 g mol−1 |
外観 | 白色無定形粉末 |
密度 | 3.14 g/cm3 |
融点 |
1670 K (1391 °C) の高圧下で液化 |
水への溶解度 | 0.002 g/100 g |
熱化学 | |
標準生成熱 ΔfH |
-4126 kcal/mol (α-form)[1] |
危険性 | |
NFPA 704 | |
引火点 | 不燃性 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
結晶構造
編集リン酸三カルシウムは三種の多形体を持ち、単斜晶のα-と六方晶系のα'-リン酸三カルシウム(α-TCP、α'-TCP)は、リン酸三カルシウムの高温多形体であり、β-リン酸三カルシウム (β-TCP) は低温多形体である。加熱によるβ-TCPのα-TCPへの多形転移は、1180 ℃前後の温度で観察される。1180 ℃より高温の温度域で形成されるα-TCPは、ゆっくり室温まで冷却すると、この多形体に保持することができず、急冷すなわちクエンチすることによってしか室温で得ることができない[4]。
β-TCPの結晶学的密度は3.066 g/cm3(グラム毎立方センチメートル)であるが、高温形態は密度が低くα-TCPの密度は2.866 g/cm3であり、α'-TCPの密度は2.702 g/cm3である。
β-TCPとα-TCPとの間には化学的、生物学的特性に違いがあり、α-TCPの方は可溶性と生分解性が優れている。 両方の形態は、商業的に入手可能であり、医療および歯科用途で良く利用される[5]。
用途
編集- 固化防止剤
- 固化防止剤としてベビーパウダーなどに含まれる
出典
編集- ^ Zumdahl, Steven S. (2009). Chemical Principles 6th Ed.. Houghton Mifflin Company. p. A21. ISBN 0-618-94690-X
- ^ 世界大百科事典リン酸カルシウム(燐酸カルシウム)から
- ^ Yacoubou, Jeanne, MS. Vegetarian Journal's Guide To Food Ingredients "Guide to Food Ingredients". The Vegetarian Resource Group, n.d. Web. 14 Sept. 2012.
- ^ 特開2004-26648(P2004-26648A)α-およびβ-リン酸三カルシウム粉末の製造方法(アーメット タス)
- ^ Carrodeguas, R.G.; De Aza, S. (2011). “α-Tricalcium phosphate: Synthesis, properties and biomedical applications”. Acta Biomaterialia 7 (10): 3536–3546. doi:10.1016/j.actbio.2011.06.019. ISSN 1742-7061 . – ScienceDirect経由 (購読契約が必要だが、図書館で閲覧できる)
- ^ より速く再生する「人工骨」づくりに貢献(東京工業大学)
- ^ スポンジ状人工骨開発に成功(東京工業大学大学院理工学研究科 田中順三教授)
- ^ インプラント材料とその表面 : その2(東京歯科大学)
- ^ 健康食品取扱マニュアル 編集:東京都福祉保健局、東京都生活文化スポーツ局 216p
- ^ 食品添加物(大阪教育大学)
- ^ 図解入門よくわかる最新食品添加物の基本と仕組み: 現代の食卓を支える影の功労者 86p
- ^ 韓臨麟, 福島正義、「【原著】フッ化物とfTCP配合歯磨剤による歯質に与える影響 -エナメル質耐酸性, 象牙細管封鎖性および元素の取り込みについて-」『日本歯科保存学雑誌』 2016年 59巻 2号 p.228-235, 日本歯科保存学会