モンパノキ(紋羽の木、学名: Heliotropium arboreum)は、ムラサキ科キダチルリソウ属常緑低木小高木。別名、ハマムラサキノキ(浜紫の木)[6]シノニムargentea は「銀色の」の意味で、葉や若い枝に銀色の毛があることに由来する[6]中国名は、銀毛樹(別名: 白水木)[1]

モンパノキ
モンパノキ(沖縄県西表島
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : シソ類 Lamiids
: ムラサキ目 Boraginales
: ムラサキ科 Boraginaceae
: キダチルリソウ属 Heliotropium
: モンパノキ
H. arboreum
学名
Heliotropium arboreum (Blanco) Mabb. (2017)[1]
シノニム
和名
モンパノキ(紋羽の木)

アフリカからアジアオセアニア太平洋諸島熱帯から亜熱帯の海岸に生育する[7]

特徴

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熱帯から亜熱帯の海岸、砂礫地や砂浜に生える常緑広葉樹の低木から小高木。樹高はときに10メートル (m) 程度に達するが、多くは5 m程度である[6]。太い枝がまばらに出る[6]。幹径は太いもので30センチメートル (cm) 程度に達する。樹皮は灰褐色で縦に裂け目が多く、材は柔らかい。 は倒卵形で大きく、長さ20 cmほどあり[6]、枝先に集まり互生する。質は厚く、明るい緑色で、表裏ともに銀色の細かい毛が密生し[6]ビロード(紋羽)のような手触りがある。花期は基本的に夏ではあるがはっきりせず、円錐形の集散花序を頂上または腋生する。花は密生し、5mm程の釣鐘型で白色。果実は5mmほどの球形で、数珠または団子状に固まる。熟すと緑色から黄橙色を経て黒っぽく変化する。

日本における自生地

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日本では、南西諸島奄美群島以南および小笠原諸島に普通に自生する。種子島にもかつて自生していたが、野生の株は絶滅している。海岸の砂礫地や砂浜を好み、琉球ではスーキ[6]インスーキ[6]ハマスーキガンチョーギー[6]ソーギキスビキシサザキ等、島によって多様な地方名を持つ。ガンチョーギーとは、眼鏡木つまりガンチョウ・キという意味で、沖縄で潜水用眼鏡の縁に使われたことによる[6]。沖縄の海岸ではよく見られる木であるが、琉球元来の自生種ではなく外来種である[7]

利用

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葉は民間薬として、絞り汁を服用して食あたりに用いる。沖縄では葉の汁が魚の毒消しに使われる[7]ハブクラゲの解毒作用のあるといわれる[7]

また、1884年沖縄糸満において、海人(うみんちゅ)の玉城保太郎氏の考案で、本種の材が柔らかく加工しやすい上、乾燥しても変形しにくい特性を利用して、丸く削った内部をくりぬいてガラスを接着し、アダンの葉で作った紐をつけて水中眼鏡ミーカガン)の材料とした[8]

潮害や塩害に強いことから、防風・防砂林として利用される。

脚注

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参考文献

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  • 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、181 - 183頁。ISBN 4-12-101834-6