ホリー・ヴァランス

オーストラリアの役者で音楽家

ホリー・ヴァランス (Holly Valance, 1983年5月11日 - )は、オーストラリアイギリス人のモデル歌手女優政治活動家。本名はHolly Rachel Vukadinović

ホリー・ヴァランス
Holly Valance
Holly Valance
空港で1800リバース英語版の広告の撮影をするホリー・ヴァランス(2006年)
本名 Holly Rachel Vukadinović
生年月日 (1983-05-11) 1983年5月11日(41歳)
出生地 オーストラリアの旗 オーストラリアメルボルン
身長 173cm
職業 モデル歌手女優
ジャンル ポップスダンス
活動期間 1999年 -
配偶者 あり
公式サイト hollyvalance.com
主な作品

プリズン・ブレイク

DOA/デッド・オア・アライブ
テンプレートを表示

来歴

編集

生い立ち

編集

ファッションモデルギタリストピアニストでもあるセルビア人の父と、同じくファッションモデルであったイギリス人の母との間にオーストラリアで生まれた。が1人いる。イギリスコメディアンであるベニー・ヒル親戚であり、ヒルのいとこは彼女の祖父にあたる。

モデル・学生時代

編集

ヴァランスは12歳で芸能界入りし、スーパーマーケットのカタログや広告キャンペーンのモデルを務め、14歳になるまでに子供服やティーン向け下着のモデルとして時給200ドルを稼いでいた。メルボルンのファッションショーナオミ・キャンベルと一緒に出演したこともある。

その後、オーストラリアの連続ドラマネイバーズ』のオーディションを受けて合格し、フェリシティー役に抜擢され一躍脚光を浴びる。しかし、スター・オブ・ザ・シー・カレッジを卒業後、イギリスで音楽のキャリアを追求するため2002年にドラマを去った。

歌手時代

編集

ネイバーズ降板後、イギリスのロンドンレコードと契約し、歌手としての活動を開始。最初のシングルは、2002年4月29日にリリースされた、トルコ人歌手タルカンのヒット曲「Şımarık(Chu!Chu!は恋の合言葉)英語版」のカバー曲である「Kiss Kiss」。彼女が全裸で踊っているように見えたので、この曲のミュージック・ビデオは注目を集めた[注釈 1]。これが話題となり、イギリスでは初週に14万3408枚の売り上げを記録し、全英シングルチャート初登場1位というデビューを飾った。母国オーストラリアのARIAチャートでも1位となり、『GQ』誌の2002年「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」、『WHO』誌の「最もセクシーな女性」にも選ばれた。さらに、2002年の第16回ARIAミュージック・アワードにおいて「Kiss Kiss」が4部門にノミネートされた[1]

2枚目のシングル「Down Boy英語版」 は全英シングルチャートで最高2位、オーストラリアでは最高3位になった。 2002年10月14日に発売されたデビューアルバムFootprints』は全英アルバムチャートで最高9位に、オーストラリアのアルバムチャートでは最高15位になった。このアルバムからの3枚目のシングルとなった「Naughty Girl英語版」は、全英シングルチャートで最高16位に、オーストラリアでは最高3位になった。この曲は、デビューアルバムからは最後のシングルカットとなった。

日本でもプロモーション活動を行い、年末には『ミュージックステーション』や『ポップジャム』に出演した。また『堂本剛の正直しんどい』では堂本剛ロケを行った。その端麗な容姿から日本でも多くの支持を集め、アルバム『ホリー・ヴァランス』は約30万枚もの売り上げを記録した。

この時、「最初の段階から自分のキャリアを選択できていたのなら、私は真っ先に歌手の道に進んでいたと思う。私は音楽が大好きで情熱も持っている。歌を唄うという事は、曲や音楽で人の心に触れることができる素晴らしい経験だと思う」と語っている。

2003年、2枚目のアルバム『State of Mind』からシングルカットされた同名のシングル「State of Mind英語版」が、全英シングルチャートで最高8位、オーストラリアで最高14位になったが、同年11月6日に発売されたアルバム自体はイギリス、オーストラリアともにアルバムチャートで50位以内にも入らないという結果になった。日本では最高12位、ゴールドディスク獲得と健闘したが、 このアルバムからの2枚目のシングルカットとなるはずだった「Desire」のプロモーションは、アルバムの売上が伸び悩んだためキャンセルされた。売上の低迷に加えて、彼女の元恋人でもあったマネージャーとの解雇に絡む訴訟問題などもあり、レコード会社から契約を打ち切られてしまう。しかし、このことについては「私はリリースされるように頼んだが、ワーナーが拒否したので、契約期限が切れるまで私は1年間宙ぶらりんの状態だった」と述べて否定した。後に、雑誌にて音楽にはもはや興味がないと語った。

彼女は自身の歌手としてのキャリアについて「長い時間と努力を注ぎ込んだが、上手くはいかなかった。私に多額の報酬をもたらしたのは多くの宣伝とこの容姿で、アルバム自体のセールスから得たものは決して多くなかった。これは私だけではないと思う。皆少なからず現在の音楽業界のあり方に苦しめられていると思う。楽しいと思えなくなる日まで何とか前進しようとやってきた。そして今の私には、もはや音楽は楽しいものではなくなってしまった[2]」と述べている。

2005年に音楽界に戻り、ハー・マー・スーパースター英語版のアルバム『The Handler英語版』の2曲(「Back the Camel Up」と「Body Request」)に歌い手として参加した[3]

女優時代

編集

女優としては、2004年に『CSI:マイアミ』のゲスト出演から再始動し、『CSI:NY』にも出演した。

2005年からは人気ドラマシリーズ『プリズン・ブレイク』のニカ・ヴォレク英語版の役で出演し、シーズン2まで役を演じ続けた。

2006年には、パリス・ヒルトンと共に、ナショナルランプーン英語版喜劇である『プレッジ・ディス!英語版』に出演。同じ年、人気テレビゲーム脚本の『DOA/デッド・オア・アライブ』にもクリスティ・アレン役で出演し、シャワーシーンを披露した。

2008年、『96時間』でリーアム・ニーソンファムケ・ヤンセンと共演。また、CWテレビジョンネットワーク10月に放送された『バレンタイン英語版』にも出演した。

このような映画やドラマで演じる仕事だけでなく、コレクトコールサービス1800リバース英語版や、シュワルツコップのヘアケア製品の広告塔も務めた[4]

人物

編集

政見

編集

2024年の『ガーディアン』紙によると、ヴァランスは「急速に急進右派の王族に上り詰めた」とのこと[7]。その年の2月、ヴァランスは元英国首相リズ・トラスが結成した保守運動・大衆保守主義の立ち上げに出席した。X(以前はTwitterとして知られていた)に投稿された一連のクリップで、ヴァランスはGB Newsの司会者からインタビューを受け[8]、さまざまな問題に関する彼女の見解について尋ねられた。彼女の「気候危機またはその欠如」に関する見解は、「よりクリーンで安価なエネルギーこそが私たちに必要なものだ」というものだった[9]。政治的見解について尋ねられると、「誰もが最初は左翼として始まり、お金を稼ぎ、働き、ビジネスを経営しようとし、家を買おうとした後、ある時点で目覚めて、それらがすべてくだらない考えであることに気づき、その後右翼に行くと思います。」と述べた[10]。また、英国が欧州人権条約を離脱し、英国の権利章典を制定することが政治的に最優先事項であると述べ、「トリクルダウン効果は正しい方向への大きな一歩となるだろう」と付け加えた[7]

イギリスの著名な右派政治家・ナイジェル・ファラージの親しい友人であるヴァランスは、 2024年総選挙で国会議員に立候補するよう彼を説得したと述べた[11]。2024年のインタビューで、彼女はリフォームUKのメンバーであり、総選挙では同党に投票するつもりであると述べた。さらに「自分の信念を貫き、裏切り者でもなく、態度をコロコロ変えたりUターンしたりしない人なら誰でも支持する」と語った[12][13]。彼女は、ファラージが党首に復帰してから数日以内に、同党が150万ポンドを集めるのを手伝い[14]、自身も10万ポンドを寄付した[15]

ディスコグラフィとチャート

編集

アルバム

編集
タイトル 最高順位[16][17] 認定
オーストラリア アイルランド英語版 日本 イギリス
2002 Footprints
  • ファーストアルバム
  • リリース: 2002年10月4日
15 39 19 9
2003 State of Mind
  • セカンドアルバム
  • リリース: 2003年11月6日
57 12 60
  • 日本: ゴールド(+100,000枚)

シングル

編集
タイトル 最高順位[19] 認定 収録アルバム
オーストラリア オーストリア ベルギー デンマーク フィンランド フランス ドイツ アイルランド英語版 イタリア オランダ ニュージーランド スウェーデン スイス イギリス
2002 "Kiss Kiss英語版" 1 11 28 20 11 50 14 2 3 23 17 12 19 1
  • オーストラリア: プラチナ
  • イギリス: シルバー[20]
Footprints
"Down Boy英語版" 3 34 61 8 11 36 37 70 2
  • オーストラリア: ゴールド
"Naughty Girl英語版" 3 56 47 52 25 27 39 50 16
  • オーストラリア: ゴールド
2003 "State of Mind英語版" 14 16 27 41 8 State of Mind

受賞歴

編集
結果 部門 作品
2000 ロギー賞英語版 ノミネート Most Popular New Talent – Female "Neighbours"
2002 ARIA Award Highest Selling Single "Kiss Kiss"
Best Female Artist "Kiss Kiss"
Breakthrough Artist – Single "Kiss Kiss"
Best Pop Release "Kiss Kiss"
2003 Disney Channel Kids Awards英語版 受賞 Breakthrough Artist
-
Best Single "Kiss Kiss"

出演作品

編集
邦題
原題
役名 注釈
1999–2002 ネイバーズ Felicity "Flick" Scully英語版 250エピソードに出演
2004 CSI:マイアミ
CSI: Miami
Kay Coleman エピソード「一族の汚点英語版」に出演
2005 アントラージュ★オレたちのハリウッド
Entourage
リアーナ エピソード「マセラッティと美女」に出演
2005 CSI:ニューヨーク
CSI: NY
リディア エピソード「青い血英語版」に出演
2005–2006 プリズン・ブレイク
Prison Break
ニカ・ヴォレク 5エピソードに出演
2006 DOA/デッド・オア・アライブ
DOA: Dead or Alive
クリスティー 映画
2006 プリティ・ライフ パリス・ヒルトンの学園天国
National Lampoon's Pledge This!
ジェシカ 映画
2007 Moonlight/ムーンライト英語版
Moonlight
ローラ エピソード「B.C.英語版」に出演
2007 SHARK カリスマ敏腕検察官
Shark
クリスティーナ・ショー エピソード「ゆがんだ愛情」に出演
2008 96時間
Taken
シーラ 映画
2008 Valentine英語版 Vivi Langdon エピソード"Act Naturally英語版"に出演
2009 X Returns サミー・ウォルタース ショートフィルム
2009 Command & Conquer: Red Alert 3 – Uprising ブレンダ・スノー テレビゲーム
2009 スタローン in ハリウッド・トラブル
Kambakkht Ishq
本人役 映画(カメオ出演
2010 Luster サリー 映画
2010 アガサ・クリスティー ミス・マープル5 「蒼ざめた馬」
Agatha Christie's Marple
カンガ・コッタム テレビ映画
2010 Red Herring アンジェラ 映画
2011 Surviving Georgia ローズ 映画
2011 Big Mamma's Boy ケイティー 映画
2011 Strictly Come Dancing英語版 本人役 シーズン9に出演
2012 Red Herring アンジェラ 映画
2013- Shopaholic Showdown英語版 本人役 テレビ

脚注

編集

注釈

編集
  1. ^ イギリスでは深夜帯を除き、2分50秒以降が放送禁止となった。事実、下半身は肌色パンツをはいて特殊技術で薄くしていたが、上半身は裸だった。

出典

編集
  1. ^ Kylie sweeps Aussie music awards”. 2011年4月13日閲覧。
  2. ^ Holly Valance bares her soul
  3. ^ http://www.smh.com.au/news/music/look-mar-no-pants/2005/07/21/1121539075875.html
  4. ^ Soap Babes: Where are They Now?”. 2011年4月13日閲覧。
  5. ^ https://www.imdb.com/name/nm0883480/bio/
  6. ^ http://www.smh.com.au/lifestyle/celebrity/holly-valance-engaged-to-multimillionaire-20111223-1p7qp.html
  7. ^ a b 'Whispering in his ear': how Holly Valance became a cheerleader for the radical right”. The Guardian (15 June 2024). 16 June 2024閲覧。
  8. ^ “Holly Valance 'concerned about way things are going' as she outlines fears for her children. Celebrity and model, Holly Valance, was attending the launch of Liz Truss' new movement 'PopCon', Popular Conservatism.”. GB News. (6 February 2024). https://x.com/GBNEWS/status/1754917577703211455?s=20 6 February 2024閲覧。 
  9. ^ “'Putting restrictions on normal people for a non-existent climate crisis is insanity' 'Neighbours' star, Holly Valance, says that 'cheap, clean energy is what we need', but without putting restrictions on 'normal people'. @ChristopherHope”. GB News. (6 February 2024). https://x.com/GBNEWS/status/1754920137310777750?s=20 6 February 2024閲覧。 
  10. ^ “'Everyone starts as a leftie and then wakes up and realises all the ideas are crap' Australian model and actress, Holly Valance, was at the launch of Liz Truss' new conservative movement 'PopCon'. @ChristopherHope”. GB News. (6 February 2024). https://x.com/GBNEWS/status/1754919130837483709?s=20 
  11. ^ Patrick, Holly (4 June 2024). “Holly Valance says she convinced Nigel Farage to run in general election”. The Independent. 13 June 2024閲覧。
  12. ^ Ahmed, Jacob (15 March 2024). “Former Neighbours star Holly Valance backs Reform UK at next general election”. Independent. 15 March 2024閲覧。
  13. ^ Gibbons, Amy (14 March 2024). “Holly Valance says Australia has gone 'woke' ... and sends a message to Nigel Farage”. The Telegraph. 15 March 2024閲覧。
  14. ^ Devlin, Kate. “Holly Valance helps Nigel Farage's Reform 'raise £1.5m within days of his return as leader'”. The Independent. 16 June 2024閲覧。
  15. ^ Conroy, Will (20 September 2024). “Former popstar Holly Valance says kids call Nigel Farage 'uncle Nige' as she reveals £100k Reform UK donation”. LBC. 22 September 2024閲覧。
  16. ^ a b "Holly Valance – Australian chart peaks"
  17. ^ "Holly Valance – Japan chart peaks"
  18. ^ "BPI Certification"BPI
  19. ^ swedishcharts.com – Holly Valance – Kiss Kiss
  20. ^ http://www.bpi.co.uk/certifiedawards/search.aspx

外部リンク

編集