レイアウト
レイアウト(英語: layout、 lay-out)は何をどう配置するかということ、あるいはこれをデザインする行為である[1][2]。
デザイン(紙、ウェブ等)、建築設計、インテリア(展示会場・展覧会場設計、ショールーム設計などを含む)、書籍・雑誌・新聞などの編集等々、様々な分野で用いられる。デザインや編集の分野では、エディトリアルデザインとも呼び、グラフィックデザイナー、エディトリアルデザイナー、アートディレクターなどが担当する。
レイアウトという言葉を日本に初めて紹介したのは、当時『廣告界』の編集長であった室田庫造であるという(1929年)[3]。
分野
編集レイアウトは様々な分野で登場する。以下はその一例である:
オフィスのレイアウト
編集オフィスのレイアウトについては、例えば、以下のような点が考慮の対象となる。
- 業務効率化
- ITインフラの整備
- 省エネやコスト削減
- ゆとりのある空間(働きやすい環境)
(参考)オフィス作りの考え方([1])
オフィスのレイアウトは画一的に最適なものが存在するわけではなく、業務内容により望ましいレイアウトは大きく異なる。したがって、企業ごとの業務内容、また、一企業内であっても部署ごとの業務内容を十分に考慮のうえ、決定していく必要がある。
オフィスのレイアウトについては、建築家、インテリアデザイナー、インテリアコーディネイターなどが行うことが多い。
また、オフィスのレイアウトを専門に行う企業も多い。
技法
編集レイアウトの理解はデザインを容易にする。そのため複数の名作に共通して見出だされる優れたレイアウトを抽出し、新たな作品を作る際に活用できる技法とする試みがなされてきた。
リードルーム
編集リードルーム(英: lead room)は「向き」の先に置かれた余白である[5][6]。ノーズルーム(英: nose room)とも。
人の視線や鼻先は向きをもち、また運動する船や車は進行方向をもつ。これら「向き」を持った要素を配置するとき、その向きの先に配置された余白(=何も無い空間、ネガティブスペース)がリードルームである[5][6]。
リードルームは動き・ダイナミックさ・発展性を感じさせる働きを持つ[7][8]。逆にリードルームを狭めれば窮屈さ・不自然感・未知さを演出できる[7]。またリードルームへ視線誘導がなされるとされる[9]。
この法則の有効性は様々な理由付けがなされている。一説として、ヒトの予測認知により「リードルームが埋まる動き」が脳裏をよぎるためと説明される[8][7]。
視点とカメラワーク
編集視点とカメラワークはモノが配置された空間を一貫した観点で画面上にレイアウトするために用いられる[10]。
ヒトの目やカメラは空間の光を1つのピンホール/レンズを介して捉えている。この視点が位置・角度・画角などを変えることで、同じ空間が視野/画面上に異なるレイアウトとして映る。この考えは絵画などにも拡張でき、広く利用されている。作品から視点を感じるには空間とモノを理解したうえでその向きを認知する必要があるため、構図でなくレイアウトレベルの概念である。
視点は様々な印象を生む働きをもつ。視点は「目線」とも捉えられるため、視点の高さや見下ろし/見上げの関係性が主題に対する印象を変える[11]。また遠近法による奥行き感を生むことが多い。
視点とカメラワークはあくまで1技法であり、採用するか否かは作品意図による。空間を持たない平面世界を描くには不要かもしれないし、キュビスムのように多視点という形で採用する場合もある[12]。
脚注
編集注釈
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出典
編集- ^ a b "「レイアウト」と「構図」について ... 「レイアウト」は画面のどこに何を配置するかという考え方で、「構図」は視線誘導など絵の中のメッセージをいかに効果的に伝えるかの手法となります。" 以下より引用。虎硬 (2022年6月15日). “【イラストレーションコース】「レイアウト・構図」科目のご紹介”. 京都芸術大学. 2025年1月26日閲覧。
- ^ "「layout」は ... 「何をどこに、どのように配置するか」を指す言葉です。" 以下より引用。伊達, 千代 (2021年7月6日). “伝わる!デザインのセオリー レイアウトの基本編”. ダイレクトマーケティングラボ. リコー. 2025年1月26日閲覧。
- ^ 「近代広告の誕生 ポスターがニューメディアだった頃」(竹内幸絵、青土社、2011年)、120ページ参照
- ^ "絵画に描かれた対象に人々の視線を集めて,印象を残すには主に2つの方法が考えられる.一つは対象自体の形や色彩 ... 二つ目は対象の周辺との配置の関係によって印象を与える方法 ... このような配置の関係(構図)" p.35 より引用。辻元, 健士 (2010). "絵画における構図変化の影響 : 印象評価と視線移動の観点から". 映像情報メディア学会技術報告. 34 (18): 35–38.
- ^ a b “Lead room”. mapacourse.com. 2007年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年8月9日閲覧。
- ^ a b Peter May (2004). The Essential Digital Video Handbook: A Comprehensive Guide to Making Videos That Make Money. Rotovision. ISBN 1-59253-024-9
- ^ a b c "余白 ... 映像そのものの印象だけで ... 予測とか期待をみちびくことができますし、葛藤も喚起できます。... 当然のなりゆきを示すこともできて、不安定感や安定感を持続させることもできる" 富野 2024, pp. 54–55 より引用。
- ^ a b "カットの空間 ... その余白 ... その空間もまた視覚的ダイナミズムを発生させます。... カラになっている空間が連続するので気になり ... 埋まるものがくるのではないかという期待を喚起します。... 本能的に発展性を読み取るのです。" 富野 2024, pp. 54–55 より引用。
- ^ “How to Improve Your Photography - Five Easy Composition Tricks”. Tom Boné. 2007年8月9日閲覧。
- ^ "レイアウトとは ... カメラワークなどが描き込まれた絵です。" 以下より引用。“「野中くん発 ジブリだより」2024年5月号”. スタジオジブリ (2024年5月10日). 2025年1月31日閲覧。
- ^ 富野 2024, pp. 91–98 を参照
- ^ "キュビスムでは、多視点により今までの1視点からの形の見方を解放し" 以下より引用。城野, 愛子 (2024年1月31日). “【洋画コース】キュビズム、フォーヴィズムの視点や表現を学ぶ(2年次配当科目)”. 京都芸術大学. 2025年1月31日閲覧。
参考文献
編集- 富野, 由悠季『映像の原則』(改訂二版)キネマ旬報社、2024年。ISBN 978-4-87376-888-5。