テトラゾール
テトラゾール(tetrazole)は、分子式 CH2N4で表される、5員環の芳香族複素環式化合物である。環は炭素1個と窒素4個から成る。熱や衝撃により爆発することがあり、消防法による危険物(第5類アゾ化合物 第1種自己反応性物質)に指定されている。
1H-テトラゾール | |
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識別情報 | |
CAS登録番号 | 288-94-8 |
PubChem | 67519 |
ChemSpider | 60842 |
UNII | D34J7PAT68 |
ChEBI | |
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特性 | |
化学式 | CH2N4 |
モル質量 | 70.05 g/mol |
密度 | 1.477 g/mL |
融点 |
157 ~ 158℃ [2] |
沸点 |
220 ± 23℃ |
酸解離定数 pKa | 4.90[1] |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
物性
編集1位の窒素原子に結合したプロトンは pKa = 8.2(DMSO中)[3]であり、カルボン酸と同程度の酸性を示す。このためカルボン酸の等価体として用いられることがある(後述)。
合成
編集テトラゾール環を有する化合物
編集医薬化学において、テトラゾール環はカルボン酸の等価体と見なされ、医薬品の部分構造に汎用されている。これは前述のようにpKaがほぼ等しいため、またカルボン酸をテトラゾール環に置換すると脂溶性が高くなり、バイオアベイラビリティーの向上が期待できるためである。 一例として、アンギオテンシンII受容体拮抗薬であるロサルタンやカンデサルタンが挙げられる。
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ロサルタン
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カンデサルタン
また爆発的に反応して窒素ガスを生じることを利用して、5-アミノテトラゾールがエアバッグの火薬として用いられることがある。
テトラゾールの共役酸をテトラゾリウム (tetrazolium) と呼ぶ。MTTアッセイ法による細胞増殖試験では、テトラゾリウム塩であるMTT試薬(3-[4,5-dimethylthiazol-2-yl]-2,5-diphenyl tetrazolium bromide) が生細胞中のみでホルマザン色素に代謝されることを利用し、吸光度を測定することで細胞数が測定できる。
脚注
編集- ^ Satchell, Jacqueline F.; Smith, Brian J. (2002). “Calculation of aqueous dissociation constants of 1,2,4-triazole and tetrazole: A comparison of solvation models”. Phys. Chem. Chem. Phys. 4 (18): 4314–4318. Bibcode: 2002PCCP....4.4314S. doi:10.1039/b203118c.
- ^ Mihina, Joseph S.; Herbst, Robert M. (1950). “The Reaction of Nitriles with Hydrazoic Acid: Synthesis of Monosubstituted Tetrazoles”. J. Org. Chem. 15 (5): 1082–1092. doi:10.1021/jo01151a027.
- ^ Bordwell pKa Table