アジ化水素
アジ化水素 | |
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別名 | アジ化水素酸 |
組成式 | HN3 |
式量 | 43.03 g/mol |
形状 | 無色液体 |
CAS登録番号 | [7782-79-8] |
融点 | −80 °C |
沸点 | 37 °C |
アジ化水素(—かすいそ、hydrogen azide)は、化学式を HN3 と表される無機酸の一種。アジ化水素酸 (hydrazoic acid) とも呼ばれる。刺激臭を有する無色透明の液体。爆発性を有する。CAS登録番号は [7782-79-8]。
シアン化水素(青酸)並みの猛毒で、皮膚、粘膜などを刺激する。取り扱いには適切な設備と厳重な管理を要する。
歴史
編集アジ化水素は1890年、テオドール・クルチウスにより最初に単離された[1]。
化学的性質
編集アジ化水素は弱酸性を持つ (pKa 4.6–4.7)。水に溶けやすく、水溶液は多くの金属(亜鉛、鉄など)を、水素を放出しながら溶かす。そのとき、金属のアジ化物を生成する。
多くの金属アジ化物には爆発性が知られる。また、無水物の結晶は加熱により分解し、金属の純品を与える。鉛や銀、水銀のアジ化物は水に難溶であり、そのことはハロゲン化水素とアジ化水素との類似点である。アジ化物はまた、ヨウ化アルキルと容易に反応する。
カルボン酸ハロゲン化物やアルデヒド、ケトンなどに作用させると、シュミット反応を引き起こす。
製造
編集アジ化水素はアジ化ナトリウムなどの塩に酸を作用させて得る。
毒性
編集毒性は青酸に匹敵し、後遺症の報告もある[2]。アジ化水素は揮発性と高い毒性を持つ。蒸気を吸い込むと、刺激臭を感じるとともに激しい頭痛に見舞われる。蓄積性はない。
アジ化ナトリウムが胃酸と反応し、アジ化水素を発生させ、治療者に二次被害を与える危険性がある[3]。日本でも、医療スタッフに二次被害が発生した事例がある[3]。
脚注
編集- ^ Curtius, Th. Berichte 1890, 23, 3023.
- ^ 宮川定吉「アジ化水素による中毒の後遺症と判断される1例について」『産業医学』第20巻第5号、社団法人日本産業衛生学会、1978年、267-277頁、doi:10.1539/joh1959.20.276。
- ^ a b 広瀬保夫,畑耕治郎,本多拓,山崎芳彦,堀寧,大関暢「アジ化ナトリウム集団中毒症例の検討」『日本救急医学会雑誌』第12巻第3号、日本救急医学会、2001年、125-129頁、doi:10.3893/jjaam.12.125。
参考文献
編集- Dictionary of inorganic and organometallic compounds, Chapman & Hall