ステッピングモーター
ステッピングモーター(Stepper motor)は、ドライバを介して直流のパルス電圧を印加して駆動するモーターである。したがってパルスモーター(Pulse motor)ともいわれる。簡単な回路構成で、正確な位置決め制御を実現できるので、装置の位置決めを行う場合などによく使われる。
特徴
編集回転子の種類
編集- Permanent Magnet Type (PM型:永久磁石形)
- 回転子として、円周上にNSNS…と交互に着磁した磁性体を使用する。安価であるが、着磁間隔を細かくすることに限界があるので、ステップ角度は小さくできない。
- Variable Reluctance Type (VR型:歯車状鉄心形)
- 回転子として、歯車状の鉄心を使用する。ステップ角度を小さくできるが、トルクがやや低い。
- Hybrid Type (HB型:複合形)
- PM型とVR型の特徴を併せ持った構造である。PM型の場合は円周方向に着磁するが、HB型では軸方向に着磁した磁石を使用し、磁極側を二枚の歯車状鉄心で挟み込む。この時、N極側とS極側の歯の凸凹が逆になるようにする。
固定子の巻線構成
編集ステッピングモーターは、固定子に複数の巻線を用意しておき、電流を流す巻線を切り替えることによって動作させる。巻線構成としては二相(二組の巻線)のものが一般的であるが、三相、五相といったものもある。
ステッピングモーターの動作原理
編集PM型の簡略化したモデルを例にとって、動作原理を説明する。
- 巻線Aに電流を流すと、固定子と回転子のN・Sが引き合った状態になる。
- 巻線Bにも電流を流すと、両方の固定子が磁化して回転子を引きつけるので、力が釣り合うように45°回転する。
- 巻線Aの電流を切ると、さらに45°回転する。
- 巻線Aに先程と逆方向の電流を流すと、さらに45°回転する。
- 巻線Bの電流を切ると、さらに45°回転する。
- 巻線Bに先程と逆方向の電流を流すと、さらに45°回転する。
- 巻線Aの電流を切ると、さらに45°回転する。
- 巻線Aに最初と同じ方向の電流を流すと、さらに45°回転する。
以上のように、ステップ1から8を繰り返すことによって、一定の方向に回転する。
励磁モード
編集ステッピングモーターは、巻線への電流の与え方を変えることにより、特性を変えることができる。二相型のモーターについて以下に述べる。
- 一相励磁
- 常に巻線一相のみに電流を流す。位置決め精度は良いが、減衰運動が残りやすい。
- 二相励磁
- 二相に電流を流す。一相励磁の約2倍の出力トルクが得られる。
- 一-二相励磁
- 一相と二相を交互に切り替えて電流を流す。一相励磁・二相励磁の場合のステップ角度の半分にすることができるので、滑らかな回転を得られる。前のセクションの説明図では、一-二相励磁を使っている。
- マイクロステップ駆動(バーニア駆動)
- 巻線への電流を単純なON/OFFではなく、二つの巻線の電流比率を細かく変えていくことで、より細かいステップ角度を得る手法。
運動形態
編集一般的な回転形のモーターの他に、直進形のモーター(リニアステッピング)も存在する。
用途例
編集関連項目
編集外部リンク
編集- Stepper Motors
- Stepper Motor Basics
- Stepper Motor System Selection Guide
- Control of Stepping Motors - A Tutorial – Douglas W. Jones, アイオワ大学
- Stepper Motor Drivers: RMS vs Peak Current
- Uni-polar versus Bi-polar
- Finding the different ways a stepper motor can be wired
- Animation of a stepping Motor
- Stepper Motor Disassembled
- Stepper Motor acceleration algorithm