ジョン・キリアン・ヒューストン・ブラナーJohn Kilian Houston Brunner, 1934年9月24日 - 1995年8月26日)は、多作で知られたイギリスSF作家。人口過剰となった世界を描いた1968年の小説 Stand on Zanzibar (未訳)で1969年のヒューゴー賞長編小説部門を受賞し、現在でも古典的名作とされている。その作品は英国SF協会賞も同年受賞している。翌年には The Jagged Orbit で英国SF協会賞を連続受賞した。

ジョン・キリアン・ヒューストン・ブラナー
John Kilian Houston Brunner
ペンネーム ジョン・ブラナー
John Brunner
誕生 (1934-09-24) 1934年9月24日
イギリスの旗 イギリス オックスフォードシャー ウォリンフォード
死没 1995年8月26日(1995-08-26)(60歳没)
職業 小説家
国籍 イギリスの旗 イギリス
ジャンル サイエンス・フィクション
ファンタジー
代表作 Stand on Zanzibar
『衝撃波を乗り切れ』
公式サイト http://www.sfhub.ac.uk/Brunner.htm
ウィキポータル 文学
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生涯

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彼はオックスフォードシャーのウォリンフォードに程近いプレストン・クローマーシュで生まれ、チェルトナムの学校に進学。17歳のときにジル・ハントの筆名で Galactic Storm という処女長編小説を書いたが、専業作家となったのは1958年である[1]。1953年から1955年の間イギリス空軍で兵役に就き、兵役を終えたのちにSF作家のジョン・クリストファーが編集する雑誌で技術的記事の要約を担当。その後別の出版社で編集者(このときの同僚にSF作家のジョナサン・バークがいる)となる。1958年に最初の妻と結婚、その年の終わりからフリーランスの作家として活動を始める[2]

ブラナーの健康は1980年代に衰えはじめ、1986年に最初の妻が亡くなると自身の健康状態も悪化した。1991年に再婚。1995年8月25日、スコットランドグラスゴーで開催中のワールドコンに参加中に脳梗塞で亡くなった[3]。イギリスではSFファンダムの有名人でもあった。

マーティン・ルーサー・キング牧師の暗殺後に「マーチン・ルーサー・キング記念賞」を設立し運営に取り組んでいた[4]

作家活動

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初期の作風は普通のスペースオペラであったが、後に実験的な小説を書くようになる。1968年の人口過剰な世界を描いた長編小説 Stand on Zanzibar で1969年のヒューゴー賞長編小説部門を受賞[5]。同作品は英国SF協会賞も受賞した。翌1970年には The Jagged Orbit で英国SF協会賞を連続受賞した。1972年の The Sheep Look Up は生態系破壊を警告した予言的内容である。1975年の先駆的サイバーパンク作品とも言える『衝撃波を乗り切れ英語版』(The Shockwave Rider) では、「ワーム」(コンピュータネットワーク上で複製を作って増殖するソフトウェア))という用語を生み出した。この作品はアルビン・トフラーの『未来の衝撃英語版』を読んで影響を受けたブラナーが書き、逆に『衝撃波を乗り切れ』を読んでトフラーが『第三の波』を書いたことでも有名である。

ジョン・ブラナーのほかに K・H・ブラナー、ジル・ハント、 John Loxmith、Trevor Staines、Keith Woodcott といったペンネームも使っていた[1]

小説以外では、原稿料を貰わずにファンジンなどに文章をよく書いた。他に「ニュー・サイエンティスト」誌に13通の手紙を送って、それが掲載されている。また、Physics Education (1971) volume 6 pages 389-391 には "The educational relevance of science fiction"(SF小説と教育の関係)という文章が掲載された。核武装反対運動 (Campaign for Nuclear Disarmament, CND) の活動家でもあり、キャンペーンソング The H-Bomb's Thunder の作詞も手がけている。1972年、トリエステで開催された初のヨーロッパSF大会 Eurocon-1 にゲストとして招待された[1]

日本語訳作品リスト

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  • 『次元侵略者』(Meeting at Infinity(1961)、関口幸男訳、ハヤカワ文庫SF) 1976
  • 『テラの秘密調査官』(Secret Agent of Terra(1962)、関口幸男訳、ハヤカワ文庫SF、ツァラ避難民シリーズ1) 1978
  • 『銀河系の悪魔 スーパー・バーバリアン』(The Super Barbarians(1962)、田沢幸男訳、トクマ・ノベルズ、スペース・アドベンチャー・シリーズ) 1978
  • 『幻影への脱出』(The Dreaming Earth(1963)、巻正平訳、ハヤカワ文庫SF) 1976
  • 『テレパシスト』(The Whole Man(1964)、伊藤哲訳、創元推理文庫) 1975 - 後に Telepathist と改題
  • 『星は人類のもの連盟』(The Long Result(1965)、井上一夫訳、創元推理文庫) 1975
  • 『流れ星をつかまえろ』(Catch a Falling Star(1968)、関口幸男訳、ハヤカワ文庫SF) 1979
  • 『原始惑星への脱出』(Polymath(1974)、村田靖子訳、久保書店SFノベルズ、ツァラ避難民シリーズ2) 1979 - 1963年に出版されたCastaway's worldの改題
  • 『衝撃波を乗り切れ』(The Shockwave Rider(1975)、安田均訳、集英社、ワールドSFシリーズ) 1983

Stand on Zanzibar (1968) を始めとして多くの未訳長編がある。

短編

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  • 「天の窓」(The Window of Heaven / Two by Two (1956)、島岡潤平訳、S-Fマガジン 1971/10 No.151)
  • 「思考の谺」(Echo in the Skull (1959)、伊藤典夫訳、S-Fマガジン 1970/6 No.134、のちハヤカワ文庫『ボロゴーヴはミムジイ』に収載
  • 「木偶(でく)」(Such Stuff (1962)、吉田誠一訳、創元推理文庫『年刊SF傑作選3』)
  • 「思考の檻」(Protect Me from My Friends (1962)、伊藤典夫訳、S-Fマガジン 1974/12 No.193)
  • 「完全なる富者」(The Totally Rich (1963)、酒匂真理子訳、奇想天外 1977/5 No.14、のち集英社文庫コバルトシリーズ『魔女も恋をする』に収載
  • 「最後の孤独な人間」(The Last Lonely Man (1964)、大谷圭二訳、創元推理文庫『年刊SF傑作選5』
    • 「最後の孤独者」(団精二訳、ハヤカワ文庫SF『時のはざま』)
  • 「ノーボディ・アクスト・ユー」(Nobody Axed You (1965)、伊藤典夫訳、ハヤカワSFシリーズ『ニュー・ワールズ傑作選 No.1』)
  • 「隠れた子ら」(Children in Hiding (1966)、深町眞理子訳、S-Fマガジン 1967/5 No.94)
  • 「生なきもの」(The Vitanuls (1967)、石川智嗣訳、S-Fマガジン 1973/11 No.179)
  • 「自殺する人類」(The Suicide Man (1979)、宮脇孝雄訳、SF宝石 1979/12 No.3)
  • 「地獄の悪魔」(All the Devils in Hell (1960)、村上実子訳、朝日ソノラマ、ソノラマ文庫海外シリーズ14『ウイッチクラフト・リーダー』)
  • 「ユダ」(Judas (1967)、山形浩生訳、ハヤカワ文庫SF『危険なヴィジョン(完全版)3』)

脚注・出典

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  1. ^ a b c Tuck, Donald H. (1974). The Encyclopedia of Science Fiction and Fantasy. Chicago: Advent. pp. 70–72. ISBN 0-911682-20-1 
  2. ^ 『テレパシスト』(創元推理文庫)1975 訳者あとがき p.302(伊藤哲)
  3. ^ “Obituary of John Brunner”. Daily Telegraph: p. 23. (25 September 1995) 
  4. ^ 『テレパシスト』(創元推理文庫)1975 訳者あとがき p.303(伊藤哲)
  5. ^ Grant, Rich (November 20, 1972). “Writer John Brunner speaks; God appears on campus”. Daily Collegian (Penn State University). http://digitalnewspapers.libraries.psu.edu/Default/Skins/BasicArch/Client.asp?Skin=BasicArch&&AppName=2&enter=true&BaseHref=DCG/1972/11/20&EntityId=Ar00301 February 8, 2010閲覧。 

外部リンク

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