クリスタルムーバー
三菱重工業製の全自動無人運転車両 (APM) システム
クリスタルムーバー(英語: Crystal Mover)は、三菱重工業が開発・製造している新交通システムである。
日本製のAGTとしては本格的な海外輸出を前提に設計された車両[1]で、導入線区は海外の新規開業路線や空港内交通機関が多かった。
2010年代以降は改良モデルとしてUrbanismo (アーバニズモ) シリーズが登場しており、シリーズには最高速度120km運転に対応した高速型とセミオーダーメイドが可能な標準型があるが、このうち標準型については日本国内のAGT路線でも既存車両の置換用に導入される事例が増えている。
公共交通
編集日本
編集- 埼玉新都市交通2020系電車 - 1983年の開業以来使用している1010系の取替えを目的に、2015年から2024年にかけて6編成が導入された[2][3]。
- ゆりかもめ7300系電車 - 2014年営業開始。
- 東京都交通局日暮里・舎人ライナー330形電車 - 輸送力増強のために2015年導入。
- 広島高速交通7000系電車 - 開業当初から在籍する6000系と、その増備車である1000系の置き換えのために24編成が導入される。
シンガポール
編集シンガポールでは、SBSトランジットが2003年よりLRTセンカン線、2005年よりLRTプンゴル線でクリスタルムーバーを運行している。両線で計41両が運用されている[4]。
マカオ
編集マカオ特別行政区政府は2010年に澳門軽軌鉄路としてクリスタルムーバーの導入を決定した。三菱重工業が車両と関連システムを総額46億8,800万パタカで受注し、2019年から2020年にかけて供用開始の予定である[5][6]。
空港連絡
編集クリスタルムーバーを運行している空港は以下の通りである。
- エアロトレイン - ワシントン・ダレス国際空港(アメリカ合衆国)
- ATLスカイトレイン - ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港(アメリカ合衆国)
- チャンギ空港スカイトレイン - シンガポール・チャンギ国際空港(シンガポール)
- 香港国際空港新交通システム - 香港国際空港(中華人民共和国)
- MIAムーバーおよびスカイトレイン - マイアミ国際空港(アメリカ合衆国)
- 仁川国際空港シャトルトレイン - 仁川国際空港(大韓民国)
- エアロスカイ - ドバイ国際空港(アラブ首長国連邦)
仕様
編集- 構成 - 単行(2~4両の連結もあり)
- 定員(乗客) - 105(18席含む)
- 車両重量(t) - 14.9
- 車両寸法(mm) - 11,840 (長さ) × 2,690 (幅) × 3,615 (高さ)
- ガイドシステム - 横ガイド2軸4輪ステアリングシステム
- 電気システム - 直流 750 V 第三軌条方式
- 軌間(mm)
- 軌間 - 1,850
- ガイドレール支間 - 3,200
- 設計最高速度 - 80 km/h
- 最高運転速度 - 70 km/h
- 起動加速度 - 1 m/s2(3.6 km/h/s)
- 常用減速度 - 1 m/s2(3.6 km/h/s)
- 非常減速度 - 1.3 m/s2(4.68 km/h/s)
- 車体構造 - アルミニウム合金溶接構造
- 主電動機 - 三相誘導電動機、出力 80 kW × 2個
- 推進制御システム - VVVFインバーターベクトル制御(各軸個別制御)
- (応荷重制御付き)
脚注
編集- ^ わが社の一押しシリーズ 三菱重工業新交通システム
- ^ 2020系新型電車試乗会の募集 (PDF) - 埼玉新都市交通、2015年10月2日
- ^ “ニューシャトル2020系23編成が営業運転を開始”. 鉄道ニュース (鉄道ファン・railf.jp). (2016年6月28日)
- ^ “Mitsubishi Crystal Mover”. SGTrains. 28 September 2013閲覧。
- ^ 澳門特別行政區政府
- ^ Mitsubishi wins LRT tender
関連項目
編集- 新交通システム
- ボンバルディアInnovia APM 100 - 一般に競合している空港APM
- ボンバルディアInnovia APM 200 - クリスタルムーバーと直接競合する新型空港APM
- ライト・レール・トランジット(シンガポール)
- ヴェイキュロトマティクレジェ (VAL) - 仏・マトラが開発し、現在は独・シーメンスが展開するAGTシステム