広島高速交通7000系電車

広島高速交通のAGT(新交通システム)車両

広島高速交通7000系電車(ひろしまこうそくこうつう7000けいでんしゃ)は、広島県広島市新交通システムアストラムライン)を運営する広島高速交通案内軌条式電車2020年3月26日から営業運転を開始した[2][3][4][7][8]

広島高速交通7000系電車
基本情報
運用者 広島高速交通
製造所 三菱重工エンジニアリング
製造年 2019年 -
製造数 6両編成
24本(144両)予定
運用開始 2020年3月26日
投入先 広島新交通1号線(アストラムライン)
主要諸元
編成 6両編成(3Ⅿ3T)
軌間 1,700 mm
2,900 mm(案内輪間隔)
電気方式 直流 750 V
(剛体複線式)
最高運転速度 60 km/h
設計最高速度 70 km/h
起動加速度 3.5 km/h/s
減速度(常用) 3.5 km/h/s
減速度(非常) 4.5 km/h/s
編成定員 264人
車両定員 先頭車 40人(着席15人)
中間車 46人(着席20人)
合計  264名
車両重量 先頭車
10.8 t
中間車
7200形・7500形 10.5 t
7300形 8.4 t
7400形 10.2 t
編成重量 61.2 t
編成長 50,820 mm
全長 先頭車 8,610 mm
中間車 8,400 mm
車体長 先頭車 8,210 mm
中間車 8,000 mm
全幅 2,441 mm
全高 3,325 mm
車体 アルミニウム合金
主電動機 かご形三相誘導電動機
東洋電機製造製TDK6459-A[1]
主電動機出力 110 kW
駆動方式 直角駆動式、差動歯車式
歯車比 41:6 = 1:6.83
編成出力 660 kW
制御方式 2レベルIGBT素子VVVFインバータ制御[1]
制御装置 東洋電機製造製RG6042-A-M[1]
制動装置 回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ保安ブレーキ留置ブレーキ併用)
保安装置 自動列車制御装置(ATC、高周波連続誘導式)、列車無線
備考 主要数値は[2][3][4][5][6][7][8]に基づく。
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概要

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開業当初から在籍する6000系と、その増備車でVVVFインバータ車の1000系置き換えのために導入された。製造に際しては、三菱重工業から交通システムやエンジニアリング事業を受け継いだ新会社の三菱重工エンジニアリングが担当している[3][8][9][10][11]

構造

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編成は従来の車両と同様の6両編成で、内訳は制御車(Tc)2両、中間電動車(M)3両、付随車(T)1両の3M3Tである。車体はゆりかもめ7300系・7500系東京都交通局日暮里・舎人ライナー330形埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)の2020系でも使用実績がある、軽量かつ高い耐久性やリサイクル性を備えたアルミニウム合金を用いたダブルスキン構造である「Al-fine」が用いられる。これにより従来車から約3 tの軽量化が実現している。また車幅や車高も従来の車両から拡大しており、広い車内空間が確保されている。一方、カラーリングについては従来の車両のイメージを受け継ぎ、アストラムラインのシンボルカラーであるクロムイエローを基調としたデザインとなっている。前照灯尾灯LEDが用いられる[2][4][5][8][12]

インテリアデザインは三菱重工業が展開する「Detail-ism」を基礎に、従来の車両で築かれたアストラムラインのイメージを踏襲する形で仕上げられている。座席は従来の車両と同様にロングシートだが、背もたれを高くし座席幅も従来車から3 cm広く取る事で座り心地の向上を図ったセパレートタイプの座席「G-Fit」が採用されている。また、従来の車両には先頭車のみ設置されていた車椅子スペースに代わり、中間車を含めた全車両に車椅子に加えてベビーカーにも対応したフリースペースが設置される[注釈 1]。一方、これらの変更に伴い定員数や座席数は従来の車両から減少している。車内には空調が完備され、従来の車両から能力が30%向上している他、天井部に配風ダクトを配置する事で車内温度を均一化し冷房効率を高める。また安全対策のため監視カメラも設置されている[2][4][5][6][8]

走行機器など

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各車両に設置されているボギー台車は揺れを低減し乗り心地の向上を図った「T-smover」で、走行輪が中子性補助輪付きのゴムタイヤ、案内輪や分岐輪はソリッドタイヤが用いられる。集電装置は進行方向と垂直に備わった案内操行装置に設置され、ばねによって側面の剛体複線に接触する[2][5]

制御装置は東洋電機製造製のIGBT素子によるVVVFインバータ制御方式となっている。補助電源装置には同じく東洋電機製造製の静止型インバータ(SIV)で、定格出力は60 kVAを有する。SIVの素子にはハイブリッドSiCを使用している。

電動空気圧縮機はスクロール式回転型1段圧縮式である[2][13]

従来車との比較[2][10][13][14]
形式名 7000系 従来車
1000系 6000系
登場年 2020 1999 1994
車幅 2,441mm 2,380mm
車高 3,325mm 3,290mm
車体 アルミニウム合金 普通鋼
編成定員 264人 288人 286人
車椅子スペース
フリースペース
6箇所 2箇所
主電動機 かご形三相誘導電動機 直流分巻電動機
制御方式 VVVFインバータ サイリスタチョッパ

運用

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最初の編成となる第31編成は2019年10月4日長楽寺駅に近接した車両基地に搬入され、10月10日報道機関向けの車両公開が実施された。その後は試運転や乗務員の訓練運転を経て、2020年3月26日から営業運転を開始した。以降は2024年度末までに第31編成を含めた24本が導入される予定となっている[注釈 2]。これにより6000系(6両編成23本)・1000系(6両編成1本)全車両が置き換えられる。なお、現在予定されている西広島延伸に際しての車両増備は2019年の時点で未定となっている[2][4][7][8][6][15]

編成

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  広島高速交通 7000形[2]
形式 7100形
(Tc1)
7200形
(M2)
7300形
(T3)
7400形
(M4)
7500形
(M5)
7600形
(Tc6)
車両番号 7131
7132
7231
7232
7331
7332
7431
7432
7531
7532
7631
7632

脚注

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注釈

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  1. ^ 先頭車は車椅子・ベビーカー、中間車は車椅子・ベビーカー・大型荷物に対応しており、後者には1人分の折り畳み式座席が設置されている。
  2. ^ 当初は2025年度までに11本、2031年度までに13本と2期に分けて導入される計画だったが、2017年度に債務超過を解消し利用客も増加傾向である事から前倒しされた[8]

出典

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  1. ^ a b c 広島高速交通株式会社アストラムライン新型車両7000系用電機品”. 東洋電機製造. 2021年4月25日閲覧。(インターネットアーカイブ)。
  2. ^ a b c d e f g h i 「6000系と1000系の置換え用として登場した新形式車両 広島高速交通7000系」第60巻第1号、鉄道ファン、2020年1月1日。 
  3. ^ a b c アストラムラインの新型車両の導入について”. 広島高速交通 (2017年7月14日). 2019年12月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e アストラムラインの新型車両が搬入されました!”. 広島高速交通 (2019年10月11日). 2019年12月27日閲覧。
  5. ^ a b c d 広島高速交通株式会社から“アストラムライン”の新型車両66両を受注 既存車両の更新向けに2019年度から納入へ”. 三菱重工業 (2017年7月14日). 2019年12月27日閲覧。
  6. ^ a b c 広島高速交通、7000系を報道陣に公開”. 鉄道ファン. 交友社 (2019年10月11日). 2019年12月27日閲覧。
  7. ^ a b c 加納亜弥 (2019年10月4日). “アストラム新型車両来春デビュー”. 中国新聞デジタル. 2019年12月27日閲覧。
  8. ^ a b c d e f g 加納亜弥 (2020年3月26日). “新型車デビュー、アストラム【動画】”. 中国新聞デジタル. 2020年3月27日閲覧。
  9. ^ よくあるご質問(FAQ)”. 広島高速交通. 2019年12月8日閲覧。
  10. ^ a b 現有車両ガイド - 広島高速交通”. 日本地下鉄協会. 2019年12月27日閲覧。
  11. ^ 三菱重工業 (2017年11月2日). “三菱重工、「三菱重工エンジニアリング」を発足させ事業体制を強化”. 日本経済新聞. 2019年12月27日閲覧。
  12. ^ 新交通ゆりかもめ向け 全自動無人運転車両(AGT)48両を受注 2020年に向けて納入”. 三菱重工業 (2016年9月23日). 2019年12月27日閲覧。
  13. ^ a b アストラムライン 1000系車両の概要”. 広島高速交通. 2019年12月27日閲覧。
  14. ^ 徳永昭正、橋本和明、島倉正「広島高速交通60系新交通車両「アストラムライン」」『車両技術』第206号、1995年2月、72頁、doi:10.11501/3293491ISSN 0559-7471 
  15. ^ アストラムライン延伸(新交通西風新都線)のルート案について”. 広島市. 2019年12月27日閲覧。

外部リンク

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