カーン (恐竜)
カーン(学名: Khaan、「君主」の意)は、7500万年前の後期白亜紀カンパニアンに生息し、モンゴルのジャドフタ層で発見されたオヴィラプトル科の恐竜の属。
カーン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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ホロタイプ IGM 100/1127
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地質時代 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
中生代後期白亜紀 89.8–70.6 Ma | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Khaan Clark, Norell & Barsbold, 2001 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
種 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
非常に保存状態の良い化石が発見されており、発掘地の古環境復元から、砂丘の崩壊に巻き込まれて死亡した可能性が指摘されている。「ロミオ」と「ジュリエット」という愛称のついた二個体の標本が知られており、互いに別性である可能性がある[1]。
記載
編集カーンに他のオヴィラプトル科と大した相違点はない。カーンの標本は最初にインゲニアに分類されたが、手の構造のうち第3中手骨の上方が肥大しておらず、インゲニアとは十分に異なると考えられ、自身の属に分類された。
オヴィラプトル科の食性は論争が続いており、植物と軟体動物が提案されている。他のオヴィラプトル科と同様に、カーンはおそらく少なくとも部分的な肉食性であり、哺乳類やトカゲといった小型脊椎動物を捕食し、おそらく他の小型恐竜も獲物であった。また、おそらくカーンは羽毛に覆われていた[2]。
発見
編集タイプ種 Khaan mckennai は2001年にジェームズ・M・クラークらが命名した。属名はモンゴル語で「君主」「支配者」を意味する khaan に由来し、種小名は古生物学者マルコム・マッケナに捧げたもの[2]。
ホロタイプ標本 IGM 100/1127 はほぼ完全な骨格であり、もう一つの標本 IGM 100/1002 と共に発見された。この二つは非公式に"ロミオとジュリエット"と呼称され、それぞれの個体は全長約1.8メートルであった[1]。第3の標本 IGM 100/973 は非常に大型であるが、本種に分類された。
古生物学
編集ネイチャーで発表された2014年の研究によると、カーンにはおそらく性的二形があった。ホロタイプ MPC-D 100/1127 と標本 MPC-D 100/1002 の二つが解析にかけられ、前方の血道弓に形態的差異が見られた。両標本は同じ大きさと体格で、年齢も同じらしいが、個体発生はそうでなかった。MPC-D 100/1127 では、尾椎の下側に位置する第1血道弓に他の獣脚類のものとの強い類似性が見られ、遠位端に大きな肥大はなかった。しかし、他の個体では第1血道弓は遠位端上に踵状の肥大があり、椎骨の堆積を増していた。研究では病理学に基づく説明は除外され、性的二形が支持された。雌は産卵のための空間を体内に確保する必要があるため、尾椎の小型化は雌の特徴であると考えられた。また、巨大な尾椎は尾扇を支える筋肉が附随する雄の特徴である可能性がある[3][1]。性的二形以外の理由も考えられ、さらなる研究が必要である[1]。
分類
編集カーンはクラークによりオヴィラプトル科に分類された。オヴィラプトル科の中でカーンはおそらくコンコラプトルに最も近縁であった[2]。
以下のクラドグラムはファンティらの2012年の系統解析に従う[4]。
オヴィラプトル科 |
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出典
編集- ^ a b c d 『恐竜博2019 THE DINOSAUR EXPO』図録, p84
- ^ a b c Clark, J. M.; Norell, M. A.; Barsbold, R. (2001). “Two new oviraptorids (Theropoda: Oviraptorosauria), Upper Cretaceous Djadokhta Formation, Ukhaa Tolgod, Mongolia”. Journal of Vertebrate Paleontology 21 (2): 209. doi:10.1671/0272-4634(2001)021[0209:TNOTOU]2.0.CO;2.
- ^ Iv, W. S. P.; Funston, G. F.; Currie, P. J.; Norell, M. A. (2015). “A possible instance of sexual dimorphism in the tails of two oviraptorosaur dinosaurs”. Scientific Reports 5: 9472. doi:10.1038/srep09472. PMC 4379468. PMID 25824625 .
- ^ Fanti, F; Currie, PJ; Badamgarav, D (2012). “New Specimens of Nemegtomaia from the Baruungoyot and Nemegt Formations (Late Cretaceous) of Mongolia”. PLoS ONE 7 (2): e31330. doi:10.1371/journal.pone.0031330. PMC 3275628. PMID 22347465 .