カイバル・パクトゥンクワ州

パキスタンの州

カイバル・パクトゥンクワ州(カイバル・パクトゥンクワしゅう、ウルドゥー語: خیبر پختون خواہ, Khaībar Pakhtūnkhwā‎ 、英語: Khyber Pakhtunkhwa)は、パキスタンの州の1つ。旧称である北西辺境州(North-West Frontier Province)でも知られる。2018年に隣接する連邦直轄部族地域(Federally Administered Tribal Areas、FATA)を編入した。州都ペシャーワル。人口は約4086万人(2023年国勢調査[1])。

カイバル・パクトゥンクワ州

خیبر پختونخوا(ウルドゥー語)
Khaībar Pakhtūnkhwā
خیبر پښتونخوا(パシュトー語)
スワート渓谷の湖
スワート渓谷の湖
カイバル・パクトゥンクワ州の旗
カイバル・パクトゥンクワ州の公式印章
印章
愛称: 
フロンティア(辺境、Frontier), Frontier Province, Sarhad
北緯34度0分0秒 東経71度19分12秒 / 北緯34.00000度 東経71.32000度 / 34.00000; 71.32000
パキスタンの旗 パキスタン
州都 ペシャーワル
政府
 • 種別
 • 州知事 ハジ・グラーム・アリ英語版 (Haji Ghulam Ali)
 • 州首相 アリ・アミン・ガンダプル英語版 (Sardar Ali Amin Khan Gandapur)
面積
 • 合計 101,741 km2
人口
 • 合計 40,856,097人
 • 密度 400人/km2
等時帯 UTC+5 (パキスタン標準時)
市外局番 9291
ISO 3166コード PK-KP
ウェブサイト kp.gov.pk
KPK州の象徴 (非公式)
州の動物 Straight-horned Markhor
州の鳥 White-crested Kalij pheasant
州の木 Indian date
州の花 Apple of Sodom
州のスポーツ Pashtun archery

アフガニスタンとの国境を接するが、国境線(デュアランド・ライン)周辺やペシャーワルと近接するワジリスタンは紛争(ワジリスタン紛争)が起きており、情勢が不安定である。その一方で、北部の森林地帯は美しい風景が楽しめる観光地となっている。

名称

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日本の外務省のホームページでは「ハイバル・パフトゥンハー州」と表記している[2]

歴史

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古代にはガンダーラ紀元前6世紀 - 11世紀)が栄え、中心都市はペシャーワルチャールサダ英語版タクシラ(現パンジャーブ州 (パキスタン))、フント英語版などに移り変わった。

1895年に指導者が謀殺され、権力継承を見守るためギルギットからイギリス軍が遣わされた(チトラル遠征英語版[3]1897年マラカンド包囲戦英語版ウィンストン・チャーチルが参戦し、著作『マラカンド野戦軍物語』に記録を残した)によってパシュトゥーン人の居住地域はデュアランド・ラインで分断され、en:Malakand Agencyが設置された。 1901年、時のインド副王カーゾン卿によって、北西辺境州英語版شمال مغربی سرحدی صوبہNorth-West Frontier Province、略称:NWFP)が創設された。

1947年、イギリス領インド帝国からパキスタン (ドミニオン)が独立。1956年、共和制に移行。

アフガニスタン紛争 (1978年-1989年)では、バダベル蜂起ロシア語版英語版が行なわれた。

ワジリスタン紛争が始まり、2007年第1次スワートの戦い英語版10月25日 - 12月8日)、 2009年第2次スワートの戦い英語版5月16日 - 7月15日)などが起こった。

2010年4月15日に、北西辺境州からカイバル・パクトゥンクワ州に名称が変更された。

2018年5月31日連邦直轄部族地域(FATA)と州直轄部族地域英語版(PATA)を編入した[4][5]

気候

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乾燥地帯であるが春先にはまとまった雨が降り、土砂災害水害により多数の死者が出ることがある[6]

地理

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スワート渓谷英語版で産出したエメラルド

同国の北西部にある。西はアフガニスタンと国境をなす。北東はギルギット・バルティスタン、東はアザド・カシミール、南はシンド州、南東はパンジャーブ州イスラーマーバード首都圏と接する。

イラン高原に位置しヒンドゥークシュ山脈南アジアへと傾斜していく地形である。そのためカイバル峠アフガニスタンに通じ、古来より南アジア世界と中央ユーラシア世界を結ぶ文明の交差点となってきた。

南部は乾燥した岩山が多く、夏は非常に高温となる。

一方、北部は森林地帯となっており、夏は過ごし易く、冬は積雪が多い。農業が主要な産業である。特にスワート渓谷英語版はスイスのような自然美で多くの観光客を集めている。スワート渓谷のバリコトイタリア語版英語版は、古代国家ウッディヤーナ英語版があった地域で、エメラルド鉱山からの鉱物資源が紛争鉱物となっている。

行政区画

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カイバル・パクトゥンクワ州の県(2022年)

管区

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カイバル・パクトゥンクワ州は、7管区に分かれる。

  1. バンヌ管区英語版
  2. デラ・イスマイル・カーン管区英語版
  3. ハザラ管区英語版
  4. コハト管区英語版
  5. マラカンド管区英語版
  6. マルダーン管区英語版
  7. ペシャーワル管区英語版

さらに7管区は36県に分かれる。

2014年1月15日、コヒースタン県英語版上コヒースタン県英語版下コヒースタン県英語版に分割された[7]

2017年8月26日、下コヒースタン県からコライ=パラス県英語版が分立した[8]

2018年5月31日、FATAとの合併に伴い、FATAのバージャウル管区英語版ムフマンド管区英語版カイバル管区英語版オーラクザイ管区英語版クッラム管区英語版北ワジリスタン管区英語版南ワジリスタン管区英語版の7管区は県に改編されたうえでカイバル・パクトゥンクワ州に編入された。またPATAが廃止となり、FATA内にあった6辺境地区英語版テシル(郡)に降格した。12月21日、チトラル県英語版上チトラル県英語版下チトラル県英語版に分割された[9]

2022年4月12日、南ワジリスタン県は上南ワジリスタン県英語版下南ワジリスタン県英語版に分割された[10]

  1. アボッターバード県英語版Abbottabad District
  2. バージャウル県英語版Bajaur District
  3. バンヌ県英語版Bannu District
  4. バッタグラム県英語版Battagram District
  5. ブネール県英語版Buner District
  6. チャルサッダ県英語版Charsadda District
  7. デラ・イスマイル・カーン県英語版Dera Ismail Khan District
  8. ハングー県英語版Hangu District
  9. ハリプール県英語版Haripur District
  10. カラク県英語版Karak District
  11. カイバル県英語版Khyber District
  12. コハト県英語版Kohat District
  13. コライ=パラス県英語版Kolai-Palas District
  14. クッラム県英語版Kurram District
  15. ラッキ・マルワト県英語版Lakki Marwat District
  16. 下チトラル県英語版Lower Chitral District
  17. 下ディール県英語版Lower Dir District
  18. 下コヒースタン県英語版Lower Kohistan District
  19. 下南ワジリスタン県英語版Lower South Waziristan District
  20. マラカンド県英語版Malakand District
  21. マンセフラ県英語版Mansehra District
  22. マルダーン県英語版Mardan District
  23. ムフマンド県英語版Mohmand District
  24. 北ワジリスタン県英語版North Waziristan District
  25. ノウシェラ県英語版Nowshera District
  26. オーラクザイ県英語版Orakzai District
  27. ペシャーワル県英語版Peshawar District
  28. シャングラ県英語版Shangla District
  29. スワビ県英語版Swabi District
  30. スワート県英語版Swat District
  31. タンク県英語版Tank District
  32. トルガール県英語版Torghar District、旧Kala Dhaka District
  33. 上チトラル県英語版Upper Chitral District
  34. 上ディール県英語版Upper Dir District
  35. 上コヒースタン県英語版Upper Kohistan District
  36. 上南ワジリスタン県英語版Upper South Waziristan District

主な都市

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住民

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民族

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住民の多くはパシュトゥーン人である。その他、チトラル人英語版ダルド人英語版ラージプートカシミール人サライキ人英語版など。

言語

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1998年の話者人口比率調査では、パシュトー語73.9%、サライキ語3.9%、パンジャーブ語1.0%、ウルドゥー語0.8%、その他20.4%[11]コワール語コーヒスターン語も用いられる。

スワーティ語英語版のように、これらの言語の各地域方言を総称する名称もある。

宗教

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脚注

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  1. ^ a b “Khyber Pakhtunkhwa”. Citypopulation. (2023年9月25日). http://citypopulation.de/en/pakistan/admin/6__khyber_pakht%C5%ABnkhw%C4%81/ 2023年11月15日閲覧。 
  2. ^ http://www2.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo.asp?infocode=2011C119
  3. ^ Much Sounding of Bugles: The Siege of Chitral, 1895, John Harris, Hutchinson 1975
  4. ^ “NA approves merger of Fata, Pata with KP”. The News International. (2018年5月25日). https://www.thenews.com.pk/print/320943-na-approves-merger-of-fata-pata-with-kp 2023年11月15日閲覧。 
  5. ^ “President signs KP-Fata merger bill into law”. Dawn. (2018年5月31日). https://www.dawn.com/news/1411156 2023年11月15日閲覧。 
  6. ^ “パキスタン北部で豪雨、53人死亡”. AFP. (2016年4月4日). https://www.afpbb.com/articles/-/3082820 
  7. ^ “K-P chief minister approves bifurcation of district Kohistan”. The Express Tribune. (2014年1月15日). https://tribune.com.pk/story/659095/k-p-cm-approves-bifurcation-of-district-kohistan 2023年11月17日閲覧。 
  8. ^ “Kolai-Palas notified as new district”. The News International. (2017年8月26日). https://www.thenews.com.pk/print/226106-Kolai-Palas-notified-as-new-district 2023年11月17日閲覧。 
  9. ^ “Chitral bifurcated into two districts”. Chitral Today. (2018年12月22日). https://chitraltoday.net/2018/12/22/chitral-bifurcated-into-two-districts/ 2023年11月17日閲覧。 
  10. ^ “KP Cabinet approves South Waziristan’s bifurcation for effective management”. Dawn.com. (2022年4月13日). https://www.dawn.com/news/1684725/kp-cabinet-approves-south-waziristans-bifurcation-for-effective-management 2023年11月17日閲覧。 
  11. ^ Percentage Distribution of Households by Language Usually Spoken and Region/Province,1998 Census Pakistan Statistical Year Book 2011,パキスタン連邦統計局

関連項目

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外部リンク

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座標: 北緯34度00分 東経71度32分 / 北緯34.000度 東経71.533度 / 34.000; 71.533