オーソリティ (競走馬)

日本の競走馬

オーソリティ(欧字名: Authority2017年2月12日 - )は、日本競走馬[1]。主な勝ち鞍は2020年青葉賞、2020年・2021年アルゼンチン共和国杯連覇、2022年ネオムターフカップ

オーソリティ
2019年のホープフルステークスの本馬場入場
欧字表記 Authority[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2017年2月12日(7歳)[1]
抹消日 2023年8月26日
オルフェーヴル[1]
ロザリンド[1]
母の父 シンボリクリスエス[1]
生国 日本の旗 日本北海道安平町[1]
生産者 ノーザンファーム[1]
馬主 (有)シルクレーシング
調教師 木村哲也美浦
岩戸孝樹(美浦)
→木村哲也(美浦)[1]
競走成績
生涯成績 14戦6勝[1]
中央:12戦5勝
海外:2戦1勝
獲得賞金 5億2565万2800円[2]
中央:3億5310万4000円[1]
海外:150万米ドル
SAU)90万米ドル[3]
UAE)60万米ドル[4]
WBRR L121 / 2021年[5]
L118 / 2022年[6]
勝ち鞍
GII 青葉賞 2020年
GII アルゼンチン共和国杯 2020年・2021年
GIII ネオムターフカップ 2022年
テンプレートを表示

馬名の意味は、「権威、威信」。クラシック三冠を達成したのような活躍を願って[7]

戦績

編集

デビュー前

編集

2017年2月12日北海道安平町ノーザンファームで誕生。シルクレーシングにて総額4000万円(一口8万円×500口)で募集された[7]

2歳 (2019年)

編集

美浦木村哲也厩舎に入厩。7月7日函館で行われた2歳新馬戦池添謙一を背にデビューを果たすと、1番人気の支持に応えてデビュー戦を勝利した[7]

続く芙蓉ステークスでも1番人気に推されると、レースでは4番手追走から直線で力強く伸びて快勝。デビュー2連勝とした[8]

 
ホープフルステークスパドックを周回

重賞初挑戦となったホープフルステークス(GI)では東京スポーツ杯2歳ステークスをレコード勝ちしたコントレイル等が集まった中[9]、4番人気の支持を受けた。レースでは最初の直線で他馬に挟まれるアクシデントがあり、最後の直線も後方から追い上げたものの、最終的には5着と何とか掲示板を確保するにとどまった[10]

3歳 (2020年)

編集

3歳始動戦には弥生賞ディープインパクト記念を選択。鞍上にライル・ヒューイットソンを迎え、3番人気で臨んだレース本番、先行して直線でも粘ったが、最後はサトノフラッグ、ワーケアに交わされ3着に敗れた[11]

優先出走権を得ていた皐月賞は回避し、ダービートライアル青葉賞に出走。鞍上は前走に続きヒューイットソンが務めた。ここでも3番人気になると、レースでは最後の直線で進路を外に切り替えると、ゴール直前で先頭に立ちそのまま優勝。レースレコード勝ちで重賞初制覇と共に、日本ダービーの優先出走権を獲得した[12]。鞍上のヒューイットソンは短期免許期間の最終週で重賞2勝目を飾った[12]

しかし、レースの7日後に骨折が判明、全治3か月の診断となったため、優先出走権を獲得した日本ダービー出走を取り止めることになり、休養入りとなった。半年の休養明けを12キロ増[13]で挑んだアルゼンチン共和国杯では3番手からレースを進め、2着の6番人気ラストドラフトに1馬身半差をつけ重賞2勝目を果たした[14]。次走は有馬記念川田将雅鞍上で出走、道中2番手でレースを進めるも14着と初の二桁着順に沈む(詳細は第65回有馬記念を参照)。

4歳(2021年)

編集

4歳初戦はダイヤモンドステークスに出走、川田が再び騎乗し、1番人気に推される。好位でレースを進め、直線抜け出すもグロンディオーズにクビ差差し切られ2着に敗れたが、後続には5馬身差をつけた。続く天皇賞(春)は中団から今ひとつに伸びきれず10着に敗れた。その後、左脛骨の骨折が判明、半年以上の休養を取ることになった[15]

7月29日付で木村の調教停止処分に伴い、岩戸孝樹厩舎に転厩した[16]。11月1日付で木村の調教停止処分終了に伴い、木村哲也厩舎に再転厩した。岩戸孝樹厩舎所属時はレースへの出走はなかった。

骨折明け、6か月ぶりとなったアルゼンチン共和国杯はトップハンデの57.5kgを背負ってのレースとなったが、好位につけると直線で後続に差をつけ、マイネルウィルトスに2馬身半差をつけて1着、アルゼンチン共和国杯連覇を達成し、重賞3勝目を挙げた。中2週で臨んだジャパンカップコントレイル(牡4)、シャフリヤール(牡3)、ワグネリアン(牡6)およびマカヒキ(牡8)と4世代のダービー馬が出走し、外国馬3頭などフルゲートとなる18頭でのレースとなった。1コーナーで各馬が殺到し、接触しながらも5番手を確保[17]。最後の直線では残り300mで一旦先頭に立ち、このレースで引退となるコントレイルには屈したが、それから2馬身差の2着となった。

5歳(2022年)

編集

5歳の初戦としてサウジアラビアで行われるサウジカップデーの競走のひとつ、ネオムターフカップに登録された[18]。現地時間26日に行われたこの競走にはルメールとともに出走し、レースが始まると先手を確保し、そのまま2着馬カスパーに1馬身1/4差をつけて逃げ切って優勝した[19]

続いて海外連勝を目指し、ドバイのメイダン競馬場で開催されるドバイシーマクラシックに出走した[20]。前走に続いて先頭を進みレースをコントロールしたが、最終直線でシャフリヤール、ユビアーに差され3着に敗れた[21]

帰国したオーソリティは宝塚記念に出走したが、馬場入場後に右前肢跛行を発症したため競走除外となった[22]。その4日後の6月30日、右第3中手骨骨折が判明し、三度長期休養に入ることとなった[23]

6歳(2023年)

編集

8月6日に札幌競馬場で行われたエルムステークスで1年4か月ぶりに実戦復帰したが、12着と大敗。レース数日後のエコー検査で左前脚の種子骨靱帯に重度の損傷が判明し、競走能力喪失と診断された。8月25日に所有するシルクホースクラブにより現役を引退し、2024年より北海道新冠町優駿スタリオンステーションで種牡馬入りすることが発表された[24]。翌26日、JRAの競走馬登録を抹消された[25]

引退後

編集

優駿スタリオンステーションでの種牡馬入りと発表されたものの、その後入厩が確認されず動向はしばらく不明であった。 2024年10月23日に引退競走馬としてノーザンホースパークへの入厩が発表された[26]

競走成績

編集

以下の内容はnetkeiba.com[7]、サカブジョッキークラブ[27]、Racing Post[28]の情報に基づく。

競走日 競馬場 競走名 距離(馬場)


オッズ
(人気)
着順 タイム
(上り3F)
着差 騎手 斤量
[kg]
1着馬(2着馬) 馬体重
[kg]
2019.07.07 函館 2歳新馬 芝1800m(良) 10 6 6 001.30(1人) 01着 R1:54.9(34.5) -0.0 0池添謙一 54 ブラックホール 494
0000.09.22 中山 芙蓉S OP 芝2000m(良) 6 4 4 002.00(1人) 01着 R2:02.9(33.8) -0.4 0池添謙一 54 ウインカーネリアン 498
0000.12.28 中山 ホープフルS GI 芝2000m(良) 13 7 11 007.20(4人) 05着 R2:02.2(36.3) -0.8 0池添謙一 55 コントレイル 508
2020.03.08 中山 弥生賞ディープ記念 GII 芝2000m(重) 11 8 10 003.90(3人) 03着 R2:03.3(36.9) -0.4 0L.ヒューイットソン 56 サトノフラッグ 506
0000.05.02 東京 青葉賞 GII 芝2400m(良) 18 2 3 004.30(3人) 01着 R2:23.0(34.1) -0.0 0L.ヒューイットソン 56 (ヴァルコス) 500
0000.11.08 東京 AR共和国杯 GII 芝2500m(良) 18 8 18 005.30(3人) 01着 R2:31.6(34.6) -0.2 0C.ルメール 54 ラストドラフト 512
0000.12.27 中山 有馬記念 GI 芝2500m(良) 16 6 12 020.30(7人) 14着 R2:37.0(38.2) -2.0 0川田将雅 55 クロノジェネシス 514
2021.02.20 東京 ダイヤモンドS GIII 芝3400m(良) 16 2 3 002.90(1人) 02着 R3:31.2(34.8) -0.0 0川田将雅 56 グロンディオーズ 510
0000.05.02 阪神 天皇賞(春) GI 芝3200m(良) 17 8 17 012.20(6人) 10着 R3:16.7(38.4) -2.0 0川田将雅 58 ワールドプレミア 506
0000.11.07 東京 AR共和国杯 GII 芝2500m(良) 15 6 10 003.00(1人) 01着 R2:32.4(33.9) -0.4 0C.ルメール 57.5 (マイネルウィルトス) 518
0000.11.28 東京 ジャパンC GI 芝2400m(良) 18 4 7 007.10(3人) 02着 R2:25.0(34.4) -0.3 0C.ルメール 57 コントレイル 520
2022.02.26 KAA ネオムターフC G3 芝2100m(良) 14 2 2 003.00(1人) 01着 R2:06.72 -0.21 0C.ルメール 57 (Kaspar) 計不
00000.3.26 メイダン ドバイSC G1 芝2410m(良) 15 10 1 004.70(2人) 03着 (3/4馬身) 0C.ルメール 57 Shahryar 計不
0000.06.26 阪神 宝塚記念 GI 芝2200m(良) 17 1 1 除外 0C.ルメール 58 タイトルホルダー 516
2023.08.06 札幌 エルムS GIII ダ1700m(不) 14 4 5 005.30(2人) 12着 R1:45.0(38.2) -2.2 0C.ルメール 58 セキフウ 528
  • 海外の枠番はゲート番
  • サウジアラビアのオッズ・人気はRacing Postのもの(日本式のオッズ表記とした)

血統表

編集
オーソリティ血統 (血統表の出典)[§ 1]
父系 サンデーサイレンス系
[§ 2]

オルフェーヴル
2008 栗毛
北海道白老町
父の父
ステイゴールド
1994 黒鹿毛
*サンデーサイレンス Halo
Wishing Well
ゴールデンサッシュ *ディクタス
ダイナサッシュ
父の母
オリエンタルアート
1997 栗毛
メジロマックイーン メジロティターン
メジロオーロラ
エレクトロアート *ノーザンテースト
*グランマスティーヴンス

ロザリンド
2011 黒鹿毛
北海道安平町
*シンボリクリスエス
1999 黒鹿毛
Kris S. Roberto
Sharp Queen
Tee Kay Gold Meridian
Tri Argo
母の母
シーザリオ
2002 青毛
スペシャルウィーク *サンデーサイレンス
キャンペンガール
*キロフプリミエール Sadler's Wells
Querida
母系(F-No.) (FN:16-a) [§ 3]
5代内の近親交配 サンデーサイレンス 3×4=18.75%Northern Dancer5×5=6.25%、Hail to Reason5×5=6.25%、ノーザンテースト 5・4(父内)=9.38% [§ 4]
出典
  1. ^ [29]
  2. ^ [30]
  3. ^ [29]
  4. ^ [30]


出典

編集

注釈

編集


脚注

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n オーソリティ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月2日閲覧。
  2. ^ 競走馬情報 - オーソリティ”. www.jra.go.jp. 日本中央競馬会. 2023年3月10日閲覧。
  3. ^ 2022 サウジカップ開催施行競走 登録要綱”. 2022年2月26日閲覧。
  4. ^ 2022 ドバイ・ワールドカップ・デイ施行競走 登録要綱(簡易版)”. 2022年3月26日閲覧。
  5. ^ 国際競馬統括機関連盟 (IFHA) The LONGINES World's Best Racehorse Rankings”. 2022年1月26日閲覧。
  6. ^ The LONGINES World's Best Racehorse Rankings For 3yos and upwards which raced in 2022”. 国際競馬統括機関連盟. 2023年1月18日閲覧。
  7. ^ a b c d オーソリティ | 競走馬データ - netkeiba”. netkeiba.com. 2022年3月25日閲覧。
  8. ^ INC, SANKEI DIGITAL. “【芙蓉S】オルフェ産駒のオーソリティが直線楽々と抜け出しV2!”. サンスポZBAT! 競馬. 2020年5月3日閲覧。
  9. ^ 【ホープフルS】コントレイルが人気の中心/JRAレースの見どころ | 競馬ニュース - netkeiba.com”. news.netkeiba.com. 2020年5月3日閲覧。
  10. ^ kbn_ykw. “【ホープフルS】池添謙「まともに挟まれて…」オーソリティは5着に敗れる | 競馬ニュースなら「競馬のおはなし」”. 2020年5月3日閲覧。
  11. ^ 【弥生賞】ヒューイットソン「素晴らしい馬」オーソリティは3着まで(競馬のおはなし)”. Yahoo!ニュース. 2020年5月3日閲覧。
  12. ^ a b INC, SANKEI DIGITAL. “【青葉賞】オーソリティがレースレコードV! 勝ち取ったダービー切符”. サンスポZBAT!競馬. 2020年5月3日閲覧。
  13. ^ アルゼンチン共和国杯 (GII) 15:35発走 / 芝2500m (左) / 天候:曇 / 馬場:良”. 2020年11月8日閲覧。
  14. ^ 【アルゼンチン共和国杯結果】3歳馬オーソリティが快勝! 骨折からの復帰戦を制す”. netkeiba.com. 2020年11月8日閲覧。
  15. ^ 【JRA】重賞2勝オーソリティが骨折 6ヶ月以上の休養を要する見込み | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2021年11月10日閲覧。
  16. ^ 木村 哲也調教師(美浦)の調教停止に伴う管理馬の転厩 - 日本中央競馬会(JRAニュース)2021年7月28日
  17. ^ 【ジャパンC】オーソリティ 脱帽2着 ルメール「坂を登ってから疲れが出た」”. netkeiba.com. 2021年11月29日閲覧。
  18. ^ サウジカップデー(サウジカップ以外)に日本馬10頭が出走 | 競馬ニュース”. netkeiba.com (2022年2月24日). 2022年2月26日閲覧。
  19. ^ 【ネオムターフC結果】ルメール騎手騎乗オーソリティが鮮やかに逃げ切りV! | 競馬ニュース”. netkeiba.com (2022年2月26日). 2022年2月26日閲覧。
  20. ^ 【ドバイシーマクラシック】昨年のダービー馬シャフリヤール・ジャパンC2着のオーソリティらが予備登録 | 競馬ニュース”. netkeiba.com. 2022年5月29日閲覧。
  21. ^ 【ドバイシーマC】オーソリティ海外連勝ならず3着、ルメール「ダービー馬はやっぱり強い」|極ウマ・プレミアム”. p.nikkansports.com. 2022年5月29日閲覧。
  22. ^ 【宝塚記念】競走除外のオーソリティは右前肢跛行を発症”. netkeiba.com. 2022年11月3日閲覧。
  23. ^ 【JRA】オーソリティが骨折 3、4歳時に続き3度目の骨折発症”. netkeiba.com. 2022年11月3日閲覧。
  24. ^ 重賞4勝オーソリティが引退、種牡馬入りへ エルムS後に左前脚種子骨靭帯に重度の損傷 日刊スポーツ、2023年8月25日配信・閲覧
  25. ^ オーソリティが競走馬登録抹消”. 日本中央競馬会 (2023年8月26日). 2023年8月26日閲覧。
  26. ^ 青葉賞やアルゼンチン共和国杯を勝利し、重賞戦線で活躍した引退競走馬オーソリティがパークの新たな仲間に加わりました!”. X(旧Twitter). ノーザンホースパーク (2024年10月23日). 2024年11月3日閲覧。
  27. ^ Sakab Jockey Club”. www.frusiya.com. 2022年3月25日閲覧。
  28. ^ Authority | Race Record & Form | Racing Post”. www.racingpost.com. 2022年5月14日閲覧。
  29. ^ a b 血統情報:5代血統表|オーソリティ”. JBIS-Search. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2020年5月2日閲覧。
  30. ^ a b オーソリティの血統データ”. 競馬ラボ. 2020年5月7日閲覧。
  31. ^ ロザリンド|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年3月25日閲覧。
  32. ^ エピファネイア|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年3月25日閲覧。
  33. ^ リオンディーズ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年3月25日閲覧。
  34. ^ サートゥルナーリア|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年3月25日閲覧。
  35. ^ シーザリオ|JBISサーチ(JBIS-Search)”. www.jbis.or.jp. 2022年3月25日閲覧。

外部リンク

編集