オナガザル亜科(オナガザルあか、Cercopithecinae)は、哺乳綱霊長目オナガザル科に分類される亜科。

オナガザル亜科
ダイアナモンキー
ダイアナモンキー Cercopithecus diana
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 霊長目 Primates
: オナガザル科 Cercopithecidae
亜科 : オナガザル亜科 Cercopithecinae
学名
Cercopithecinae Gray, 1821[1]
タイプ属
Cercopithecus
和名
オナガザル亜科[2][3][4]

分布

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マカク属を除いて主にアフリカ大陸に分布する。一方でマカク属はアフリカ大陸北部に分布するバーバリーマカクを除いて、アジアに分布する[4]

形態

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樹上棲傾向の強い種では長い尾をバランスを保つのに役立てている[4]。地表棲傾向の強い種では尾が短いか、尾がない種もいる[4]ニホンザルチベットモンキーも尾が退化傾向にあるが、これは寒冷地に対する適応と考えられている[4]。一方で尾はコミュニケーションの手段として用いられることもあり、これはパタスモンキーなどの尾をバランスを取るために用いることが少ない地表棲傾向の強い種でみられる傾向がある[4]

頭部は前後に長い種が多く、特にヒヒ類では顕著[4]。大臼歯の外側に袋状になった器官(頬袋)がある[3][4]。これにより食物競争で有利になると考えられている[4]。樹上性傾向の強い種では前肢が短い傾向がある[4]。地表棲傾向の強いヒヒ類では前肢と手の平が長いため、静止時には肩部が臀部よりも高い位置にある[4]。第1指は他の指と対向し、物をつかむことや樹上での活動に適している[4]

オスはケープや鬣状に体毛が伸長する種もいる[4]。他の歯と比較して犬歯が長い(グエノン類ではメスでも犬歯が発達する種もいる)[4]。ヒヒ類やマカク類・マンガベイ類・グエノン類の一部では、メスで月経周期の前半に性皮が腫れあがる種もいる[4]

様々な種が生息する異なった地形に適応する。樹上性の種では細くて華奢で尾は長いのに対し、地上性の種はがっしりとしており尾は短いか完全になくなっている。全ての種はよく発達した親指を持つ。一部の種では尻だこがあり、繁殖期に色が変わることがある。[要出典]

これらのサルは昼行性かつ社会的集団の中で生活する。冷涼な山地から雨林、サバンナ、岩場、果ては(ニホンザルのように)雪山にまで様々な地形に生息する。[要出典]

殆どの種は雑食性で、餌は果物、葉、種、芽、キノコから昆虫や蜘蛛、さらには小さな脊椎動物にまで及ぶ。[要出典]

妊娠期間はおよそ6-7ヶ月。離乳は3-12ヶ月で、完全に成熟するまで3-5年かかる。寿命は一部の種で長くて50年、野生のベルベットモンキーの平均寿命は10年になる[要出典]

分類

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ヒト属 Homo

チンパンジー属 Pan

テナガザル属 Hylobates

オナガザル亜科

マカク属 Macaca

 

ヒヒ属 Papio

ゲラダヒヒ属 Theropithecus

マンガベイ属 Cercocebus

サバンナモンキー属 Chlorocebus

パタスモンキー属 Erythrocebus

タラポアン属 Miopithecus

Cercopithecinae
コロブス亜科

コロブス属 Colobus

 

ドゥクモンキー属 Pygathrix

テングザル属 Nasalis

 

ラングール属 Trachypithecus

Colobinae
オナガザル亜科の系統上の位置[5]

以下の現生種の分類・和名・英名は、日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ (2024) に従う[2]

生態

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森林や低木林・サバナなど様々な環境に生息する[4]。森林内でもマンドリル属などのように林床に生息する種、ディアデムグエノンなどのように疎林や河辺林に生息する種もいる[3]。主に母系集団(オスは成長すると産まれた群れから離散する)を形成する[4]。一方でマントヒヒは父系集団を形成する[3]。地表では後肢の踵を接地して移動し(踵行性)、樹上棲の種は前肢の踵にあたる部分も接地する[4]

主に果実を食べるが、植物の葉、芽、種子、球根も含む根、樹皮、樹脂、昆虫、貝類、魚類、爬虫類など様々なものを食べる[4]。ヒヒ類はレイヨウ類の幼獣やノウサギ類・サバンナモンキーなどの本亜科の構成種を食べることもある[4]。前肢を使って食物を掴む[4]

妊娠期間は5 - 6か月で、主に1回に1頭の幼獣を産む[4]

画像

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出典

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  1. ^ 岩本光雄「サルの分類名(その2:オナガザル,マンガベイ,ヒヒ)」『霊長類研究』第2巻 1号、日本霊長類学会、1986年、76-88頁。
  2. ^ a b 日本モンキーセンター霊長類和名編纂ワーキンググループ 「日本モンキーセンター 霊長類和名リスト 2024年7月版」(公開日2024年8月15日・2024年9月9日閲覧)
  3. ^ a b c d 河合雅雄 「森林で適応拡散したサル類のなかで、オナガザル類は熱帯雨林からサバナまで生活の場を広げた。」『動物たちの地球 哺乳類I 7 ニホンザル・ゲラダヒヒほか』第8巻 43号、朝日新聞社、1992年、202-204頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Thelma E. Rowell 「グエノン,マカク,ヒヒ」早木仁成訳『動物大百科 3 霊長類』 伊谷純一郎監修、D.W.マクドナルド編、平凡社、1986年、70-85頁。
  5. ^ Jinchuan Xing, Hui Wang, Kyudong Han, David A. Ray, Cheney H. Huang, Leona G. Chemnick, Caro-Beth Stewart, Todd R. Disotell, Oliver A. Ryder, Mark A. Batzer 2005. A mobile element based phylogeny of Old World monkeys. Molecular Phylogenetics and Evolution 37 :872?880

関連項目

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