エルコスの祈り

日本の劇団四季のオリジナルミュージカル

エルコスの祈り』(エルコスのいのり)は、劇団四季オリジナルミュージカル。2002年までは『エルリック・コスモスの239時間』として上演されていた。

ストーリー

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舞台は、約100年後(『エルコスの祈り』になってからは約50年後)の世界。そこには、問題児や落ちこぼれたちに対して再教育を行う「ユートピア学園」があった。「ユートピア学園」は非常に規律を重んじ、生徒を番号で呼んでいる。また、夢や希望などは無意味であり、そういったものを排除している。学園にいる生徒のジョン、ポール、ジョージ、ローズやエマたちは、そうした指導方針に不満を持つが、否応なしに従っていた。

ある日、セールスマンがストーン博士が開発した教育型ロボット『CPΣ・081・1型ESPアンドロイドエスパーロボット/エルリック・コスモス(通称エルコス)』を売り込むために、学園の理事長のもとにやってきた。エルコスは、生徒に対する教育から日常の世話まで全てを完璧にこなす優秀なロボット。理事長は、学園に対する維持費の抑制のため、エルコスを学園に入れることにした。エルコスのエネルギー源はFZIという最新のバイオエネルギー。FZIは人間のDNAそっくりにつくられたものです。1度の補給で240時間動くが、万一汚れたFZIを補給すると、エルコスは気化し、消滅してしまう。

エルコスの登場でその立場が危うくなったダニエラ、パルタ、ダーリーは、エルコスの教育方針に今一つ馴染めずにいたジョンを囲い込み、ジョンを利用してエルコスを亡き者にしようと企む。

その企みに乗せられて汚染されたFZIを口にしてしまったエルコスは、子供達に『人間の心にあるものの中で一番美しいのは、許す気持ち』と伝えて、空気の精霊になって、すがたを消してしまう。そしてみんなのことを空から見守っている。

そのエルコスの言葉を聞いたジョンは、自らの過ちに気付き激しく後悔して、そして仲間の中に戻っていった。

改題と改変

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1991年再演時に作品全体が見直されており、楽曲の改変や追加、衣装やメイク、セット、登場人物のセリフや性格設定などが大幅に直されている。

以降は『~239時間』、『~祈り』、共に1991年再演時の構成をベースにマイナーチェンジを施したものとなっている。

ダニエラのセリフに歌舞伎の様な見栄を切るものがあるのは、歌舞伎をモチーフとした衣装だった初演時のキャラクターの名残である。

まるで人間そのもの、と評されるエルコスも、当初は以下の様なロボットらしさが垣間見られるシーンがあった。

  1. 普段は人間の様に綺麗な高声で流暢に話していたものが、自分の意思に反して悪事を働かなければいけない時に、合成音声の様な機械的な音が混じった低音の声に変化した。
  2. エルコスが消滅する直前、ストーン博士のもとに歩くシーンで歩行機能に異常をきたした様なぎこちない歩き方をしていた。

1は2003年の改変時、2は2015年の改変時に削除された演出である。

2003年のニッセイ名作劇場より、作品名が『エルリック・コスモスの239時間』から『エルコスの祈り』に改題された。

2015年に自由劇場で初演するにあたり、エルコスが気化して消滅する際の装置の簡略化が行われ、従来のリフトアップによる上空に浮き上がる演出が削除された。

2015年改変前の演出は、現在NHKエンタープライズより発売されている2009年の公演が収録されたDVDで視聴出来る。

なお、1984年時から一貫して存在する『教師が直接生徒に手をくだしては社会問題になる』という台詞は2023年現在、体罰問題などで現実のものとなっている。

公演

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スタッフ

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キャスト

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(出演経験者、キャスティングのみを含む)

上演記録

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外部リンク

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