ウスヒラタケ
ウスヒラタケ(薄平茸[3]、学名: Pleurotus pulmonarius)は、ヒラタケ科ヒラタケ属に分類される小型から中型の食用キノコ。傘は半円形で、表面は薄い灰色、ヒダは白色で、茎が無いのが特徴。発生時期は夏から秋で、ヒラタケよりも肉が薄くてやわらかく、食味は弱いがクセがない。
ウスヒラタケ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Pleurotus pulmonarius (Fr.) Quél. (1872)[1][2] |
分布・生態
編集木材腐朽菌[4](白色腐朽菌、腐生菌、腐生性)[3]。野生のものは、夏(梅雨時期)から初秋にかけて、人里やシイ・カシ林、雑木林、ブナ・ミズナラ林、クルミなど、さまざまな広葉樹の倒木や切り株の上に折り重なる様にして群生する[5][3]。特に夏場の山地の渓流や沢沿いの倒木などで見かけられる[3]。
形態
編集野生のウスヒラタケは、ヒラタケよりも小型で薄く、傘の色は白から淡桃色のものが多い[4]。傘の径は2 - 8センチメートル (cm) [2]、傘は半円形で、若いときはまんじゅう形をしているが、生長すると半円形や扇状になる[5]。傘肉は中央部で厚さ1 - 3ミリメートル (mm) で[2]、ヒラタケよりも薄く、下から見ると透けて見えるほどで、肉もやわらかくて脆い[5]。ときに粉臭がある[2]。若い時期の傘は薄褐色を帯びているが、やがて白色から薄い灰色、淡い黄色へと変化する[5]。傘裏のヒダははじめ白色で、古くなるとクリーム色からレモン色を帯び[2]、柄に垂生する[5][3]。ヒダにできる小さなコブは、キノコバエが運ぶ線虫の寄生によるものである[3]。
柄は傘の縁から発生するが[4]ほとんど発達せず[3]、長さ0.5 - 1.5 cm と非常に短いかほとんど欠くので[2]、倒木などに傘が直接付着しているように見える[5]。胞子は6 - 10 × 3 - 4マイクロメートル (μm) の円柱形[2]。胞子紋はやや灰色からピンク色[2]。
利用
編集100 gあたりの栄養価 | |
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エネルギー | 23 kJ (5.5 kcal) |
4.8 g | |
0.2 g | |
6.1 g | |
ビタミン | |
チアミン (B1) |
(26%) 0.30 mg |
リボフラビン (B2) |
(34%) 0.41 mg |
他の成分 | |
水分 | 88 g |
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%はアメリカ合衆国における 成人栄養摂取目標 (RDI) の割合。 |
食用とされる。「シメジ」と称して販売される事もあるが、シメジ属の「ホンシメジ」とは別種。 クセのない味で、口当たりが良くしっとりとした歯触りが好まれる[5]。非常に香りが良く、新鮮なものはかじると良い香りが口の中に広がる[4]。ビタミンB1、ビタミンB2を多く含んでいる。肉質がやわらかいことから、洋風の煮込みや、和風のすまし汁やけんちん汁などの汁物、鍋物への利用がが向いており[2]、すき焼きや味噌汁の具、あんかけ、鉄板焼き、バター炒めなどの炒め物、アヒージョ、パエリアなど和洋問わずさまざまな料理に使える[5][3]。
近縁種
編集ヒラタケの仲間には、食用に適さないキヒラタケ、スエヒロタケや、食用になるヒラタケ、本種のウスヒラタケがある[5]。
ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)は晩秋から冬にかけて発生し、傘は濃い灰色で肉がもっと厚い[3]。対してウスヒラタケは梅雨から夏にかけて多く発生する[4]。
脚注
編集参考文献
編集- 秋山弘之『知りたい会いたい 色と形ですぐわかる 身近なキノコ図鑑』家の光協会、2024年9月20日。ISBN 978-4-259-56812-2。
- 今関六也・大谷吉雄・本郷次雄 編著『日本のきのこ』(増補改訂新版)山と渓谷社〈山渓カラー名鑑〉、2011年12月25日。ISBN 978-4-635-09044-5。
- 牛島秀爾『道端から奥山まで採って食べて楽しむ菌活 きのこ図鑑』つり人社、2021年11月1日。ISBN 978-4-86447-382-8。
- 瀬畑雄三監修 家の光協会編『名人が教える きのこの採り方・食べ方』家の光協会、2006年9月1日。ISBN 4-259-56162-6。
- 東京書籍 『食品成分表』文部科学省 科学技術・学術審議会 資源調査分科会 報告